やじうまミニレビュー
わずか60g!軽量無線ゲーミングマウスの新定番「PRO X Superlight 2」を試す
2023年10月2日 06:14
ロジクールから、有線・無線両対応のゲーミングマウス「PRO X Superlight 2」が10月13日に発売される。
本機は超軽量ワイヤレスマウスの先駆けとなった「PRO X Superlight」の後継機種。前機種の発売から約3年が経過しての新製品となるが、筐体形状は変えていない。重量はさらに削って60gとなったほか、解像度の向上やリフトオフディスタンスの調整機能の追加など、さらなる高性能化を果たしている。
前機種からの変更点をチェックしつつ、改めて本機の使用感をお伝えしていく。
外見はそのまま、機能を最新に
まずは本機の主なスペックを確認しよう。参考として、前機種「PRO X Superlight」との比較も合わせて掲載する。
【スペック】 | ||
---|---|---|
PRO X Superlight 2 | PRO X Superlight | |
最高解像度 | 32,000dpi | 25,600dpi |
ボタン数 | 5 | ← |
ポーリングレート | 2,000Hz | 1,000Hz |
リフトオフディスタンス調節 | 可 | 不可 |
本体サイズ | 125.0×63.5×40.0mm | ← |
インターフェイス | LIGHTSPEED(USBレシーバ)、有線(USB) | ← |
バッテリ | 内蔵リチウムイオン電池 | ← |
最大持続時間 | 95時間 | 70時間 |
重量 | 60g | 63g |
直販価格 | 2万5,410円 | 1万8,810円 |
先述のとおり、筐体形状は同じ。前機種の画像データと比較すると、右側面の「SUPERLIGHT」の文字や、裏面のソールの形状まで共通のようだ。唯一異なるのは、ソールの色がホワイトからグレーっぽい色になった点だけだ。
だが中身はかなり違う。センサーは最新の「HERO2」となり、解像度は最大32,000dpiに上がった。またポーリングレートも最大2,000Hzと2倍に向上。リフトオフディスタンスの調節にも対応した。内蔵リチウムイオン電池の最大持続時間は、前機種の70時間に対して95時間まで延長されている。
それでいて重量は60gに軽量化。前機種はカラーによって61~62gと幅がありつつ、全体としては63g未満をうたっていたが、本機は明確に60gと記されており、カラーによる重量の違いはないと見られる。
ロジクールの直販価格は前機種の1万8,810円から、6,000円以上高い2万5,410円となった。実は前機種は発売時には1万7,820円で、現在は値上げされている状態。もっともこの3年間で約40%も円安ドル高となっているため、実質的には前機種の発売時と同等の価格設定ではある。
感触が機械式の光学式スイッチを搭載
では実機を見ていこう。筐体は左サイドボタンを除いてほぼ左右対称で、凹凸の少ないシンプルな形状だ。サイズ的には一般的なゲーミングマウスと変わらず、軽いからといって小型なわけではない。
左右ボタンは、高速応答性に優れるオプティカルセンサーを採用したLIGHTFORCEスイッチを搭載。クリック感はあえてメカニカルな手ごたえを残しているそうで、重くはないがはっきりとカチカチという音がする。個人的にはもっと静かでいいのではと思うが、しっかりしたクリック感が欲しいという人には向いていると思う。
ホイールはチルト非対応。横から見るとホイールのほとんどが中空でスカスカ、かつ素材もプラスチックで頼りなく見える。ただチルト操作をしないこと、またクリック感も左右ボタンとは違って静かでとても浅いので、強度的な不安は感じない。プラスチックのホワイトカラーが目立って安っぽく見えるのだけが欠点か。
表面はさらさらとした手触りで、滑ったりべたついたりという感触はなく良好だ。薄手のグリップテープも付属するので、よりグリップ力を高めたい、あるいは手触りを変えたいという人はこちらを利用するといいだろう。
底面を見ると、センサーは本体のど真ん中にあるオーソドックスな配置。ソールは上部が非常に広く、後部は長くU字に貼られている。またセンサーを囲むように小さなソールが貼られているのも特徴的だ。センサーの右側には電源スイッチがあり、無線での使用時だけでなく、有線での使用時にもオンにしておく必要がある。
さらに底面の下部には、マグネット式の丸いカバーがある。下の方を軽く押すと開けられるようになっており、中にはUSBドングルを収納するスペースがある。本体が軽量なので、持ち運び用のマウスとしても重宝する。
ケーブルは約1.8mで、本機側がUSB Type-C、PC側がUSB Type-Aとなる。Type-Cメス-Type-Aメスのアダプターエクステンションも付属し、USBドングルとケーブルをアダプターエクステンションに接続してデスク上に置いておけば、遮蔽物なしで無線接続ができる。また充電時にはアダプターエクステンションからケーブルを外し、本体に差し替えるのが便利だ。
なおゲーミングマウスによくあるLEDライティングは搭載していない。軽量化を最優先にしたことによるものだろう。カラーバリエーションは、ブラック、ホワイト、マゼンタの3色展開となる。ちなみに前機種はブラックとホワイトの2色展開で、後にマゼンタとレッドの2色が追加されている。
3段階のリフトオフディスタンス調整が可能
次はソフトウェア面を見ていく。設定はロジクールGシリーズ専用アプリ「G Hub」を使用する。
解像度の設定幅は解像度によって違う。100~200dpiは1dpi幅、200~500は2dpi幅、500~1,000は5dpi幅、1,000~2,000dpiは10dpi幅、2,000~5,000dpiは20dpi幅、5,000~10,000dpiは50dpi幅、10,000~20,000dpiは100dpi幅、20,000~32,000dpiは120dpi幅となる。31,999dpiで使いたい人がいるとは思えないので、実用的な設定だ。
また解像度は手動設定のほかに、使用しているマウスの解像度をまねてコピーする「Heroセンサーキャリブレーション」機能も搭載する。解像度を合わせたいマウスと本機を横にくっつけて並べ、約25cm、一緒に横へ動かすことで調整される。
試しに2,000dpi固定のゲーミング仕様ではないマウスで試してみたところ、1,800dpi前後と判定され、本機の解像度が補正された。感度はメーカーや個体によって差が出る可能性はあるので、以前使っていたものに極力近づけたいならば、一度試してみてもいいだろう。
ポーリングレートは2,000Hzに向上したとされているが、「G Hub」で確認すると、無線(LIGHTSPEED)接続時は2,000Hzに設定できたが、有線接続時は1,000Hzまでとなっていた。有線と無線を切り替えて使ってポーリングレートの違いを感じるかと言われれば、ケーブルの有無の方が圧倒的に影響が大きく、実感はできない。とはいえ本機の性能をフルに引き出したいなら、無線で使う前提の方がいいだろう。
また本機に採用されているLIGHTFORCEスイッチには2つのモードがあり、「ハイブリッド(省電力)」と「オプティカルのみ」が選べる。「オプティカルのみ」を選ぶと電力消費量が若干増える。ここは詳しい仕組みの解説がないので想像だが、長時間の未使用時にオプティカルセンサーを休ませて省電力を図るなどしているはずなので、最高性能を維持したいのであれば「オプティカルのみ」を選んでおく方が無難だろう。
本機の目玉機能の1つであるリフトオフディスタンスの設定は、「G Hub」で本機の解像度設定を開き、設定画面の右上にある「詳細」のチェックボックスをオンにすると可能になる。設定は「高」、「中」、「低」の3つから選択でき、標準は「中」になっている。具体的な距離は書かれていない。
設定を切り替えてみると、「低」だとリフトオフディスタンスが少し短くなり、「高」だと少し伸びるのが分かる。それほど大きな差ではなく、「低」でも普通に使用して違和感がない範囲ではあるが、違いは明確に感じられる。リフトオフディスタンスはマウスパッドとの相性で距離が変わることもあるので、好みの感覚に近づける助けにはなるだろう。
このほかマクロ機能を含めたボタンの機能変更はもちろん対応。特定のボタンを押している間だけほかのボタンの機能を変える「G シフト」機能も使用できるが、ボタン数が5つと最小限に留まることもあり、本機では使いにくい。
複数のプロファイル(マウス設定)を記憶し、プレイするゲームによって切り替える機能も搭載。さらにプロファイルのアップロード・ダウンロードも可能で、プロのeスポーツプレイヤーを含むほかのユーザーがアップロードしたプロファイルを利用できる。
無難な外見に最高スペックで誰にでも薦められる(ただしお高い)
最後に実際の使用感をお伝えする。筆者が使用している布製マウスパッドで動かすと、ソール以外の部分が少しマウスパッドに当たっているのか、それほど滑りはよくない。ソールは薄めで均一に貼られており美しい仕上がりだが、柔らかめの布製マウスパッドで使うには若干厚みが足りないのかもしれない。
ハードな材質の面で使用すると、こちらもそれほど滑る感じはない。ただ布製マウスパッドのようにソール以外が当たる感覚はないので、少し使い込めばソール表面がいい感じにこなれてきて滑りも良くなるのではないかと思う。元々の軽さで十分動かせるので、ある程度は止まる感じの方が製品には合っている。
形状的には良くも悪くもオーソドックスであり、標準的なゲーミングマウスで不都合がないのであれば本機を使っても全く問題はない。なるべく小型軽量のマウスが好みの筆者としては、サイズは大きすぎて手に余る感じがするのだが、軽くて持ち上げる動きは楽なので、見た目よりは使いやすくはある。
デザインが無難なので使い勝手も普通で、使っていてすごいと実感できる部分は、実はそれほどない。しかしスペック的には、最高性能のセンサー、光学式スイッチ、リフトオフディスタンスの調整機能、信頼性の高い無線接続といった最新かつ豪華なスペックを、60gという軽量に収めているのが魅力だ。
お値段もかなり高めなだけに、それらの良さが分かる人が買うという製品ではあるのだが、逆に言えばお金が出せるのならば誰にでも薦められる安心感もある。前機種に続いて、今後数年は無線/軽量/高性能ゲーミングマウスの代表格となってくれるのは間違いない。