【MemCon 2009前日レポート】
NANDフラッシュとSSD、低消費電力DRAMの最新動向を報告

MemCon 2009ロゴ

会期:6月22~24日(現地時間)
会場:米国カリフォルニア州サンタクララ
   Hyatt Regency Santa Clara



 半導体メモリに関する技術講演会「MemCon(メムコン)」が米国シリコンバレーで現時時間22日、開幕する。講演会の会期は6月22日~24日の3日間で、初日の22日は有料のチュートリアル講演。23日~24日がMemCon 2009のメインイベントである、講演トラックとなる。前回は講演トラックが3日間用意されていたが、今回は半導体市況の低迷を反映したためか、2日間に短縮された。

設営中の参加登録受付22日はチュートリアルが開催された

 「MemCon」の主催は、Denali Software。同社は展示会運営が専門というわけではなく、半導体メモリ業界では良く知られたソフトウェア開発企業である。メモリのコントローラ回路(ソフトウェア記述)やメモリのシミュレーションモデルなどが主力製品であり、半導体開発やシステム開発などの現場では同社の製品が標準的に使われている。

 今年はMemCon閉幕の次の日、すなわち6月25日に同じ会場で半導体メモリに関するイベントが開催される。米国の規格標準化団体JEDECの主催による、LPDDR2に関する講演会「LPDDR2 Symposium」である。この前日レポートではMemConとLPDDR2 Symposiumの講演概要を紹介しよう。

●6月23日:フラッシュ/SSD

 講演トラック初日の23日は「Flash/SSD」のサブテーマが付いており、参加者はフラッシュメモリとSSD(Solid State Drive)に関する講演を数多く聴講できる。

 午前の始めはキーノート講演である。大手フラッシュメモリベンダーのNumonyxが相変化型不揮発性メモリ(PCM)の将来を展望する。続いてフラッシュメモリモジュールの大手ベンダーであるSanDiskが、ネットブック用の外部記憶アーキテクチャを議論する。それからDenali Softwareが、フラッシュメモリの誤り訂正方式がレイテンシなどの性能に与える影響を述べる。NANDフラッシュメモリの共通インターフェイスを策定している業界団体ONFi(Open NAND Flash Interface Work Group)は、新しいインターフェイスONFI 3.0がSSDの性能に与える利点を報告する。午前の最後はSanDiskが、NANDフラッシュメモリ応用の多様化にともなうメモリマネジメント技術の課題を述べる。

 昼食休憩を挟んで午後の始めには、キーノート講演が予定されている。Denali Softwareが「フラッシュの世界」と題して講演する。続いてMicron Technologyが、NANDフラッシュメモリの製品動向を展望する。仕様を用途に合わせて設定した製品が増えるとする。それからEasyCoが、SSD用NANDフラッシュメモリの制御ソフトウエア技術について講演する。午後の前半の最後には、SSD用NANDフラッシュメモリコントローラに関するパネルディスカッションが予定されている。

 休憩を挟んで午後の後半はまず、STMicroelectronicsがデジタルコンテンツのセキュリティを議論する。続いてSamsung Electronicsが、サーバー用SSDとノートPC用SSDの製品動向を展望する。そしてWestern Digitalが、HDDやSSDなどの外部記憶装置の性能を比較検討した結果を報告する。続いてSSDの将来性をパネルディスカッションで討議する予定である。そして午後の最後には、Denali Softwareが半導体メモリ市場を展望する講演で23日を締め括る。

●6月24日:低消費電力/DDR3

 24日のサブテーマは「Low Power/DDR3」である。午前の始めはキーノート講演となっており、Samsung ElectronicsがSSD、DRAM、NANDフラッシュメモリの市況を展望する。続いてRambusが、次世代の高速メモリインターフェイス技術を議論する。そしてSamsungが、省エネルギと高速性を両立させたDDR3 DRAMモジュール技術を報告する。さらに、DDR3 DRAM市場とDDR2 DRAM市場の動向をパネルディスカッションで議論する。

 昼食休憩を挟んで午後の前半はまず、Freescale Semiconductorが経済成長を牽引する技術とメモリの役割について講演する。その次はパネルディスカッションとなる。メモリサブシステムの消費電力を低減する技術を議論する。続いてDenali Softwareが、各種の低消費電力DRAM技術を解説する。

 休憩を挟んで午後の後半は、Numonyxによるモバイル機器向けメモリシステムの講演で始まる。続いてRambusがモバイル機器用の高速メモリインターフェイス技術を解説する。そして最後にSPMT(Serial Port Memory Technology)が、メモリ用シリアルインターフェイス技術を報告する。

●6月25日:低消費電力版技術仕様LPDDR2のシンポジウム

 始めに述べたように25日には、MemConと同じ会場でLPDDR2 Symposiumが開催される。LPDDR2は低消費電力版のDDRメモリを想定した技術仕様で、「Mobile RAM」の名称で製品化されてきたLPDDR1仕様の後継となる。LPDDR2は2009年4月2日に、米国の半導体技術規格策定団体JEDECによって正式にリリースされた。

 LPDDR2 Symposiumでは午前中に、LPDDR2の必要性と概要、LPDDR2の派生規格であるLPDDR2-SXとLPDDR2-NVMの概要が解説される。午後はLPDDR2メモリを組み込んだシステムの設計ガイドラインやLPDDR2メモリコントローラ、モバイル以外の民生応用の概要に関する講演が予定されている。

 これらの講演の中からPC Watchでは順次、現地レポートをお届けする予定である。ご期待されたい。

(2009年 6月 23日)

[Reported by 福田 昭]