やじうまミニレビュー

1万3,000円を切る格安8.68型タブレット「Blackview Tab 60」

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
Blackview Tab 60

 「Blackview Tab 60」(以下、Tab 60)は、記事執筆時点でAmazonにおいて1万2,886円(1万6,900円から3,000円引きクーポン+レジで5%オフ)で販売されている格安のAndroidタブレットだ。今回Blackviewよりレビュー用に製品提供があったので、簡単にお伝えしよう。

 このところAmazonで1万円台から3万円台とぼちぼち安価なAndroidタブレットが増えている。Tab 60もそのうちの製品の1つだ。安価である理由は、単純に性能を抑えたからというのもあるが、似通ったスペックは他社でも多数出ているので、共通のリファレンス設計があって、多くのメーカーがこぞって採用しているからと思われる。

 また、安価なタブレット製品というと、技適が未取得だったりするが、Tab 60に関しては2.4GHz/5GHz帯の無線LANのみならず、LTEのバンド帯に関しても取得済みであった。

製品パッケージ
縦置き時
パッケージ付属品はSIMトレイピンとACアダプタ(写真は海外仕様)、説明書とシンプル
本体背面。技適番号はシールで貼られている

 さてそのスペックだが、CPUにはUnisoc T606、メモリ6GB(Amazon販売中のモデルは4GB)、ストレージ128GB、1,340×800ドットの8.68型というやや変則な液晶ディスプレイ、OSにAndroid 13を搭載したものとなっている。

 Unisoc T606はローエンド寄りなプロセッサであり、12nmプロセスで製造されている。ただローエンドと言っても1.6GHzのCortex-A75×2+1.6GHzのCortex-A55×6の構成であり、最新のFire HD 8(第12世代)よりも強力だったりはする(Fire HD 9は2GHzのCortex-A55×6のみ)。GPUはMali-G57 MP1だ。サンプル機は6GBもあるメモリも相まって、通常のWebブラウジングや動画視聴でストレスを感じることはほぼない。

PCMarkの測定結果は7,001
Geekbench 6のCPUベンチマークはSingle-Coreが363、Multi-Coreが1,318
Geekbench 6 GPUスコア(OpenCL)は451
Geekbench 6 GPUスコア(Vulkan)は437

 OSはAndroid 13をベースとした「Doke OS P3.0」。ほぼ素のAndroidに近い印象だが、独自ランチャーから始まり、2ペインの設定画面、スワイプインで表示される小型のランチャー、システムの最適化アプリや凍結室(使わないアプリを入れておく場所)、引越アシスタントなど、いくつかカスタムした跡が見られる。

ほぼ素のAndroidに近いホーム画面「BvLauncher」
「システムスチュワード」と呼ばれる最適化ユーティリティ
画面端からスワイプインで表示されるランチャーパネル
RAM Fastなる機能も見える

 本製品の特徴は1,340×800ドットという変則的な液晶ディスプレイだろうか。アスペクト比にすると67:40、小数点込みで“分かりやすく”表記すると16:9.56であり、16:9と16:10のアスペクト比の中間である。

 そもそも8.68型と、普段良く見る8型や8.4型より大きいのだが、YouTubeで16:9のコンテンツを再生し、8型クラスのほかのタブレットと動画の実寸を比較してみたところもっとも大きく表示され、上下の黒帯が少なかった。ということで早速結論だが「動画視聴に適した8型クラスのタブレット」と評したい。

【表】16:9動画フルスクリーン再生時の実寸
iPad mini175×99.5mm
Fire HD 8(第8世代)173×97mm
Tab 60190×106.5mm
8型クラスのタブレット比較。左からTab 80、iPad mini、Fire HD 8(第8世代)
同じ8型クラスのタブレットで動画を再生。上からTab 80、Fire HD 8(第8世代)、iPad mini。Tab 80の動画が一番大きい

 動画視聴というと著作権保護対応のWidevineのレベルが気になるところだが、本機は最高の「L1対応」とされている。実際にチェックソフト「DRM Info」を入れたところ、L1であることが確認できた。ただ、AmazonのPrime Videoでは「HD(高画質)」で再生されたが、Netflixで再生仕様を確認すると「L3」判定でSD解像度までとなる。とはいえ、そもそも液晶自体の解像度が低いので、フルHDを再生する意義が薄いだろう。

DRM InfoではWidevine L1対応となっている
しかしNetflixではL3という判定

 先に性能やら機能面やらについて述べてしまったが、最後に本体の使い勝手を少し。筐体はプラスチックで高級感はないが、その分軽量なイメージ。左右の狭額縁は「相当頑張っている」と言ってよく、縦なら片手でがっしり掴めるサイズなのは良い。重量も338gとまずまずだ。

 SIMスロットは2基あり、うち1つはmicroSDカードスロットと兼用。4Gの対応バンドは1/3/7/8/20/40とかなり寂しいが、ソフトバンク回線とは相性は悪くない。有線インターフェイスはUSB Type-Cと3.5mm音声入出力。タブレットとしては一般的だ。カメラは背面が800万画素、前面が500万画素となっているが、出番は少ないだろう。スピーカーの音量はまずまずだが、低音は不足気味だった。

800万画素カメラ
SIMトレイ。うち1つはmicroSDカードスロット兼用
左/上側面。SIMトレイと3.5mm音声入出力、スピーカーホールが見える
右/下側面。電源/音量ボタン、USB Type-C、そしてスピーカーホールが見える

 ちなみにこの手のタブレットではサスペンドにしていてもみるみるバッテリが減るのも少なくないが、本製品に関しては1週間ほどサスペンドにしていてもバッテリが50%残った。画面オフ時にプロセスをサクッと落としてしまうような挙動を見せるので、その辺りが効いているのかもしれないが、逆に作業中の場合は注意してほしい(これでベンチマーク3回取り直しした)。

 決して高性能や高機能なタブレットではないのだが、そこは価格とのトレードオフ。手元でちょっとしたWebブラウジングや動画視聴にはちょうどいいサイズで、使わなくなったとしても車のナビとして使えそうなことから、1万3,000円の価値以上はあると感じた1台だった。

【16時50分追記】記事初出時、メモリ6GBとしておりましたが、これはサンプル機材の仕様で、Amazonで販売中のモデルは4GBです。