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これが本気のテレワーク向けPC。600g台の超軽量機からスーパータフモデルまで、ガチの7機種


 国内における新型コロナウイルスの影響は、⼀時よりも落ち着きを取り戻しつつある。だが、コロナの影響で変化した“もの・こと”の⼀部は、今後もしばらくは元に戻らないものもあるだろう。その具体例の1つが、「テレワーク」という働き⽅だ。

 ほんの1年前だったら、顧客との打ち合わせをオンラインで⾏なうのは“相⼿に失礼”という感覚もあったが、いまでは当然のように受け⼊れられ、社内はもとより社外とのコミュニケーションにもMicrosoft Teamsのようなツールが積極活⽤されるなど、さまざまなタイプの業務が場所を選ばずにできるようになってきた。

 すでに何年も前からテレワークを推進してきた企業もあるが、多くの⼈にとっては2020年がテレワーク元年となっただろう。緊急事態宣⾔の発令を受け、急遽テレワークを⾏なうためにPCを追加導⼊した個⼈/法⼈も多くいた。そんななか、コロナ禍が落ちついても、この新しい働き⽅の⽅が効率的なのではと考えるユーザーも増えてきた。

 と同時に現在は、取り急ぎで⽤意したテレワーク環境が、たとえば、固い椅⼦に座って⾷卓でやや性能が低いPCを使っているなど、必ずしも快適なものではなく、改善したいというニーズが⾼まってきているタイミングでもあるだろう。

 そこで本稿では、テレワークを快適に⾏なえる環境を構築するにあたって、どういった点に留意して購⼊したらいいかを解説していく。

テレワーク向けPCを選ぶさいのポイント

 ⼀⾔でテレワークといっても、ユーザーの⽤途/業務内容は千差万別で、求められるPCのスペックも変わってくる。⾃宅でもある程度の規模の開発を⾏なうといった場合は、⾼性能なGPUを積んだデスクトップが必要になってくるだろう。だが、今回はテレワークに、⾃宅だけでなくカフェや、コワーキングスペース、ホテルなどでの利⽤も想定しているので、薄型/軽量のノートPCを前提に話を進める。

モビリティ~1.3kg台以下が基準。なんと600g台の製品も

外に持ち出すことが多いなら1kgを切る製品がオススメ

 たとえ、メインで使うのが⾃宅でも、外に持ち出して使う可能性があるのなら、モビリティ(可搬性)は重視したい。モビリティには、重量とバッテリ駆動時間の2つの観点が含まれる。

 重量については、いまでは13型級で600g台の製品もあるが、とりあえず1kgを切っていれば、男⼥問わず、苦にせず持ち運べるだろう。外でも給電しながら使うことを考えるなら、ACアダプタが軽量/⼩型であることもチェックしたい。あるいは、最近の製品では、USB PD対応でモバイルバッテリや汎⽤のType-C充電器で充電できるものもある。この場合、モバイルバッテリや充電器はスマートフォンにも使えるので、カバンの中⾝/重量を増やさないで済む。

直近のノートではUSB-PD充電に対応したものが増えているので、スマホもPCも1つのモバイルバッテリで充電できる

 バッテリ駆動時間は、13型級で半⽇程度から丸1⽇程度まで使えるものがある。もちろん、基本的には駆動時間が⻑いものほど重くなる。製品によってはバッテリ容量が異なる複数モデルが⽤意されるものもある。公称駆動時間が10時間程度あれば、1⽇の外出はほぼカバーできるだろう。

 ちなみに、バッテリをもっとも消費するパーツの1つがディスプレイだ。フルHDに対して、4Kだと⼀気に駆動時間が半分程度になる。モバイルノートだと、4K解像度をドットバイドットで表⽰することはほぼありえない。そういった観点から、同じ製品でフルHDと4Kの

じゅうぶんな性能~昨今増えつつあるWeb会議にも思った以上の性能が必要

 さきに、テレワークと⾔っても、求められる性能は変わると書いたが、汎⽤的な業務⽤アプリ/サービスがストレスなく動くだけの性能は確保したい。そのためには、ざっくりと、この1年以内に発売されたCPU、8GB以上のメモリ、SSDを搭載した製品を選べば、まず問題ないだろう。

 CPUについて、⼀般的な業務⽤途なら昔のCPUでもじゅうぶんと思っているユーザーも少なくない。しかし、これは間違いだ。CPUは、たとえ数値上のコア数や周波数があまり変わっていなくても、新しい世代では、命令実⾏効率や最⼤周波数などが改善され、新しい命令セットにも対応している。

 それによってとくに顕著に差が出るのが、Web会議時の負荷だ。プライバシーなどの観点から、部屋の背景をボカしたり、仮想背景を使ってWeb会議をする⼈が増えている。こういった処理は、それなりの負荷がかかる。過去に弊誌が⾏なった検証では、第2世代のCore i7-2600Kと第6世代のCore i7-6700K(いずれも4コア/8スレッド)で、Microsoft Teams利⽤時の負荷に倍以上の差があり、加えて第2世代のCoreではバーチャル背景が表⽰できなかった。

Web会議を行なう機会が増えたが、意外とCPU負荷は高いため、PCにある程度の性能が必要となる
Microsoft Teams v1.3.00.21759でのビデオ会議中のCPU使用率

 CPU負荷が⾼いと、Web会議がカクついたり、ファンが勢いよく回ってノイズになったりもする。最⾼峰のCPUまでは不要かもしれないが、新しい世代であることは確認しておきたい。

 また、私物のPCを業務でも使っている場合、仕事が終わった後に、軽くゲームをプレイということも普通にある。最新のCPUでは、とくにGPU性能が⾶躍的に伸びているので、カジュアルゲームはもちろん、3D系のゲームも動作するようになっている。

私物のノートで仕事も息抜きもと考えるなら、最新世代のPCをお勧めしたい。ビジネス用途のものでも、結構ゲームも動く

 メモリについては8GBが最低限となる。できれば16GBほしいところだ。メモリも少ないと、システム全体のレスポンスが悪くなる。基本仕様ではメモリが8GBの製品も多いが、BTOで16GB以上に対応できることも多いので、予算に余裕があるなら16GBを選びたい。

 システムストレージは、いまではほとんどのモバイルノートが標準でSSDを積んでいるので、あまり気にすることはない。逆に⾔うと、いま、HDD搭載機を使っているのであれば、SSD搭載機のOSやアプリの起動時間の速さに驚くはずだ。細かくは、同じSSDでも、接続がSATAなのか、PCIeなのか、PCIeの世代は何なのかなどといった差もあるが、テレワーク⽤途なら、どれでも間に合うだろう。

拡張性~シンプル構成+ハブか、全部入りか

USB Type-AやHDMIなど、インターフェイスは多いに越したことはない

 意外と⾒落としがちなポイントが拡張性だ。モバイルノートは、薄型であるため、外部インターフェイスはUSB Type-Cのみと割り切ったものもある。USBType-Cだけでも、各種USB機器だけでなく、ディスプレイ接続や充電も可能なものもあり、接続性という意味ではそれでも問題ない。また、Hubやドッキングステーションを使えば、ポート数も増やせるので、このタイプのPCを使う場合は、USBType-AやHDMI出⼒、有線LANポートなどを備えたType-Cマルチハブを合わせて購⼊しておくことをお勧めする。

 さまざまな場所に出張して、出先でどんな周辺機器との接続を求められるか分からないという⽅もいるだろう。その場合、すべてのデバイスに対応できるような⼤型のハブやドックを持ち歩くのはあまり現実とは⾔えない。HDMIあるいはDisplayPort⼊⼒のみのディスプレイやプロジェクタでプレゼンする、有線LANポートのみで無線LANのないホテルに宿泊、データをSDメモリーで渡される……どんな環境に出会ってもすぐに接続できるように、USB Type-Cのほかに、USB Type-A、⾳声⼊出⼒、HDMI/DisplayPort出⼒、有線LANを備えているノートPCが望ましい。

有線/無線LANの⾼速性/つながりやすさ~Wi-Fi 6対応が必須

最近は無線LANも有線LANと同等以上の速度が出せる。安定性では有線LAN、モビリティなら無線LANと考えていい

 さきの拡張性の話に関連して、Web会議を考えると、有線LANが使える機種ならより安⼼だ。ゲームなどと違って、Web会議にそこまでの低遅延は求められず、その点では無線LANでもじゅうぶんだが、無線LANは電波⼲渉で途切れることがある。とくに2.4GHz帯を使っていると、家族が電⼦レンジや無線機器を使って、接続が途切れたり、帯域が狭くなったりということもある。必須とまでは⾔わないものの、有線LANがあると憂いなしだ。

 無線LANのメリットはなんと⾔ってもケーブルがいらない点。モビリティという観点からは、無線LANを有効活⽤したい。その場合は、無線LANの規格が新しいものであることを確認したい。最新のWi-Fiバージョンは6となる。Wi-Fiは規格が新しくなるたびに、転送速度だけでなく、つながりやすさも向上している。また、新しい規格では5GHz帯での接続が中⼼となり、2.4GHz帯に⽐べて⼲渉を受けにくい。

 なお、新しい規格を利⽤するにはWi-Fiルーターも対応している必要がある。すでに利⽤している機器は新しいWi-Fiに対応しているが、いまいち遅かったり途切れがちという場合は、ルーターを新しいものに買い換えることで改善される場合もある。

高性能なカメラとマイク~見え方、聞こえ方があなたの存在感を左右する

Webカメラにプライバシー用に物理シャッターがついたものもある

 社内外を問わず、Web会議の機会が⼤幅に増えたこんにちにおいて、ノートPCの内蔵カメラとマイクもできれば、品質が良いものを選びたい。と⾔っても、写真を撮影するわけではないので、カメラの解像としては720p(90万画素)あればいい。また、Webカメラにプライバシー⽤のシャッターがついたものもある。

 マイクについては、ノイズキャンセル機能を搭載するものも増えてきており、打鍵⾳などを抑えられる。また、マイクの⾳質⾃体が向上している点も無視できない。声がよく聞こえると話者の格がグッと上がる。たとえ⼝数が少なくても、ミーティングにおける存在感が⾃然と⾼まってくるのだ。

Webカメラやマイク、ヘッドフォンは外付けでもいい

手軽に強固なセキュリティを実現する生体認証

 そのノートが私物であれ、会社所有であれば、業務に利⽤するのであれば⼀定レベルのセキュリティを確保したい。だが、基本的にセキュリティの強度を上げると、たとえばパスワードを⻑くて想像しにくいものにするなど、利便性は低下してしまう。しかし、⽣体認証を組み合わせれば、強度なセキュリティを⼿軽に実現できる。

 ⽣体認証としてメジャーなのは、顔認証と指紋認証だ。Windows 10では、Windows Helloという⽣体認証の枠組みが⽤意されている。Windows Helloは、PCへのログインだけでなく、パスワード管理ソフトのようなアプリでも対応するものが増えてきているので、活⽤したい。

Windowsへのログオンだけでなく、アプリのロック解除にも利用可能

Microsoft OfficeとWindows 10 Pro

 おそらく、どのような業界/業種であっても、仕事をするうえで必ずと言っていいほど扱うのが、Microsoft Officeのドキュメントだろう。自分だけで使う資料なら、どのようなソフトを使ってもいいが、他者と共有するのであれば、互換性の観点から、WordやExcelなど、Microsoft Officeアプリを使うのは必須と言える。その点から、Microsoft OfficeがプリインストールされたPCの購入をお勧めする。

 また、OSについてもWindows 10 Proモデルを選ぶことも検討したい。基本的な機能面でWindows 10 HomeもProも同じものが提供されるが、企業でドメインに参加するなら、Windows 10 Proは必須となる。また、Windows 10 Proには、ストレージの暗号化機能であるBitLockerが搭載されている。

 ノートPCと外付けのHDD/SSDを組み合わせて使う人も少なくないと思われる。Windows Hello対応機でPCのセキュリティを確保しても、万が一データの入ったUSB SSDなどをなくしてしまったりすると、データ漏洩で、当人だけでなく組織や第三者にも迷惑をかけることにつながる。

 そもそも機密情報や個人情報が入ったストレージを不用意に持ち運ぶべきではないが、必要に迫られているのであれば、せめて暗号化はかけたい。そういったさいに、BitLockerは役に立つ。

Windows 10 ProならUSBメモリなどのストレージにもBitLockerによる暗号化がかけられる

 このほかにも、「Secured-core PC」と呼ばれる、ファームウェアレベルでセキュリティに配慮したWindows 10 Pro搭載機も各社から投入されている。このほか、Microsoft 365には、Teamsの利用に特化し、Web会議をすぐにはじめられる「リモートワーク スターター プラン」も用意されている。

快適なテレワークを下支えする周辺機器

 PCだけが高性能だったり、使い勝手が良くとも、周辺環境がおざなりだと、効率が下がったり、体に負担がかかったりする。すべてが必要というわけではないが、以下に挙げるようなものを準備すると、作業環境はより快適なものとなる。

セカンドディスプレイ

 ノートPCであっても、デスクトップであっても、さまざまな作業を行なううえで、ディスプレイは2台あると効率が増す。文字の見やすさから、サイズとしては24型前後がちょうどいいと思われるが、ノートPCとセットでコワーキングスペースや出先でも使いたいのであれば、13型前後のモバイルディスプレイもいろいろと発売されている。

机と椅子

 在宅勤務を行なうにあたり、キッチンの食卓と固い椅子で仕事をしている人もいると聞く。しかし、そういった環境で長時間ノートPCに向かっていると、体に負担がかり、腰などを痛める要因ともなる。なるべく、PC用の机と椅子を用意したい。

 椅子については、オフィスチェアやゲーミング向けなどで、体への負担が少ないものが発売されている。

 机については、最近では、昇降式のものも注目を集めている。昇降式のものは、体格に合わせて高さを微調整できるだけでなく、立位でPC作業できるほど高くできるものもあり、たとえば1時間座って作業したら、1時間立って作業するといったこともできる。

キーボードとマウス

 ノートPCには、キーボードとタッチパッドが内蔵されているが、別途キーボードとマウスを用意するのもありだ。いずれもエルゴノミクスにもとづいた負荷の少ないものもある。ノートPC内蔵のものでもじゅうぶんだが、外付け製品は多種多様なものがあり、長時間利用するものなので、自分の体にあったものを選んで使った方が、能率も上がる。

Webカメラとヘッドセット

 先にも書いたとおり、Webカメラ、マイク、スピーカーはノートPCに内蔵されている。最近では、Web会議向けにノイズキャンセル機能をつけたり、フルHDの解像度を持つものも登場している。だが、購入したい製品がそういったものを搭載していない場合もあるだろう。そういう時は、USB接続の外付けのものを使うといい。

 とくにヘッドセットは外付けにした方が、ハウリング防止に役立ち、打鍵ノイズを拾いにくくなる。

評価するPCの紹介

 さて、テレワークを行なうPCを選ぶうえでの基準をいろいろと解説してきたが、冒頭にも書いたとおりユーザーによって必要な項目は変わってくるし、各PCがサポートする項目も変わってくる。ただ、PCを選ぶうえでさまざまな選択肢があることがWindowsマシンのメリットだ。

 そういった観点から、次回以降の記事では、7つの代表的な製品を取り上げ、それぞれの製品を多角的に見ていく。

これらの製品については、下記のサイトにて取り扱いがある。

“テレワークが気持ちいいほど快適”にこなせるモバイルノートの購入問い合わせ窓口はこちら。

・せっかく導入するなら「ホンモノ リモートワーク」にしませんか? | 大塚商会(otsuka-shokai.co.jp)

・オリックス・レンテック | ホンモノリモートワークの導入はオリックス・レンテックにおまかせ | ORIX Rentec Corporation

・「ホンモノ リモートワーク」のご紹介 | シネックスジャパン株式会社 (synnex.co.jp)

・ホンモノリモートワーク|SB C&SのIT-EXchange(it-ex.com)

・iDATEN(韋駄天)| ホンモノリモートワーク

・ホンモノリモートワーク | 横河レンタ・リース株式会社 (yrl.com)

・せっかく導入するなら「ホンモノ リモートワーク」にしませんか? | 株式会社リコー (promo.ricoh)


NEC「VersaPro Type VC」

第11世代Core搭載。12.5型で重量947gのコンパクトなノートPC。ヤマハと協業した聞き取りやすいスピーカーも特徴。製品の詳細はこちらから


デル「Latitude 5320」

第11世代Core搭載。タブレットとしても使える液晶回転式の2in1。オプションでLTEにも対応。製品の詳細はこちらから


パナソニック「レッツノートCF-QV9」

2,880×1,920ドットの高解像度12型液晶採用の2in1。有線LANやミニD-Sub15ピンを装備し、オプションでペン操作にも対応。製品の詳細はこちらから


レノボ・ジャパン「ThinkPad X1 Nano Gen1」

第11世代Core搭載。16:10の2K液晶を採用。プライバシーシャッターつきのWebカメラを内蔵。LTEにも対応。製品の詳細はこちらから


富士通「LIFEBOOK U9311/F」

第11世代Core搭載。約738gと超軽量でBIOSの改ざんチェック・自己回復機能にも対応。薄型ながら有線LANも装備する。製品の詳細はこちらから


Dynabook「dynabook V83」

第11世代Core搭載。従来の12.5型モデルとほぼ同サイズで13.3型パネルを採用した2in1。アクティブペンにも対応。製品の詳細はこちらから


日本HP「Elite Dragonfly G2」

第11世代Core搭載。覗き見を防止するプライバシーフィルターを装備。約1000回の清掃・消毒に耐えられる設計も特徴。最新の5Gに対応。製品の詳細はこちらから

2021年版、テレワークを快適にする環境構築。PC選びのポイントをズバリ! 記事一覧

[モデル: 奥村 茉実(浅井企画)]