山田祥平のRe:config.sys
ahamoおかわり、失敗の巻
2023年9月2日 06:35
15日でかかる速度制限の回避のために
8月17日に日本を出て約2週間が経過した。前回書いたように、ahamoのローミングサービスは15日間/月で速度制限がかかる。
また、1カ月あたりの利用容量は20GBだ。その制限をなんとか回避しようとチャレンジしたのは、もう1つ新たなahamoを海外現地で契約することだった。
特に、同じ電話番号を維持する必要がないので、フル機能を使えない契約は解約し、別の契約を新規にすればいいのではないかという方針だ。
海外でのahamoの新規契約が可能だということは、ライター仲間の中山智氏の記事で知っていた。だから、何の問題もないはずだった。
少し早めにと思い、渡航後、10日間が経過した8月27日の夕方にドイツ・ミュンヘンのホテルのWi-Fi環境でスマホをインターネットに接続した状態で新規契約の手続きを始めた。渡航前にすでに2回線分を新規に申し込んでいたので、ahamoは3本目の契約になる。
ahamoサイトのWebを開き、申し込みをクリックして手続き開始。新規契約にはメールアドレスが必要で、それがdアカウントと見なされる。指定するとワンタイムキーがメール送信されるので、それを受信して認証する。
続いて本人確認をLiquid社のeKYCを使って行なう。今回は、マイナンバーカードを本人確認のための書類として使うことし、画面の指示にしたがって書類の写真を撮影、顔を左右上下に指示通りに動かすなどで本人を確認する。
さらに、連絡先電話番号などを入力後、アカウントを使うスマホのEIDをあらかじめ指定しておく。ネットワーク暗証番号を指定し、最後に、支払い方法としてクレジットカード番号などを入力する。
クレジットカード会社の3D認証にリダイレクトされるが、今回は三井住友カードを使っていたために、ワンタイムパスワードアプリを入れる必要があり、アプリが発行するパスワードで、vpass認証をしなければならなかった。ここはちょっとした落とし穴だ。
各種事項に同意し、プランを確認したところで、申し込みが完了する。直後に、受付のメールが届き、さらに審査が通ってeSIMが発行された旨を記載したメールの到着までしばらく待てばいい……。そのはずだった。
キャンセルされた新規契約
数十分後、ドコモからメールが届いた。件名には「ドコモからのご連絡(ご注文キャンセルについて)」とある。キャンセルした覚えはまったくない。内容を読むと、
恐れ入りますが、今回お申込みいただいた内容では受付ができないためキャンセルさせていただきます。下記にご注意のうえ、あらためてお申し込みのお手続きをお願いします。
とあった。
下記というのは、次のような項目だが、まったく覚えがない。そもそも弊社が定める審査というものの内容が開示されていないので、どうしようもない。
受付できない例
- 弊社が定める審査の結果(お支払いいただいていない料金がある場合など)
- 本人確認書類の再アップロードが確認できないため
- 何度か再アップロードをしていただいたが、不備解消に至らなかったため
何かの間違いなのかと思って、もう一度チャレンジしてみたが結果は同じだった。2回目も注文をキャンセルした旨のメールが届く。
にっちもさっちもいかないので、サポート窓口に頼ることにする。チャット窓口はAIチャットと有人があるが、AIはきっと役にたたないだろうと有人を選ぶ。窓口は午前9時~午後8時(年中無休)となっている。
だが、人間のオペレーターには、「今回、この件でサポートできることは何もない」と冷たく言い放たれた。何もできないし、何も教えられないというのだ。
お役にたてなくて申し訳ないとも言われた。ここでは個人情報を伝えることは禁じられているので、申し込み番号などを具体的に伝えて調べてもらうこともできず、こちらの具体的な状況は、しっかりと自分の言葉で伝える必要がある。
チャットしながら自分でも調べてみた。こころあたりがあるとすれば契約数だ。個人的にドコモは3回線を契約している。今回、新たに2回線を追加契約して渡航した。チェックすると、ahamoの「よくあるご質問」に、「一人何回線まで契約できますか?」というのが見つかった。
読んでみると、
ahamoへの複数回線のお申込み(同一個人名義での契約回線数)は、最大5回線ご契約いただけます。ahamo契約を複数台(2台持ちなど)行ないたい場合は、新規でのご契約をお願いします。
※5GやXiなどのドコモの携帯電話回線をお持ちの場合、その契約回線数も含みます。
とされている。
今回は、既存3+追加2、つまり5つの契約がある状態に加え、新規に6回線めを契約しようとしていたわけだ。自分で納得し、その場で引き下がったが、サポートがその可能性を指摘してくれないのはどうかと思う。
最大契約数を回避するために既存契約をいったん解約
次のチャレンジは、ahamoの契約が月をまたぐ直前に、既存2契約を解約してしまい、元の状態の3契約に戻すことだ。これを日本時間の8月31日が終わる直前に実行した。ちょうどオーストリアのザルツブルク郊外にいたときで、現地時間17:00に日本が9月1日になる。それまでに2つの契約を解約するわけだ。
解約には思った以上の手数がかかる。最後の最後で、どうして解約するのかといったアンケートに応えなければ完了しないなどイライラする。ここはたっぷり時間を確保して取り組まないとギリギリのチャレンジでは時間切れになって月内の解約に失敗しそうだ。
これで、2回線分の8月内解約に成功し、保険のために購入しておいたイギリス・スリー社の物理SIMで、10GB/月のデータプランを使い始めた。
そしてその夜、再度のチャレンジを試みた。
一度目の申し込みは4時間以上かかってNGのメールが届いた。日本が深夜だったことが関係しているかもしれない。こちらも深夜を経て、念のために別のクレジットカードを使って申し込んでみたが、今度はすぐにメールが届き、結果はまたもNGだった。
これではもう手も足も出ない。
サービスを提供する側の言い分、される側の言い分
今回は、ahamoのローミングサービスのコストパフォーマンスのすばらしさに惹かれて、いろいろと悪巧みを試みた。そうは問屋が卸さないということで、結局15日間のおかわりは残念ながらかなわなかった。
ただ、その原因がどこにあるのか、まだ、はっきりとは分からない。これについては、追加で取材したいと思う。
3回線を常用契約し、それに2回線を追加で新規契約、さらに1回線というのは尋常ではないと言われればそれまでだが、実際、特に約束事項に違反するようなことをやっているわけでもなく、必要のない回線を解約し、新たに必要な回線を契約しようとしただけだ。
新規の契約には契約のための手数料はかからず、そして契約月は日割り、解約月は月額満額を支払うというのはサービス仕様そのままだ。その既定のサービスを自分の有利なように利用する。それだけだ。
にもかかわらず、何の説明もないままに、契約がキャンセルされてしまうというのは、どうにも納得がいかない。