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アルマ望遠鏡で129億年前の小銀河を発見。すでに回転していた

ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した銀河団RXCJ0600-2007の画像に、アルマ望遠鏡で観測した129億光年彼方の銀河RXCJ0600-z6の重力レンズ像を赤色で合成した画像

 東京大学大学院理学系研究科附属天文学教育研究センターらによる研究チームは20日、129億年前の小さな銀河を発見し、回転によって支えられていることを発見した。

 遠くの銀河から発せられた光が、地球とのあいだにある大質量な天体の重力によって曲がることで、遮られることなく届く「重力レンズ効果」を活用して観測されたもの。アルマ望遠鏡で宇宙初期の銀河を探し出す大規模掃天観測計画(ALMA Lensing Cluster Survey、ALCS)において、この効果を利用した95時間の観測プログラムで、33個の銀河団を対象に中心領域をくまなく観測した。

 そのうち、太陽の1,000兆倍の質量をもつ銀河団「RXCJ0600-2007」による重力レンズ効果を受けた遠方銀河「RXCJ0600-z6」を発見。観測したちりと炭素イオンの光をジェミニ望遠鏡から得られたデータをあわせた結果、129億年前にこの銀河から発せられたものであることがわかった。分析では、RXCJ0600-z6の像は同効果によって3つ以上にわかれており、約160倍に拡大されていたという。

復元されたRXCJ0600-z6の実際の姿

 加えて、手前の銀河団の重量分布を精密に計測することで、RXCJ0600-z6をもとの姿に復元し、太陽の約20億~30億倍程度の総質量をもつことを明らかにした。さらに、内部構造を約1,000光年の高い分解能で描き出すことにも成功。宇宙の誕生から10億年に満たない時期の銀河では、この程度の高分解能のものははじめてだとしている。

 成熟した銀河が回転しているのに対し、初期の銀河に含まれるガスはランダムな動きをしていると考えられていた。一方で、アルマ望遠鏡では回転している若い銀河をいくつか発見しており、今回のRXCJ0600-z6についても回転によって支えられていることが明らかとなっている。

 今回の発見は、初期宇宙に存在する小さな銀河が回転していたことを示す一例となることから、銀河形成理論の再考につながる重要な結果が得られたとしている。