レビュー
発売直前! 「iPhone XS/XS Max」ファーストインプレッション
2018年9月20日 11:53
アップルは9月21日、新型スマートフォン「iPhone XS」、「iPhone XS Max」を発売する。
この2機種は2017年に発売された「iPhone X」の後継機種で、スマートフォン用SoCとして初めて7nmプロセスで製造された「A12 Bionic」を搭載。
また、5.8型と6.5型の2種類の有機ELディスプレイ搭載モデルを用意しており、大画面化もウリにしている。
加えて、6.1型ディスプレイを採用したスタンダードモデル「iPhone XR」が10月26日に発売される予定だが、今回はXS、XS Maxの2機種に絞ってファーストインプレッションをお届けしよう。
まずは同梱品をチェック
最初に同梱品を見ていこう。パッケージには、iPhone本体、EarPods with Lightning Connector、Lightning - USBケーブル、USB電源アダプタ、マニュアル(クイックスタートガイド、SIMピン、iPhoneユーザーガイド、ステッカー)が同梱されている。
3.5mmヘッドフォンジャックを備えたイヤフォン、ヘッドフォンを接続するための「Lightning - 3.5 mmヘッドフォンジャックアダプタ」は今回省略された。「AirPods」などの完全独立型ワイヤレスイヤフォンが普及しているので、アダプタが省かれたのは納得の措置だ。
外観チェック! 新色ゴールドの見栄えは?
XS、XS Maxには従来のスペースグレイ、シルバーに加えて新色のゴールドが追加された。今回XSはスペースグレイ、XS Maxはゴールドを借用しているが、やはり注目すべきはゴールド。筐体のステンレス筐体は物理蒸着(PVD)で着色されており、高い質感を醸し出している。
ゴールドというと派手な印象を受けるが、側面はともかく背面はかなり淡い配色で、むしろ落ち着いた佇まいだ。万人受けするのはスペースグレイ、シルバーであることは間違いないが、ゴールドも男女問わず受け入れられるカラーリングだと感じた。
サイズを比較。XSとXS Maxのどちらがいい?
今回悩ましいのが5.8型のXS、6.5型のXS Maxのどちらを選ぶか。XSは70.9×143.6×7.7mm(幅×高さ×厚さ)、XS Maxは77.4×157.5×7.7mm(同)と厚みは変わらないが、幅には6.5mmの差がある。
ただ実際端末を握ってみると、意外に6.5型のXS Maxも手の収まりがいい。フリック入力も文字キーは画面下部に集中しており、ディスプレイ外側へのフリックもそれほど大きく操作する必要はない。片手でもなんとか入力は可能だ。
iPhone史上最大のディスプレイを搭載するXS Maxには、地図やWeb、メッセージなどを一度に見られる情報量の多さ、テキストサイズを大きく表示する文字の見やすさなどのメリットがある。とは言え手の大きさは人それぞれ。最終的には実際に両端末を握り比べて、どちらを選ぶか決めるべきだろう。
定番ベンチ3本勝負!
PC Watchのファーストインプレッションでベンチマークは欠かせない。今回はiOS向けの定番ベンチマーク「Geekbench 4」、「AnTuTu Benchmark」、「3DMark Sling Shot Extreme」を実施してみた。なお比較対象としてXでも計測している。
その結果は、「Geekbench 4」のMulti-Core ScoreはXが8,607、XSが11,577、XS Maxが11,417、「Geekbench 4」のCompute(Metal Score)はXが15,616、XSが21,601、XS Maxが22,779、「AnTuTu Benchmark」のトータルスコアはXが191,363、XSが314,452、XS Maxが319,965、「3DMark Sling Shot Extreme」のスコアはXが2,684、XSが3,167、XS Maxが3,086という結果だった。
XSとXS Maxが搭載するSoC「A12 Bionic」は、Xが搭載する「A11 Bionic」に対して、負荷の高い処理を担当する「性能コア」は最大15%高速化、日常的な処理を担当する「効率コア」は最大50%低消費電力化が図られ、またGPU性能は最大50%、機械学習フレームワーク「Core ML」の動作は最大9倍高速化されているという。
今回、CPUベンチマークは微増に留まっているところ、GPUベンチマークは大幅に性能が向上しており、差はあれどスペックどおりの傾向が表われている。
なおA12 Bionic最大の進化点は「Neural Engine」の性能向上であり、その演算処理能力は写真、動画画質の向上、Face IDの速度、ARアプリケーションの速度と精度など恩恵を受けられる用途は多岐に渡る。この点については、改めてじっくりと検証しよう。
【21時 訂正】記事初出時よりiPhone Xのベンチマークスコアを再計測しました
高負荷なベンチ実行時の発熱は?
7nmプロセスで製造され、69億トランジスタを搭載するA12 Bionicを採用したXS、XS Maxは大幅な性能向上を果たしているが、発熱は増えていないのだろうか。
そこで今回「AnTuTu Benchmark」実行中の表面温度を計測してみたが、XとXSはほぼ同等で最大46.0~46.1℃、XS Maxはそれより1℃低い45.1℃という結果を得られた。Neural Engineがフル稼働するような処理では異なる結果が出るかもしれないが、従来のアプリケーションが高負荷処理を実行しても、XSとXS Maxの発熱はXと同程度と言えそうだ。
カメラ画質をサクッと比較
今回は試用期間が限られていたため、写真はそれぞれ1枚しか撮影していないが、下記のような室内で人形を撮影するシチュエーションではX、XS、XS Maxで正直大きな差は見られなかった。
XS、XS Maxのカメラの画素数はXと同じく1,200万画素だが、センサーサイズが大きくなっており、取り込む光の量が50%増えている。またNeural Engineにより、写真・動画撮影時に明暗差の激しいシーンでもバランスよく描写したり、ポートレート写真で綺麗なボケ効果が出るような進化を遂げているという。機会があれば、改めてXS、XS Maxのカメラ性能を引き出した撮影に挑戦しよう。
率直にお伝えすると、今回短い時間試用したかぎりでは、XS、XS Maxが買いなのかどうかについては判断がつかない。しかし、6.5型というiPhone史上最大のディスプレイが選択肢に登場したこと、GPU性能が大幅に向上したことは評価できるし、発表会で披露されたNeural Engineを活用した写真、動画品質の向上は魅力的だ。
筆者は個人的にXS Maxを購入する予定なので、2週間~1カ月ぐらいじっくり使い込んだあと、機会を得られれば改めて詳細なレビューをお届けしたいと思う。