Creators Meet ASUS
第9回: 1.1kgの2in1でもLightroomがさくさく。トラベルフォトライターの田島氏が旅写真の編集法を伝授
~薄型軽量で4コアCPU、16GBメモリ、512GB SSDを搭載する「ZenBook Flip S」
2019年2月12日 11:00
本連載では、これまで5人のクリエイターにASUSのクリエイター向けノートPC「ZenBook Pro 15」を使ってもらい、異なるジャンルの視点から製品の性能の高さや使い勝手の良さを体感してもらった。しかし、ASUS製品でクリエイター向けとなるのはZenBook Pro 15だけではない。クリエイターのプロフェッショナルな業務に対応できる製品ラインナップを多数取り揃えている。
ASUSの「ASUS ZenBook Flip S UX370UA」(以下ZenBook Flip S )は、13.3型サイズで薄さ10.9mm、軽さ約1.1kgという薄型軽量ながら、2in1としての機能と写真編集も可能な性能を兼ね備える製品だ。本稿では、本製品をトラベルフォトライターの田島氏に使ってもらい、旅先にもPCを持ち運び、撮影した写真を現地で修正、アップロードすることも多い田島氏の要望を満たすことはできるのかを検証した。
Creators Meet ASUS 記事一覧
薄型軽量でも高性能CPUを搭載。タブレットとしても使えるZenBook Flip S
前述のとおり、ZenBook Flip Sは、一見すると薄型のモバイルPCだが、ヒンジ部分が180度回転する機構になっており、液晶をひっくり返してタブレットとしても使える2in1となっている。普通、回転式ヒンジを採用すると、本体が厚くなったり、重くなったりするのだが、ZenBook Flip Sは、クラムシェル型ノートPCとして見ても、薄く軽く仕上がっている。
一方で、筐体は高い剛性を持ち、液晶を回転させたり、端を持ったりしても、たわむことはない。
おもな仕様は、Core i7-8550U(4コア/8スレッド)、メモリ16GB、SSD 512GB、1,920×1,080ドット表示/タッチ対応13.3型液晶を搭載(UX370UA-8550の場合)と、モバイルPCとしてハイエンドな構成となっており、Officeドキュメントの作成などだけでなく、写真編集などもこなせる性能を持つ。
本体サイズは311.3×211.8×10.9mm(幅×奥行き×高さ)。バッテリ駆動時間は約8.5時間となっており、処理内容にもよるが、こちらも薄型軽量ながら、1日の作業を充電なくこなせるだけのバッテリを搭載している。
インターフェイスは、USB 3.1 Type-C×2、指紋センサー、IEEE 802.11ac無線LAN、Bluetooth 4.1、Webカメラを装備。キーボードは19.05mmのピッチ、1mmのストロークを確保している。薄型化にともない、USB Type-AやHDMIは装備しないが、Type-C接続の、Type-C(PCへの給電専用)/Type-A/HDMIアダプタが同梱されているので、従来の周辺機器や外部ディスプレイへの出力も問題ない。
ダイヤモンドカットと呼ばれる、筐体の縁をそぎ落とした加工や、塗装の仕上げなど、高級感も従来の「Zen」シリーズから受け継がれており、屋外に持ち運んで積極的に使いたいと思わせるデザインとなっている。
トラベルフォトライターがPCに求めるスペックとは
田島知華氏の肩書きは「トラベルフォトライター」。仕事内容について、詳しくは前回の記事(第5回:祖父にもらった成人のお祝い金がきっかけで旅人に~トラベルフォトライター田島知華氏編)を参照いただきたいが、さまざまな土地へ旅をし、そこで目についたものや人を写真に収め、それを記事としてまとめるというのが田島氏の仕事だ。
カメラはペンタックスの一眼レフカメラ「K-1 Mark II」を使用しており、撮影した写真を現地からアップロードすることもあることから、旅の際にはかならずPCを持ち込んでいる。また、撮影終了のタイミングなどに、写真データをSDカードからPCにコピーしておくことで、一時的なバックアップ機器としてもPCを利用している。
じつは今回、田島氏に検証していただくにあたり、ZenBook Flip Sと、性能はより高いが一回り大きな2in1の「ZenBook Flip 14」も紹介してみたが、田島氏が旅に持ち込みたい機種として選んだのはZenBook Flip Sのほうだった。理由は明快で、軽くて薄いからだ。
田島氏にとって、写真を編集するためにPCは必須の道具だ。しかし、記事の主役となる写真を撮影するカメラが田島氏にとって一番大事な道具となる。そのため、限られたカバンのなかのスペースや、持ち運べる重量という制約は、なるべくカメラやレンズに割きたい。また、三脚はもちろん、最近ではドローンを持ち込んで空撮することもある。そういった理由から可能な限りPCの重量は削りたいというのが田島氏の希望だ。
薄さについても、田島氏は重視している。頻繁に海外に出かける田島氏は、機内でもノートPCを開くことが多い。使わない時間は、前の座席のポケットに入れるが、このポケットは意外に開き具合が狭いものも多く、20mmを超えるようなノートだと入らない場合もある。しかし、ZenBook Flip Sなら確実に入る薄さなので安心だ。
Lightroom CCで性能を検証
田島氏が写真編集に利用しているのはアドビの「Lightroom CC」(以下、Lightroom)だ。従来のClassicではなく、モバイル・クラウドでの利用を重視した新しいLightroomのほうだ。基本的にはPCで編集するが、場合によっては移動中にスマートフォン用Lightroomで編集を行なうこともあるという。
まず、液晶の見栄えについて、本製品はとくにクリエイターに向けたチューニングを行なっているわけではないが、170度の視野角、800:1のコントラスト比、NTSCカバー率72%、輝度300cd/平方mという一般向けとしては高品質なパネルを採用している。田島氏によると、「明るさも十分ですし、色が潰れたり、シャープさが失われるということもなく見やすい液晶だと思います」とのことだ。
性能面はどうか? 今回、田島氏にじっさいに海外で撮影した写真のデータを持ってきてもらって、ZenBook Flip Sでの編集作業を行なってもらった。まず、読み込みについては、SSDを搭載しているということで、ストレスなく読み出すことができた。容量も512GBあるので、高画素な一眼レフカメラの写真でも1回の仕事のデータなら十分保存できる。
システム全体の性能についても4コアCPUと16GBのメモリを搭載していることで、快適に動作しており、田島氏が「挙動が滑らかすぎて、ビックリです。いま自分が使っているノートPCより遙かにいい性能です」と驚くほどだった。
田島氏が一番気に入ったのがタッチ対応という点だった。Lightroomで、画面の右側のペインで各種のパラメータ調整を行ないつつ、左手で写真をピンチ操作で拡大縮小できる。写真編集では細部と全体のバランスを常にチェックしながら作業するので、効率的にタッチで拡大縮小できるのは、生産性向上にもつながる。
また、液晶を折りたたんでタブレットスタイルで使える点も好評だった。田島氏は長いときは1日20時間くらい作業することもあるというが、さすがに作業しすぎて、しばらくPCは見たくないと思うこともあるのだとか。そんなときでも、タブレットスタイルにすると、仕事感が減り、重い腰を上げずとも作業再開できそうだという。これは業務からは外れるがテントスタイルで動画を見られるという点も田島氏のお気に入りポイントだった。
写真編集中は音楽をかけていることがほとんどという田島氏だが、ZenBook Flip Sは小型ながら、ASUSの「Golden Ear」チームとオーディオメーカーのHarman Kardonの技術者が開発した、次世代のASUS SonicMaster技術を搭載しており、モバイルPCとは思えない高品質なオーディオを奏でられるので、別途Bluetoothスピーカーやイヤフォンなどを用意する必要はない。
インターフェイスについては、田島氏がすでにUSB Type-CのSDカードリーダを持っているのでとくに困らないが、ASUSでは、USB Type-C、USB Type-A、HDMI、ミニD-Sub15ピン、Ethernet、SDカードリーダを備えた「ASUS UNIVERSAL DOCK」もオプションで用意しており、これを用いることで写真編集に必要な外部機器/メディアはほぼすべて接続できるだろう。
田島流、旅写真のLightroom編集法
じっさいに田島氏が海外で撮影した写真を仕上げる過程をご本人に説明していただいた。前回の記事でも書いたとおり、田島氏は、大げさな加工は行なわず、素材の良さを活かしつつ、洗練させるといった編集を行なっている。ここで紹介する作業工程も、1つ1つは微妙な変化だが、仕上がったものは撮影したままのものから雰囲気が変わっていることがわかるだろう。
これからトラベルフォトライターを目指す人に
最後に田島氏に、これから田島氏のような職業を目指す人に向けたアドバイスをいただいた。
好きなことを仕事にできれば理想だろう。しかし、好きなことを仕事にできない以前に、自分が好きなことがわかっていないという人もいるのでは? そういう人は、まず自分が好きになれるもの・ことをみつける努力が大事だと田島氏。"努力"と言うと大変そうに聞こえるが、まずはがむしゃらにいろんなことに挑戦してみることからはじめよう。
田島氏自身、それまで興味すらなかったのが、前回の記事にあるとおり、ふとしたきっかけで海外に行ったことで各地で見聞を広め、コミュニケーションを取ることにどはまりしてしまった。ふとしたことが人生の転機になることも往々にしてあるのだ。
また田島氏は、「あるいは、なにか興味を持っていることがあるのなら、その教室に通ってみるのもいいのでは?」と語る。どんなことであっても、最初の一歩を踏み出そうとする意識が重要なのだという。
そしてそれを仕事にするのであれば、田島氏が"トラベルフォトライター"という肩書きを生み出したように、自分にしかできないカタチをみつけ、オリジナリティを出せれば、他の人にはない強みを発揮できるようになるだろう。