特集
メモリ8GBで仕事なんて無理……そう思っていた時期が僕にもありました
~3週間、メモリ8GBで仕事した結果
2026年8月5日 07:44
最近、PCの値上げが止まらない。具体的にはメモリやストレージの価格がまったく下がる気配がない。このあたりの状況については、これまでに弊誌などで何度もレポートされているが、現在順調に動いているPCが、ある日突然動かなくなったとき、我々はどう対応したらいいのだろうと不安な気持ちになることはないだろうか?フリーランスなど、自宅でPCを使って仕事をしている人にとっては、突然そのPCが動かなくなってしまったら商売あがったりなわけで、不安な気分で過ごしている人もいるだろう。
筆者は仕事柄、Amazonで販売されているノートPCの価格情報などをよくチェックしている。ノートPCのカテゴリを見ていると、その多くが整備済みの中古品なのだが、同じくらいの価格帯でもCPUやメモリ容量、ストレージ容量は千差万別だ。
特にメモリについては8GBモデルを多く見かける一方で、メモリを16GBにした途端に価格がグンと跳ね上がる。一方でCPU性能を下げることで16GBモデルが8GBモデルと同じくらいの価格で買える例も多く見られる。もし、突然PCが動かなくなってしまい、緊急で1台のノートPCを買うことになった場合、CPUとメモリ、どちらを優先すればいいのか、とても悩ましくなることも出てきそうだ。
ここでふと1つの疑問が頭をよぎる。メモリ容量は8GBだが、高性能なCPUを搭載したPCは、仕事ではどのくらい効率的に使えるのだろうか?
ということで本稿では、そんな疑問を解決するべく、1つの実験を行なってみることにした。つまり、CPU性能は比較的高いが、メモリ容量が8GBしかないPCを用意して、実際の作業で使用してみるのだ。果たしてメモリ8GBのPCはどのくらいのパフォーマンスを発揮することができるのだろうか?
今回は、MINISFORUMのRyzen 7 5700Gを搭載するミニPC「MINISFORUM B550」に搭載するメモリを、あえて8GBメモリ1本に絞った環境を構築し、3週間前後、実際の作業で使用してみたので、その経緯と結果について報告していこうと思う。
メモリ8GBのミニPCで「本日見つけたお買い得品」を執筆する
今回、メモリ8GBのミニPCに担当させた仕事は、弊誌PC Watchで毎日掲載されている「本日見つけたお買い得品」の記事執筆作業だ。この作業ではAmazonをチェックして複数のタブを並行して開き、価格情報をチェックするとともに、記事で使用する商品を見つけたらその画像ファイルを保存して、記事掲載用に編集し、テキストを執筆するという流れとなっている。書き終わったテキストは、ローカルでのリンクチェックやAIを使用した文字校正を経て記事を出稿すればこちらの作業は終了だ。
テキストの執筆にはフリーソフトの「サクラエディタ」を使用したほか、画像の編集にはOS標準の「Microsoftペイント」と「Microsoftフォト」ソフトを使用する。ブラウザについてもOS標準の「Microsoft Edge」を使用し、文字校正にはGoogleの「Gemini」を使用した。
そのほか、編集部との連絡にはコミュニケーションツールの「Slack」のWindowsアプリをインストールして利用した。また、キーボードとマウスは共通のものを使いたかったこともあり、Microsoftのアプリ「Mouse Without Borders」をインストールし、操作についてはすべて、メインPC側から行なっている。
メモリ容量の少ないPCを使用する上で、気になるのは実際の作業時のパフォーマンス、そしてストレージの使用状況だろう。というのもWindowsというOSは、メモリが不足した際に、ストレージを仮想メモリ、つまりメモリの代替として使用する(これをスワップという)。そのため、メモリにゆとりがあるときは問題ないが、メモリ残量が不足してくると、スワップへの書き込みが増加し、ストレージの書き込み量増加につながるというわけだ。
そこで、ストレージの使用状況がモニタリングできる「CrystalDiskInfo」を使用して、日々のストレージ使用状況もチェックすることにした。
3週間の「メモリ8GB生活」の日々……ん?意外と快適?
ここからは、実際の作業の様子を日記形式で紹介する。
しかし、結論から言ってしまえば、メモリ8GBといっても、上記のような特定用途だけ、しかも軽めの作業であれば、かなり快適に作業が行なえた。もちろん、このPCであれもこれもとメインPCとして多くの作業を行なわせると、だんだんと動きが重くなったり、パフォーマンスが落ちてくると思われるのだが。
7月8日から9日
環境を構築+翌日のネタ探しをスタートした。前述の通り、作業で使用するアプリのダウンロードやインストールなど、作業で使用するURLをブラウザで読み込む作業などを実施した。ほかにも作業で使用するデータをクラウド同期するなどの作業も行なった。その後は、記事候補となるネタ探しなどにも使用した。
作業については、ブラウザ以外のアプリを使用していないため、あまり重さを感じず、サクサクとネタ候補を抽出。編集部とのSlack連絡なども順調に行なえて、初日の作業は終了となった。
この日のストレージ書き込み量は53GBほどだが、これはクラウド同期によるデータダウンロードによるところが大きいと思われる。
7月10日
いよいよ作業本番。記事執筆や画像処理など、普段メインPC単体で使用しているときよりも明らかに動作が軽い。
理由は明白で、このメモリ8GB搭載のミニPCでは、今回の作業しか担当させていないからだ。ブラウザのタブは大体20個前後しか使用しないため、このレベルの作業ならメモリ8GBのPCであってもかなり快適に作業できることが分かった。
この日のストレージ書き込み量は大体15GBほど。
7月11日から19日
1週間ほど外での取材作業がメインだったため、こちらのPCの作業は実質お休み。PC自体は常時起動したままだったが、作業といえば、帰宅後にちょっとしたブラウジングのみで使用した。ほとんど作業させていないため、この期間の毎日のストレージ書き込み量は平均で10GB前後となった。
7月20日から29日
このあたりから作業を再開した。
なお、初日の作業が快適だったほか、数日のブラウジングについても快適に動作している理由の1つが、Edgeブラウザのタブの数が原因では?と考えた。
ここ数日のEdgeブラウザで開いているタブの数は大体20前後。一方でメインのPCで使用するEdgeブラウザのタブ数は大体50~70前後だったので、以降は公私問わず、調べものなどの検索にはすべてこちらのEdgeブラウザを使用し、開いたタブはそのままにしておくことにした。
その結果、こちらのEdgeブラウザについても常時開いているタブ数が50~70個くらいまで増えたことで、メモリ使用量が増加。それに伴い、ストレージ書き込み量も増加するようになり、ストレージ書き込み量が一気に20~40GB/日くらいに増加した。
一方で、作業効率についてはほぼ変化がなく、相変わらず快適だ。ブラウジング、画像編集、テキスト入力など、作業工程においてメインPCで作業しているとき以上に快適に作業が行なえたので、8GBメモリのPCであっても、十分役に立つということが分かった。
用途を絞れば快適だが、長期利用にはやはり大容量メモリが安心
以上、3週間近くに渡って、メモリ8GBのミニPCに一部作業を任せる生活を送ってみた。用途を絞ることで、低容量メモリのPCにもそれなりに役割が与えられることが分かったのは大きなプラスだ。
正直なところ、筆者が現在、メインで使用している「ThinkPad X1 Nano」は16GBのメモリを搭載しているが、仕事に絡む作業をすべてこの1台で行なっていることもあり、「本日見つけたお買い得品」の記事執筆時は、画像の処理などにおいてかなり動作が重くなってしまう。そもそもThinkPad X1 Nanoのメモリ増設はできないのだが、メモリを増設する代わりに、今回のように特定の作業をメモリ8GBでもいいので別のPCに任せることで、メインPCの負担を軽くできたのもトピックとなった。
もちろん、今回のミニPCの実験については、このPCがセットアップしたばかりのまっさらな状態から使用を開始したという点も重要だ。これがもし、同じ環境で1年、2年と使い続けたとして、その頃にも同じくらい快適に動作するかは未知数だからだ。いくらメモリが8GBと少なくスワップが発生していても、Ryzen 7 5700GのCPUパワーが力づくで処理を支えてくれたため重さを感じにくかった可能性がある。
一方で、特にストレージ書き込み量が増えるほど、ストレージの負荷が上がり、結果としてストレージのパフォーマンスが低下し、作業に影響が出てくる可能性は極めて高い。こうしたストレージの負荷を少しでも減らす意味でも、メモリ容量は多めに確保することが、結果としてPCの寿命を延ばすことにもつながる。
ちょっと気になったので、同環境のメモリ容量を16GBに戻して、同様の作業を試みた。2日間のみの観測値となるが、ネタ探しのブラウジングのみの日のSSD書き込み量が16GB、執筆作業日のSSD書き込み量は13GBとなっており、明らかにSSD書き込み量が減っていることが確認できた。
もっとも、書き込みによる寿命減について、そこまで心配はしなくても良さそうではある。たとえばオフィス業務で十分ゆとりのある512GBのモデルの場合、安いQLC NANDタイプでも寿命の目安の1つである総書き込み容量(TBW)は150TBW前後あり、仮に1日あたり23GB書いても18年は持つ計算。仮に厳しめとなる4倍の100GB/日を書いたとしても4年だ。256GBモデルで、仮にスペックが半減したとしてもそれぞれ9年/2年である。あくまでも目安だが、メモリ高騰の時期はギリギリしのげるそうだ。
また、Microsoftは先日、年内にメモリ8GB以上の環境での最適化を掲げ、メモリフットプリントの削減を発表した。こうした施策が導入されれば、メモリ8GBでの実用性はさらに高まるだろう。
ともあれ、たとえ緊急事態の買い替えであっても、予算が許す限りメモリは多め、具体的には16GB以上を選んだ方が長期的には幸せになれるのは確かだ。とはいえ、万が一8GBモデルを選ばざるを得ない状況になっても、メモリが8GBしかないと割り切って運用すれば、想像以上に快適な作業環境を作ることができる。PCの価格高騰が続く昨今、こうした役割分担による活用法も、1つの現実的な選択肢といえるだろう。


















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