イベントレポート
1PFLOPSのノート「Surface RTX Ultra」分解モデル公開。巨大ファン搭載の理由とは
2026年6月5日 11:03
NVIDIAは新しいArm版Windows向けSoCの「RTX Spark」を6月1日(台湾時間)に発表した。その直後、MicrosoftはこのRTX Sparkを搭載した「Surface RTX Ultra」を発表している。Surface RTX Ultraでは、最大128GBのメモリや、1日(仕事時間に相当する8時間以上の意味)のバッテリ駆動時間を実現しているのが特徴だ。
MicrosoftはそうしたSurface RTX Ultraを、NVIDIAがCOMPUTEX 2026の期間中に公開しているデモスイートで、動作実機や分解モデルを公開した。
Windowsでエージェント型AIを実行する環境の「ショーケース」となるSurface RTX Ultra
RTX Sparkは2026年のCOMPUTEXで最大の話題といって良いだろう。NVIDIAがGrace CPUと呼ぶ20コアCPUと、Blackwellと呼ぶGPUから構成されている。RTX Spark自体は、NVIDIAが既にLinux OS向けに提供している「NVIDIA GB10 Superchip」とほぼ同じ構成で、Windows向けバージョンがRTX Sparkだと考えられている。
最大の特徴は、GPUのスループットが最大1PFLOPS(NVFP4利用時)に達している点。この特徴を生かしてPCの処理を自動化し、ユーザーの生産性を向上させる「エージェント型AI(Agentic AI)」や「フロンティア・エージェント」などと呼ばれるAIエージェントの実行環境として利用できる。
Surface RTX UltraはそうしたRTX Sparkを搭載したクラムシェル型ノートPCになる。これまでSurfaceではタブレットの「Pro」、クラムシェル型の「Laptop」、小型軽量の「Go」、クリエイター向けの「Book」や「Studio」などのサブブランドで製品の特徴を表現してきたが、「RTX」という他社プロセッサの製品名の一部に取り入れつつ、「Ultra」というこれまでにないサブブランドを採用することで、新しい位置付けの製品であることを明確化している。
Surfaceは、Windowsをよりよく使うためのハードウェアのショーケースとしての役割がある。その意味で、このSurface RTX Ultraはエージェント型AIをWindowsで実行するためのショーケースという位置づけで、Microsoftが本気でエージェント型AIをWindows環境で実行することを狙っているといえる。
スペックなどに関しては既に明らかにされているが、プロセッサにはRTX Sparkを採用し、最大128GBのメモリ、ストレージはSSD(容量などは非公開)を採用し、15型の「mini-LED PixelSense Ultra TouchScreen」(解像度などは現時点では未公開)を採用している。
巨大なファンやヒートシンク、大容量バッテリを搭載
今回MicrosoftはNVIDIAのデモブースで、そのSurface RTX Ultraの分解モデルを公開した。外装、マザーボード、バッテリ(容量は非公開)、ディスプレイなどの内部構造が確認できる状態で公開されているわけだが、正式な発売時期(2026年内とはされている)などが明らかになっていない段階で、こうした内部構造が明らかにされることは異例だ。
注目したいのは排熱設計で、ファンとヒートシンク、そして熱伝導のヒートパイプに関してはかなり大型になっている。開発者向けのミニPCとなる「Surface RTX Spark Dev Box」はTDP 100Wだと明らかにされているが、このSurface RTX Ultraの方はどんなTDPをターゲットにして開発されているのかはまだ明らかにされていない。しかし、ほぼゲーミングPC並みの巨大なファンとヒートシンク/パイプから想像するに、それに近いTDP設定がされている可能性は高い。
ただ、現代のCPUやGPUはcTDP(Configurable TDP)になっており、どのTDPで設計するかはメーカーの考え方で決まってくる。軽量性を重視するのであれば、ターゲットとなるTDPを抑えめにして熱設計を簡略化することは可能であるため、一概にRTX SparkのTDPがすべての製品で高めに設定されているとは言えない。ただ、少なくともSurface RTX Ultraにはそれなりの熱設計が採用されている、これは間違いないところだ。
バッテリ容量などは非公開で詳細は不明だ。外形などから見るに、少なくとも70Whは上回っており、100Whとの間ぐらいではないかと感じた。これは目視での容積からの類推であるため、「当たるも八卦当たらぬも八卦」だが、熱設計から考えても、大容量なバッテリが採用されていると考えてしかるべきだろう。熱設計やこうしたバッテリから想像するに、それなりの重量であることは当然想定される。
そうした点を含めて、Surface RTX Ultraは、1PFLOPSというノートPCとしては高性能を実現し、NVIDIAが強調する通りエージェント型AIをローカルに実行する環境であることは間違いない。
Surface RTX Ultraは、本年中の提供開始がアナウンスされており、今後のMicrosoftからの正式なアナウンスを期待して待ちたいところだ。





























