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「X68000 Z」だけじゃない!瑞起がプライベート展示会で自社開発製品などを紹介

「X68000 Z PRODUCT EDITION BLACK MODEL」にブラックカラーの「X68000 Z モニター」を並べて展示。手前には同色の専用キーボードも配置

 株式会社瑞起は11月24日、これまで同社が手掛けてきたミニゲーム機の紹介など、メディア向けのプライベート展示会を開催した。会場には同社名義で発売したシャープ製16ビットパソコン「X68000」のリメイク版「X68000 Z」シリーズの展示や、現在クラウドファンディングにて出資者募集中のコナミ製体感ダンスゲームの小型復刻モデル「DanceDanceRevolution Classic Mini」の開発中バージョンの紹介などを行なっていた。

「X68000 Z」シリーズを中心に展示。開発中の「グラディウスII」の動作は良好

 「X68000 Z」シリーズは、同社の知名度を飛躍的に高めた同社名義の製品の1つだ。2022年9月に発表し、同月開催の「東京ゲームショウ2022」会場にてモックの展示などを行なった後、クラウドファンディングにて出資者を募り、2023年には「X68000 Z LIMITED EDITION EARLY ACCESS KIT」をリリース、その後もアップデートを続け、現在はAmazonなどで「X68000 Z PRODUCT EDITION」が購入可能となっている。

 本製品でユニークなのは、過去にX68000関連の開発をしていた人やLinux向けの組み込みアプリケーション開発経験のある人などを対象にモニター募集し、無償で開発中の「X68000 Z HACKER'S EDTION」を提供し、「X68000 Z」の開発協力をしてもらった点だろう。

 そのほかにも、開発者側だけで自己完結せず、当時のユーザーたちなど、オリジナルの「X68000」シリーズに思い入れを持ち、今でも稼働する「X68000」シリーズを複数台所有し、現役で使用している人からの意見や情報をフィードバックして、製品の完成度を高めている。

 会場には「X68000 Z」本体のほか、X68000モニターの形状を再現した「X68000 Z モニター」、当時の複数タイトルを収録した「ゲームコレクションVol.1」なども展示されていたほか、現在「X68000 Z」上で正常に動作するために開発を続けているX68000版「グラディウスII -GOFERの野望-」の開発中のバージョンをプレイ可能な状態で展示していた。

 開発中の「グラディウスII -GOFERの野望-」について実際にゲームをプレイしてみたが、筆者はオリジナルの「X68000」シリーズの知見が乏しいこともあり、再現性の是非までは語れないが、ステージ1「人口太陽」の粗めのドット絵や、処理落ちが発生する様子など、当時の稼働状態を忠実に再現しようとしている様子が確認できた。

 なお、同社では「X68000 Z」向けにコナミのゲームタイトルとして、「沙羅曼蛇」、「ツインビー」、「クォース」、「出たな! ツインビー」、「グラディウスII -GOFERの野望-」、「悪魔城ドラキュラ」の6本のリリースを予定している。

「X68000 Z」関連展示
「X68000 Z LIMITED EDITION EARLY ACCESS KIT」にホワイトカラーの「X68000 Z モニター」を並べて展示。手前には専用キーボードも配置
「X68000 Z」で動作するように調整されたゲームタイトルのうち、現在も販売されているのは「ジェノサイド」と「ファランクス」が収録されている「ZOOM PACK I」。複数タイトルを収録した「ゲームコレクション Vol.1」は「X68000 Z PRODUCT EDITION」の「コンプリートパック」を購入すると付属するもので現在は単品販売はしていないようだ
「X68000 Z」上で動作する「グラディウスII -GOFERの野望-」のプレイ画面
3ステージ「結晶」の途中でゲームオーバー

「DanceDanceRevolution Classic Mini」はクラファン期間延長

 現在同社が新たにクラウドファンディングにて出社を募集しているのがコナミ製体感ダンスゲーム「DanceDanceRevolution」の小型復刻モデル「DanceDanceRevolution Classic Mini」だが、こちらも会場では開発中の本体が展示されていた。

 既報の通り、筐体サイズを5分の1とコンパクトにしており、本来なら足で踏むことでリズムを刻んでいた操作を手で操作可能なパッド型のコントローラを採用することで再現。当時のように足で遊びたい場合は、PC用に発売された「DanceDanceRevolution専用コントローラ」を接続して利用することも可能だ。筐体に備えるディスプレイは5型サイズだが、こちらもHDMIでTVなどに出力できる。

 「DanceDanceRevolution Classic Mini」のクラウドファンディングについては、募集期間を2024年1月25日まで延長することが発表されている。この期間延長に伴い、ライセンス楽曲をさらに追加していく予定としている。

開発中の「DanceDanceRevolution Classic Mini」
当時、実際の筐体に貼られていたラベルなどもミニチュア化して再現されている

 そのほかにもこれまで裏方として同社が開発、量産などを手掛けたハードウェアの紹介なども行なわれており、同社Webサイトで紹介されているセガの「アストロシティミニ」やタイトーの「EGRETII mini」を含め、過去に発売されたコンパクトサイズのミニゲーム機の数々が並べられていた。

 同社によると、これまで国内市場で販売されたミニゲーム機については「プレイステーション クラシック」と「NEOGEO mini」以外のほぼ全てが同社が関連しており、顧客に応じて手掛けた範囲は異なるが、部品提供のみの場合もあれば、筐体の設計からOSの準備、量産した製品を納品するところまで手掛けた場合もあるとした。

ゲーム機のミニシリーズがズラッと並べられており、壮観だ
ゲーム機ではないが、CEREVOのライブ配信機材「Cerevo LiveShell W」も展示。こちらも同社基板が採用されていた
Nintendo Switch用の「電車でGO!! 専用ワンハンドルコントローラー」も展示
発売済みの「電車でGO! PLUG&PLAY」及び、12月7日に発売を予定しているタイトー「電車でGO! PLUG&PLAY 2 山陽新幹線編EX」も展示されていた
「電車でGO! PLUG&PLAY 2 山陽新幹線編EX」はプレイ可能な状態で展示

 実際のところ、同社が手掛けたとされるゲーム機のミニモデルについては、筆者もほぼ全て所持しているが、いずれもその完成度は高い。

 特に筆者も個人で購入した「X68000 Z PRODUCT EDITION」については、外箱や梱包だけでなく発送時の段ボールまで専用の物が用意されており、細部までのこだわりが感じられる逸品となっていた。

 今回の展示会では、残念ながら未発表の製品やプロジェクトについての話は聞けなかったが、現在も水面下では複数の会社とさまざまなプロジェクトが進行中だという。次は我々にどのようなユニークなプロジェクトを展開してくれるのか。引き続き瑞起の動向からは目が離せない。

筆者が購入した「X68000 Z PRODUCT EDITION」のスターターパックの段ボールと外箱はどちらも専用のものが用意されていた
筆者の手元にある「X68000 Z PRODUCT EDITION BLACK MODEL」本体。まだあまり遊べていないのだが、取っ手の出し入れなど、細部までの作りこみがしっかりしており、この手のミニ系ハードが好きな人なら1台手元に置いておきたい逸品に仕上がっている