Hothotレビュー

狭額縁化で13.3型筐体に14型液晶を搭載した「VAIO SX14」をレビュー

「VAIO SX14」139,800円~

 VAIO株式会社は14.0型モバイルノートPC「VAIO SX14」を1月17日に発表、同日より予約を開始した。店頭での販売開始日、および最速お届け日は1月25日の予定。

 本製品は13.3型ディスプレイを搭載する「VAIO S13」とほぼ同じフットプリントで、14型ディスプレイを搭載した新モデル。第8世代Coreプロセッサを採用し、4Kディスプレイモデルを用意、またUSB 3.1 Type-C端子を備えるなど、現行VAIO PCのなかでもっともハイスペックなモデルとして位置づけられる。

 今回このVAIO SX14の試作機を借用したので、製品詳細、使い勝手、AV品質、性能などについてじっくりとレビューしていこう。

Core i3/i5/i7などの第8世代(Whiskey Lake)Coreプロセッサを採用

 VAIO SX14には、「Core i3-8145U」、「Core i5-8265U」、「Core i7-8565U」などの第8世代(Whiskey Lake)のCoreプロセッサが採用されている。

 個人向けはVAIO SX14、法人向けはVAIO Pro PKと名づけられており、個人向けモデルは全国量販店で販売される「個人向け標準仕様モデル」のほか、VAIO公式オンラインストアとソニー公式オンラインストアで販売される「個人向けカスタマイズモデル」が用意されている。もっとも安価なのはソニー公式オンラインストアで販売される個人向けカスタマイズモデルで139,800円からとなる。

 個人向け標準仕様モデルとして用意されているのは下記の5モデル。最上位の「VJS14190211T」(259,800円)はCore i7-8265U、8GBメモリ、256GB PCIe SSD、4K液晶、WWANを搭載し、天面のVAIOロゴ、ヒンジ部背面のオーナメントまで黒で統一された特別な「ALL BLACK EDITION」として設定されている。

  • 「VJS14190511B」(162,800円)
    Core i3-8145U/4GBメモリ/128GB SATA SSD/フルHD液晶/ブラック
  • 「VJS14190411T」(194,800円)
    Core i5-8265U/8GBメモリ/256GB SATA SSD/フルHD液晶/ブラウン
  • 「VJS14190311B」(194,800円)
    Core i5-8265U/8GBメモリ/256GB SATA SSD/フルHD液晶/ブラック
  • 「VJS14190211T」(209,800円)
    Core i5-8265U/8GBメモリ/256GB SATA SSD/フルHD液晶/ブラウン/WWAN
  • 「VJS14190211T」(259,800円)
    Core i7-8265U/8GBメモリ/256GB PCIe SSD/4K液晶/オールブラック/WWAN
【表1】VAIO SX14の個人向け標準仕様モデル一覧
製品番号VJS14190511BVJS14190411TVJS14190311BVJS14190211TVJS14190111A
OSWindows 10 Home 64bit
CPUCore i3-8145U(2.1~3.9GHz、2コア4スレッド)Core i5-8265U(1.6~3.9GHz、4コア8スレッド)Core i7-8565U(1.8~4.6GHz、4コア8スレッド)
GPUIntel UHD Graphics 620(300MHz~1.00GHz)Intel UHD Graphics 620(300MHz~1.10GHz)Intel UHD Graphics 620(300MHz~1.15GHz)
メモリLPDDR3-2133 SDRAM 4GBLPDDR3-2133 SDRAM 8GB
ストレージ128GB SATA SSD256GB SATA SSD256GB PCIe NVMe SSD
ディスプレイ14型フルHD液晶(1,920×1,080ドット、157ppi、輝度・コントラスト比・色域不明、タッチ非対応、非光沢)14型4K液晶(3,840×2,160ドット、315ppi、輝度・コントラスト比・色域不明、タッチ非対応、非光沢)
通信IEEE 802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.1IEEE 802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.1、WWAN
インターフェイスUSB Type-C 3.1(最大10Gb/s、USB Power Delivery、DisplayPort 1.2)×1、USB Type-A 3.1(最大10Gb/s)×1、USB Type-A 3.0(最大5Gb/s)×2、HDMI×1、ミニD-Sub15ピン×1、有線LAN(1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T)×1、ヘッドフォン・マイクコンボジャック×1、SDメモリカードスロット(SDHC/SDXC対応、UHS-I対応)×1
キーボード日本語配列バックライト内蔵キーボード(キーピッチ約19mm、キーストローク約1.2mm)
カメラ92万画素
セキュリティ指紋認証センサー
SIMカードスロットMicro SIM
バッテリ容量Design Capacity:34,880Wh、Full Charge Capacity:36,360mWh(Battery reportで計測)
バッテリ駆動時間約11時間約10.6時間約8.2時間
バッテリ充電時間約3時間
本体サイズ約320.4×222.7×15.0~17.9mm(幅×奥行き×高さ)
重量約999g約1,018g約1,045g
ペン
Microsoft Office
カラーブラックブラウンブラックブラウンオールブラック
販売価格 ※1月17日調べ162,800円194,800円209,800円259,800円

 個人向け、法人向けカスタマイズモデルには下記のような選択肢が用意されている。ただし暗号化機能付きSSDを選択できるのは法人向けのVAIO Pro PKのみで、またブラウンモデルと英字キーボードモデルでは指紋認証非搭載が選べなかったり、Core i3-8145Uモデルと4GBメモリモデルでは4K液晶を選択できないなど一部制限がある。

 さらに「Windows 10 IoT Enterprise 2019 LTSC」は2月上旬販売開始予定となっている。カスタマイズモデルを購入するさいにはご注意いただきたい。

【表2】VAIO SX14でカスタマイズ可能なおもな内容
OSWindows 10 Pro 64bit、Windows 10 Home 64bit、Windows 10 IoT Enterprise 2019 LTSC
カラーブラウン、シルバー、ブラック
CPUCore i3-8145U、Core i5-8265U、Core i7-8565U
メモリ4GB、8GB、16GB
ストレージ128GB SATA SSD、256GB SATA SSD、256GB PCIe SSD、512GB PCIe SSD、1TB PCIe SSD、暗号化機能付き128GB SSD、暗号化機能付き256GB SSD
ディスプレイフルHD(1,920×1,080ドット)、4K(3,840×2,160ドット)
WWAN搭載、非搭載
指紋認証搭載、非搭載
キーボード日本語、英語
TPM搭載、非搭載
左上からブラック、シルバー、ブラウン、オールブラック。新色のブラウンとオールブラックは天面のVAIOロゴ、ヒンジ部背面のオーナメントまで同系色で統一されている

大画面、狭額縁でも従来と同等の剛性を実現

 13.3型のVAIO S13のサイズ/重量は約320.4×216.6×15~17.9mm(幅×奥行き×高さ)/約1.06~1.07kg、14型のVAIO SX14のサイズ/重量は約320.4×222.7×15.0~17.9mm(同)/約0.999~1.045kg。つまりVAIO SX14は奥行きが約6.2mm増えているもののフットプリントはほぼ同等で、高さはまったく同じ。そしてわずかながら軽量化を実現しつつ、表示領域を約11%増やしたということになる。

 ディスプレイ大型化にあたっての課題は堅牢性と重量。VAIO SX14はこの2つの課題を、新規設計の超高弾性UDカーボンにより面で強度を確保する「カーボンウォール天板」を採用することでクリアしたという。

 UDは「Uni Directional(単一方向性)」の略。超高弾性UDカーボンは、カーボン繊維を同じ方向に並べた層を、縦、横に幾層にも重ね合わせることで、どの方向の力にも強い構造を実現している。

 VAIO SX14用に新開発された超高弾性UDカーボンは、従来機種に採用されていたUDカーボンよりも同一加重でたわみが少なくなっている。この超高弾性UDカーボン製のカーボンウォール天板を採用することで、大画面、狭額縁でも従来と同等の堅牢性を確保しつつ、マグネシウム合金で製造した場合よりも約30%の軽量化を実現したとのことだ。

 なお、品質試験についてはVAIO S13と同じく、ペン挟み試験、液晶180度開きひねり試験、90cm落下試験、キーボード水かけ試験、角衝撃試験、本体ひねり試験、液晶ハウジング加圧試験、加圧振動試験などが実施されている。

インターフェイスにUSB 3.1 Type-C端子を追加

 インターフェイスは、USB 3.1 Type-C 3.1(最大10Gb/s、USB Power Delivery、DisplayPort 1.2)、USB 3.1(最大10Gb/s)、USB 3.0(最大5Gb/s)×2、HDMI、ミニD-Sub15ピン、Gigabit Ethernet、ヘッドフォン/マイクコンボジャック、SDメモリカードスロット(SDHC/SDXC対応、UHS-I対応)を用意。

 USB 3.1、USB Power Delivery、DisplayPort 1.2を内包するUSB Type-C端子を搭載したことにより、対応周辺機器との接続が容易になった。また「USB Type-C対応ドッキングステーション」を用意すれば、4Kディスプレイ、キーボード、マウス、外付けストレージ、有線LAN、充電アダプタをケーブル1本で接続可能だ。

 なお、USB Type-C(Display Port 1.2)とHDMIは4K出力、ミニD-Sub15ピンは1,920×1,200ドットで外部映像出力が可能だが、USB Type-CとミニD-Sub15ピンは排他仕様となっており、同時接続した場合にはUSB Type-Cが優先される。

新旧インターフェイスを豊富に用意したVAIO SX14は、変換アダプタなしに多くの周辺機器を直結できる

 充電方法は3通り。同梱ACアダプタ、USB Power Delivery対応充電器で急速充電できるほか、スマートフォン用充電器、モバイルバッテリ、カーチャージャーなど一般的な5V充電器でもVAIO独自の「5Vアシスト充電」機能で充電できることが保証されている。

 ちなみに出力24W、20,000mAhのモバイルバッテリでは約3.5時間、出力27WのUSB Power Delivery対応充電器では約3時間でフル充電できる。また10,000mAhの一般的なモバイルバッテリでは約3.5時間の動作時間延長が可能で、5V/1.5Aのスマートフォン充電器では約7.5時間でフル充電できるとのことだ。

 1時間の急速充電で約8時間の利用が可能とされているが、バッテリの劣化を軽減するために50%または80%以上の充電を防止する「いたわり充電機能」も搭載している。

 WWANモデルは、Band1(2GHz)、Band3(1.7GHz)、Band8(900MHz)、Band21(1.5GHz)、Band26(800MHz)、Band28(700MHz)、Band41(2.5GHz)に対応。3大キャリアの運用バンドを広くサポートしており、キャリアアグリゲーション時には最大450Mbps(理論値)でモバイルデータ通信を利用できる。

 ディスプレイを狭額縁設計するにあたっても、高い通信性能を実現するために、アンテナは特等席となるディスプレイ上部に設置。配線を液晶パネルのサイドに通せない問題については細経アンテナケーブルを使うことで解決し、アンテナスペースが縮小する問題についてはアンテナパーツを立体化することにより特性低下ぶんを補っているとのこと。

本体天面。天面はカーボンウォール天板。VAIOのロゴは鏡面仕上げのパーツがはめ込まれている
本体底面。試作機のため製品版とは異なるシールが貼られている
本体前面。ディスプレイを開けるさいに指がかかりやすいように、上側が斜めにせり出している
本体背面。ディスプレイを開くとオーナメントにつけられた樹脂パーツがテーブル面に接地する
本体右側面。左から、SDメモリカードスロット(SDHC/SDXC対応、UHS-I対応)、USB 3.1、USB 3.1 Type-C(USB Power Delivery、DisplayPort 1.2)、HDMI、ミニD-Sub15ピン、Gigabit Ethernetが配置されている
本体左側面。左から電源端子、排気口、セキュリティロック、USB 3.0×2、ヘッドフォン/マイクコンボジャックが用意されている
ディスプレイ面。フルHD液晶と4K液晶を用意。ディスプレイ上部に92万画素のWebカメラが配置され、アンテナも内蔵されている。ディスプレイ左右と下辺は狭額縁仕様だ
キーボード面。右上に電源ボタン、右下に指紋認証センサーが配されている
4K液晶ディスプレイを搭載した試作機の実測重量は1,032.5g
ACアダプタと電源ケーブルの合計重量は実測234.4g。なおACアダプタのコード長は約175cm、電源ケーブルのコード長は約77cm
今回は試作機を借用したためマニュアル類は入っていなかった。本体と一緒に同梱されていたのはACアダプタと電源ケーブル、クリーニングクロス。クリーニングクロスはディスプレイとキーボードに挟まれている状態で梱包されている
ACアダプタの仕様は、入力100-240V/1.2A、出力10.5V/3.8A、5V/1A、容量は45W
ACアダプタの側面にはスマートフォンなどを充電するための出力5V/1AのUSB Type-A端子が用意されている
ディスプレイは最大で140度まで開き、そのときにキーボード面には5度の傾斜がつく
プッシュイン・プッシュアウト方式のSDメモリカードスロットを装備。microSDメモリカードスロットの採用例が多いなか、実用性を考慮してフルサイズのSDメモリカードスロットを搭載していることは高く評価したい
Gigabit Ethernet端子は底面側のカバーを開くことでケーブルを直挿しできる
WWANモデルは底面ヒンジ側にMicro SIMカードスロットを用意
特等席のディスプレイ上部にアンテナを内蔵。アンテナパーツを立体化することで特性低下ぶんを補っているという
システム情報
主要なデバイス
Windows 10のバージョン1809適用後、初期状態に戻したさいのCドライブの空き容量は213.48GB(256GBモデルの場合)
「powercfg /batteryreport」コマンドを実行したところ、DESIGN CAPACITYは34,880mWh、FULL CHARGE CAPACITYは36,360mWhと表示された

キーボードの打鍵感は良好、タッチパッドはややせまく感じる

 VAIO SX14のキーボードは上質だ。キーピッチは約19mm、キーストロークは約1.2mmが確保されており、文字キーはすべて等幅にそろえられている。キーボード面の剛性は非常に高く、力を入れて押し込まないかぎりほとんどたわみが発生しない。

 打鍵感は良好で、「静寂キーボード」を謳うだけに打鍵音も低く抑えられている。キーボードの品質に定評のあるThinkPadよりもキーの反発力は強いが、どちらが打ちやすいかは好みの範疇だ。

 タッチパッドはクリック感を重視してダイビングボード構造ではなく、独立した2ボタン方式となっているが、昨今のモバイルノートPCと比べると少々せまく感じた。個人的にはタッチパッドはジェスチャー操作をしやすいようにもう少し広くしてほしいと思う。

 キーボードに話を戻そう。VAIO SX14はキーボードカスタマイズ機能が充実している。独自ユーティリティ「VAIOの設定」で、Ctrl、Fn、Caps Lockキーの割り当てを変更する「キーの設定」、ファンクションキーまたは特殊機能キーとして挙動をロックする「Fnキーロック」、Fn+F8~F12キーにタッチ無効、画面回転、任意のアプリ起動、VAIO Clipping Tool、Home/End/PgUp/PgDnを割り当てる「ファンクションキー設定」など、ユーザー好みにカスタマイズが可能だ。

 同様の機能を提供するユーティリティソフトは存在するが、メーカー標準の機能として搭載されていれば初心者も安心して使えるし、中上級者もインストールの手間が省ける。

 なおVAIO SX14のALL BLACK EDITIONには通常刻印キーボードのほか、無刻印日本語キーボード、無刻印英字キーボードが用意されている。記号も含めてすべてのキー配列を覚えている方だけが使いこなせる玄人向けのキーボードだが、タッチタイピングを完全にマスターするためにあえて選択するのもいいだろう。

文字キーはすべて等幅にそろえられている。「半角/全角」キー、「Back space」キーも文字キーと同じ幅だ。なおキートップには指紋が付きにくく、摩耗しにくいようにフッ素含有UV硬化塗装が施されている。指紋がまったく付着しないわけではないが、クリーニングクロスで簡単に拭き取れる
キーピッチは約19mm、キーストロークは約1.2mmが確保されている
キーボードバックライトを内蔵。上の写真は消灯時と点灯時の画像を合成している。「VAIOの設定→入力デバイス→キーボードバックライト」でバックライトのオン/オフ、消灯までの時間を設定可能だ
2ボタンを除いたタッチパッドの面積は実測約80×45mm(幅×奥行き)。長さ20cmと手の大きな筆者はピンチイン・アウト操作が少しやりにくく感じた
ALL BLACK EDITIONのカスタマイズモデルで選択できる無刻印英字キーボード
VAIO SX14はキーボードカスタマイズ機能が充実。独自ユーティリティー「VAIOの設定」でユーザー好みにカスタマイズが可能だ

4Kディスプレイの色域は標準的、サウンドは割り切りが必要

 VAIO SX14には、14型フルHD液晶(1,920×1,080ドット、157ppi)と14型4K液晶(3,840×2,160ドット、315ppi)の2種類のディスプレイが用意されている。

 この2つのディスプレイは表示色が約1,677万色、表面処理が非光沢(アンチグレア)という仕様は同一だが、輝度、色域、コントラスト比などのスペックについては公表されていない。ここでは試作機の4Kディスプレイについてレビューするが、フルHDディスプレイモデルでは解像度以外のスペックも異なっている可能性がある点には注意してほしい。

 さて、いつもどおり4Kディスプレイの色域をディスプレイキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で確認してみたが、sRGBカバー率は96.7%、sRGB比は105.2%、Adobe RGBカバー率は76.6%、Adobe RGB比は78.0%という数値が出た。モバイルノートPCとしては平均的な色域だ。

 一方、サウンドについては割り切りが必要なレベルだと感じた。音が割れたり、ビビリ音が発生するような破綻はないものの、音量はもの足りないし、低音が明らかに弱い。ビジネスの道具として開発された本製品はサウンド性能に注力されていないのだと思われるが、AV機能を重視していたVAIOを使っていたファンとしては寂しく感じる。本製品で音楽コンテンツを鑑賞するさいには、外部スピーカーやヘッドフォンなどの利用をおすすめする。

4Kディスプレイを搭載したVAIO SX14のスケーリングはデフォルトで300%に設定されている。Adobe系アプリで一部のウィンドウがはみ出すことがあったので、250%に変更したほうがいい
借用機の発色はほんの少し暖色寄りだった
ディスプレイキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で確認したsRGBカバー率は96.7%、sRGB比は105.2%
Adobe RGBカバー率は76.6%、Adobe RGB比は78.0%
ステレオスピーカーは底面手前側に内蔵されている
YouTubeで公開されている「前前前世 (movie ver.) RADWIMPS MV」を最大ボリュームで再生したさいの音圧レベルは最大83.2dBA(50cmの距離で測定)。しかし低音が弱いせいか、数値以上に音量が小さく感じられた

VAIO独自チューニングによりCore i7-8565Uの性能を最大限に発揮

 最後にベンチマークスコアを見てみよう。今回は下記のベンチマークを実施している。

  • 総合ベンチマーク「PCMark 10 v1.1.1739」
  • 総合ベンチマーク「PCMark 8 v2.10.901」
  • 3Dベンチマーク「3DMark v2.6.6238」
  • CPU/OpenGLベンチマーク「CINEBENCH R15.0」
  • CPU/OpneCLベンチマーク「Geekbench 4.3.2」
  • ゲーミングPCベンチマーク「モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】」
  • ゲーミングPCベンチマーク「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」
  • ゲーミングPCベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」
  • ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 6.0.2」
  • 「Adobe Lightroom Classic CC」で100枚のRAW画像を現像
  • 「Adobe Premiere Pro CC」で実時間5分の4K動画を書き出し
  • バッテリベンチマーク「BBench」で連続動作時間を計測
  • バッテリベンチマーク「BBench」で充電時間を計測

 下記が検証機の仕様とその結果だ。なお、試作機であるため、製品版とは多少なりとも結果が性能が異なる可能性があることに注意いただきたい。また、参考値として平澤寿康氏のVAIO S13レビューのベンチマーク結果も一部併記した(第8世代Core i搭載で“ブラック”にこだわった13.3型モバイルノート「VAIO S13 ALL BLACK EDITION」参照)。

【表3】検証機の仕様
VAIO SX14VAIO S13
CPUCore i7-8565U(1.80~4.60GHz、4コア8スレッド)Core i7-8550U(1.8~4GHz、4コア8スレッド
GPUIntel UHD Graphics 620
メモリLPDDR3-2133 SDRAM 16GB
ストレージ256GB PCIe NVMe SSD512GB PCIe NVMe SSD
ディスプレイ14型、3,840×2,160ドット13.3型、1,920×1,080ドット
OSWindows 10 Pro 64bit
【表4】ベンチマーク結果
VAIO SX14VAIO S13
PCMark 10v1.1.1739v1.0.1413
PCMark 10 Score-4,005
Essentials7,8308,188
App Start-up Score10,0959,834
Video Conferencing Score7,2967,490
Web Browsing Score6,5187,455
Productivity6,4166,802
Spreadsheets Score7,0788,091
Writing Score5,8175,720
Digital Content Creation3,130
Photo Editing Score3,8413,784
Rendering and Visualization Score計測不可2,090
Video Editting Score3,8273,881
PCMark 8v2.10.901v2.8.704
Home Accelarated 3.03,4883,527
Creative Accelarated 3.04,9573,772
Work Accelarated 2.04,1944,710
Storage 2.05,0625,058
3DMarkv2.6.6238v2.4.4180
Time Spy453-
Fire Strike Ultra294-
Fire Strike Extreme554-
Fire Strike1,159-
Sky Diver4,5634,969
Night Raid4,854-
Cloud Gate9,3679,510
Ice Storm Extreme41,123-
Ice Storm54,718-
CINEBENCH R15.0
OpenGL52.95 fps-
CPU703 cb-
CPU(Single Core)186 cb-
Geekbench 4.3.2
32-bit Single-Core Score4,791-
32-bit Multi-Core Score14,813-
64-bit Single-Core Score5,417-
64-bit Multi-Core Score16,209-
OpenCL36,889-
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】
1,280×720ドット5,641-
FINAL FANTASY XV BENCHMARK
1,280×720ドット、標準品質、フルスクリーン985-
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク
1,280×720ドット 標準品質(ノートPC)4,5334,670
1,280×720ドット 高品質(ノートPC)3,157-
SSDをCrystalDiskMark 6.0.2で計測
Q32T1 シーケンシャルリード3487.145 MB/s-
Q32T1 シーケンシャルライト1570.637 MB/s-
4K Q8T8 ランダムリード565.722 MB/s-
4K Q8T8 ランダムライト1000.005 MB/s-
4K Q32T1 ランダムリード376.644 MB/s-
4K Q32T1 ランダムライト300.095 MB/s-
4K Q1T1 ランダムリード43.836 MB/s-
4K Q1T1 ランダムライト128.663 MB/s-
外付けUSB 3.1 Gen2 SSDをCrystalDiskMark 6.0.2で計測(右側奥)
Q32T1 シーケンシャルリード487.967 MB/s-
Q32T1 シーケンシャルライト810.293 MB/s-
4K Q8T8 ランダムリード166.752 MB/s-
4K Q8T8 ランダムライト184.036 MB/s-
4K Q32T1 ランダムリード190.508 MB/s-
4K Q32T1 ランダムライト187.774 MB/s-
4K Q1T1 ランダムリード23.530 MB/s-
4K Q1T1 ランダムライト40.682 MB/s-
外付けUSB 3.1 Gen2 SSDをCrystalDiskMark 6.0.2で計測(右側手前)
Q32T1 シーケンシャルリード484.016 MB/s-
Q32T1 シーケンシャルライト810.548 MB/s-
4K Q8T8 ランダムリード168.587 MB/s-
4K Q8T8 ランダムライト189.563 MB/s-
4K Q32T1 ランダムリード192.148 MB/s-
4K Q32T1 ランダムライト190.157 MB/s-
4K Q1T1 ランダムリード23.451 MB/s-
4K Q1T1 ランダムライト40.665 MB/s-
外付けUSB 3.1 Gen2 SSDをCrystalDiskMark 6.0.2で計測(左側奥)
Q32T1 シーケンシャルリード345.449 MB/s-
Q32T1 シーケンシャルライト417.818 MB/s-
4K Q8T8 ランダムリード161.865 MB/s-
4K Q8T8 ランダムライト163.058 MB/s-
4K Q32T1 ランダムリード169.326 MB/s-
4K Q32T1 ランダムライト180.945 MB/s-
4K Q1T1 ランダムリード22.381 MB/s-
4K Q1T1 ランダムライト40.584 MB/s-
外付けUSB 3.1 Gen2 SSDをCrystalDiskMark 6.0.2で計測(左側手前)
Q32T1 シーケンシャルリード344.401 MB/s-
Q32T1 シーケンシャルライト418.008 MB/s-
4K Q8T8 ランダムリード160.639 MB/s-
4K Q8T8 ランダムライト163.166 MB/s-
4K Q32T1 ランダムリード168.520 MB/s-
4K Q32T1 ランダムライト178.898 MB/s-
4K Q1T1 ランダムリード21.897 MB/s-
4K Q1T1 ランダムライト40.613 MB/s-
Adobe Lightroom Classic CCで100枚のRAW画像を現像
7,952☓5,304ドット、カラー - 自然9分53秒75-
Adobe Premiere Pro CCで実時間5分の4K動画を書き出し
3,840×2,160ドット、30fps11分20秒98-
BBenchにより連続動作時間を計測(ディスプレイの明るさ40%、電源モード:高パフォーマンス)
バッテリ残量5%まで(パフォーマンス優先、バッテリ節約機能オフ)4時間18分53秒-
バッテリ残量5%まで(標準、バッテリ節約機能オン)4時間40分54秒-
BBenchにより充電時間を計測(ディスプレイの明るさ40%、電源モード:最も高いパフォーマンス)
バッテリ残量5%から100%まで37分52秒-
バッテリ残量5%から80%まで1時間5分42秒-
バッテリ残量5%から50%まで2時間49分59秒-

 CPU性能については、CINEBENCH R15.0のCPUスコアで703cbに達している。VAIO SX14には、高負荷時に高いクロック周波数を維持するためのVAIO独自のチューニング「VAIO TruePerformance」が施されているが、Core i7-8565Uの性能を最大限に引き出していると言えそうだ。

 PCMark 10では「Rendering and Visualization Score」でエラーが発生したため総合スコアを計測できなかったが、ほかのスコアについてはCPU性能が順当に反映された結果となった。

 ストレージ速度については、PCIe接続のサムスン製「PM981 MZVLB256HAHQ-00000」を搭載しているだけに、Q32T1 シーケンシャルリードで3,487.145 MB/s、Q32T1 シーケンシャルライトで1,570.637MB/sと高いスコアを記録した。

 一方、あまり奮わなかったのがバッテリ駆動時間。ディスプレイの明るさを40%に設定して、電源関連設定をデフォルト(電源モードを高パフォーマンス、「VAIOの設定」の「CPUとファン」を標準、バッテリ節約機能を20%以下で有効)の状態でBBenchで計測してみたが、バッテリ残量5%までの連続動作時間が4時間40分54秒にとどまった。

 batteryreportコマンドでVAIO SX14のバッテリ容量を調べると、DESIGN CAPACITYが34,880mWh、FULL CHARGE CAPACITYが36,360mWhと表示される。スペース的に納められなかったのか、本体重量を抑えるための判断なのかはわからないが、50,000mWh以上のバッテリを搭載してほしかったところだ。ただ、今回は4Kモデルを使っているので、フルHDモデルを使えば結果はかなり変わってくるだろう。ちなみに20,000mAhのモバイルバッテリでは、本体を約2回フル充電できる。

 本体表面の発熱については、CINEBENCH R15.0のCPUを連続で5回実行したときのキーボード面の最大温度が39.8℃、底面の最大温度が47.4℃とかなりの差が生じていた。手でふれるキーボード側の表面温度が低くなるように設計されているのかもしれない。ただし底面の最大47.3℃というのは少々高め。夏場にどのくらいの表面温度となるかやや心配だ。

Core i7モデルのみ放熱フィンとヒートシンクの素材に銅が採用されている
CINEBENCH R15.0のCPUを連続で5回実行したときのキーボード面の最大温度は39.8℃
底面の最大温度は47.4℃
ACアダプタの最大温度は51.9℃

バッテリ駆動時間を考慮するとベストバイはCore i5搭載モデル

 モバイルノートPCとしては、カタログ値約8.2時間、ベンチマークでの4時間40分54秒(バッテリ残量5%まで)というCore i7モデルのバッテリ駆動時間は正直かなり厳しいと思う。できるだけ高い性能が必要で、モバイルバッテリでのこまめな充電が面倒でなければ、Core i7モデルがよいだろう。しかしモバイルノートPC本来のスタイルで外出先で軽快に使い倒したいなら、約10.6時間のバッテリ駆動時間を謳うフルHD解像度のCore i5搭載モデル購入することをおすすめしたい。

 とはいえ、VAIO S13とほぼ同じフットプリントに14型ディスプレイを搭載しつつ、従来のインターフェイスにUSB 3.1 Type-Cを追加するなどのパッケージングは手堅く、新生VAIOならではのいい意味での実直さを感じる。とくにフルサイズのSDメモリカードスロットが採用されている点は、デジカメからPCにデータをコピーする機会の多い筆者にとってはポイントが非常に高い。仕事の道具として新VAIOはかなり魅力的だ。