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Samsung、128層シングルスタックの第6世代「V-NAND」を2020年市場投入
2019年11月25日 06:00
日本サムスンは19日、「Samsung SSD Forum 2019 Tokyo」を都内で開催した。
本稿ではSamsung Electronics メモリ事業部商品企画チーム専務 ハン・ジンマン氏の講演、および展示されていたソリューションについてお伝えする。
ジンマン氏は、同社の積層NANDフラッシュ「V-NAND」は最新の第6世代で128層シングルスタックを達成し、TLCで512Gb(ギガビット)の容量を実現したと説明。2020年に市場へ投入する予定であるとともに、5年以内に500層以上のスタックを目指して研究を行なっているとした。
続いて同氏はクラウドとコンシューマ、自動運転の3つに合わせて同社のソリューションを紹介した。
クラウドでは、広帯域で安定性の高いストレージソリューションが要求されるとして、PCI Express Gen4(PCIe Gen4)接続のSSDを紹介。U.2フォームファクタの「PM1733」ではシーケンシャルリード6,400MB/sの高速転送を実現するとともに、30.72TBの大容量モデルを投入。デュアルポート設計とすることで、2コントローラを搭載して片方が破損しても動作し続けられるとアピールした。
クラウドサービスなどアクセスレイテンシの小さいストレージが求められるシーンには、低遅延SSD製品の「Z-SSD」をアピール。SLCベースでゲート幅の最適化や、より高速な電圧昇降の実装などで、TLCベースの通常SSD比で5.5分の1のリードレイテンシを謳う。
高速でNANDフラッシュに最適化されたNVMe SSDが大きく市場を牽引しているが、HDDからの置き換え需要やホットプラグ対応などの利点があるSAS SSDについても製品開発を継続し、SAS 24G対応のSSDを投入するとした。
同氏は、同社の主導するNF1だけでなく、他社が主導する規格を含めたさまざまなフォームファクタで製品を投入するとしたほか、PCIe Gen4の製品登場から間もないが、さらに帯域幅が2倍に高速化されたPCIe Gen5接続のSSDについても開発を表明した。
それらの従来製品の延長線上にあるものだけでなく、FPGAを内蔵しCPUで行なっていた処理を肩代わりできる「SmartSSD」や、Ethernet経由でのストレージ拡張を容易にする「EthernetSSD」といった、未来のSSDについても研究開発を続けていくとアピールした。
コンシューマ向けストレージでは、スマートフォン向けのUFS 3を紹介。iOSデバイスのフラッシュストレージよりも、AndroidとUFSの組み合わせでは書き込み時の性能落ち込みがなく安定して高速であるとアピールした。
UFSはおもに組み込み向けのeUFSが普及しているが、SamsungではリムーバブルなUFSカードも製品化しており、競合するmicroSDカードよりも高速であるだけでなく、ハードウェアエラーやデータ損失検知、エラー回復や自動再転送といった機能で安定性も高いとする。
すでに韓国では発売されており、2020年に米国にも投入予定。展示説明員によれば、同社の一部ノートPCなどにUFSカードスロットが搭載されているとのことだ。
また、コンシューマ向けにはゲーミング分野でもSSDが展開されていると紹介し、2020年にはPCだけでなく家庭用ゲーム機にもNVMe SSDが搭載されると説明。大容量化の進むゲームコンテンツの快適なプレイにはSSDが必須であるとした。
モバイルデバイスの増加で、より省スペースなSSDの開発にも取り組んでおり、M.2 22x30の小さなサイズでNVMe SSDを製品化。硬貨サイズかつ1g未満の重量で1TBの容量を実現したとアピールした。