Hothotレビュー
6型スマホ「ROG Phone」の“合体アクセサリ”でPC的活用法を探る
2019年1月21日 11:54
PC Watchの読者の方はよくご存知だろう。“ROG”はASUSTeKのゲーミングブランドだ。そしてASUSTeKがスマートフォンを手がける以上、どこかのタイミングでROG Phoneが登場することも予想していたかもしれない。ROG Phoneは昨年(2018年)のCOMPUTEXでその存在が明かされ、年末になって製品の販売がスタートしたスマートフォンだ。
CPUはSnapdragon 845で、より快適にゲームを楽しむためのオーバークロック機能を搭載といったあたりはROGらしい。そして背面の光るROGロゴや、ブラック筐体にオレンジを差し色に選ぶあたり、シンプルな端末が大勢を占めるスマートフォンのなかでも、存在感がある製品に仕上がっている。
まあ、こうした部分は各所でレビューされている。とくに肝心なゲーミング性能についても僚誌GAME Watchがすでにカバーしているので(ASUS発の合体変形ゲーミングスマホ「ROG Phone」レビュー)、このレビューは別のベクトルでいきたい。
そこで、本体と同時に展開されるROG Phone用の豊富なアクセサリが、非ゲーム環境においてどれだけ活用できるかにフォーカスしてみる。それというのも、筆者はスマートフォン分野のライターではなく、スマホゲームはさっぱりだ。もっぱらPC専門なので、こんな斜めの視点からレビューしてみたい。
さて、ROG Phoneと同時に発表された専用アクセサリは、コントローラの「Gamevice for ROG Phone」をはじめ「TwinView Dock」、「Mobile Desktop Dock」、「Professional Dock」、「WiGig Display Dock」と、とにかく数多くリリースされている。本体+アクセサリのコンプリートセットも販売されたが、それは数量限定。今現在は個別に販売されている。そしてさすがにここまで豊富だと、とっかえひっかえ試せる方はかぎられる。必要なものを選んで追加するのがベターだろう。
TwinView Dockで業務効率アップできないかアイデアを捻り出してみた
ここでメインに紹介するのは、Dock系のデバイスたちになる。そのなかでももっとも期待していたのが「TwinView Dock」だ。
「TwinView Dock」は、ROG Phone本体の液晶ディスプレイとまったく同じサイズの液晶パネルが1つ搭載され、バッテリ、グリップ&ボタン、そして本体用ホルダーが一体化したデバイスだ。本体を合体させれば、2画面のポータブルゲーム端末に早変わりといったところだが、邪道にも非ゲームでの活用法をひねってみたい。
まず、「TwinView Dock」の外観から紹介しよう。本体のデザインは、手前側にTwinView側の6型ディスプレイ、奥はROG Phone本体用のホルダーになっている。ホルダーには、ROG Phoneとの接続端子があり、有線接続される。この専用端子は、USB Type-Cともう1つ専用端子を組み合わせた独自のもののようだ。
ホルダー部分は伸縮する構造で、まずはここを引っ張り、ROG Phone本体を端子に接続した後に元に戻せばよい。ホルダー裏にはロックスイッチもあり、装着後は抜け落ちないようしっかり固定したい。よく見ると、本体の電源ボタンを押せなくなってしまうホルダーのデザインなのだが、そこは接続後、TwinView側の電源ボタンでオン/オフできる。
6型ディスプレイは、単なるディスプレイではなくちゃんとマルチタッチにも対応している。実際、ゲームプレイ時にはここでタッチ操作するから当然だが、たとえばビジネス文書を開いた時などのスクロールや拡大縮小などでもちゃんとタッチ操作できた。ここでピンときたのが、PC本体でなにか作業をするさいの2画面サブディスプレイだ。
TwinViewは、あまりホルダーの角度を開きすぎると倒れてしまうが、ある程度の角度までなら自立する。その上で、PC側でテキスト入力と原稿用のキャプチャ素材などを開きつつ、TwinView側には上の画面にレビュー製品のPDFスペックシートを、下の画面にはExcelにまとめたベンチマーク結果を表示させて執筆してみた。
ちなみに、スクロールや拡大縮小、スライドなど頻繁に画面タッチ操作を行なう側の資料は、下画面に表示することでTwinViewがガタガタしたり倒れたりすることを防げる。上画面はせいぜいスクロール程度であまり操作を必要としない資料を表示させるとよい。
ちなみに、TwinView側で原稿を書けないかなとも考えたが、あまり実用的ではなかった。TwinViewを利用すると画面の回転がロックさせるようで、横画面表示で固定される。そのため、その上でテキスト入力画面を開くとIMEが文書ファイルのほとんどを覆ってしまう。
こうなると編集中のファイルの前後の文章がほとんど読めず推敲しにくい。TwinViewというよりはIMEやエディタの仕様によるところが大きいが、時間内に有効なアプリを見つけられなかった。横画面でもタッチ入力で実用的なテキスト編集のできる環境を構築できればアリかもしれない。
このほか、昨今ではビジネスチャットを利用することも多い。たとえば僚誌DOS/V POWER REPORTでもSlack.comを活用して進行管理を行なっているが、普段、PCで作業をしているとその更新に気づかないことも多い。
これを別画面に移すことができれば、もう少ししっかり対応できそうだ。それも、筆者のようにフリーランスだと、DOS/V POWER REPORTはSlackだとして、別の編集部や海外メーカーからはFacebookのメッセンジャーで連絡を取り合っていたり、国内のそのほかもう少しプライベート寄りではTwitterのダイレクトメール、あるいはスタンダードにメールでやりとりしたりと分散している。
メールはともかく、SNS系をPCから切り離して、それも数種同時に表示させておくことができれば、業務連絡を見逃すことを防ぐことができそうだ。電車移動中なら息抜きの「なにか(意味深)」+ビジネスチャットという組み合わせでもよいだろう。
定番どころのDockでPC用ディスプレイを活用して効率アップ
「Mobile Desktop Dock」、「Professional Dock」、「WiGig Display Dock」は、サイズと形状、接続方法は異なるが、いわゆるイメージしやすいドックだ。スマートフォンのドックというと、最近ではGalaxyのDeX、HuaweiのPCモードのように、ハイエンドモデルの目玉機能になってきている。PCを持っていくほどではない簡単な出張ならこれでカバーできるのでは、と期待されるところだ。
3種のドックの違いをまとめておこう。まず「Mobile Desktop Dock」は、ROG Phone本体のスタンドにもなる形状で、インターフェイスは本体接続端子のほか、HDMI、DisplayPort×2(1入力1出力)、USB Type-C、USB 3.0×4、Micro USB、Ethernet、SDカードスロット、音声入出力と豊富だ。
「Professional Dock」はもう少しコンパクトで持ち運びやすさが向上する。ただしスタンド機能がないため、ROG Phone本体は平置きすることになりそうだ。あるいは、別途スタンドを持ち運ぶならよいかもしれない。
インターフェイスはUSB Type-C(オス、本体接続用)、USB Type-C(メス、給電など汎用)、USB 3.0×2、HDMI、Ethernet。「Mobile Desktop Dock」よりもインターフェイスの種類も数も絞り込まれているので、これらの端子でカバーできるのかどうかが選択の鍵となる。
「WiGig Display Dock」は、ほか2つのドックと比べると大型で、持ち運び用ではなく自宅や会社事務所での据え置き用となるだろう。画面やUSB 3.0 Type-A端子に接続した機器とはワイヤレス接続(IEEE 802.11ad)なので、ケーブル着脱の手間がなく、着脱に伴う端子の劣化の不安がない。
ただし、インターフェイスとしてはHDMI(WiGig Display Dockとディスプレイ接続用)×1、USB 3.0 Type-A×1、ACアダプタ用ジャックのみだ。
これらの使い勝手を比較してみると、スタンドを兼ねる「Mobile Desktop Dock」が好印象。インターフェイスも豊富なので、USBキーボードとUSB HDDといった複数のUSB機器を接続したい時に問題なく利用できる。
ただし、大きさがあるので出張用には向かないだろうか。その場合の選択肢が「Professional Dock」。スタンドがないところをどうするかだが、悩むなら「Mobile Desktop Dock」を据え置き用、「Professional Dock」を出張用と2つそろえて使い分けるのがよさそうだ。
「WiGig Display Dock」は少し異なる。無線だしインターフェイスも少ない。ただ、家庭内据え置き用途ならワイヤレスというところが非常に快適だ。「WiGig Display Dock」に外部ディスプレイとUSB機器をつないで電源を入れたら、ROG Phone側でWiGigをオンにし、初回のみ「WiGig Display Dock」との接続時にパスワードを入れる。そうすれば次回以降、WiGigのオン操作だけで自動的につながる。
WiGigはWi-Fiほど機器間を離して利用することはできないが、同一室内くらいの距離なら接続したままだった。Chromecastやmiracastのようなワイヤレスディスプレイ技術で感じる遅延もほとんどない。今の時代、スマートフォンは起きている時も寝ている時も肌身離さずというのが一般的なので、ワイヤレスディスプレイに接続中も、ROG Phoneはポケットのなかにしまっておけるという利用方法はマッチしているように思える。
まあ、このように非常に便利なのだがその分高価なので、利便性と価格を天秤にかけて選んでいただきたい。
最後、ドックではないが「Gamevice for ROG Phone」はちょっとゲーム寄りすぎて非ゲームでの活用はあまり思いつかなかった。ただ、有線接続かつ充電用USB Type-C端子もあるので、ROG Phone本来のゲーム用途ではかなり使える印象。RPG Phone専用アクセサリのなかでは比較的安価なので手軽と言える。
ゲーム体験アップのアクセサリで、ビジネス効率アップも狙おう
ROG Phoneのちょっと斜めなアクセサリ活用レビュー、いかがだっただろうか。各アクセサリもそれなりの価格なので、本体にプラスして購入するとなると、メインのゲームで活躍してくれること、その上で普段使いにも活躍してくれる見込みが持てないと購入の踏ん切りがつかないかもしれない。
今回試したなかでは、やはり「TwinView Dock」のサブディスプレイ化が、ビジネスや普段使いでもと考えた時に一番有効そうな印象だ。次点で「Mobile Desktop Dock」。これは簡易出張用。そして余裕があれば「WiGig Display Dock」でメディアを楽しむ、といったところだろう。
なにより、こうしてデバイス2つを「合体」させて活用法を見出すというのは、遊び心をくすぐるものだ。ROG Phoneを手にしたならば、「合体」アクセサリで楽しみ尽くしてみていただきたい。