PC短評

1kgで頼れる高性能ビジネスノート「VersaPro UltraLite タイプVN」

VersaPro UltraLite タイプVN<VN-L>

 NECが1月に発売したモバイルノート「VersaPro UltraLite タイプVN<VN-L>」(以下タイプVN)は、ハイブリッドワーカー向けの設計を採用し、第13世代Core i5-1335Uを搭載したビジネス向けモデルだ。今回メモリ16GBとストレージ256GBのモデルを借りたので、簡単に紹介したいと思う。

 最近、オフィスや家、はたまた客先を行き来しながら仕事する機会が増えている。かくいう筆者もまさにそのような状況だ。その際に欠かせないのがモバイルノートとなるわけだが、タイプVNはそうしたビジネスマンに求められる要素をふんだんに取り入れている。

 まず、昨今Web会議を行なう機会がかなり多くなっているが(ちなみに筆者の会議はほぼ100%がWeb会議になっている)、タイプVNにはヤマハの音声最適化ソフト「AudioEngine」の「ミーティング機能」を搭載しており、マイクで入力した背景ノイズの削除/軽減を行なって会話を聞き取りやすくしたり、使用者の声のみに絞って聞き取りやすくする「パーソナルモード」、指向性の少ない周波数成分のバランスを強調することで複数人の声を聞き取りやすくする「マルチユーザーモード」を搭載している。よほどこだわりがなければ別途マイクは不要だろう。

ヤマハAudioEngineのミーティング関連の機能
ちなみに映画やスポーツ、音楽鑑賞に最適なモードも用意されている
スマート・スタンバイ機能。指定した時間は休止状態になる
こちらはバッテリ関連の設定。ロングバッテリーといった項目が用意される

 バッテリ駆動時間だが、タイプVNは本体重量が約993gになるMバッテリ搭載時で約4.7時間、約1,103gになるLバッテリ搭載時で約9.4時間の駆動(JEITA 3.0動画視聴時)を実現している。「外出先でそんなに使わないんだけど」というのであれば、少しでも軽いMバッテリが選べるというのはうれしいポイント。

 さらに長時間駆動が必要になった際には、ディスプレイの輝度を下げて消費電力を抑制するという「ロングバッテリモード」を搭載。また、これまでモダンスタンバイを採用していたのだが、新たに使わない夜間に自動的に休止状態に移行する「スマートスタンバイ」を搭載した。寝る前に充電をし忘れてもバッテリ消費を抑えられる。

 ディスプレイは最近流行りの16:10のアスペクト比の1,920×1,200ドット表示対応13.3型液晶を搭載。16:9と比較するとわずかに縦が長いわけだが、ソフトウェアのツールバーを逃がす程度の解像度アップでも作業効率が向上する。本機は映り込みが少ない非光沢液晶を採用しており、表示品質もかなり高い。視野角も広く、ビジネスで使っていて不満に思うことはまずないだろう。

液晶最大輝度
液晶最小輝度。最大輝度と最小輝度の調整幅が広くてありがたい
液晶はノングレアで反射も少なく、視野角もかなり広い。ビジネスでは全く不満がない表示品質だ
シンプルな天板
底面も比較的シンプルな作り

 キーボードのストロークは薄型モデルとしては深い部類で、強く打鍵しても歪むことはない。打鍵感がはっきりしている一方で打鍵音が小さく快適だ。デフォルトでF1~F12のファンクションキーは音量アップ/ダウンといったホットキーと入れ替えになっているが、Fn+ESCでロック可能。またFnが左手前となっているが、こちらもBIOSでCtrlと入れ替えできる。そのほか配列に変なところはなく、ほかのキーボードから乗り換えても学習コストは最小限だろう。

電源ボタンは指紋センサー兼用となっている
歪な配列はなくタイピングしやすいキーボード。FnキーとCtrlは入れ替え可能。一方Fn1などを多用するなら、Fn+Escでロックしてしまえばいい
キーピッチは19mmとフルサイズを確保。操作していて気持ちいい
液晶を開くとキーボードが傾斜するリフトアップヒンジ

 タッチパッドは独立ボタンがない一体型となっているが、面積が大きく快適に操作できる。本体を開いて正面から見た場合、LEDインジケータの類は一切なく、作業に没頭できる設計は大変に良いと感じた。また、モバイルノートでありながら収納式の有線LANポートや、フルサイズのSDカードスロットを備えるなど、インターフェイスを充実させている点もビジネスを意識しており好感が持てる。

タッチパッドは約100×60mmでボタン一体型となっている
左側面のインターフェイス
右側面のインターフェイス
有線LANポートはポップアップ式
有線LAN未使用時はツライチにできる
HDMIの装備はありがたい

 Core i5-1355Uというミドルレンジ向けCPUを搭載しているため、PCMark 10のスコアは5,200ほどと中庸レベルだ。HWiNFO64で確認したところ、PL2は55W、PL1は25Wで、PL1動的は20Wとなっていた。Cinebench R23のような高負荷がかかり続けるシーンでは20W前後に落ちついた動作となる。

排気口は液晶側
Webカメラ
付属のACアダプタは45WのUSB Type-C
オプションのDVDスーパーマルチドライブ
オプションのUSB Type-Cドッキングステーション
インターフェイスはUSB 3.1 Type-C、USB 3.1×3、USB 2.0×2、DisplayPort×2、HDMI、Gigabit Ethernet、音声入出力

 もっとも、本機はUシリーズのCPUであり、あくまでも一般的なオフィスソフトを使うビジネスシーンを想定したものであろうから、一時的に負荷がかかった際にブーストができれば良く、それ以降は絶対性能よりもバッテリの持ちや静音性重視だ。実際にCinebench R23を回し続けてもファンの騒音は至って静かで、深夜でもまったく気にならないレベルだった。この静音性を筆者は高く評価したい。

 あくまでも法人やビジネス向けのマシンではあるのだが、ビジネスシーンで求められているWeb会議の対応、バッテリ駆動時間、キーボード、液晶の見やすさ、インターフェイスといったポイントをしっかり押さえた上で、シンプルで質実剛健かつ無駄のない作りが印象的。これなら個人でも普段用に欲しいと思った1台だった。

PCMark 10の結果
Cinebench R23の結果
3DMark Wild Lifeの結果
3DMark Night Raidの結果