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SSDの基礎知識、ググらないで答えられる?
~HDDとの違い、MLC/TLC、3D NANDは高耐久? シーケンシャル/ランダムアクセスって?
2018年8月28日 13:07
PCで使えるさまざまなストレージ。仕組を知らなくても使えますが、理解して使えば、その性能を活かし切ることができます。スペックの読み方や使いこなしなど、知らないことは意外と多いはず。生かすも殺すもあなたのウデしだいです。DOS/V POWER REPORT 2018年10月号の「特集・SSD/HDD/NAS+αPCストレージ強化計画」では、たくさんのストレージのギモンに答えています。ここではSSD編から5つのギモンを抜粋してお届けします。
TEXT:鈴木雅暢
SSDって何ですか?
A:不揮発性メモリを使ったストレージです
SSD(Solid State Drive)は、不揮発性メモリ(通電していなくともデータを保持できるメモリ)を利用したストレージです。メモリとしては「NAND型フラッシュメモリ」が主に使われています。SSDの実体は、メモリやコントローラを搭載した小さな基板です。モーターで動く部品が使われているHDDと違い、SSDのデータの読み書きは、メモリへの電流操作のみで完結するため、高速かつ静音で、振動や衝撃にも強いというメリットがあります。現在はHDDに代わってPCのメインストレージになっています。
形状、インターフェースなど仕様の幅が広すぎて混乱します
A:まず、「フォームファクター」と「インターフェース」を理解しましょう
SSDの形状のことを「フォームファクター」と言います。「インターフェース」は、SSDとPCをつなぐ伝送路のことです。現行では、最大データ速度が600MB/sのSerial ATA 3.0と、約4GB/sのPCI Express 3.0 x4の2種類があり、高性能なSSDは後者を採用しています。重要な点は、フォームファクターとインターフェースは別の要素であり、購入時に両方を確認する必要があることです。M.2と言うとPCI Expressをイメージする方が多いようですが、Serial ATAのものもあります。また、最近のPCI Express SSDは「NVMe」というコマンドプロトコルを使っているため「NVMe SSD」と呼ばれることもあります。
【検証環境】
CPU:Intel Core i7-8086K Limited Edition(4GHz)、マザーボード:ASUSTeK ROG STRIX Z370-F GAMING(Intel Z370)、メモリ:Micron Crucial Ballistix BLT2K8G4D26AFTA(PC4-21300 DDR4 SDRAM 8GB×2)、ビデオカード:玄人志向 GALAKURO GK-GTX1070Ti-E8GB/WHITE (NVIDIA GeForce GTX 1070 Ti)、システムSSD:Samsung SSD PM961 MZVLV512HCJH[M.2(PCI Express 3.0 x4)、512GB]、PCI Express SSD:Samsung SSD 970 PRO MZ-V7P1T0BW[M.2(PCI Express 3.0 x4)、1TB]、Serial ATA SSD:Samsung SSD 860 EVO MZ-76E500B/IT(Serial ATA 3.0、525GB)、Serial ATA HDD:Seagate IronWolf ST12000VN0007(Serial ATA 3.0、7,200rpm、12TB)、OS:Windows 10 Pro 64bit版SSDのスペックの意味を教えて
A:「シーケンシャル」と「ランダム」の違いから覚えましょう
SSDのスペックとして記載されるシーケンシャルリード/ライトは連続したデータの読み書きを表わします。たとえば、ファイルコピーなどの速さはこの数字が目安になります。ランダムリード/ライトは小さいサイズ(4KBが標準)の不規則なデータの読み書きです。起動を含めたOSの基本操作やアプリの起動、Webブラウジングなどの快適さの目安になります。これらとは別にSSDの命令処理性能を示すIOPSというスペックもありますが、大抵最大値(主にQD32)です。一般的なPCの使用状況ではQD1が大半ですので、QD32のIOPSはあまり参考になりません。QD1のランダム性能を測定できるベンチマークの結果が参考になるでしょう。
3D NANDってよく聞くけど何?
A:大容量化しやすく信頼性でも有利です
3D NANDは、3次元構造のNAND型フラッシュメモリです。従来品(プレーナ型)ではメモリセルを小さくすることで大容量化してきましたが、小さくするほど電気的に不安定になります。コントローラで信頼性をカバーしていたのですが、それが性能や電力のロスにつながり、信頼性も限界に近付きました。3D NANDではメモリセルを上に積み重ねることでメモリセルを小さくせず大容量化しているため、性能、信頼性、両面で有利です。
SSDの耐久性とは? MLCだとよいの?
A:TBWを確認しましょう
SSDに使われているNAND型フラッシュメモリは書き換え回数の上限があり、それを超えると使えなくなります。NAND型にはメモリセルに記録するデータの量によって、いくつかの種類があります。上の図で示したように、SLCやMLCは書き換え回数の上限が大きくなるため耐久性で有利ですが、容量あたりのコストは高く付きます。なお、Intelの「3D XPointメモリ」は、NAND型フラッシュメモリとは根本的に構造が異なり、書き換え回数はSLC NANDの1,000倍以上に達します。
耐久性は、コントローラの設計やキャッシュメモリによっても変わります。こうした要素を含めたSSDの耐久性の目安が「TBW(Total Byte Written)」です。これは、SSDが使えなくなるまでにどのくらいのデータを書き込めるかを示すものです。TBWはSSDの容量が大きいほど大きくなるのが普通ですが、同じ容量ならば、TLC NANDよりもMLC NANDを搭載した製品のほうがTBWも大きい傾向にあります。