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Wi-Fi 7時代の失敗しないWi-Fiルーター選び。必ず見るべき重要項目とは?

バッファローの「WXR9300BE6P」のパッケージ

 5,764Mbpsと2,882Mbpsで何が違うのか?MLO?メッシュ?……。Wi-Fiルーターを購入したいが、よく分からない用語ばかりで、選び方の基準が分からないという人は少なくないことだろう。特に現状は新しいWi-Fi 7と古いWi-Fi 6の両モデルが混在し、微妙なスペックの違いを見極めるのが難しい状況となっている。

 パッケージのどこを見ればいいのか?スペックが何に影響するのか?Wi-Fiルーター選びで重要となる項目についてチェックしてみよう。

パッケージを読み解く

 Wi-Fiルーターのパッケージは、その製品がどれくらいの性能で、どのような環境に適しているのかを判断するのに最適な手がかりだ。

 最近ではネット専売モデルなどを中心に、簡易パッケージ版の製品も増えてきたが、その代わりに販売サイトやメーカーのWebページで、パッケージ写真や同様の情報が記載された製品紹介画像などを参照できる。

 パッケージや製品紹介画像には、対応する規格、速度、搭載する機能、セールスポイントなどがコンパクトにまとめられている上、情報の強弱がうまくデザインされているため、よくできたプレゼンスライドのように、1枚でその製品のポイントを判断できるように工夫されている。

 これらの情報を参照することで、そのモデルが自分のニーズに合っているかどうかを判断することが可能だ。たとえば、冒頭にあるバッファローの製品情報ページに掲載されている「WXR9300BE6P」というモデルの画像や、以下のTP-Link「Archer BE7200」のパッケージ写真だ。

TP-Linkの「Archer BE7200」のパッケージ

 ひと目で分かる通り、「Wi-Fi 7」という規格や「9300」や「5764+1376」といった速度が強調されている。

 この2つは、Wi-Fiルーター選びで必須のチェック項目だ。前述したように、現状は旧世代のWi-Fi 6/6Eと新世代のWi-Fi 7が混在する状況となっているため、最新のWi-Fi 7を購入したい場合の大きな目安となる。また、速度によってWi-Fiルーターの性能が変わる上、価格の違いにも影響してくる。

 その一方で、競合との差異化のためにあったほうがいいが、なくても困らない機能もパッケージには記載されている。こうした情報は、小さい文字で表記されていたり、アイコン化されたりしている。こうした情報まで取捨選択しながら、自分に合ったWi-Fiルーターを選べるようになるのが理想だが、まずは基本を押さえておくことが重要となる。

Wi-Fiルーター選びの重要項目

 それでは、実際にWi-Fiルーター選びで重要となる項目を具体的に見ていこう。

①Wi-Fi規格

 Wi-Fiの規格は、「Wi-Fi 7」「Wi-Fi 6」のように、Wi-Fiに数字を組み合わせた形式で呼ばれる。昔はWi-Fiの通信規格を定めたIEEE 802.11nやIEEE 802.11acなどと呼ばれていたが、分かりにくいということで世代を表す数値で表現されるようになった。

【表1】Wi-Fiの規格
表示規格周波数帯最大速度実際の製品の最大速度
Wi-Fi 4IEEE 802.11n2.4/5GHz600Mbps600Mbps
Wi-FI 5IEEE 802.11ac5GHz6.93Gbps2,167Mbps
WI-Fi 6IEEE 802.11ax2.4/5GHz9.6Gbps4,804Mbps
Wi-Fi 6EIEEE 802.11ax6GHz9.6Gbps4,804Mbps
Wi-Fi 7IEEE 802.11be2.4/5/6GHz46Gbps11,528Mbps

 2025年時点での最新の規格は、「Wi-Fi 7」ことIEEE 802.11beとなる。2024年から国内でのラインナップも増え、ハイエンドモデルだけでなく低価格なエントリーモデルも入手可能になった。

 Wi-Fiの規格は、新しいほうが高速で多数の機器を接続しても速度が低下しにくい。詳しくは後述するが、特にWi-Fi 7は320MHz幅での通信やMLO(Multi-Link Operation)と呼ばれる新機能が利用可能となっており、高速化や安定性向上が期待できる。

 もちろん互換性も問題ない。Wi-Fiは基本的に下位互換が確保されているので、規格の違いによる接続に問題が発生しにくい。たとえば、Wi-Fi 7対応のルーターを選んでおけば、Wi-Fi 6/5/4対応のPCやスマホを接続できる。

 ただし、Wi-Fi 5/6対応の古い機器は、Wi-Fi 7で規定された最新機能(4096QAM、320MHz幅、MLOなど)には対応していない。このため、接続先のWi-FiルーターがWi-Fi 7対応であっても、PCやスマホがWi-Fi 6対応であれば、通信速度はWi-Fi 6の上限までとなる。

Wi-Fi 6とWi-Fi 7の違い
基本的に上位の規格を購入するほうが速度的にも機能的にもメリットが大きい

 今(2025年3月時点)、Wi-Fiルーターを購入するなら、「Wi-Fi 7」がおすすめだ。PCやスマホもWi-Fi 7対応モデルが増えてきたため、Wi-Fi 7ならではの機能を活用しやすい状況となっている。

 もちろん、安くなったWi-Fi 6/6E対応モデルを選ぶという手もある。ただし、Wi-Fiルーターは比較的長く(5年以上)使うケースが多いので、将来的にWi-Fi 7が当たり前の時代になることを考えると、Wi-Fi 7に投資しておくメリットが大きい。リーズナブルな価格帯のエントリー向けWi-Fi 7対応モデルも増えているので、価格面でも検討しやすい。

 実際、Wi-Fi 7対応のPCを使ってWi-Fi 7/6/5対応の3つのWi-Fiルーター接続時の実効速度を比較したのが以下の図だ。

Wi-Fi 7/6/5での検証結果
iPerf3による速度比較

 Wi-Fi 7は、1階で3Gbpsを超える速度を達成できており、近距離でのパフォーマンスに優れていることが分かる。床を1枚隔てた2回でも1Gbps越えで通信できる。

 2階以上はWi-Fi 7よりWi-Fi 6のほうが高速だが、これは利用する周波数帯が異なるためだ。上記の測定では、Wi-Fi 6で5GHz帯、Wi-Fi 7で6GHz帯を利用している。6GHz帯は、長距離での伝送や遮蔽物に弱いため、Wi-Fi 7に限らず、Wi-Fi 6Eでも速度が低下しやすい。

 ポイントは、Wi-Fi 7は基本的に6GHz帯も5GHz帯も利用できることだ。Wi-Fi 7は、2.4/5/6GHzの3つの帯域を利用できる。このため、近距離は6GHzで、中長距離では5GHz帯と帯域を使い分けることができる。実際の利用時には、最適な帯域が自動的に選択されるので、意識する必要はないが、6GHz帯は近距離向けという点は理解しておいたほうがいいだろう。

 なお、こうした6GHz帯の特性から、Wi-Fi 7対応であっても6GHz帯を省いた製品も登場しつつある。具体的には、冒頭で紹介したTP-LinkのArcher BE7200がこれに相当し、ほかにも以下のような製品がある。

 これらは、Wi-Fi 6と同じ2.4GHz+5GHzというデュアルバンド構成にすることで低価格を実現しつつ、Wi-Fi 7の一部の新機能(4096QAMやMLO)を搭載した製品だ。Wi-Fi 7のエントリーモデルとして定着しつつあり、長距離に弱い6GHz帯は不要と割り切ればお買い得だ。

 ただし、Wi-Fi 7対応だからと言ってすべての製品で6GHz帯(320MHz幅)が使えるとは限らない点は覚えておく必要がある。

デュアルバンドとトライバンドの違い
同じWi-Fi 7対応ルーターでもデュアルバンドとトライバンドの2種類がある

②通信速度

 通信速度は、製品によってさまざまな組み合わせがあり、前述したようにこれが製品ラインナップの位置づけや価格を決定する要素となっている。

 現在主流のWi-Fi 7ルーターであれば、速度は2.4GHz帯が688Mbpsと1,376Mbpsの2種類、5GHz帯が2,882Mbps、5,764Mbpsの2種類、6GHz帯が5,764Mbpsと11,528Mbpsの2種類となっており、モデルによって組み合わせが変更される。

 前掲したパッケージでは、この速度の組み合わせが合計や「+」で表現されている。バッファローの「WXR9300BE6P」では、「9,300」という合計を表す切のいい数値、および5,764+2,882+688という計算式。TP-LinkのArcher BE7200も「7,200」という合計の概数と5,764+1,376という計算式が表示される。

 この値からは、利用できる周波数帯域の数とそれぞれの通信速度を判断できる。たとえば、5,764+2,882+688なら、6GHz帯が5,764Mbps、5GHz帯が2,882Mbps、2.4GHz帯が688Mbpsとなる。6GHz+5GHz+2.4GHzで表されるのが一般的で、3つの数値があればトライバンド対応であることが分かる(ハイエンドモデルでは4つの組み合わせのクアッドバンドもある)。

 一方、5,764+1,376は、5GHz帯が5,764Mbpsで2.4GHz帯が1,376Mbpsとなる。こちらは2つの数値の合計なので、6GHz帯が省略された5GHz+2.4GHzのデュアルバンドということになる。

 例外もあるが、Wi-Fi 7対応製品の場合は、この組み合わせからモデルのグレードを判断できる。以下のように考えるといいだろう。

【表2】グレードの判断基準
グレード表記
トップクラス(クアッドバンド)11,528+5,764+5,764+1376
ハイエンドクラス(トライバンド)11,528+5,764+688
ミドルハイクラス(トライバンド)5,764+2,882+688
ミドルクラス(デュアルバンド)5,764+1,376
エントリークラス(デュアルバンド)2,882+688

 これら速度の値は、以下の表の例のように、主に帯域幅とストリーム数によって決まる。正確には変調方式や誤り訂正率、干渉を避けるためのガードインターバルのパラメータなども影響するが、パッケージやスペック表を読み解くまでなら単純に帯域幅とストリーム数で考えていい(興味がある人はMCSインデックスを参照)。

【表3】Wi-Fi 7の通信速度の考え方
周波数帯変調方式帯域幅2ストリーム4ストリーム
Wi-Fi 65GHz1024QAM80MHz1,2012,402
5GHz1024QAM160MHz2,4024,804
Wi-Fi 75/6GHz4096QAM160MHz2,8825,764
6GHz4096QAM320MHz5,76411,529

 要するに、一度にどれくらいの幅の通信を同時に何本使えるかで最終的な速度が決まるわけだ。帯域幅はどれくらいの電波を使って通信するかを示し、ストリーム数は同一空間中で通信を多重化するMIMOという技術で何本の通信を同時に行なうかを示している。帯域幅が倍(160→320MHz)になれば速度も倍、ストリーム数が2→4でも速度が倍になることが分かるはずだ。

 よくあるトラックの図で、この仕組みを表現すると以下のようになる。変調方式が荷物の高さ、帯域幅がトラックの荷台の長さ、ストリーム数がトラックの台数だ。規格によって通れる道路に違いがあり、6GHz帯はWi-Fi 6EとWi-Fi 7しか通れない。しかも、320MHz幅の長い荷台を使えるのはWi-Fi 7のみとなる。

ストリーム数の違いによる速度の違い
Wi-Fiの速度の仕組み

 なお、ストリーム数はアンテナ数で表現される場合もある。同一空間中で異なる通信を多重化するには、それぞれの通信を個別の無線モジュールとアンテナを使って放出する必要がある。ストリームの数だけアンテナが必要ということになる。

 長くなったが、結局どれを選べばいいのかというと、Wi-Fi 7のメリットを余すところなく享受したいなら、ミドルクラスとなるトライバンドの5,764+2,882+688Mbpsをおすすめする。

 出費を抑えたいなら、エントリークラスとなるデュアルバンドの2,882+688Mbpsと割り切るのもいいが、近距離で有線LANを超える通信速度を実現できるWi-Fi 7の魅力を堪能できるのは、やはり5,764+2,882+688Mbpsのミドルハイクラスを選んでおきたい。

 ちなみに、前掲の表のように、同じ5,764Mbpsでも、320MHz×2ストリームのケースと、160MHz×4ストリームのケースの2種類が存在する。このうち、Wi-Fi 7対応のノートPCなどで最大5,764Mbpsのリンク可能なのは320MHz×2ストリームのケースだ。

 一方、160MHz×4ストリームは、端末の最大速度は2,882Mbpsとなる。一般的なノートPCやスマホの場合、2ストリームまでしか同時に通信できない(アンテナ2本内蔵)。4系統同時に通信できるのは、同じく160MHz×4ストリーム対応のWi-Fiルーターと組み合わせたメッシュ構成の場合となる。

 前述したTP-LinkのArcher BE7200は、まさに160MHz×4ストリームで5,764Mbpsを実現しているケースとなる。

デバイスによる対応ストリーム数の違い
同じ5,764Mbpsでも使い方が異なるケースがある

③Wi-Fi 7ならではの機能

 製品によっては、MLOなどの機能がセールスポイントとして紹介されるケースもある。MLOはMulti-Link Operationの略で、Wi-Fi 7で新たに採用された機能で、簡単に言うと、2.4GHz、5GHz、6GHzの各帯域を同時に利用する通信方式となる。

 従来のWi-Fi 6までは、PCなどの端末が通信する際、2.4GHz、5GHz、6GHzのいずれか1つを選択して接続していたが、MLOに対応したWi-Fi 7製品では、2.4GHz+5GHz、2.4GHz+5GHz+6Ghzといったように複数帯域を併用できる。

 製品によってサポート状況が異なり、複数帯域使って同時に通信できる場合と、複数帯域で待機しておき通信状況のいい帯域を選択する場合などさまざまな方式が採用されている。

 メッシュ構成でアクセスポイント間通信(バックホール)を高速にリンクするなど、高速化技術としても利用されるが、どちらかというといずれの帯域で干渉が発生しても、通信が途切るのを防いだり、遅延しないようにしたりする技術となる。

 Wi-Fi 7対応製品であればほぼサポートされているが、製品によっては標準では無効化されているケースもある。また、実際に利用するにはPCやスマホなどの接続する側の対応も必要となる点に注意したい。

Wi-Fi 7ならではの機能となる「MLO」。Wi-Fi 7対応製品ならサポートされているが、利用するには対応機器が必要

④中継/メッシュ

 中継やメッシュは、複数台のWi-Fiルーターを利用することで、Wi-Fiのエリアを広げることができる機能となる。中継機やメッシュポイントとして設定した機器が、電波を中継することで、1台では電波が届かない場所での通信を可能にしたり、長距離や遮蔽物がある環境で速度を向上させたりできる。

メッシュ機能の効果
メッシュ対応ルーターを購入すれば、複数台利用することで通信エリアを拡大できる

 メッシュは、最初からセットで販売されているメッシュ専用モデルと、Wi-Fiルーターを複数台組み合わせて利用するパターンがある。最近は多くの製品がメッシュ対応となっているが、Wi-Fi 7では一部対応していない製品もある。現状はバッファロー、TP-Link、ASUSがメッシュに対応しており、同社製品同志であれば、簡単に接続できるようになっている。

 メッシュ構成はWi-Fiルーターが複数台必要なので、広い家やマンションなどの遮蔽物が電波を通ししにくい環境で検討すべき機能となるが、設置後に電波が届かない部屋があることに気づくケースも少なくない。

 メッシュに対応したWi-Fiルーターを選択しておけば、こうしたケースでも後からメッシュでエリアを拡張できる。メッシュ対応の製品を選んでおくのが無難だ。

⑤IPv6対応

 Wi-Fiルーターは、Wi-Fiでの接続に加えて、インターネット接続も担う機器となる。このため、対応するインターネット接続方式も重要なチェックポイントの1つとなる。

 インターネット接続に関しては、現在であればIPv6対応が必須と言える。IPv6機能は、厳密にはIPv6で接続するIPoE IPv6機能と、IPv6ネットワーク上で従来のIPv4通信を実現するIPv4 over IPv6の2種類があるのだが、両方がセットで搭載されているので、単にIPv6機能と呼ばれることが多い。

 IPv6機能については、国内メーカーの製品であればほぼ対応している。バッファロー、NECプラットフォームズ、アイ・オー・データ機器、エレコムであれば、むしろ対応していないモデルを探すほうが難しい。

 一方、海外メーカーの製品は対応がまちまちだ。TP-Linkは対応が進んでいるが、一部機種のみだったり、ファームウェアのアップデートが必要だったりするメーカーもある。メーカーのWebページで対応を確認してから購入することをおすすめする。

⑥2.5Gbpsや10Gbpsの有線LAN

 Wi-Fiルーターの有線LANと言えば、長らく1Gbpsが一般的だったが、最近では2.5Gbpsや10Gbpsに対応した製品も登場している。

 これらは上記IPv6同様、契約中のインターネット接続環境によって選択すればいい。インターネット接続回線が10Gbpsなど高速な環境なら、10Gbps対応の有線LANを備えたWi-Fiルーターを購入することで、せっかくの速度を無駄にせずに済む。

 なお、1Gbps以上の有線LANがいくつ搭載されているかは製品によって異なる。WAN側(インターネット接続用)のみが2.5Gbpsや10Gbps対応のケースもあれば、PCなどを接続するためのLAN側にも2.5Gbpsや10Gbps対応のポートが用意されている製品もある。

 理想は、WAN/LANともに2.5Gbps以上だ。高性能なPCは2.5Gbps対応のLANを備えているケースも増えているので、有線でも高速に接続することが可能になる。

1Gbpsと10Gbps環境の違い
10Gbpsで高速回線やPC、NASなどを高速に接続できる

 ただし、2.5Gbpsよりも10Gbsp対応、WANのみよりもWAN/LAN対応のWi-Fiルーターのほうが価格は高くなる。これらはメーカーもハイエンドに位置づける高級品になりがちなので、費用をよく検討する必要があるだろう。

⑦必須ではない機能

 このほか、パッケージやWebページには特徴として記載されているものの、実際にWi-Fiルーターを使う上で必須ではない機能について触れておく。

 まずは、ゲーミング機能だ。ゲーミングルーターというのは、言わばメーカーのブランディングで、高性能な製品の代名詞として使われるケースが多い。CPUやメモリなどのスペックが高く、特定の端末やアプリの通信を優先的に処理する「QoS」機能によって、ゲームなどの遅延を下げられるのが特徴とされている。

 ただし、実際の環境では、インターネット側の遅延や無線そのものの遅延のほうが大きいため、Wi-Fiルーターを選ぶ際の重要な指標とはなりにくい。

 もう1つは、最近、国内メーカーでも採用例が増えているセキュリティ機能だ。これらは、あると便利な機能であることは確かだ。接続中の端末を把握したり、子どもが悪質なサイトにアクセスできないように制限したり、フィッシングや不正アクセスなどの攻撃を遮断することができる。

 しかしながら、製品によっては、利用するために月額料金が必要になるケースがあるため、この費用をどう考えるかが判断の分かれ目になる。個人的には、小中学生の子どもがいる家庭であれば、利用する価値はあると思うので、自分の環境で必要かどうかを事前に検討しておくといいだろう。

おすすめは3万円前後のトライバンドWi-Fi 7ルーター

 以上、Wi-Fiルーターを購入する際の重要項目について解説した。

 まとめると、選ぶべきはWi-Fi 7でトライバンドがおすすめだ。Wi-Fi 7ならではの6GHz帯で320MHz幅の高速な通信は魅力な上、近距離は6GHz帯、長距離は5GHz/2.4GHz帯と使い分けることもできる。ミドルハイクラスの製品となるため、3万円前後となるが、これから5年以上使うことを考えれば、高くはない投資と言える。

 なお、すでに次世代のWi-Fi 8(IEEE 802.11bn)の話もチラホラと聞こえているが、登場は2028年が予定されており、基本的な技術もWi-Fi 7と大きな差はなく、複数台のアクセスポイントを協調させる技術などが検討されている。このため、当面、Wi-Fi 7が主役となることが想定される。Wi-Fi 7への投資が、無駄になることは当分ないだろう。