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Adobe Fontsに日本一画数の多い漢字。貂明朝の新フォントも

~Photoshop for iPadなど新アプリのQ&Aセッションも

Adobe MAX Japan 2018が開催

 アドビ システムズ株式会社は11月20日、クリエイター向けイベント「Adobe MAX Japan 2018」を神奈川県内のパシフィコ横浜で開催した。Adobeの社員や著名なクリエイターらが登壇する各種セッションや、ワークショップなどが用意された。

 本家Adobeはすでに10月に米ロサンゼルス・コンベンションセンターにて、Adobe MAX 2018を開催しており、今回のAdobe MAX Japan 2018と内容の重複がある。そのため、PhotoshopやIllustratorといった既存アプリの新機能や、動画編集向け新アプリのPremiere Rush CC、2019年に登場予定のPhotoshop CC for iPad、ドロー/ペイントアプリのProject Gemini、ARアプリのProject Aeroなどについて知りたい方は下記記事を参照されたい。

 ここでは、おもに日本国内向けに発表された内容を紹介する。

Typekit改め「Adobe Fonts」では新日本語フォントも追加

左からAdobe Fontsの説明で登壇した、アドビ 日本語タイポグラフィ シニアマネージャーの山本太郎氏、同 日本語タイポグラフィ チーフタイプデザイナーの西塚 涼子氏、同 Adobe Creative Cloud デザイン製品担当マーケティングマネージャーの岩本崇氏

 一般来場者向けの基調講演だけでなく、メディア向けの説明会も実施されており、そのなかで日本におけるAdobe Fontsの内容説明が行なわれた。

 周知のとおり、TypekitはAdobe Fontsという名称に改められたが、これにともない従来のわかりにくかった契約形態が見直され、有償であるか、無償であるかの2つだけになった。デスクトップフォントの同期回数、Webフォントのページビュー/ドメイン制限もなくなっており、より多くのクリエイター/デザイナーへのCreative Cloudの利用促進を図る。

TypekitはAdobe Fontsに
シンプルな料金体系
各種制限も撤廃
Creative Cloudに統合

 現状有償のフォントは15,000個あり、日本語フォントは185個となっている。無償は6,000フォントで、こちらでは28個の日本語フォントが含まれる。フォントはCreative Cloudにて用途や言語などでまとめた「フォントパック」としてまとめられており、名刺向けの欧文フォントに適したものなど、ユーザーがなにを使えばデザインに向いているかわかりやすくなっている。

 日本語フォントとしては、すでに貂明朝(てんみんちょう)が提供されているが、これに兄弟的なフォントの「貂明朝テキスト」が追加された。貂明朝はデスクトップ書体としてリリースし、想像以上の評判だったとのことだったが、書籍での本文利用としては若干インパクトが強いため、向いていなかったという。そのため、貂明朝テキストでは本文でも使えるようにスタイリッシュなフォルムを持たすことを目指した。

 また、貂明朝テキストの追加にともない、貂明朝も含めてカラーのイラスト文字も追加されている。実際に“ネコ”などと文字を打つことでそのイラストが表示され、文字のベースラインに沿ってイラストが配置される。

Adobe Fontsで利用できる日本語フォントのメーカー
フォントパックで用途や種類に応じた複数のフォントをダウンロード
貂明朝フォントに加え、貂明朝テキストフォントが加わった
貂明朝と貂明朝テキストの違い

 Adobe FontsはCreative Cloudでの提供だが、多数の契約者がいると見られるPhotoshop CCとLightroom CC/Classic CCが使える「フォトプラン」でも利用可能とのこと。フォントはCreative Cloudのランチャーアプリなどから利用でき、Webサイト上で該当するフォントをアクティベーションすれば利用できるようになる。

 今回はアジア向けの源ノ角ゴシックVフォントなどのアップデートも行なわれており、日本でもっとも多い画数を持つ漢字なども追加された。なお、バージョンアップは自動では行なわれず、古いバージョンのフォントを使っている場合は、一度アクティベージョンを解除して、再度アクティベーションすれば最新フォントが適用される。

源ノ角ゴシックVフォント
繁体字香港向けフォントを追加
新旧バージョンの違い
日本でもっとも画数の多い漢字
かなデザインの変更
新フォントへのバージョンアップには再アクティベートが必要

Photoshop for iPad、Project Gemini、Project Aero向けQ&Aセッション

AdobeでSenior Director of Design, Creative Cloud & Document Cloudを務めるEric Snowden氏(左)と、Sr. Director, Engineering - Head of Augmented RealityのStefano Corazza氏

 2019年に登場予定の「Photoshop for iPad」、「Project Gemini」、「Project Aero」アプリに関するQ&Aセッションも実施され、AdobeでSenior Director of Design, Creative Cloud & Document Cloudを務めるEric Snowden氏と、Sr. Director, Engineering - Head of Augmented RealityのStefano Corazza氏が登壇した。

Photoshop for iPad

 Photoshop for iPadに関しては、既報のとおりデスクトップ版のPhotoshopと遜色ない機能が提供されることが公式に伝えられているが、完全に同じというわけではなく、若干の違いがあることが示唆された。むしろApple Pencilを利用できるタブレットだからこそ特化した機能が提供され、デスクトップ向けの機能もタブレットに合わせて調整されるという。ただ、現時点では最初のバージョンにどういった機能が実装され、どういった違いがあるのかは明かされなかった。

 また、iPad Proでは搭載メモリの容量がデスクトップ版と大きく異なるが、Photoshop for iPadのデモンストレーションでは、3GBほどの200レイヤーからなるPSDファイルを操作しており、デスクトップ版と比較して動作が大きく制約されることはほとんどないとしている。

 なお、現時点ではiOS向けのみしか考えておらず、Windowsタブレットなどでの展開は考えられていない。ただし、Adobeはマルチプラットフォームでの体験を推し進めており、ゆくゆくは利用できる可能性もあり得るとほのめかした。

Project Gemini

 ドロー/ペイントアプリのProject Geminiについては、ラスタライズとベクタに両対応できることを改めて強調。独自のファイル形式を利用しているが、PhotoshopやIllustratorとの互換性を有しており、相互での行き来が可能。Adobeによれば、ドローイングはワークフローのカギとなり、そこからデザインが出発することが多く、そのため独立したアプリとして登場させることにしたとしている。

Project Aero

 Project AeroはiPadだけでなくiPhoneでも実行できるユニバーサルアプリとしてリリースされる。現時点ではHMDなどでの展開は考えておらず、主戦場はあくまでSNSなどでの利用が想定されているという。この点は世のなかの需要に合わせた上で、プラットフォームを広げていく考えがあるとした。

 ファイル形式はクラウドベースの新しいものだが、3D画像製作のDimensionと同じ技術が使われており、プロジェクト間でのコラボレーションも行なえる。

 それぞれ3つのアプリについてはすべてCreative Cloudで提供されるが、どういったプランになるかなどはいまだ不明で、2019年でのリリースと詳細発表が待たれる。