買い物山脈

ストレスフルな在宅保育+在宅勤務を環境改善グッズとアナログなおもちゃで乗り越えろ

製品名
TP-Link Archer AX11000
価格
35,900円
購入時期
4月13日
使用期間
約1週間
製品名
シャープ KI-JS70
価格
28,500円
購入時期
3月3日
使用期間
約1カ月半
「買い物山脈」は、編集部員やライター氏などが実際に購入したもの、使ってみたものについて、語るコーナーです

 近頃なにかと人騒がせなのが新型コロナウイルス。2002年のSARSのようにある程度限られた地域や期間で収まってくれれば良かったのだが、潜伏期間が長く、感染力も比較的強いため、全世界で猛威をふるっていて、犠牲者も多数出てしまっている。

 これ以上犠牲者を増やさないための最善の手段は、とにかく外出機会を減らして、伝染されてしまうこと、もしくは人に伝染してしまうことを防ぐことだ。そのため、出勤を控えて、自宅で仕事をする=テレワークをするということは、とても大事なことなのだ。

 すでに編集長が書かれているように、PC Watchでは3月より100%テレワークを導入している。筆者のもともとネットワークさえあればどこでも仕事できるし、それまでも週1のテレワークをやっていたので、自宅ではある程度環境が整っていた。3月になってそれが週1から毎日に変わっただけなのだ。唯一、4月1日は伝票処理のために出社したが、これもいまやシステムの改善で、家からでも申請できるようになった。出社する必要性はゼロになったのだ。

 仕事柄、PCやディスプレイ、キーボード、マウスなどはなんら不自由のないスペックのものを家でもつねに取り揃えていたので、これらについては問題はなかった。ノートも含めて数十台はつねにあるので、仕事部屋以外の場所で仕事したい場合もなんら問題はない。机も広いし、道具類はすぐに手に届くので、会社の環境より快適である。

筆者の仕事部屋の環境。2台とも石川県の会社のディスプレイになったのは偶然だ

 唯一ながらく不満だったのは仕事部屋の椅子だった。4年前の冬に1回家の椅子でテレワークしている最中にぎっくり腰をやってからは、毎年寒くなったタイミングで腰痛がぶり返すので、椅子の重要度に気づいて、昨年(2019年)10月にニトリで椅子を新調した。それ以降は腰痛もかなり良くなっているし、不満はとくにない。

 そんなわけで、「買い物山脈」で書いておきながら、テレワークで直接使うものを買ったのは皆無なのである。ここでは100%テレワークによって生まれた生活の変化と、それに伴って生じたストレスで買わざる得なくなったものについて、記しておくことにしたい。

完全テレワークへの移行で、3月の仕事のパフォーマンスはむしろ向上

 まずはふだんの仕事状況について説明しておこう。筆者は都内で妻と5歳の子供の3人暮らしである。朝は子供を保育園に送ってから少し家事をこなし、10時に会社へ向かう。会社での勤務は11時スタートだ。

 テレワークで通勤がなくなった分、PCの前に座って「仕事するぞ」と思ったときにすぐに取りかかれるのは、効率を重視する筆者にとって最高だった。暑い日に出社するのも苦手なので、ぶっちゃけ新型コロナに関係なく、暑い時期もテレワークを続けてもいいと思っている。

 テレワークで、パフォーマンスは低下するどころかむしろ向上した。出勤が不要なのでその分の時間を仕事に割り当てて集中だけでなく、記事の掲載時間を早められるからだ。ちょっとしたサイト運営をやったことのある読者なら勘がつくと思うが、サイトへのアクセスのピークはお昼の12時だ。それまでに記事をどれだけ用意できるかが鍵となる。

 この業界は慣例で、始業開始は朝11時なのだ。大手メーカーの多くの製品発表は11時なので、10時に会社についたところで書くネタはない。ピークシフト通勤なので、電車のなかで人混みを避けられるのは最大のメリットなのだが、アクセスのピークはシフトできない。かと言って10時出社だと、子供を送ってからすぐに出社する必要があり、家事などがかなり妻にしわが寄ってしまう。朝5時とか6時に起きれば解消するかもしれないが、7時起きはもはや長年の習慣となっているのでそれも難しい。さらに10時に出社したからといって100%ネタがあるわけではない。

 テレワークだと、このジレンマは解消する。生活時間の習慣を一切変えずに、1時間以上早く仕事はじめられるし、そのときにネタがあればサクッと書いてトップページを賑やかにできて、ネタがないときは、記事の企画やレビューなどに集中できるので、その日以降のネタを考える余裕が生まれる。実際にPC Watchの3月はビュー数が増えており、その効果が目に見えているのだ。

緊急事態宣言で基本在宅保育。これがものすごいストレス

 3月はパフォーマンスが上がって良かった。しかし4月8日に政府が東京に対し緊急事態宣言をしてからは、今住んでいる区から在宅で保育をするよう強く要請された。東京23区のうち数区はそもそも休園を決めているのだが、うちの区はあくまでも要請であり、休園には至っていない。しかし筆者と妻はいずれも社会のインフラや人命を支える緊急性を要する職業ではないし、子供と家族の安全性を鑑みて、保育園をお休みし、妻も在宅勤務となり、在宅保育をはじめた。

 それまで自分の部屋で仕事をしていたのだが、緊急事態宣言以降はリビングで妻や子供と一緒に仕事をするのがメインとなった。ところがこれが予想以上にストレスが溜まってしまった。子供は5歳なので、ある程度自分で遊べるし、どちらかといえば内気なので、集中しているときはかなり静かにしている。しかし集中する時間は長くないし、やはり誰かと一緒におもちゃを遊びたいみたいなので、結局筆者と妻のどちらかが付き合う必要があり、仕事がままにならない。

 最初の数日は、朝食のあとに「ポケットモンスター サン&ムーン」を1~2時間ほど集中して観てくれたので、その隙に手っ取り早く片付けられる仕事を片付けられた。それまで早まったテレワークの開始時間が、さらに早まったわけだ。子供が起きている時間は、レビューなど考えごとが必要なことは避け、短めのニュース執筆にとどめた。

 しかし1週間もすればポケモンに飽きてきて、一緒に遊ぶ時間が増えた。それ以降は遊びながら執筆することを諦めた。一緒に遊ぶときはほぼ全力で遊んで、仕事は校正程度に留める。これについては妻も同様なので、TV会議や集中する必要のある作業をやる場合はそれぞれの部屋に行ってやり、残ったほうが子守をすることにした。足りなかった分は、週末や夜中に子供を寝かしつけてからやる。こちらは考え事が必要な完全にレビューにも打ち込める。

 とは言え、これまでのテレワークによるパフォーマンス向上が、見事に相殺されてしまった。これがなにかと心理的なストレスにつながるのである。

 まあ、いまは非常事態なので、会社としてはある程度パフォーマンス低下を想定して許容してくれるだろうが、今回の緊急事態宣言は、当初の予定どおり5月6日であっさり終了するとは限らない。長期化することも想定すると、「じゃあ僕のパフォーマンスは今後このぐらいになります」とは悠長なことも言ってられないのだ。

 子供と近くの公園で遊んださいに、子供と同じクラスの男の子の父親にばったり出くわし、そのさいにその家庭の様子も伺ってみたが、「ゲームばっかりやってるし、こっちも全然仕事に集中できないからイライラしますね!」と同じ意見だった。こればかりはどこの家庭も一緒の悩みのようだ。

で、結局なにを買ったのさ?

 さて本題の買い物山脈。これだけストレス溜まる日常なのだから、なにか買って心理的なストレスを軽減させるのが一番だ。新型コロナウイルスが騒がれてから、真っ先に導入したのがシャープの空気加湿清浄機「KI-JS70」だった。関東地方の冬はかなり乾燥しているため、喉が乾燥して粘膜の力が弱くなると、ウイルスに感染するリスクも高まる。加湿器の導入でそのリスクを低減させられるわけだ。

 じつは筆者は一人暮らしの時代から同じシャープの空気加湿清浄機の「KC-W45」を利用していたのだが、こちらの加湿面積は8畳程度。結婚してから大きな一軒家に引っ越していて、リビングの延床面積は14畳となっていて、加湿能力は明らかに不足気味。しかもリビングの一部は3階まで吹き抜けとなっているのでなおさら効率が悪い。リビングで仕事する機会が増えることも鑑みて、より強力に加湿できるKI-JS70を導入した。

KI-JS70。比較的コンパクトな接地面積で、昔使っていたKC-W45より大容量な水タンクを搭載しているので、水の補給回数はかなり少なくて済む

 正直なところ、KI-JS70ほどの加湿能力を持ってしても、リビングを十分に加湿できるわけではない。湿度30%の環境で加湿をスタートしたとして、1時間程度経過してようやく改善できるかどうかといったところ。KI-JS70の近くでは45%以上を達成できるが、離れたところだと10%ほど低い数値を示すことが多い。だが、KC-W45よりは5~6%ほど改善できているようだ。

 一方、余ったKC-W45は仕事部屋に回すことにした。仕事部屋は6畳なので、KC-W45の性能で十分である。ふだんこの時期風邪を引くの多い筆者だが、空気の改善に加え、新型コロナへの恐怖から手洗いの徹底も相まって、風邪を引くことはなかった。

 ちなみにとくに買うとき気にしていなかったのだが、KI-JS70は無線LANを内蔵していていて、天気予報で外の気温や湿度などの情報を取得していて、それに基づいて動作モードを変えているようだ。また、スマートフォンにアプリを入れておけば、ユーザーの位置情報をもとに動作も変える(たとえば家にいないと検出したときは省電力化して、家に近づくと強力にする)。もっとも、いまはつねに在宅しているので、まったく変化がないのだが。

 さらに照度センサーも搭載しているようで、部屋の明かりが暗くなると自動的に風量を抑えて静かに運転する。我が家ではリビングの隣の和室で3人敷布団を敷いて寝ているので、リビングの空気清浄機の音は結構気になるもの。そこにも配慮してくれたのは嬉しい誤算だ。ただ、リビングが吹き抜けで天窓がついているため、乾燥していると朝5時半頃からブンブン回っててうるさい。せっかくの賢いIoT機器なのだから、生活のリズムぐらい理解してほしかった。

 まあ、最終的に在宅保育するようになってからはリビングで仕事をする時間がかなり増えたので、KI-JS70を買って大正解だったと思う。新型コロナウイルスの感染リスクを軽減できるだけでも、健康への配慮のストレスが軽減する。

 もう1つ購入したのがTP-LinkのWi-Fi 6ルーター「Archer AX11000」だ。外出自粛期間中は、3人ともよくネットワークを使う。筆者はもちろんネットがないと仕事できない。妻は仕事でネットワーク負荷はさほど高くないものの、よく音楽や小説のポッドキャストを聞きながら仕事している。一方、子供はその間Amazonプライムでポケモンを観ているので、一番負荷が高い。それぞれの通信が同じバンドを食い合って、万が一誰かが止まったりすると家族も自分もストレスなので、ここはケチずに「一番いいやつを頼む」戦略でAX11000にすべてを託した。

Archer AX11000

 それまではどうしていたのかというと、TP-Linkの「AC1200」という機種を使っていた。867Mbpsまでの11acに対応したルーターで、これまでも大した不満はなかったのだが、3月のテレワーク中に2度ほど再起動を食らったので、買い替えを決めることとなった。AX11000に乗り換えてから1週間経っているが、すこぶる安定している。

 筆者宅はNuro光で、最大2Gbpsという契約だ。有線LANで接続してSpeedtestを計測すると、ゆうに860Mbpsは出る環境なのだ。AX11000を使えば、少なくともルーターまでのボトルネックは完全に解消される。購入時の価格は3万円台半ばとそこそこ高かったが、これも買って大正解だと思う。ルーターは長く使えるものだし、AX11000は3年保証もついているので、これ以上の安心はない。

 AX11000だと2.4GHz帯で1つ、5GHz帯で2つのバンドを持っているので、1人あたり1つのバンドを占有させたところで、お互い干渉しない。MU-MIMO機能も搭載しているので、対応端末同士なら快適に使える。いままで1階のPCからは無線で200Mbps程度でしか通信できなかったが、一気に400Mbps前後に向上した。ルーターがある2階のリビングはどの端末でも最大400Mbps出ていて、快調そのものだ。

 弱点はとにかく筐体がデカイことで、届いたときにも妻に「こんな大きいルーターどこに置くの!」などと小言を言われてしまった。じつは筆者にとっても予想外の大きさで、どこぞのシューティングのボスを彷彿とさせる筐体で威圧感もあるデザインなのだが、そこは「まあ、大は小を兼ねる!」という諺を用いてアナログな理由で妻を納得させた。

 ちなみにAX11000はルーターとして使う場合、アダプティブQoSでゲームのパケットを優先させる機能とか、ペアレンタルコントロールといった機能があるわけだが、Nuro光ではモデムのルーター機能をオフできないので、AX11000は単なるアクセスポイントとして動作させている。よって、「AX11000の電波の飛びは優秀」という感想ぐらいしか述べられないのが残念である。このバンド幅をフルに活用できる仕事のシーンはかなり少ないが、万が一ネットワークが不安定になったら……という心理的なストレスがなくなった。

8本ものごついアンテナがパッケージに
8ポートもLANがついているが、一般家庭では使わないだろう
全面メッシュで、放熱は余裕がありそうだ
ボタンやインジケータは最小限。これでいいのだ、これで

子供はアナログなおもちゃで退屈を凌げ

 毎日PC漬けな筆者だが、子供の教育については極力PCやタブレットの利用を避けるようにしている。簡単な文字の読み書きができる5歳にもなれば、ぶっちゃけ自力でYouTubeで検索ぐらいは余裕であろう。しかしうちの子供はまだそれができない。本人がそこまで興味がないというのも理由の1つなのだが、正直、いまの時代の教育向けのPCはとても未熟で、子供には適さないと筆者は思っている。

 今でいう教育向けのPCは、たしかに安くはなっているし使いやすくなっているものの、ロースペックであり、大人が使うメインストリームのPCと比較するとかなりの性能差が存在する。「用途を限定しているからそれで十分」と言えども、筆者の子供の頃に体験したPC性能とは雲泥の差だ。子供だからロースペックで十分というのは、一体どうやって決めたのだろうか。

 子供は大人より長く時間を感じるのだから、PCの遅さが余計ストレスに思うはずだ。「しばらくお待ち下さい」のメッセージが現れ、読み込み中のサークルが10秒間回転しているだけで、子供は「(アプリが)動かない、死んちゃった~」と言ってくる。果たして、子供の成長にとって大切な1秒1秒を、ローディング時間に費やしてしまっていいのだろうか? GIGAスクール向けPCの記事を書くたびに、スペックに対して苦言を呈する読者のコメントをよく見かけるが、筆者としては残念ながら同意しかできない。

 もちろん、うちではPCはいくらでも余っているので、そのなかで高性能なものを子供に使わせてあげればいいのだが、先述のとおり子供がそもそもPCに興味を示していないので、あえて無理はさせないようにしている。

 というのも、テクノロジーに対してアレルギーがあり、テクノロジーをうまく駆使できないような人たちの仕事や生活を見えないかたちでサポートし、幸せにしてあげることこそが、本来のテクノロジーの役目だと思うからだ。つまりテクノロジーであることをユーザーに意識させないことこそが、真のテクノロジーだ。中途半端に使いにくいものをユーザーに押し付けて「テクノロジーを勉強して活用して仕事の生産性や暮らしを改善しましょう」とお願いするのは、もはや本末転倒である。この業界で一番苦労すべきなのは、テクノロジーを開発する側であって、テクノロジーを使う側であってはならないと思うのだ。

 だから、別に子供が興味を示していないテクノロジーの使い方を、親として意図的に身に着けさせようとは思っていない。もし子供がテクノロジーを使って苛ついたり不満に思っていて、自分自身の力でそれを改善したいのなら、そのときはじめてテクノロジーについて学べばいい。そうでないのなら、使う側に立って、知らない間にテクノロジーで満たされるのを待てばいいと思うのだ。

 話が長くなったが、筆者のこういう考えもあって、在宅保育のあいだはとにかくアナログのおもちゃを買い与えている。場所は取るし価格も高いが、レゴなどはかなりおすすめだ。うちの子は「アナと雪の女王」が好きなので、誕生日プレゼントの「マジカル・ツリー」に加えて、最大級の「アレンデール城」をポチった。細かい作業の部分を除き、ほぼ一人で組み立ててられて、その間は静かにしてくれるので、こちらとしても作業に集中できる。本人は組み立てる工程も楽しみにしているようで、1回バラしてあげれば、再度組み立て作業で数時間は潰せる。

 レゴは、説明書が二次元で実物は三次元だ。よって、二次元のデータを見ながらそれを頭の中で三次元空間に置き換えて、正しいブロックの位置を把握しなければならない。将来的に地図をきちんと解読して迷子にならないためにも重要なことだ。また、物事に対する集中力もかなり鍛えられる。もちろん、ローディングによる無駄な時間はないし、今のVRでは到底実現し得ないブロックの感触の楽しさも味わえる。いいことづくめだと思う。

買い物山脈でまさかのレゴ山脈。5歳にもなれば自分で説明書を読んで組み立てられる。多少粗は見えるしパーツの位置のズレや装着のし忘れもあるが、99.7%は自力でなんとかなる

 また、ひらがなやカタカナを自分で読めるようになったので、最近は簡単な算数問題のドリルを買って、1日数ページ解いている。こちらはレゴと違って多少付き合う必要はあるし、長くても30分程度しか続かないが、良い暇つぶしにはなる。

 子供が大好きなお絵かきは、百均で買った落書き帳と色鉛筆、プリキュアやディズニープリンセスたちの塗り絵で凌いでいる。一時期ペンが使えるタブレットも使わせてみたが、4~5歳の子供の小さな手だと、パームリジェクションがうまく動かなかったり、画面上から線を書いたつもりが通知領域が出たり、タップしてもうまく反応しなかったりと、ストレスが多い様子だった(というかこっちが見ててもイライラする)。アナログの画材はストレスがないし直感そのもの。変な挙動やローディング時間に悩まされることもない。

 そんなわけで、新型コロナウイルスが流行しはじめてから、家電や機材やおもちゃといった新たな物の購入にかかったお金はざっと9万円ほど。近々政府から10万円の給付金が支払われるなら、それでペイできる感じだ。

これから買ってもいいかな? 的なもの

 おおむねPC環境には満足している筆者だが、唯一これから買ってもいいかな~と思っているのが15.6型または17型のノートPC。自分の部屋ではなくリビングで仕事するには、これぐらいのサイズがちょうどいいからだ。しかもそれはフルHDとかありきたりのではなく、WQHDとか4K解像度のものだ。

 筆者がふだん仕事で使っているディスプレイはWQHD表示対応の27型だ。もともと十年間ぐらいにわたってデルの31.5型WUXGAを使っていた身からするとかなりのダウングレードだが、いまの主流で手頃なのはこのクラスなうえに、大型のWUXGAはもはや絶滅種なので致し方がない。

 このWQHDやらWUXGAやらの解像度は、その情報量がキモであり、フルHDと比較して生産性向上に大きく寄与する。数百枚ほどのフォルダに入っている写真を眺めて選別しては、その写真を記事内のどこに入れたら良いのか検討するさいは、WQHDまたはWUXGAの解像度がちょうどいい。

 フルHD液晶を別途用意して2枚並べ良いのではないかという意見もあろうが、筆者にとってのセカンドディスプレイは、あくまでもどうでもいい情報を表示させておくセカンダリであって、つねに注視しておくべき2つのタスクを並べる1つのプライマリにはなれないのだ。効率よく作業するためには、やはり高解像度なディスプレイを1つ備えたPCが必要だ。

 いまのところの最有力候補は、LGの17型「LG gram」だ。17型のWQHD液晶を搭載しながら、重量はたったの1,350g。最新のIce Lakeを搭載してキビキビ動作しながら、メモリは16GB、1TB SSDと19.5時間駆動のバッテリといったスペックを持ち、非の打ち所がまったくない。しかもCore i7搭載モデルでも価格は20万円ちょいだ。もし購入したら、来年(2021年)のCOMPUTEXにきっと持っていく。

 ちなみにこれ以外だと、ほとんどが筆者にとって過剰な4Kだったり、テレワーク期間が終了したあとに文鎮と化すであろう2kg近い重さだったりするので、ほかのメーカーももうちょっと注力してほしいジャンルであったりする。唯一、パナソニックの「レッツノートQV」はWQXGA+で949gとモバイルマシンとしてはかなり有力だが、いかんせんサイズが12型なので、7時間も見続けるにはちょっとつらいのではないかなぁと思う。

終われないコロナの影響

 一応、緊急事態宣言は5月6日までとされているが、とっくに大きな経済被害を受けている家庭も多いはずだ。PC業界はしばらくテレワーク特需が続きそうだし、オンラインECやゲーム業界、フードデリバリ業界はこれから伸びるであろうが、観光や一般小売は厳しそうだ。

 デジタルトランスフォーメーションが長らく叫ばれてきたが、新型コロナウイルスの影響で、いよいよ各方面に本格的な変革が求められている時期にある。ただ、いくらデジタル化しても、実体験に敵うことはない。Zoom越しに飲み会をするのと、実際に居酒屋で集まってワイワイやるのとでは、雰囲気がまったく異なる。オンラインで発表会を見るのと、実際に製品を手に取るのとでは、テンションも異なれば伝えられる事実も違う。

 緊急事態で外に出られない今、小さい子供がいる家庭でもストレスはそこそこ溜まるが、テレワークでなんとかやりくりはできることがわかった。しかし新型コロナウイルスの猛威が一向に収束する見込みがないので、このまま状況が長期化しそうな雰囲気もある。そもそも当初より政府の方針は新型コロナウイルスの完全封じ込めではなく、感染者数のピークをできるだけ後ろ倒しにし、その間にワクチン開発や医療体制を整える方針だったので、こうなってしまうのも自然な流れだが、その先のストレスが心配ではある。

 とりあえず今はありもののノートPCでリビングでの仕事を凌いでいるが、もし5月6日よりさらに延期しそうなら、LG gramをポチる(まあそうでなくてもほしいはほしいが)。問題は、そうなった場合に間違いなくレゴといったアナログのおもちゃが山脈になってしまうことだ。そうなる前に、いち早く新型コロナウイルスに対する最善の治療法がみつかるよう、山にならない電気を買い、Folding@homeでコンピューティング性能を貢献することにしたい。