Hothotレビュー
本日発売の最強ゲーミングスマホASUS「ROG Phone 3」を検証
~おなじみの合体クーラーやギミックで遊び心満載
2020年9月26日 07:00
ASUS JAPANはゲーミングスマートフォン「ROG Phone 3」を本日(26日)発売した。税別店頭予想価格はメモリ12GBモデルが119,800円、16GBモデルが129,800円前後の見込み。
ROG Phone 3は、最新SoCと144Hz表示のAMOLEDを組み合わせ、従来からの合体&冷却ギミックも継承した製品だ。ただし、ゲーミングのみならず、高性能スマートフォンとして日常の操作でも快適になり、これまでよりも幅広いユーザーに向けた製品に進化したと謳う。試用機を評価する機会を得たので紹介したい。
レスポンスがよくヌルヌルなめらか表示のディスプレイ
ROG Phone 3はメモリ搭載量別に2モデル用意されている。1つは12GBモデル「ZS661KS-BK512R12」。そしてもう1つは現時点の国内Android端末としては最大容量という16GBモデル「ZS661KS-BK512R16」だ。16GBというとほとんどパソコンの世界と変わらなくなる。
今回入手した評価機は12GBモデル。ハイエンドスマートフォンは高価になりがちな一方、SoCの進化など最強スペックでいられる期間は短い。16GBモデルは最強のゲーム性能を求めるエンスージアスト向け。一方で下位の12GBモデルはゲームが目的でもコストパフォーマンスも考慮する方や、ASUSの言うハイエンドを求める非ゲーマーがターゲットになるのではないだろうか。
ROG Phone 3は、前モデルROG Phone IIとデザインコンセプトは大きく変わっていない。ROG Phoneも第3世代となり、デザインコンセプトが固まってきたと言えるのだろう。ただしブラック筐体はたしかにゲーマー向きであるように感じられるが、正面から見れば一般的なスマートフォンと大きく変わらない。
ROG Phone 3のデザイン的特徴はおもに背面だ。中央にはLEDを仕込んだROGのバッジ、その右には内部のヒートシンクが透けて見える窓を設けてアクセントとしている。しかしそれもカバーを装着すればゲーミングスマートフォンらしさはほとんど感じられなくなるだろう。
冷却構造は、液晶パネルと直下のメインフレームとの間にグラファイトフィルムを用い、メインフレームはアルミ製、さらに裏面カバーとの間にヒートシンクを装着している。ヒートシンクのサイズはROG Phone IIの6倍だそうだ。
ROG Phone 3はこのほかに外付けの冷却ユニット「AeroActive Cooler 3」を装着できるので、長時間のゲームにも万全な冷却対策が快適プレイを約束してくれる。
本体サイズは78×171×9.85mm(幅×奥行き×高さ)。横幅はハイエンドスマートフォンとして標準的かもしれないが、縦方向は長く感じられる。ベゼルは最近のスマートフォンなりに狭く、画面占有率も十分。つまりそれだけ画面表示領域があり、Webサイトなどでは一度により多くの情報を表示することができる。本体裏面はひじょうに硬く平滑で、滑りやすい印象だ。
重量は公称値で240g。やや重い部類と言えるだろう。手に持ってもずっしりと中身が詰まったデバイスという印象を受ける。成人男性なら普段使いが苦になるほどではないにせよ、悩ましい点かもしれない。
ディスプレイは6.59型で解像度が2,340×1,080ドット。アスペクト比は19:5.9となる。AMOLED(有機EL)パネルを採用し、10bit HDR対応。色差を示すΔE値は1以下とされており、表示品質は非常に高い。
そしてリフレッシュレートは144Hz、応答速度は1msとされている。ゲームにおいては敵の行動をすばやく察知、勝負を有利に導くために高リフレッシュレートパネルが役立つが、一般的な用途にいてもブラウザに表示させたサイトや写真ライブラリなどで目にやさしいスムーズなスクロールを実現してくれる。
また、タッチ操作のサンプリングレートは270Hzで応答速度が25ms、スライド遅延が18msと、入力操作系のスペックも優れている。応答速度25msというのは従来比2倍速に強化されているという。ゲームにおいては操作が速く正しく反映されるといったメリットがある。一般的な用途でも、心持ちレスポンスが良いように感じられる。
最新SoC「Snapdragon 865 Plus」と念入りな熱対策
SoCは「Snapdragon 865 Plus」を搭載。2020年7月に発表された新フラグシップSoCを早くも採用している。CPUコアは「Kryo 585」、GPUコアは「Adreno 650」で、名称自体はSnapdragon 865と同じであるものの、CPUプライムコアの動作周波数は3.1GHzに引き上げられ、グラフィックス性能も10%向上しているという。メモリはLPDDR5で容量は前述したとおり12GBまたは16GBだ。
性能面では、「Xモード」を引き続き搭載。いわゆる高クロック動作モードで、合わせてメモリの開放などを行ないゲームを快適に楽しむための環境を整える。「AeroActive Cooler 3」を装着したさいにはファンの制御も設定可能だ。
Xモードの管理などを行なうユーティリティは「Armoury Crate」となった。これは同社のマザーボードやノートパソコンなどで現在統一化が進んでいるユーティリティだ。UIデザインも統一感をもたせているので、複数のASUS製デバイスを使う方もわかりやすいのではないだろうか。
AeroActive Cooler 3は、クリップオン型の冷却デバイス。本体左側面にある専用端子に接続し、本体を挟むかたちで装着する。小径ファンを搭載しているのでそのエアフローにより本体を冷やすことができる。とくにバージョン3では排熱効率を高め、排気口のレイアウトを見直すなど改善しているという。充電に利用できるUSB Type-C、イヤフォン用の3.5mmジャックを備え、キックスタンドを新設するなど実用面も向上させる。
OSはAndroid 10。細かなところまで日本語化もされているあたり、長年日本市場で活動してきたASUSの信頼感がある。
ネットワーク機能は、5Gおよび4G(LTE)に対応。SIMソケットはNano SIMトレイが2つ並んだタイプでデュアルSIM対応だ。国内5Gサービスへの対応確認も順次進められているとのこと。発売のさいには準備が整うことだろう。無線LANについてはWi-Fi 6対応。5G/LTEとWi-Fiで接続速度に合わせて最適なネットワークを選択する「Hyper Fusion」機能も用意されている。
生体認証機能は、ディスプレイ埋込み型の指紋認証センサーと前面カメラによる顔認証に対応する。指紋認証センサーの位置は、片手でホールドした状態でも親指で認証できる高さにある。製品によっては反対の手に持って認証しなければいけないほど手前にあるものもあるが、ROG Phone 3はやや手前にあるものの片手で認証できるレベルだと感じた。
センサー類はGPS(GLONASS、BeiDou、Galileo、QZSS、NavICサポート)、加速度センサー、電子コンパス、光センサー、近接センサー、ジャイロスコープ、指紋センサー(画面内認証)、磁気センサー、NFC(Type A/B)、超音波センサーを搭載。超音波センサーは「AirTrigger 3」用のものだろう。左右の手の人差し指で本体縁の部分に仮想的なボタン操作を可能にするものだ。従来からのタッチ操作に加え、スワイプも可能になったとされる。
バッテリ容量は6,000mAh。これはなかなか大容量と言えるのではないだろうか。その上でバッテリ劣化対策のための機能として「PowerMaster」内に「バッテリーケア」を用意。低速充電や予約充電、充電容量の制限などの設定が行なえる。一方、「バッテリーモード」ではゲームプレイに特化した「Xモード」用の動作モードを選ぶことができる。
AC充電器はUSB Type-C端子を備え、付属のUSB C to Cケーブルで接続する。出力はUSB PD 3.0で30W。本体側はUSB PD 3.0に加えQuick Charge 4にも対応している。
製品に付属するのは本体とAeroActive Cooler 3、USB充電器、USB C to Cケーブル、USB C to 3.5mmジャックアダプタ、ブラックの専用カバー、そしてマニュアルなどだ。ただし、従来のROG Phone同様、さまざまなアクセサリが販売予定。今回はそうしたアクセサリのうち、「TwinView Dock 3(税別26,800円)」をお借りした。
TwinView Dock 3は後付けのサブディスプレイで、ROG Phone 3本体を手前のスペースに装着して2画面モードとして利用できるデバイスだ。装着はAeroActive Cooler 3とほぼ同じクリップマウント。
ただしこちらにはスライドロックがあり、これをロックしないと通電しない仕組みだ。サブディスプレイ側右下に電源ボタンもあり、クリップ時に隠れてしまう電源ボタンの操作なども表面から行なえる。
最近では2画面スマートフォンや折り畳めるスマートフォンも登場してきたわけだが、本体標準で2画面の場合、持ち運ぶには大きい。普段は通常のスマートフォンとして(AeroActive Cooler 3を持ち運ぶプラス重量はあるが……)、自宅などで楽しむさいにはTwinView Dock 3でといった分離式には分離式のメリットがあるだろう。
また、2画面であるために同時処理や情報量の拡大、そしてプレイ+配信などの使い方が見い出せる。予算と価格次第では検討してみてよいのではないだろうか。
なお、ROG Phone 3にはROG Phone II用の「TwinView Dock II」など、一部のROG Phone II用アクセサリが引き続き利用できるとされる。前モデルユーザーはこうした点もポイントとしたい。
3カメラ構成に強化。スナップには十分な機能と性能
カメラはROG Phone II時の背面2カメラから背面3カメラに増えている。レンズ構成はメインが6,400万画素(ソニーIMX686)で26.6mm/F1.8広角、サブのセカンドが1,200万画素で11mmの超広角、サードがマクロ用の500万画素。加えて前面が2,400万画素で27mm。
メインとセカンドはカメラアプリの写真モードから利用でき、マクロはカメラアプリからマクロモードを選んで利用する。メインとセカンドは性格が異なるようで、近い構図で撮っても印象の異なる写真になるようだ。また、セカンドの超広角は湾曲があるのでそこを活かせばユニークな写真を撮ることもできる。
動画撮影では、7,680×4,320ドット(8K)/30fps、3,840×2,160ドット(4K9/60fps、1,920×1,080ドット(フルHD)/60pほか。8Kを選択すると、発熱に関する警告メッセージが表示されたが、4K以下ではそうした表示はない。フォーマットはH.264/H.265。
ビデオ撮影時の手ブレ補正は強力で、フルHD撮影時は9月下旬、曇天でやや暗くなってきた夕方17時、手持ちの状態でもピタッと止まって静止画のようだった。
「PRO ビデオ」では左下にズームアイコンが表示され、タップしてオンにすればフォーカスポイントを指定する枠が表示され、その下にタッチスライダーが現われる。スライダーの緑のサークルを左にスライドすればワイド側へ、右にスライドすればテレ側へ、スムーズで一定速度のズームができる。
Snapdragon 865 PlusにXモードで3D性能が強力
簡単なものになるが基本的な性能についてのベンチマークテスト結果を紹介しよう。
今回用いたのはULの「PCMark for Android Benchmark」、同「3DMark」、Primate Labs「Geekbench 5」。AeroActive Cooler 3を装着した上でXモード設定はLv.3、つまりROG Phone 3が最大の性能を発揮できる状態でテストした。
また、比較用としてGalaxy Note8(N950FD)の結果も加えた。あまり比較用には適していないが、2017年頃のハイエンドスマートフォンなのでここでのスコア差はそろそろ買い換えを検討している方にとって参考になるのではないだろうか。
ROG Phone 3のスコアはどれも高いスコアで、3年前のハイエンドスマートフォンに対して大きな差をつけている。そしてとくに3DMarkのスコアは高い。このあたりはゲーミングを主体に設計されたスマートフォンというところだろう。装着したAeroActive Cooler 3は、ベンチマーク中でも静かで、耳に近づけてようやく音を拾える程度だ。ゲームプレイの邪魔をするようなことはない。
PCMarkのようにシステム全体的に高い負荷を長時間かける場合、本体側面のアルミ部分はそれなりに熱くなっていた。ただし、横向きにホールドしたさいの左右、ちょうどグリップする位置についてはそこまで熱くはならないようで、ROG Phone 3の設計のよさを感じられる。
第3世代となって完成度がましたROG Phone
ROG Phone 3はデザインこそROG Phone IIから大幅な変更はないものの、SoCの進化で性能が向上し、現在のAndroidスマートフォンを見渡してもトップクラスのハイエンドと言えるだろう。合わせて冷却面ではAeroActive Cooler 3へと進化、カメラ性能も一般的なスナップショットには十分な品質であるように感じられた。
アクセサリによる拡張性という従来からのコンセプトも継承している。一部前世代アクセサリとの互換性を持たせている点については、既存ROG Phoneユーザーが次もROG Phoneを選んでもらえるようにといった配慮なのかもしれない。ハイエンドスマートフォンは高価なので、新機種登場のたびに買い換える負担、アクセサリに要するコストなどを考えるとこうした施策はうれしいところだ。