イベントレポート

NVIDIA、65型の4K/HDR/120Hz/G-SYNC対応となるBig Format Gaming Displaysを提唱

~8コアCarmel CPU+512CUDAコアのVolta GPUとなるXavierも発表

NVIDIA CEO ジェンスン・フアン氏

 米NVIDIAは、CESの会期(1月9日~1月12日)の前々日にあたる1月7日記者会見を開催し、同社のゲーミングソリューション、AIソリューション、自動運転ソリューションなどについての説明を行なった。そのなかで、NVIDIA CEOのジェンスン・フアン氏は、「Big Format Gaming Displays」(BFGD)と呼ぶゲーミングPC用のG-SYNC対応65型4K-HDRのディスプレイ規格を発表。NVIDIAが米国など一部地域で販売しているゲーミングデバイスSHIELDの機能も包含されており、Windows PCにリモート接続してゲームを行なったり、Google音声認識の機能などを利用することができる。

 また、レベル3やレベル4の自動運転を実現するAIコンピュータを実現するSoCとして開発してきたXavier(エグゼビア)を、今四半期中にサンプル出荷し、年末までに出荷すると明らかにした。

Max-Qを採用したゲーミングノートPCと65型/4K/120HzのBFGDが紹介

 このCESに合わせて新調されたというトレードマークの革ジャンに身を包んで壇上に現れたNVIDIA CEO ジェンスン・フアン氏は、今回の基調講演で話す内容は「1千億ドルの市場規模があるゲーミング、3兆ドルの資料規模があるAI、そして10兆ドルの市場規模がある自動運転の3つだ」と述べ、その3つのテーマにそって話しを進めていった。

CESの記者会見で語られた3つのジャンル

 そのなかでも、ゲーミングに関しては「GeForceは世界最大のゲーミングプラットフォームであり、とくにアクティブユーザーが多いプラットフォームだ。すでにeSportsはリアルなスポーツを上回る規模になっており、盛り上がっている」と述べ、GeForceなどを搭載するゲーミングPCが、ゲーミングデバイスの中心になっていると強調した。

GeForceは最大のゲーミングプラットフォーム

 そして、ゲーミングPC向けに提供を開始した「Max-Q」についてふれ、「Max-Qを利用した設計したゲーミングPCと以前のゲーミングPCを比較すると、厚さと重さが半分になっている。また、Max-Qを搭載したノートPCは、MacBook Proの4倍の性能を持ち、現在市場に提供されているハイエンドゲーミングコンソールの2倍の性能を持つ」と説明した(Max-Qの詳細に関しては別記事を参照)。

左手に持っているが従来のゲーミングPC、右手の薄いのがMax-QのゲーミングPC
Max-Qを紹介するフアン氏

 また、フアン氏は詳細こそ説明はしなかったが、「このCESで、10つのゲーミングデスクトップPC、3つのゲーミングノートPC、そして3つの大型ディスプレイがリリースされる」と述べ、その大型ディスプレイが、Big Format Gaming Displaysと呼ばれる規格に準拠するものであることを明らかにした。

 BFGDは4K(120Hz)解像度でHDR-10に対応した65型パネルのPC用ディスプレイで、超低遅延でNVIDIAのG-SYNCに対応している。また、NVIDIAが北米などで販売しているゲーミングデバイス「SHIELD」の機能(Googleアシスタント、PC側のGeForceを利用してPCゲームをリモートプレイ、Netflixなどの4Kプレミアムコンテンツの再生機能など)を利用することができる。リビングなどに液晶テレビの代わりにおいて使うことが想定されている。

 BFGDはASUS、Acer、HPから今年後半に提供予定だと明らかにされている。Acerは「65-inch Predator Big Format Gaming Display with NVIDIA G-SYNC」という製品を提供予定で、最大輝度は1,000cd/平方mに対応するスペックであることなどが明らかにされている。HPの「OMEN X 65 Big Format Gaming Display with NVIDIA G-SYNC」も同じように4K/120Hz、HDR対応、SHIELDの機能などが搭載されている。いずれの製品も現時点では価格などは公表されていない。

Acerの「65-inch Predator Big Format Gaming Display with NVIDIA G-SYNC」
HPの「OMEN X 65 Big Format Gaming Display with NVIDIA G-SYNC」(提供:HP)

Tegraの流れを組む車載向けSoCのXavierは350平方mmのダイサイズに

 講演の後半では、主にAIや自動車関連の説明が行なわれたが、その内容のほとんどは12月に東京で行われたGTC-Jと同じなので、本記事では割愛する。興味がある方は、GTC-Jの基調講演レポートをご参照頂きたい。

 そうしたなかでも、いくつかは新しいニュースが提供されており、NVIDIAが開発してきた次世代の車載向けSoCであるXavierの詳細の説明と、自動車メーカーやティア1部品メーカーなどの自動車産業とのパートナーシップの発表が行なわれた。

AI関連の発表はGTC-Jの内容とほぼ同じだった
Voltaを紹介
開発者向けにはTITAN-Vを紹介

 フアン氏は「Xavierは自動運転の実現に向けた基礎になる製品だ。そして350平方mmというSoCとしては世界最大のダイサイズで、90億トランジスタを内蔵している」と述べ、XavierがXeonなどのサーバープロセッサに匹敵するようなダイサイズを持つSoCだと明らかにした。Xavierは12nm FinFETのプロセスルールで製造され、車載向けで必要とされるASIL-Dの機能安全などが実現されている。

Xavierの詳細を説明
Xavierのダイとその説明

 CPUはCarmel(カーメル)の開発コードネームを持つNVIDIA自社開発のArm v8プロセッサで、8コア構成となっている。10ワイドのスーパースカラで、SPECint2000で2700というスコアを叩き出すという。GPUはVoltaベースでFP32/FP16/INT8に対応しており、512基のCUDAコアを備えている。また、1.3CUDA TFLOPS、20Tensor Core TOPSの性能を備えている。深層学習の推論を少ない消費電力で行なえるDLA(Deep Learning Accelerator)を搭載しているほか、1.5Gピクセル/sの処理能力を持つISP(Image Signal Processor)を備えている。

NVIDIAのXavier
DRIVE PX Pegasus

 フアン氏によればXavierは今四半期にサンプル出荷が開始され、年末に量産出荷される予定だ。現在のNVIDIAの自動運転向け開発ボードとなるDRIVE PX2の後継となるDRIVE Xavierというボードに搭載されるほか、Xavierが2つ、Volta後継のGPUが搭載されるDRIVE PX Pegasusに搭載されて自動車メーカーなどに提供される。

世界最大の自動車メーカーの1つVW CEOのハーバート・ディエス氏が登壇し、NVIDIAのパートナーシップについて説明

 世界最大の自動車メーカーの1つであるVWのハーバート・ディエス氏が登壇し、NVIDIAがVWのAIベースの自動運転車開発に協力していくことなども明らかにされた。