パソコン工房新製品レビュー
これぞフラグシップの輝き。4Kプレイも快適な「GeForce RTX 4080 SUPER」搭載ゲーミングPC
~パソコン工房「LEVEL-R67A-LC147KF-VTX」
2024年3月28日 10:00
CPUにCore i7-14700KF、GPUにGeForce RTX 4080 SUPERを搭載するパソコン工房のフラグシップゲーミングPC「LEVEL-R67A-LC147KF-VTX [RGB Build]」が販売中だ。製品名末尾に“RGB Build”と名の付く通り、RGBファンやLEDストリップを活用することで全体に眩く光らせた筐体も特徴の一台。高いパフォーマンスは当然として、ゲーミングPCの外観のインパクトにもこだわりたいコアユーザーにはうってつけの製品と言えるだろう。
この記事ではLEVEL-R67A-LC147KF-VTX [RGB Build]のサンプル機をもとに、特徴や使い勝手などのインプレッション、およびベンチマークによる性能チェックを実施していく。
CPU・GPUは4Kゲーミングも狙える高性能、ただしメモリ容量は16GB
最初に、LEVEL-R67A-LC147KF-VTX [RGB Build]の基本的なハードウェア性能を確認していく。
CPUはIntelの第14世代、20コア/28スレッドのCore i7-14700KFを搭載。パフォーマンスに優れる「K」付きSKUであることに加え、この世代のCore i7は前世代比でEコアが4基増量されており、大きな性能向上を果たしているのが特徴だ。
近年のCPU性能が求められがちなAAA級ゲームタイトルはもちろん、画像・動画編集やゲーム配信といったクリエイティブ用途でも快適な動作が期待できる。
GPUのGeForce RTX 4080 SUPERは、今年1月に販売開始となったNVIDIAのハイエンドモデル。ラインナップ上では既存の「GeForce RTX 4080」の上位製品と言えるのだが、小幅なパワーアップに留まっており、両者の間で性能に明確な開きが出る局面はそれほど多くない。
実質的には、GeForce RTX 4080を置き換えるGPUといった立ち位置と言える。もちろんパフォーマンスは強力であり、4K解像度のゲーム描画を余裕をもってこなせるだけのポテンシャルは備えているので、4Kディスプレイなどと組み合わせれば極めてリッチなゲーム環境を構築できるだろう。クリエイティブ用途は当然として、近年流行するAI用途での活用などにも高い適正がある。
メインメモリは容量16GBのDDR5-4800を搭載するものの、内部的にはDDR-4400で動作しているとのこと。システム的な安定を取るための措置かと思うが、PCのパフォーマンスに大きく影響するほどの差異は出ないのでその点はあまり心配ない。
むしろメモリ容量が16GBに留まるのがちょっとした懸念点で、本製品に求められるような高負荷な処理において、場合によっては不足することも考えられる。特に容量の大きな素材を使うようなクリエイティブ用途などに使う予定があるのなら、BTOカスタマイズで32GB以上のメモリを選択(+1万4,300円~)することを検討してもいいだろう。
ストレージは高速なデータ転送に対応する1TB NVMe SSD。SSD容量はゲーミングPCとしては及第点の容量で、近年のインストール容量が大きなAAA級ゲームタイトルも複数本を保存しておける。Steamのクラウドセーブなども利用すれば、問題なくやりくり可能なはずだ。なお、BTOカスタマイズでは最大3個のデータ保存用ストレージを増設できる。
そのほか、電源ユニットは80PLUS Platinum認証の1,000Wモデルを採用し、ネットワークは2.5ギガビット対応の有線LANおよびWi-Fi 6が利用可能となっている。
LEVEL-R67A-LC147KF-VTX [RGB Build]の主なスペック | |
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CPU | Core i7-14700KF(20コア/ 28スレッド/ 2.50GHz/ TB時最大5.60GHz/ 33MBスマートキャッシュ) |
GPU | GeForce RTX 4080 SUPER(16GB GDDR6X) |
メモリ | 16GB (DDR5-4800、DDR5-4400動作、8GB×2 / デュアルチャネル) |
ストレージ | 1TB (M.2NVMe SSD) |
OS | Windows 11 Home 64ビット |
ネットワーク | 有線LAN(2.5GBASE-T)、Wi-Fi 6 |
本体サイズ | 213×474×495mm |
実売価格 | 44万4,800円前後 |
前面・側面・天面すべてがRGB LEDで発光するド派手なミドルタワーケース
続いて、LEVEL-R67A-LC147KF-VTX [RGB Build]の外観やインターフェイス類などを見ていこう。
本製品はLEVEL∞のフラグシップシリーズ「R-Class」に属し、このうちLEDライティングにこだわった“RGB Build”の製品は、モデルにより採用PCケースが2種類のうちいずれかに分かれる。
一方はLEDなしモデルでも使われる一般的なケースだが、本製品で採用されるのは、側面の強化ガラス製サイドパネルに加え、フロント部もLEDファンが見えるようウィンドウ化された“RGB Build”でのみ使われるオリジナルミドルタワーケースだ。
本体サイズは約213×474×495mm(最大突起物除く)と、ミドルタワーPCとしては一般的なサイズに収まっている。魅せ方にこだわりたいユーザー向けのケースなので、卓上に設置したい場合もあるとは思うが、ミニタワーPCに比べればかなりのサイズ感になる。多少の圧迫感を覚悟しつつ、デスクの寸法などもしっかり事前に計測しておくほうが無難だろう。
フロントパネルは立体的なデザインで、内部に設置されたトリプルファンが見えるウィンドウが印象的な外観。正面から目視できる部分に通気口はないが、出っ張ったウィンドウの下部がわずかに開口されていることで、通気性を確保する構造を取っている。
天面のフロント側には電源ボタン、USB 3.0ポート×2、USB 3.0(Type-C)ポート×1、ヘッドフォン・マイクジャックに加え、ファンの回転数を変更するための専用ボタンが配置されている。
天面には大きく通気孔が開口され、マグネット式で取り外しも容易なダストフィルタを用意。また、こちらも内部にはRGB LEDケースファンが3基装着されており、背面のファン1基と合わせ、ケース内の排気を担っている。
排気能力自体はそれなりに強力ではあるものの、天面に物を置いてしまうと一気にPC内部に熱がこもりやすくなる可能性が高いため、どうしても何かを置きたいのであれば、排気口を塞がないよう配慮すべきだろう。側面には通気口などはないので、壁に寄せての設置などは特に問題ないと思われる。
内部レイアウトは電源を下部に配置し、なおかつ電源部がセパレートされているタイプ。オールインワン水冷CPUクーラーおよびGPUは大型だが、ミドルタワーケースということもあり内部スペースにはかなりの余裕があるため、購入後のカスタマイズなどもそれなりに容易だろう。
ストレージはマザーボード上のM.2スロットが3スロットぶん余っているほか、ケースには3.5インチ内蔵ベイ×2 、2.5インチ内蔵ベイ×2が確保されている。BTOカスタマイズ、あるいは購入後に自分でストレージを増設するのもアリだ。
背面インターフェイスはUSB 3.2(Type-C)ポート×1、USB 3.1(Type-C)ポート×1、USB 3.1ポート×2、USB 3.0ポート×4、無線LANアンテナ用ポート×2、有線LANコネクタ、オーディオ端子×3を用意。映像出力端子はビデオカード側のHDMI×1、Display Port×3を利用可能だ。
シンプルではあるが、USBポート数自体はフロント側と合わせて合計11個で、周辺機器を使う場合にもそれなりの余裕はあるだろう。
性能をベンチマークでチェック
では、LEVEL-R67A-LC147KF-VTX [RGB Build]の性能をいくつかのベンチマークで計測してみよう。
今回はベンチマークアプリ「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」に加え、「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」「パルワールド」「Cyberpunk 2077」などの実ゲームタイトルでもフレームレートを計測している。なお、GPUのドライバーは最新の551.86を使用した。
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク
比較的軽量な「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」では、すべての計測で最高品質設定を適用し、解像度フルHD・WQHD・4Kの3パターンでテストを実施した。
4K解像度での快適なゲーム描画を想定したRTX 4080 SUPERのパワーもあり、フルHDでは36,906、WQHDでは31,896といずれもスコア3万越えを達成。4K解像度でもスコアは21,457と非常に高く、テストレポートから参照した平均フレームレートは144.57fpsと、ハイリフレッシュレートモニターでの利用にも耐える最上級の結果が出ている。
「ファイナルファンタジーXIV」は、今年夏ごろリリースの大型拡張パッケージ導入に伴うグラフィックスアップデートを予定しているが、仮にアップデートが入ったとしても解像度を選ばず、滑らかな描画でプレイ可能だろう。
ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON
「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」の計測には、フレームレート計測ツール「CapframeX」を利用。画質は「最高」、解像度はフルHD・WQHD・4Kの3パターンとし、ゲーム内ミッション「テスターAC撃破」で一定コースを移動した際の1分間の平均・最低フレームレートを算出している。
本作のフレームレート上限は120fpsに設定されているため、フルHD計測時とWQHD計測時では平均フレームレートが上限に張り付いてほぼ差が出ていない。4K解像度でもほぼ上限に近い平均113fpsを達成できており、最小フレームレート(Min 1%)も70.4fpsと、しっかり60fpsを超えている。こちらも、ハイリフレッシュレートモニターと組み合わせて楽しみたいタイトルだ。
パルワールド
「パルワールド」では、プリセットを「最高」に設定した上でDLSSのモードを「クオリティ」に変更し、上限フレームレートの設定を240fpsに拡張した状態でフルHD・WQHD・4K解像度における計測を実施。計測には「CapframeX」を利用し、ゲーム内マップの一定コースを移動した際の1分間の平均・最低フレームレートを算出している。
オープンワールドということもあり重め、なおかつロケーションによりフレームレートのばらつきが多い傾向のある本作だが、フルHD・WQHDの平均フレームレートはそれぞれ144fpsを上回り、最小フレームレート(Min 1%)も100fps前後に落ち着いている。4K解像度でも平均フレームレートは121.7fps、最小フレームレートは72.5fpsと、しっかり最小60fpsを超えてきた。傾向としては「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」に近く、どの解像度でも快適な描画が期待できそうだ。
Cyberpunk 2077
「Cyberpunk 2077」では、ゲーム内ベンチマークモードを使用してフレームレートを計測。まずは画質設定に「ウルトラ」を設定し、フルHD・WQHD・4K解像度でのテストを実施した。
ゲーム自体が屈指の重量級タイトルでもある上、アップスケーリング(DLSS)などの設定が一切適用されていないが、フルHD・WQHDまでは平均・最小フレームレートともに100fps越えの値が記録できている。4Kではさすがにフレームレートがぐっと落ち込みはするものの、平均60fps越え、最小フレームレートもほぼ60fps近くと、アップスケーリングなしでも快適動作に支障のない点はおおいに評価できるだろう。
より負荷が高いが自動的にアップスケーリングが適用される画質プリセット「レイトレーシング:ウルトラ」のテストでは、DLSSによって各解像度の差が均され、特に4K解像度のフレームレートが大きく向上していることが分かる。
余談だが、DLSS利用時は高解像度時ほど大きくフレームレートが伸びる半面、ネイティブ解像度よりも描画が甘くなるデメリットもある。「解像度も画質も最高のクオリティがいい」というこだわりのあるユーザーほど、使用するかどうかは意見が分かれるところだと思うが、本作のような超高負荷タイトルは生半可なCPUやGPUでは高解像度で満足なフレームレートを出せないため、ほとんどのPCではDLSSの有効化を余儀なくされる。
その点、LEVEL-R67A-LC147KF-VTX [RGB Build]の場合はそもそもDLSSなしで十分なパフォーマンスが発揮できることから、高画質設定でも「DLSSを使うか使わないか」を選択できる余地が残されている。「4K・DLSSありでフレームレートを伸ばすか、4K・DLSSなしで最高の画質を目指すか」という贅沢な悩みを持てるのは、本製品のようなハイエンドゲーミングPCユーザーだけに限られるわけだ。