トピック

君は“死ぬほど静かなPC”を使ったことがあるか?自作歴20年の猛者も初体験の領域。これが超静音PCか……

~サイコム会心の出来の「Silent-Master NEO Z790/D5」はビデオカードまでオリジナル品を搭載

サイコム「Silent-Master NEO Z790/D5」。標準構成の直販価格は267,080円から

 高性能なデスクトップPCは、完全に“冷却重視”の時代だ。CPUとビデオカードは性能向上に伴って消費電力がアップしており、当然ながら発熱も大きくなっている。そのため、近年のPCケースはメッシュ構造を取り入れた冷却重視のモデルが多い。

 そうなると気になるのが“ファンノイズ”だ。ゲームやクリエイティブな作業など、高負荷状態ではファンが高速回転するため、動作音が大きくなり、耳障りに感じてしまう。また、パーツの組み合わせによっては筐体にブーンといった振動音が発生してしまうことも。

 高性能PCと静音は相容れないのか? その命題に果敢に挑んだのが、サイコムの「Silent-Master NEO Z790/D5」だ。 最新世代のCore i7-14700KとGeForce RTX 4070の性能をそのままに、“動いているのか?”と不安にさせるほどの静かさを実現。ここでは、このPCの 動作音、冷却力、性能と多角的に使い勝手をチェックしていく。

 なお、ミュージシャンがSilent-Master NEO Z790/D5を評価した記事として、サンレコによるレビューも載せているので、気になる方はこちらのリンクから参照してほしい。

厳選したパーツで冷却と静音を追求

Silent-Master NEO Z790/D5の外観

 Silent-Master NEO Z790/D5は、サイコムが独自の検証を重ねて、高性能かつ冷却と静音のバランスを追求した空冷のタワー型デスクトップPCだ。

 BTOに対応しており、CPU、メモリ、ストレージ、ビデオカードなど、幅広いパーツで複数の選択肢が用意され、目的や予算に合わせて細かく調整可能になっているが、今回はCPUにCore i7-14700K、ビデオカードにGeForce RTX 4070と最新世代の高性能パーツを搭載したものをテストする。

Silent-Master NEO Z790/D5の内部
今回試用したのはCore i7-14700KとGeForce RTX 4070の組み合わせ。随所に冷却と静音を両立させるための工夫が凝らされている
試用機のスペック
製品名Silent-Master NEO Z790/D5
CPUCore i7-14700K (20コア/28スレッド)
ビデオカードSilent Master Graphics(GeForce RTX 4070)
マザーボードASRock Z790 Pro RS (Intel Z790)
メモリ16GB DDR5-4800 (8GB×2)
ストレージCrucial P5 Plus CT1000P5PSSD8(Gen 4x4、1TB)
CPUクーラーNoctua NH-U12S (サイドフロー、12cm角×1)
ケースCooler Master Silencio S600(ATX)
電源ユニットCooler Master V850 Gold-V2 (850W、80PLUS Gold)
本体サイズ約209×478×470.5mm
OSWindows 11 Home
OSはWindows 11が搭載されていた
OSはWindows 11 Homeを搭載(BTOでPro版やWindows 10 Home/Proも選択可能)

 高い静音性を実現するために、さまざまな工夫が凝らされているが、 もっとも注目すべきはオリジナルビデオカードの「Silent Master Graphics」だ。 静音性と冷却力を兼ね備える高品質な冷却ファンの開発、製造メーカーとして知られるNoctuaの12cm角ファンと、卓越した板金加工でPCのオープンフレームケースやPCのアクセサリ類を数多く手がける長尾製作所製のオリジナルファンカバーを組み合わせた、サイコム独自のカードとなっている。

これが超静音の要となるビデオカード
サイコム独自のGeForce RTX 4070搭載ビデオカード「Silent Master Graphics」
Noctuaの低速版「NF-A12x25 LS-PWM」を2基搭載。回転数は最大1,200rpmで最大音圧はわずか12.1dB
ファンは8mm径のヒートパイプを4本備える大型のヒートシンクと組み合わされている
補助電源は一般的なPCI Express用の8ピン×1仕様だ
映像出力はDisplayPort×3、HDMI×1のオーソドックスな仕様。4スロット分の厚みがある
たわみを防止するバックプレートも搭載
オリジナルビデオカード(GeForce RTX 4070)のスペック
ブーストクロックは2,475MHzと標準よりも5Hzだけ低く設定。発熱と性能のバランスを取るためチューニングと言えそうだ
Power Limit(カード電力)は定格通りの200Wに設定されていた

 そのほかの部分にもこだわりが詰まっている。 PCケースの両側面、前面には遮音材が貼られており、ファンノイズを可能な限りカット。その一方で、冷却力を確保するため、ビデオカードと同じく冷却ファンにはNoctua製を採用。前面には14cm角の「NF-A14 FLX 1200rpm」、背面には12cm角の「NF-S12A FLX 1200rpm」がそれぞれ1基ずつ搭載されている。

微に入り細を穿った静音重視設計
PCケースの両側面と前面には複数の素材を組み合わせた遮音材が貼られている
前面は開閉式で、ホコリの侵入を防ぐダストフィルタも備える
前面には14cm角と大きめのNoctua「NF-A14 FLX 1200rpm」を搭載
背面には12cm角のNoctua「NF-S12A FLX 1200rpm」を採用

  CPUクーラーにもNoctua製の「NH-U12S」を採用。周りのパーツと干渉しにくいスリムなデザインながら、高い静音性と冷却性を備える高品質なクーラー。ファンには12cm角の「NF-F12 PWM」を1基備えている。

CPUクーラーの冷却にもこだわりが
CPUクーラーはNoctua NH-U12S。スリムだが5本のヒートパイプを備えるヒートシンクと12cm角ファンの「NF-F12 PWM」を組み合わせ、高い冷却力と静音性を実現している
前面から吸気し、背面から排気するきれいなエアフローが確保されている

 このPCのそのほかの特徴として、以下の写真にあるように、天板はメッシュパーツに切り替えられるほか、天板右側面に豊富なインターフェイス、昨今では珍しい光学ドライブの搭載、ビデオカードに合った電源ユニットが用意されている。

メッシュ天板への換装といったギミックも
PCケースの天面は取り外し可能。メッシュに切り替えて冷却力を高められる
天面には電源ボタンのほか、USB 3.2 Gen1×2、ヘッドセット端子、SDカードスロットを備える
光学ドライブとして、DVDスーパーマルチドライブを標準搭載。BTOメニューでは記録型のBDドライブも選択可能だ
電源ユニットは650Wから860Wまで選択が可能だ。ビデオカードにGeForce RTX 4070を選択した場合は、750W以上の電源を選ぶ必要がある

静音性テスト:驚くべき静かさを発揮

 高品質かつ高級なNoctuaのファンをふんだんに使い、遮音対策も万全と言えるだけに、気になるのが実際の動作音と冷却力だ。まずは、そこからテストしていきたい。

 動作音については、比較対象として同社の「G-Master Spear X670A」とゲーミングノート2台を用意した。G-Master Spear X670AはCPUにRyzen 7 7800X3D、ビデオカードにRadeon RX 7800 XTを搭載したモデルだ。

比較機
比較用に用意したサイコムのゲーミングPC「G-Master Spear X670A」。標準構成の直販価格は264,240円から
こちらもCPUクーラーにNoctua NH-U12S reduxを採用するなど、十分静音性は高い

 計測場所は暗騒音が33.6dBの筆者仕事部屋。デスクトップPCに関しては正面と机の右側に置くことを想定して左側面からそれぞれ20cm離れた位置に騒音計を設置。ゲーミングノートは、正面から20cmの位置に騒音計を設置した。

 何もアプリを動かしていないアイドル時と、CPUとビデオカードの両方に高い負荷がかかるゲームとして「サイバーパンク2077」プレイ時の2パターンで動作音を計測している。

  Silent-Master NEO Z790/D5はアイドル時はほぼ暗騒音と変わらない。動作しているのか心配になるほど静かだ。 背面のファンに耳を近づけて、ようやくファンの回転音を感じるレベル。

  サイバーパンク2077プレイ時でも正面からはほとんど動作音は分からない。左側面だと、「ココココ」という低めの音がわずかに聞こえるだけ。 外で車が通るなどちょっとした物音で、かき消されてしまう程度の音と言える。

  ゲームもクリエイティブな作業もこなせる高性能なPCは欲しいが、仕事や勉強中に動作音で集中を乱されたくない、またはゲームをヘッドセットではなくスピーカーでプレイしたいのでPCの動作音は小さいほうがよい、配信やWeb会議でPCの動作音をマイクで拾いたくない、という人には最適だ。

 近年のミドルレンジ以上のビデオカードは、高性能だが、消費電力、発熱も増加傾向にあり、どうしても高負荷時は冷却のためファンノイズは大きくなってしまう場合が多い。ファンの回転数が上がれば、振動も起きやすく、PCケースからビビリ音が発生してしまうこともある。圧倒的な静音性を実現しているのは、サイコムの徹底したチューニングのおかげと言えるだろう。

 ちなみに、比較対象のG-Master Spear X670AもゲーミングPCとしては十分過ぎるほど静かだ。CPUクーラーにはNoctua NH-U12S reduxを採用するなど、静音性にはかなり気を配っており、こちらにもサイコムのこだわりが見える。

 最近はゲーミングノートも人気があるため、比較対象に含めたが、ゲーミングノートは小さなボディで大きな発熱を冷却しなければならないので、どうしてもファンの音は大きくなる。Core i9-13900H+GeForce RTX 4070 Laptop GPUの47.1dBでもかなりましなほうではあるが、Silent-Master NEO Z790/D5と比べれば雲泥の差であることが分かるだろう。

 動作音の大きさはゲーミングノートの宿命と言え、静かにゲームをプレイしたいなら、Silent-Master NEO Z790/D5を選ぶ方がずっとよい。

冷却力テスト:安心できる温度まで冷えている

 次は、冷却力をチェックしよう。いくら静かでもしっかりと冷えていなければ、高温による性能低下といった長時間のゲームプレイに不安がある。

 ここでは、サイバーパンク2077を10分間プレイしたときのCPUとGPUの温度をモニタリングアプリの「HWiNFO Pro」で測定した。CPU温度は「CPU Package」、GPUの温度は「GPU Temperature」の値だ。

 サイバーパンク2077はCPU、GPUとも高い負荷がかかるゲームだ。特にGPUは使用率ほぼ100%の状態が続く。それでもCPUは最大89℃で平均79℃と、Core i7-14700Kの仕様的にまったく不安のない温度だ。

  さらにGPUは最大61.6℃、平均57.6℃で推移し、こちらはハイエンド寄りのGeForce RTX 4070ということを鑑みても非常に低い温度。ブーストクロックは平均2,610MHzとGeForce RTX 4070としてはそれほど高くはないとは言え、ほぼフルに負荷がかかった状態でここまで冷えているのには驚かされる。 Silent Master Graphicsの優秀さがよく分かる結果となった。

定番テスト:一般用途ではもはや何も困らない

 ここからは、Silent-Master NEO Z790/D5の性能をチェックしていこう。比較用として動作音検証のときと同じく「G-Master Spear X670A」を加えている。

 まずは、CPUのCGレンダリングでCPUパワーをシンプルに測定する「Cinebench R23」と、一般的な処理でPCの基本性能を測定する「PCMark 10」を実行する。

 Silent-Master NEO Z790/D5に搭載されているCore i7-14700Kは20コア(Pコア8基、Eコア12基)28スレッド、G-Master Spear X670Aに搭載されているRyzen 7 7800X3Dは8コア16スレッドと、コア数に差があるためCinebench R23では大きな差となった。マルチコアではSilent-Master NEO Z790/D5が約2倍のスコアとなっており、コア数が生きる処理では非常に強いことが分かる。

 PCMark 10ではほぼ同スコア。Web会議/Webブラウザ/アプリ起動のEssentials、表計算/文書作成のProductivity、写真や映像編集のDigital Content Creationとも高スコアとなっており、一般的な処理であれば不満を感じることはまずない性能と言ってよい。

クリエイティブテスト:コア数の多さが十分に生かされている

 では、クリエイティブ用途ではどうだろうか。Adobeの写真編集アプリ「Photoshop」と「Lightroom Classic」を実際に動作させてさまざまな画像処理を行なう「UL Procyon Photo Editing Benchmark」、動画編集アプリの「Premiere Pro」で動画に関する処理やエンコードを行なう「UL Procyon Video Editing Benchmark」を試す。

 UL Procyon Photo Editing Benchmarkは、PhotoshopメインのImage Retouching、でG-Master Spear X670Aとほぼ互角、Lightroom ClassicメインのBatch Processingでは上回っており、処理を問わず安定した強さを見せている。

 UL Procyon Video Editing Benchmarkは、CPUのコア数が効くエンコード処理が入っていることもあり、約15%スコアが上回った。クリエイティブ分野でも、十分過ぎるほど活躍できる性能があると言ってよい。

ゲームテスト:重量級ゲームも快適に遊べる

 続いて、ゲーミング性能を見よう。まずは、描画負荷が軽量~中量級と言えるFPSを3本用意した。「レインボーシックス シージ」はゲーム内のベンチマーク機能を利用、「Apex Legends」はトレーニングモードで一定コースを移動した際のフレームレートを「CapFrameX」で計測、オーバーウォッチ2はBotマッチを実行した際のフレームレートを「CapFrameX」で計測している。

 Silent-Master NEO Z790/D5搭載のGeForce RTX 4070とG-Master Spear X670A搭載のRadeon RX 7800 XTは競合関係にあるGPU。そのためフレームレートは近くなっている。G-Master Spear X670Aはゲーム特化型CPUと言えるRyzen 7 7800X3Dを採用していることもあり、多く場面でSilent-Master NEO Z790/D5を微妙に上回った。とは言え、10%程度の差なので“同クラスの性能”という見方でよいだろう。

 どちらでも、中量級までのゲームなら4Kまで快適にプレイできる目安である平均60fpsを達成。そして、WQHDまでなら144Hzなど高リフレッシュレートのゲーミング液晶の性能を生かし切れるだけのフレームレートが出ているのがポイントと言える。

 DLSS/FSRなど描画負荷を軽減するアップスケーラーを備える重量級ゲームではどうなるだろうか。ここではオープンワールド系のゲームから「Starfield」と「サイバーパンク2077」を用意した。

 Silent-Master NEO Z790/D5のGeForce RTX 4070は、DLSS 3に対応しているためDLSSによるアップスケール(Super Resolution)を“バランス”に設定。AIによるフレーム生成(Frame Generation)も有効にした。

 G-Master Spear X670AのRadeon RX 7800 XTはDLSS非対応なので、アップスケーラーとしてFSRを選択肢、“バランス”に設定している。「Starfield」はジェミソンのロッジ周辺の一定コースを移動した際のフレームレートを「CapFrameX」で測定、「サイバーパンク2077」はゲーム内のベンチマーク機能を利用した。

 FPS系の3本とは異なり、DLSS 3対応のゲームではGeForce RTX 4070の強さが出る。重量級ゲームで最高画質設定にしても4K解像度でも遊べるだけの平均フレームレートが出ているのがポイント。フレーム生成の威力がよく分かる結果だ。G-Master Spear X670Aでは、問題なくプレイできるのはWQHD解像度までと言える。

どの処理にも強い性能をいつでも静かに使えるのが最大のメリット

 Core i7-14700KとGeForce RTX 4070を組み合わせた「Silent-Master NEO Z790/D5」は、ゲームにもクリエイティブな処理にも強く、幅広いニーズに応えられる性能を備えている。 それをほとんど動作音を感じさせないほど静かな環境で使えるというのが最大のメリットだ。

  “ファンの風切り音は苦手だけど、高いスペックのPCがほしい”と思っているなら、「Silent-Master NEO Z790/D5」は完璧なまでにマッチする1台と言える。 冷却力重視の時代に、トコトン静音を追求した希少な存在だ。