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GeForce RTX 50シリーズと従来のGeForce RTX 40を仕様比較

 NVIDIAは7日、Blackwellアーキテクチャを採用した新世代GPU「GeForce RTX 50」シリーズを発表した。この記事では製品ページで公開されている情報から仕様について比較する。

GeForce RTX 50の新機能

 GeForce RTX 50ならではの新機能として、マルチフレーム生成によりゲームのフレームレートを向上させる「DLSS 4」の対応が挙げられる。従来のDLSS 3は2つのフレーム間で1フレームを生成していたが、DLSS 4では最大3フレーム生成できるようになり、さらにフレームレートが向上する。

 一方で、レイテンシを削減する「Reflex」技術は「2」に進化し、マウス入力に基づいて、ディスプレイに送信される直前のフレームレートを更新することで応答速度を向上させる「Reflex フレームワープ」に対応した。この機能は近日公開で、GeForce RTX 20シリーズまで遡って利用できる見込み。

 AI関連では、Tensorコアが第4世代から第5世代に進化し、FP4をサポートしたことで、対応生成AIモデルにおける性能が大幅に向上する。

 このほか、動画エンコーダのNVENCは第8世代から第9世代、デコーダのNVDECは第5世代から第6世代へと進化。また、PCI Expressも4.0から5.0となり帯域幅が倍増している。

GeForce RTX 5090対4090

 最上位のGeForce RTX 5090対4090の比較として目立つのはメモリ容量が24GBから32GBへと大幅に増えた点と、それに伴うバス幅向上、それからメモリがGDDR6XからGDDR7に変更されたことによるメモリ帯域幅の増加である。

GeForce RTX 5090と4090の性能比較

 その一方で、従来のグラフィックス処理や汎用処理を司るCUDAコア数の増加は“控えめ”。TensorコアのAI TOPSは大幅に向上しているが、これは新たに精度が低いFP4がサポートされたためだと考えていい。5090のNVENCは3基で、シリーズ最多となっている。

 性能向上に伴い、消費電力は450Wから575Wへと向上した。ちなみに従来通りなら、NVIDIAによるFounders Editionは日本で販売されないので、あまり意味がないかもしれないが、4090は3スロット占有であったのに対し5090は2スロットになっているので、“消費電力は増したがクーラーは小さくなった”と言える。

GPUGeForce RTX 5090GeForce RTX 4090
CUDAコア数21,760基16,384基
RTコア第4世代 318TFLOPS第3世代 191TFLOPS
Tensorコア第5世代 3,352AI TOPS第4世代 1,321 AI TOPS
ブーストクロック2.41GHz2.52GHz
ベースクロック2.01GHz2.23GHz
メモリGDDR7GDDR6X
メモリ容量32GB24GB
バス幅512bit384bit
NVENC第9世代×3第8世代×2
NVDEC第6世代×2第5世代×1
最大GPU温度90℃90℃
TGP575W450W
システム要件電力1,000W850W
販売価格目安(発売時)39万3,800円29万8,000円

GeForce RTX 5080対4080

 GeForce RTX 5080以下に関して、本来は新しめの“40 SUPER”シリーズと比較すべき……だと思うのだが、NVIDIA公式でも無印との比較になっているのでここでも無印と比較する。

 5080対4080ではCUDAコア数の増加は控えめで、4080 SUPERの10,240基などと比べるとさらに顕著。性能向上のほとんどは、RTコアの性能向上、Tensorコアの進化に伴うDLSS 4/FP4対応に由来するものだと思われる。

GeForce RTX 5080と4080の性能比較

 なお、40シリーズの動画デコーダであるNVDECは最上位の4090をもってしても1基だけだったが、50シリーズは5090および5080のみ2基となっていて、それ以下は1基になっている。

 発売時にNVIDIAが公開した販売価格の目安についてはGeForce RTX 4080より安くなっているので、“生成AIをやらないゲーマーにとって現実的なチョイスはここまで”といった雰囲気だろうか。

GPUGeForce RTX 5080GeForce RTX 4080
CUDAコア数10,752基9,728基
RTコア第4世代 171TFLOPS第3世代 113TFLOPS
Tensorコア第5世代 1,801AI TOPS第4世代 780AI TOPS
ブーストクロック2.62GHz2.55GHz
ベースクロック2.3GHz2.29GHz
メモリGDDR7GDDR6X
メモリ容量16GB16GB
バス幅256bit256bit
NVENC第9世代×2第8世代×2
NVDEC第6世代×2第5世代×1
最大GPU温度88℃90℃
TGP360W320W
システム要件電力850W750W
販売価格目安(発売時)19万8,800円21万9,800円

GeForce RTX 5070 Ti対4070 Ti

 売れ筋とも言える70 Ti同士の比較では、メモリバス幅が192bitから256bitと増え、メモリもGDDR6XからGDDR7になって容量が4GB増えたので進化は目覚ましい。……が、これはGeForce RTX 4070 Ti SUPERで既になされた改善なので、4070 Ti SUPERから見れば順当なアップグレードである。

GeForce RTX 5070 Tiと4070 Tiの性能比較
GPUGeForce RTX 5070 TiGeForce RTX 4070 Ti
CUDAコア数8,960基7,680基
RTコア第4世代 133TFLOPS第3世代 93TFLOPS
Tensorコア第5世代 1,406AI TOPS第4世代 641AI TOPS
ブーストクロック2.45GHz2.61GHz
ベースクロック2.3GHz2.34GHz
メモリGDDR7GDDR6X
メモリ容量16GB12GB
バス幅256bit192bit
NVENC第9世代×2第8世代×2
NVDEC第6世代×1第5世代×1
最大GPU温度88℃90℃
TGP300W285W
システム要件電力750W700W
販売価格目安(発売時)14万8,800円14万9,800円

GeForce RTX 5070対4070

 ミドルレンジの5070対4070だが、こちらは順当な進化といったところか。なお、いずれの世代もNVENCは70 Tiの2基から1基に減らされているので注意が必要。

GeForce RTX 5070と4070の性能比較

 ちなみに4070無印は登場当初GDDR6Xメモリを搭載していたが、後になってひっそりとGDDR6版が登場した。

GPUGeForce RTX 5070GeForce RTX 4070
CUDAコア数6,144基5,888基
RTコア第4世代 94TFLOPS第3世代 67TFLOPS
Tensorコア第5世代 988AI TOPS第4世代 353AI TOPS
ブーストクロック2.51GHz2.48GHz
ベースクロック2.16GHz1.92GHz
メモリGDDR7GDDR6X/GDDR6
メモリ容量12GB12GB
バス幅192bit192bit
NVENC第9世代×1第8世代×1
NVDEC第6世代×1第5世代×1
最大GPU温度85℃90℃
TGP250W200W
システム要件電力650W650W
販売価格目安(発売時)10万8,800円9万9,800円

まとめ

 こうして並べてみると、GeForce RTX 5090“だけ”が従来から大幅に仕様が向上していることが分かる。メモリが8GB増えてバス幅が広くなったのはもちろんだが、大幅に向上したTGPや3基のNVENCなど、かなり特別な存在だ。数世代前で言う“TITAN”的な位置づけの印象だ。これでは、価格が10万円アップしたのも無理はない。

 一方、そのほかのモデルについては、旧3Dゲーム性能の向上云々よりも、リアルタイムレイトレーシングやDLSS 4といった新技術を活用したゲーム、FP4精度の生成AIの利用といった、近未来的なソフトウェアを見据えたアーキテクチャ的な進化であると言える。

 新しいソフトウェア技術のニーズがあるから、新しいGPUアーキテクチャが誕生する。新しいGPUアーキテクチャがあるからこそ、新しいソフトウェア技術が生まれてくる。GeForce RTX 50シリーズはこの好循環を象徴するGPUだと言えるかもしれない。