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PC販売店協会がパナソニック神戸工場のモノづくりを視察
2019年5月21日 06:00
一般社団法人日本コンピュ-タシステム販売店協会(JCSSA)は、2019年5月20日、兵庫県神戸市のパナソニック コネクティッドソリューションズ社のモバイルソリューションズ事業部神戸工場を視察した。
参加したのは、同協会の大塚裕司会長(=大塚商会社長)や、今年(2019年)6月の次期会長への就任が内定している林宗治副会長(=ソフトクリエイトホールディングス社長)など18人。今回の視察の目的について、同協会の松波道廣専務理事は、「JCSSAとして、パナソニックの工場を訪問する機会がなかったが、パナソニック コネクティッドソリューションズ社の樋口泰行社長からの提案もあって実現した。パナソニックがこだわるMADE IN JAPANのモノづくりについて、会員各社が理解する機会になった」とした。
パナソニックは、2018年1月に、JCSSAに入会しており、PCメーカーの参加では遅く、こうした機会がなかった。日本マイクロソフト社長などの経験を持つ樋口氏がパナソニック入りし、入会を決定。今回の視察につながっている。
同協会では、2018年11月に、長野県安曇野市のVAIO本社および工場を視察しており、今回のパナソニック神戸工場の視察は、それに続くものになった。
また、JCSSAの視察団を迎えたパナソニック コネクティッドソリューションズ社の樋口泰行社長は、「日本国内に生産拠点を置き、品質にこだわったMADE IN JAPANのモノづくりをしていることや、かゆいところにまで手が届くカスタマイズやサポート体制を実現していることを、JCSSAの会員各社に体感してもらう機会になった」とした。
視察団は、パナソニックのモバイルソリューション事業への取り組みについて説明を受けたあと、神戸工場のショールーム、試験設備、組立ラインなどを見学した。
視察団への説明のなかで、パナソニック コネクティッドソリューションズ社モバイルソリューションズ事業部長の坂元寛明氏は、2019年度のレッツノートおよびタフブックの出荷計画を100万台以上とする姿勢を明らかにした。
樋口社長も、「これまでは、数字を追わないのがレッツノートおよびパナニックのPCビジネスのやり方だったが、今年度は、Windows 7のサポート終了、消費増税もあり、需要が集中するため、業界全体も盛り上げなくてはならない。今年は、100万台という切りのいい数字にはこだわる」などと述べた。
パナソニックによると、2017年度の出荷実績は86万台。そのうちレッツノートは約42万台、タフブックは約43万台だったが、2018年度は合計で96万台と過去最高を更新。そのうちレッツノートは42万台、タフブックは54万台の出荷実績になったという。
2019年度は、レッツノートで42万台以上、タフブックで54万台以上と、いずれも過去最高の更新を目指し、合計で100万台突破を目指すとした。
CPUの供給不足が懸念されるものの、生産量の7割を占める神戸工場と、3割の生産量を占める台湾の生産拠点に加えて、新たに中国・北京の生産拠点で5型の堅牢タブレットの生産を立ち上げる予定を初めて明らかにし、これにより生産体制を強化。
さらには、「今後、非常にすばらしい製品の投入を予定している。引き続き、尖ったレッツノート、尖ったタフブックを、顧客がもっとも満足できる製品として開発していくほか、オンリーワンと言ってもらえるソフトウェアやサービスを組み合わせることで、圧倒的ナンバーワンと言ってもらえることを目指す」(パナソニックの坂元事業部長)とした。
また、残価設定プランを組み合わせた、月額でのサブスクリプションモデル「レッツノートLCMサービス」も、2019年度内にスタートする予定だ。これも、2019年度のレッツノートの販売に弾みをつけそうだ。
パナソニック神戸工場は、1990年にワープロ専用機の工場として操業。来年(2020年)は30周年の節目を迎える。1991年からは、PCの生産を開始。現在は、レッツノートやタフブックを生産。基板製造から組立までの一貫生産体制を確立しているのが特徴だ。
パナソニック コネクティッドソリューションズ社モバイルソリューションズ事業部オペレーションセンター所長の清水実氏は、「自社一貫生産と、お客様ダイレクトの仕組みによって、Japan Qualityを実現する。そして、商品ライフサイクル全域で、お客様の困りごとを解決できる工場である。それらを実現するために、神戸工場には、4つの特徴がある」とする。
清水所長が語る4つの特徴とは、次のとおりである。
生産計画を毎日見直し、1台からの要望にも対応する「柔軟、迅速」、各種試験装置による評価によって耐久性や信頼性を保証する「高品質」、一品一様でカスタマイズし、365日サポート体制で工場からの修理サポートとコールセンターサービスを行なう「カスタマイズ・サービス」、年間2,000人以上が来場し、現場プロセスイノベーションを体験してもらうことができる「体験型ショールーム」であるという点だとした。
3時間以上にわたって、神戸工場の視察を終えた大塚裕司会長は、「パナソニックの神戸工場を視察できる機会を得たことに感謝したい」と前置きし、「まっさらな基板から、最後の組立、検査までを一気通貫で行なっている日本のPCメーカーは少ない。徹底した品質検査や、細かい要望に対応するための在庫管理など、日本でのモノづくりならではのこだわりを感じた。
また、工場全体がきれいであり、静かである。働いている社員からも挨拶をしてもらい、そうしたところにも日本の生産拠点である良さを感じた。かゆいところにも手が届く生産体制を構築しており、それを販売する立場としても心強い。神戸工場であれば大丈夫であり、安心であるという裏付けを知ることができた」などと述べた。