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出先でも電子書籍を快適に読める“6型超え”大画面スマホ4選

6型オーバーの大画面スマートフォン4選

 最近はスマートフォンの普及にともなって、電子書籍の閲覧のために専用端末やタブレットを用いず、スマートフォンで済ませる人も増えている。誰しもが電子書籍のヘビーユーザーばかりではないわけで、日々持ち歩いているスマートフォンで、電子書籍の閲覧までひっくるめて行ないたいと考えるのは当然だ。スマートフォンならばネット接続機能が確実に備わっているため、外出先でもすぐにストアを開いて購入/ダウンロードできる利点もある。

 とくにここ1~2年は、6型クラスの大画面高解像度モデルも増え、ページサイズが小さいハンデは払拭されはじめている。またアプリの側も、縦長スマートフォンに合わせて最適化されたマンガアプリが多数登場するなど、閲覧環境が歩み寄ってきているのも見逃せない。今後もこの傾向は、より加速していくだろう。

 今回は、筆者連載の「山口真弘の電子書籍タッチアンドトライ」でこれまで紹介したスマートフォンのうち、電子書籍の閲覧にとくに適した製品を、2019年上半期の時点におけるオススメ製品として紹介する。なお今回はSIMロックフリーモデルを対象としており、キャリア販売のみのモデルは除外しているので、ご了承いただきたい。

電子書籍用途に適したスマートフォン、選ぶ上でのポイントとは

 スマートフォンは専用端末などと違って、電子書籍のためだけに購入することは考えにくい。それでも、なるべく電子書籍が使いやすいことを製品選定の時点で条件に含めておくのであれば、ポイントはいくつかある。その1つは画面の横幅だ。

 最近のスマートフォンは、アスペクト比2:1よりも細長い、極端にスリムな製品も多い。電子書籍をそこに表示しようとすると、横幅に合わせてページ全体が縮小されるため、ページの表示サイズは事実上、スマートフォンとしての画面サイズではなく、横幅で決まってしまう。少しでも横幅が広い製品を選ぶことが、快適な表示への第一歩だ。

 解像度については、多くの製品が300ppiの大台をクリアしているはずで、それほど大きな問題にはならないだろう。一方で、最近のスマートフォンはベゼルの幅を極力せまくし、前面のほとんどが画面という製品もめずらしくないが、電子書籍用途ではあまりにベゼルが薄いと、持ち方によっては意図せずページをめくってしまうなどの問題が起こりやすい。こと電子書籍用途に関しては、従来のホームボタンなどを備えたモデルのほうが使いやすいだろう。

 あとは重量。少しでも軽いほうが、長時間片手で持てて快適な読書が楽しめるわけだが、6型サイズともなると、なかには200gを超える製品もめずらしくない。なるべく200g以下の製品を選んでおいたほうが、使い勝手を考える上ではよいだろう。

 またエントリー向けのスマートフォンに見られる、Wi-Fiが5GHz帯に対応しない製品は、コンテンツのダウンロードやサムネイルの読み込みに時間がかかる場合があるので、いかに価格重視と言えど、なるべく避けたほうが賢明だ。

6型以上の大画面スマホ4製品を紹介

 ここで紹介する製品は下表のとおりだ。

【表】ここで紹介しているスマートフォン
Pixel 3a XLiPhone Xs MaxAQUOS zeroZenFone Max Pro(M2)
メーカーGoogleAppleシャープASUS
OSAndroid 9 PieiOS 12Android 9 PieAndroid 8.1
発売年月2019年5月2018年9月2019年3月2019年4月
サイズ(幅×奥行き×高さ)76.1×160.1×8.2mm77.4x157.5x7.7mm154×73×8.8mm75.5×157.9×8.5mm
重量167g208g146g175g
CPUQualcomm Snapdragon 670
8コア(2GHz + 1.7 GHz)
A12 Bionicチップ
次世代のNeural Engine
Qualcomm Snapdragon 845(SDM845)
8コア(2.6GHz+1.7GHz)
Qualcomm Snapdragon 660
8コア(1.95GHz)
RAM4GB6GB4GB
ストレージ64GB64/256/512GB128GB64GB
画面サイズ6型6.5型6.2型6.3型
解像度2,160×1,080ドット(402ppi)2,688×1,242ドット(458ppi)2,992×1,440ドット(538ppi)2,280×1,080ドット(400ppi)
Wi-FiIEEE 802.11ac 2x2 MIMOIEEE 802.11acIEEE 802.11b/g/n
コネクタUSB Type-CLightningUSB Type-CMicro USB
メモリカード-○(最大2TB)
防水防塵-IP68IPX5/IPX8、IP6X-
認証方式指紋認証顔認証顔認証、指紋認証
駆動時間/バッテリ容量3,700mAhインターネット利用 : 最大13時間
ビデオ再生(ワイヤレス) : 最大15時間
オーディオ再生(ワイヤレス) : 最大65時間
3,130mAh5,000mAh

Google Pixel 3a XL

昨今の大画面スマートフォンとしてはめずらしく、画面上部にノッチのないデザイン。背面に指紋認証センサーを備える

オススメポイント

 GoogleのPixel 3a XLは、6型クラスのスマートフォンのなかでも、スペックおよび価格のバランスに優れた一品だ。筐体の軽さや価格など、1つの特徴にだけフォーカスするならばほかの選択肢もあるが、本製品は突出したマイナスがなく、またカメラ機能やFeliCa対応などの機能もそろっており、完成度はひときわ高い。防水防塵機能がないのが唯一気になるくらいだ。

 電子書籍用途にフォーカスしても、解像度は400ppiと十分、重量も167gと軽量であるため片手でも長時間保持しやすい。また音量調整ボタンが本体側面の下寄りに配置されており、ページめくりの操作も行ないやすいのも利点だ。OSアップデートおよびセキュリティアップデートが最低3年間保証されている点も、ほかの端末に比べると有利と言えるだろう。

コミックを表示した状態。右側面の音量ボタンでページめくりも行なえる
テキストを表示した状態。左が本製品、右がiPhone XS Max。上下のベゼルはやや太いがバランスは悪くない

Apple iPhone XS Max

上下左右ともに切り詰めた全画面デザイン。顔認証に対応するが、指紋認証は非対応だ

オススメポイント

 iPhoneのなかから電子書籍向けにどれかをチョイスするならば、画面サイズが6.5型と大きいiPhone XS Maxが、候補の筆頭に上がる。価格優先ならば6.1型のiPhone XRという選択肢もあるが、ベゼルレスデザインゆえ横幅の広いiPhone XS Maxが、電子書籍用途で頭一つ抜きん出ていることは変わらない。解像度も458ppiと十分だ。

 一方でネックとなるのは、10万円オーバーという価格に加え、重量が208gと、このクラスの製品としてはかなり重いことだ。面積比でスマートフォンの2倍以上あるiPad miniとの重量差が100gを切っていることからも、かなりのヘビー級であることがわかる。性能の高さは疑いようはないが、長時間の片手持ちは、ある程度疲れることは覚悟したほうがよいだろう。

コミックを表示した状態。Androidと違い、音量ボタンによるページめくりには対応しない
テキストを表示した状態。ストアによってはノッチの下ギリギリまでテキストを表示でき、1画面あたりの情報量は同等サイズのスマートフォンより多めだ

シャープ AQUOS zero(SH-M10)

上部にノッチのないスタンダードな画面。顔認証および背面の指紋認証の両方に対応するのは利点だ

オススメポイント

 本体の軽さだけにフォーカスするのであれば、ほかの6型クラスの製品を圧倒するのが、シャープのAQUOS zeroだ。画面サイズは6.2型でありながら、本体重量はわずか146gと、5型クラスのスマートフォン並みの軽さを誇る。長時間手に持った場合の疲れにくさは、200g前後の製品とはまるで別物だ。解像度は538ppiと十分で、顔認証と指紋認証の両方に対応するのも、電子書籍用途では重宝する。

 曲面加工による外光の映り込みやすさは保護シートなどで緩和するとして、ネックとなるのは音量ボタンが他製品に比べて側面の上寄りに配置されており、ページめくりボタンとしては使い勝手がいまいちなこと、またハイエンドモデルゆえの価格の高さだ。現在の実売価格は7~10万円がボリュームゾーンだが、MVNO事業者によっては音声SIMセットでさらに安価に販売されるケースもあるので、興味のある方はこまめにチェックすることをおすすめする。

コミックを表示した状態。音量ボタンの配置が上寄りのため、ページめくりに使うにはこのように筐体上寄りを持たなくてはいけない
テキストを表示した状態。左が本製品、右がiPhone XS Max。天地のサイズはiPhone XS Maxよりは短いが、単体で見ると違和感はなく情報量も十分だ

ASUS ZenFone Max Pro(M2)

上部にノッチを備えるなど昨今のトレンドに即した画面。顔認証および背面の指紋認証のどちらにも対応するのは利点だ

オススメポイント

 6型クラスの大画面モデルのなかで、コストパフォーマンス重視で製品を選ぶ場合に筆頭に上がるのが、ASUS ZenFone Max Pro(M2)だ。6.3型の大画面を搭載しながら、実売価格はなんと3万円台と、10万円前後のハイエンドモデルを圧倒するコストパフォーマンスだ。解像度も400ppiと及第点をクリアするほか、顔認証と指紋認証の両方が利用でき、さらにメモリカードによる容量拡張に対応するのも、電子書籍用途では利点となる。

 ただしOSはAndroid 9ではなくAndroid 8.1であるほか、端子もUSB Type-Cではなく従来のMicro USBだったりと、フォームファクタが古い印象は否めない。Wi-Fiも5GHz帯に非対応であるため、電子書籍用途では、コンテンツのダウンロード速度などで不利になりがちだ。最先端の性能および機能を求めず、電子書籍用途を中心になるべく予算をかけずに製品を選ぶならば、候補となりうるだろう。

コミックを表示した状態。AQUOS zeroと同じく、音量ボタンの配置が上寄りのため、ページめくりに使うには筐体のかなり上寄りを握らなくてはならない
テキストを表示した状態。左が本製品、右がiPhone XS Max。余白とのバランスもよく十分に見やすい