Windows 11便利テク

Windows 11でより使いやすくなったHyper-V。サクッと無料で仮想環境を作ってみる

Windows 11上でWindows 11を利用可能

 Windows 11 Proでは、ハイパーバイザー型の仮想環境であるHyper-Vが利用可能となっており、仮想マシンを利用してWindows上で複数のOSを動作させることができる。ここでは、Hyper-Vの基本的な使い方を紹介する。

Windows 11のHyper-V

 Hyper-Vは、Microsoft製の仮想マシンプラットフォームだ。いわゆるハイパーバイザー型の仮想環境となる。

 クライアント用Windows向けの仮想環境としては、かつてWindows 7向けのホスト型「Windows Virtual PC」が存在したが、Windows 8からはハイパーバイザー型のHyper-Vが利用可能となり、最新のWindows 11ではサポートされるVM構成のバージョンが10.0にまで進化した。

 これにより、最新のOSを稼働させたり、従来のWindows 10(VM構成バージョン9.2まで対応)では利用できなかったAMDプラットフォームでのNested Hyper-Vが新たにサポートされたりするようになった。

Hyper-Vの有効化

 Windows 11でHyper-Vを有効にするには、いくつかの条件がある。

  • UEFIでIntel VTやAMD-V(SVM)などの仮想化機能が有効になっている
  • Windows 11 Proを使用する
UEFIでCPUの仮想化支援機能をオンにしておく

 これらの条件を満たした状態で、Windowsのオプション機能を追加する。[設定]の[オプション機能]から[Windowsのその他の機能]を起動し、[Windowsの機能]の一覧で[Hyper-V]をインストールする。

 これで、現在利用しているWindows 11環境にハイパーバイザーがインストールされ(つまりホストOSも仮想環境で動作するようになる)、仮想マシンを管理するためのHyper-Vマネージャーが利用可能になる。

Windowsの機能でHyper-Vを追加する
Hyper-Vマネージャーを利用して仮想マシンを管理する

Windows 11開発環境を利用する

 Hyper-V上で仮想化されたWindows 11を利用するもっとも簡単な方法は、Hyper-Vマネージャーの「クイック作成」で提供されている「Windows 11開発環境」を利用する方法だ。

 自動的に仮想マシンを構成したり、イメージをダウンロードしたりして(17.55GBあるので注意)、数クリックでテスト用のWindows 11環境を用意できる。開発やテストなどに無料で利用できるが、利用期限が設定されている点に注意が必要だ。デスクトップ右下に表示されるウォーターマークで利用可能な日数を確認できる。

クイック作成を利用すると開発環境入りのWindows 11(英語版)を簡単に用意できる
利用期限は右下のウォーターマークで確認できる

 ロケールが英語(en-US)になっているのが欠点だが、言語を設定することで日本語を利用できる。また、標準ではTPMが無効になっているが、仮想マシンの設定で[セキュリティ]の[トラステッドプラットフォームモジュールを有効にする]をオンにすることでTPMも利用可能になる(オフでも動作する)。

英語版なので言語の変更が必要。[Language & region]で[Add Language]をクリックし、[Japanese]を追加して表示言語なども変更しておく
仮想マシンの設定でTPMを有効化できるが、無効のままでも動作する

 なお、開発環境のイメージは以下のサイトからもダウンロード可能となっている。本校執筆時点のVMの有効期限は2022年1月9日となっている。おそらく、本校が公開される時期には、さらに長く利用できる新しいイメージが公開されているはずだが、以下のサイトで期限などを確認するといいだろう。

手動でWindows 11をインストールする

 手動でWindows 11をインストールする場合は、Windows 11のISOイメージ(継続して利用する場合はライセンスも必要)をあらかじめ用意しておく必要がある。

 以下のサイトからインストールアシスタントを利用するか、ISO形式でダウンロードしておこう。

Windows 11をダウンロードする

https://www.microsoft.com/ja-jp/software-download/windows11

 ISOを用意できたら、Hyper-Vマネージャーから新たに仮想マシンを作成する。ウィザードで簡単に作成できるが、注意すべきは仮想マシンの世代として[第2世代]を選択することと、十分なメモリ4GB程度を割り当てることだ。

仮想マシンの世代は第2世代を選択。これでUEFIベースのPCを構成できる
メモリは4GBくらいは割り当てておきたい。[動的メモリ]をオンにしておけば、実際のメモリ使用量は少なくて済む

 ネットワークは、[Default Switch]を利用することで、仮想マシン専用の仮想スイッチを利用して、NATでインターネットに接続できるように構成できる。

 インストールオプションで、ダウンロードしたISOファイルを指定し、ウィザードを完了させたら、仮想マシンを右クリックして[設定]を開き、プロセッサの数を変更し、[セキュリティ]で[トラステッドプラットフォームモジュールを有効にする]をオンにしておく。

 これで仮想マシンを起動すれば、Windows 11をインストールして利用することができる。

ネットワークは[Default Switch]を選択。仮想スイッチを利用して、物理的なネットワークのNAT配下で動作する

拡張セッションでのサインイン

 起動後、注意が必要なのが接続の設定だ。

 起動時に[VM名に接続]というポップアップ画面が表示するが、ここで[接続]をクリックしても通常はサインインできない。

[接続]をクリックしても通常はサインインできない

 Windows 11では、標準でサインインオプションのWindows Helloでのみサインインを許可する設定がオンになっているため、Windows Helloが使えない状態ではRDP(リモートデスクトップ)を利用した拡張セッションではサインインが拒否されてしまうためだ。

 上記の画面が表示された場合は、右上の[×]をクリックして画面を閉じ、拡張セッションを使わずにサインインする必要がある。

 その後、[設定]の[サインインオプション]で[セキュリティ向上のため、このデバイスではMicrosoftアカウント用にWindows Helloサインインのみを許可する(推奨)]の設定を[オフ]にする。

Windows Helloサインインをオフにしておく

 これで、拡張セッションを利用した仮想マシンへの接続が可能になる。