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【Adobe MAX】無償でも6,000フォントまで利用可能となったAdobe Fonts

TypekitからAdobe Fontsへブランド名が変更

 米Adobe(10月上旬に社名がAdobe SystemsからAdobeへと変更。日本法人はアドビシステムズ株式会社)は、10月15日~10月17日(現地時間)の3日間に渡り、クリエイターツール「Adobe Creative Cloud」に関する年次イベント「Adobe MAX」を、アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルスにあるロサンゼルスコンベンションセンターにおいて開催している。

 現地時間10月15日の午前中には基調講演(マルチプラットフォームに本格的に舵を切るAdobe参照)が開かれ、「マルチデバイス、マルチプラットフォーム」を掲げるモバイル重視戦略、それに伴ったPhotoshop CC for iPad、Project Gemini、Project Aeroといった来年投入する製品の開発意向表明を行なった。

 そのなかでひっそりと、従来「Typekit」(タイプキット)と呼ばれていたAdobeのフォント製品のブランドが「Adobe Fonts」へと変更された。Typekitにおける100フォントまでの同期制限、Webフォントの利用制限などが撤廃され、シンプルなプランに変更されているほか、無償でも6,000フォントまでは利用可能という太っ腹な無償プランも用意されている。

TypekitからAdobe Fontsへ。有償と無償プランのみにシンプル化

 Adobe 製品管理担当部長のマシュー・レヒツ氏はAdobeがTypekitのブランド名をAdobe Fontsに変えた理由を「お客様にわかりやすくするためだ」と説明した。そもそもTypekitのブランド名は、かつてAdobeが買収したフォント企業の製品名に由来している。Creative Cloudに統合していくにあたり、従来の製品名を残した方がいいという判断で、Typekitのブランド名を使ってきたが、よりわかりやすくするために、「Adobe Fonts」に変更した。

Adobe製品管理担当部長のマシュー・レヒツ氏

 このシンプルにするというコンセプトは、名前だけでなく、製品プランにも適用されている。従来のTypekitは有料プラン、Creative Cloudのコンプリートプランに含まれるフルライセンス、Typekit単体のプランなどとかなり複雑なライセンス体系になっており、それを理解するのにも一苦労という感じだった。

 Adobe Fontsではそこがシンプル化され、無償プランと有料プランの2つだけになった。有料プランの方は、何らかの有償Creative Cloudの契約があれば利用できるため、コンプリートプランはもちろんのこと、フォトプランのようにLightroom CC/Lightroom Classic CCだけを利用できる利用できるアプリケーションが限られているプランでも利用できる。

複雑なプランから無償プランと有償プランのシンプルな構成に

 これに対して無償プランは、Adobe ID(Adobeのサービスを利用するために必要なアカウント)を持っていれば、無償で利用できるプラン。有償プランとの違いは、ただ1つで使えるフォントの数だ。有償プランが現状でグローバルに15,000フォントが利用できるのに対して、無償プランでは6,000フォントまでに制限されている。

 Typekit時代にも無償プランは使えていたが、当初は1,500程度だった。今回のアップデートで、他社の無償フォント(たとえばGoogle Fonts)に遜色ないどころか、より魅力的なサービスになっていると言える。

Typekit時代の制限が撤廃され使い勝手向上

 もう1つの重要な変更は、利用時のさまざまな制限が撤廃されたことだ。Typekit時代には同期できるフォントの数は100に制限さていたのだが、制限なく同期できるようになった。多数のフォントを活用しているというプロフェッショナルユーザーであれば、この変更は朗報と言えるだろう。

さまざまな制約が撤廃されより使い勝手が良くなっている

 また、フォントをWebコンテンツに使う場合には、プランにより最大のページビュー数、またアクセス可能なドメインの数への制限などの制約がかけられていたのだが、これも撤廃された。Web向けだけに利用できるフォントもあったのだが、その制限もなくなった。

フォントパックの仕組みが導入される

 もう1つのシンプル化という点では「フォントパック」と呼ばれる仕組みが導入された。15,000も選択肢があると、自分のコンテンツにどれを使ったらよいか悩んでしまうこともある。そこで、Adobe FontsではAdobe Sensei(AdobeのAI/マシンラーニングの仕組み)を利用し、写真や画像に写っているロゴから似たようなフォントを探してきてくれる機能が用意されているのだが、フォントパックでは、デザインに精通したエキスパートがお薦めのフォントが選ばれる。音楽ツールのプレイリストのようなものだ。

よりシンプルで使いやすいフォントになるAdobe Fonts