西川和久の不定期コラム

AI機能で手軽に超高画質。ファーウェイのデュアルカメラ搭載6型スマホ「Mate 10 Pro」

~デスクトップ表示できるPCモードにも対応

Mate 10 Pro

 ファーウェイ・ジャパンは11月29日に、ハイエンドスマートフォンの「Mate 10 Pro」、ミドルレンジの「Mate 10 Lite」、そしてワンセグ/フルセグにも対応したタブレット「MediaPad M3 Lite 10」を発表、順次販売を開始した。

 今回はそのなかから、AI処理専用のNPU(Neural Processing Unit)を内包するKirin 970プロセッサを搭載したMate 10 Proの試用レポートをお届けしたい。

単に速くなっただけではない、独自の機能満載のハイエンドスマホ

 少し前に同社のミドルレンジ「honor 9」の試用レポートを掲載したが、今回はハイエンドの「Mate 10 Pro」のご紹介したい。海外ではProがない「Mate 10」も同時に発表されたが、国内では今のところ「Mate 10 Pro」のみの扱いだ。

 筆者はこの発表会に足を運び、実機をさわったり、メーカーの人とも若干話をしたりしている。というのも、後述するAI機能搭載のカメラはもちろん、PCモードにも興味があったからだ。以降、順を追って解説したい。

【表】Mate 10 Proの仕様
Mate 10 Pro
SoCKirin 970(2.36GHz A73×4+1.8GHzA53×4、i7コプロセッサ、Mali-G72 12コアGPU、NPU)
メモリ6GB
ストレージ128GB
OSAndroid. 8.0 Oreo/Emotion UI 8.0
ディスプレイ約6型1,080×2,160ドット(18:9) OLED(402ppi、1,670万色、NTSC比112%、コントラスト比7万:1)
ネットワークIEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.2
SIMNano SIMカードスロット×2(DSDS対応)
FDD LTEB1/2/3/4/5/7/8/9/12/17/19/20/26/28/32
TDD LTEB34/38/39/40/41(2,545~2,655MHz)
WCDMAB1/2/4/5/6/8/19
TD-SCDMAB34/39
GSM850/900/1,800/1,900MHz
インターフェイスUSB 3.1 Type-C(DisplayPort 1.2対応)、NFC
前面カメラ800万画素センサー(f2.0)
背面カメラ1,200万画素カラー+2,000万画素モノクロセンサー(f1.6/OIS/デュアルLEDフラッシュ/2倍ハイブリッドズーム/4in1 AF)
センサー加速度、コンパス、ジャイロ、環境光、近接、HALL、指紋認証、気圧、赤外線リモコン、GPS(AGPS/Glonass/Beidou)
サイズ/重量約74.5×154.2×7.9mm/約178g
バッテリ4,000mAh(30分で58%の急速充電対応)
カラーバリエーションミッドナイトブルー、チタニウムグレー
その他IP67の防水防塵性能
付属品USB-Cハイレゾイヤフォン、USB-C to 3.5mmヘッドフォンジャックアダプタ、クリアケース、ACアダプタ、USBケーブル、イジェクトピン
税別直販価格89,800円

 SoCにはKirin 970を採用する。1世代前のKirin 960と比べて電力効率やGPU性能が向上した上で、AI専用のNPUを搭載しているのが最大の特徴となる。同社によると、AI処理をプロセッサで処理するより、25倍の性能でかつ50倍の電力効率を実現するとのこと。このNPUは、カメラやカスタム版のMicrosoft Translatorなどで利用されている。

 メモリは6GB、ストレージは128GBと大容量。ただしmicroSDカードなど外部メディアには対応していない。OSは、Android. 8.0 Oreo/Emotion UI 8.0。

 ネットワークはIEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.2。DSDS対応でNano SIMを2つ使用可能だ。対応バンドは表を参考にしてほしい。

 インターフェイスは、USB 3.1 Type-C、NFC。残念ながら3.5mmヘッドフォンジャックはない。センサーは、加速度、コンパス、ジャイロ、環境光、近接、HALL、指紋認証、気圧、赤外線リモコン、GPS(AGPS/Glonass/Beidou)を搭載する。

 ディスプレイは、狭額縁の約6型1,080×2,160ドット(18:9/402ppi)のOLED(有機EL)。外部出力は、Type-C/DisplayPort 1.2対応。一般的なミラーモードに加えデスクトップに変身するPCモードも利用できる。

 カメラは、前面がf2.0の800万画素センサー。背面が1,200万画素カラー+2,000万画素モノクロセンサーのデュアルカメラ。f1.6と明るいレンズ、光学式手ブレ補正機能にも対応。Leicaとコラボし、レンズ周りだけでなく発色までチューニングされている。

 サイズは約74.5×154.2×7.9mm、重量約178g。30分で58%の急速充電に対応した4,000mAhのバッテリを内蔵。カラーバリエーションはミッドナイトブルー、チタニウムグレーの二色。IP67の防水防塵対応で、税別直販価格は89,800円。

 発表会では、iPhone Xを意識したプレゼンだったが、当然それに見合った実力を持っている。内容を考えるとリーズナブルと言えよう。

パネル中央上にスピーカーと前面カメラ。ナビゲーションボタンはソフトウェア式。狭額縁なのがわかる
背面の中央上にデュアルカメラと指紋センサー
左側面にSIMスロット、下側面にType-Cコネクタとスピーカー。残念ながら3.5mmヘッドフォンジャックはない
右側面に音量±ボタンと電源ボタン。上側面に赤外線センサー
Nano SIM/microSDカードスロット付近。奥側がSIM1、手前がSIM2。microSDカードには対応していない。またIP67の関係でゴムを使い密閉するようになっている
付属品は、イジェクトピン、USB-C直結のイヤフォン、ACアダプタ(プラグが海外仕様)。写真はないがクリアケースも付属する。またカタログスペック上に掲載されている「USB-C to 3.5mm ヘッドフォンジャックアダプタ」は海外/評価仕様のためだろうか入っていなかった
重量は実測で179g
iPhone 7 Plusとの比較。高さも幅も本機のほうが若干短い
カメラ周辺。Leicaのロゴが渋い。上がモノクロセンサー、下がカラーセンサー。左側にデュアルLEDフラッシュ

 筐体はパネルが18:9の関係もあり少し長細い感じもするが、質感も高く、高級感たっぷり。重量もiPhone 7 Plusが実測188gに対して179gと若干軽く長細いので持ちやすい。

 前面は、パネル中央上にスピーカーと前面カメラ。ナビゲーションボタンはソフトウェア式だ。写真から狭額縁なのがわかる。背面は、中央上にデュアルカメラと指紋センサー。左側面にSIMスロット、下側面にType-Cコネクタとスピーカー。右側面に音量±ボタンと電源ボタン。上側面に赤外線センサーを配置。SIMスロットは奥側がSIM1、手前がSIM2。IP67の関係でゴムを使い密閉するようになっている。

 付属品は、同社のサイトでは、USB-Cハイレゾイヤフォン、USB-C to 3.5mmヘッドフォンジャックアダプタ、クリアケース、ACアダプタ、USBケーブルとなっているが、写真からわかるように、ACアダプタのプラグが海外仕様、またUSB-C to 3.5mmヘッドフォンジャックアダプタが入っていなかった。届いたのは評価用のサンプルだと思われる。

 ディスプレイは6型OLEDで402ppi。安価なOLEDにありがちなド派手な感じもなく、明るさ、発色、コントラスト、視野角など、すべてにおいて文句なし。もちろん文字などのジャギーもわからない。カメラの使用感などは後述するので参考にしていただきたい。

 振動やノイズはもちろん皆無。発熱も通常用途においてはまったく問題ないレベルだ。カメラを連続で使用すると熱を持つが、これは他機種でも同じこと。サウンドは、スピーカーでも結構パワーがあり、バッテリベンチマーク替わりのYouTube連続再生も50%の音量にかかわらずうるさかったくらいだ。

 イヤフォン出力は、通常3.5mmヘッドフォンジャックへ自前の「SONY MDR-EX800ST」を接続して行なうのだが、USB-C to 3.5mm ヘッドフォンジャックアダプタがなかったために、付属のUSB-C接続イヤフォンを使用した。

 このイヤフォン、まず形状がApple AirPodsそっくりで、Bluetoothがワイヤードになった感じだ。またイヤーパッドがないため、筆者の耳にはまったくフィットしない……と、このような状態での視聴となる。高音から低音までメリハリがあり、パワーも十分。以前、P9やP10で思った不満は解消されている。専用のDAPにはかなわないものの、スマートフォンでの再生だと十分ではないだろうか。

 なお、設定/開発者向けオプションで確認したところ、Bluetoothのコーディックは、SBC/AAC/aptX/aptX HD/LDACに対応している。

 ある意味、文句なしのハイエンドモデルなのだが、個人的に残念なのは、iPhoneと同じようにmicroSDカードスロットと、3.5mmヘッドフォンジャックがないこととなる。

AIによってフルオートでも超絶画質

 カメラは冒頭に書いたとおり、カラーセンサーとモノクロセンサー、しかもモノクロセンサーのほうが画素数が多いという、同社固有のデュアルカメラ構成だ。

 そして最大の特徴がAI処理による被写体/シーン解析。同社によるとこのAI処理、1億枚以上の画像学習によるものとのこと。これによって、ホワイトバランス、露出、シャッタースピード、発色など、Proモードでのマニュアル操作(場合によってはRAW現像も含む)を自動で最適化する。

 もちろんカメラに詳しい人なら自身で調整可能だろうが、オートでポンと撮って、同じことができるのだから、カメラに詳しい人もそうでない人も楽で綺麗な写真を撮ることが可能だ。発表会場ではプロのカメラマンが実際試写した感想などを語っていたが、おおむね同じ内容だった。

 認識可能な被写体は、文字、フード、舞台、青空、雪、ビーチ、犬、猫、夜景、日の入り/日の出、植物、ポートレート、花の13種類。実際に認識し、その写りを見るとこんな感じだ。

左下に「フォークとナイフ」のアイコン=フードとして認識
おそらくシャドウを起こし、少し明るめ。赤や緑など彩度高めになっている

 いかがだろうか。撮影中の画面キャプチャと比較してもその差は歴然。先に書いたようにProモードでパラメータを調整してRAW現像すれば同じ写りになるだろうが、これをオートで撮れるのだからなかなか凄い。しかし本来カメラメーカーがすべきことをスマートフォンメーカーが対応したのは少し寂しい気がしないでもない。

 話は前後したが、カメラのモード(右スワイプ)は、写真、モノクロ、動画、HDR、3Dパノラマ、パノラマ、夜間撮影、ライトペインティング、コマ抜き、スロー、フィルタ、ウォーターマーク、文書スキャン、その他。

カメラ。露出補正は上下のスライダー式
カメラ(Proモード)。上に深度モードのアイコンがある
モード
設定

 Proモードは独立しておらず、写真モードで下側から上にスワイプすることでモードが切り替わる。ISO50~3,200、シャッタースピード1/4,000~30秒、露出補正±4、AF-S/AF-C/MF、WB 曇天/蛍光灯/白熱灯/太陽光/2,800-7,000Kの固定と、設定可能な範囲もかなり広い。

 上の絞りアイコンが撮影後もピンの位置やぼけ味を調整できる深度モードだ。P9やP10では、Proモード、モノクロモードで深度モードが使えなかったが(現時点では不明)、これらのモードでも使用可能になっている。とくにモノクロモードでもOKになったのはうれしい改善点だ。

 設定(左スワイプ)は、解像度20M/12M/9M/8M/6M、RAW形式(Proモードのみ/DNGフォーマット)、GPSタグ、ウォーターマークを自動追加、AF補助ライト、カメラグリッド、水準器、ミラー反射(前面カメラのみ)、タイマー、音声シャッター、オブジェクトトラッキング、音量ボタンの機能、ウルトラスナップショット。

 作例を30枚掲載したので参考にしてほしい。モノクロ/カラー、深度モードオン/オフ……と、いろいろ織り交ぜているものの基本オート。露出補正もほとんどさわっていない。また、あえて低照度での写真が数枚入っている(光学式手ブレ補正もあるので安心)。

 もちろん、カメラの起動、AF、保存、すべての動きにストレスはまったくない。基本性能の良さに加えてAIによるサポートで絶句するほどの描写力。現時点で最強のスマホカメラだろう。露出やホワイトバランスを固定したいとか、あとでRAW現像したいといったことがないかぎり、オートで十分だ。

セットアップ

 セットアップは、Googleアカウント、SIM設定や指紋登録などはスキップして行なった。計12画面。独自アカウントや追加アプリなどもなく、非常にシンプルでわかりやすくなっている。

言語の選択
SIMカードを挿入してください。
利用規約
サービス権限について
ネットワークへの接続
Googleログイン
Googleサービス
BLA-L29へようこそ
データ移行
指紋タッチ操作
指紋ID
EMUI起動

 指紋登録は、画面ロックのパターン、PIN、パスワードのいずれか設定した後に行なえる。センサーが丸く登録自体は非常にしやすい。APNも多くが登録済、デュアルSIM管理もDSDS対応だ。どちらも一般的な設定および機能となる。

指紋を登録
指紋の中心を登録
APN
デュアルSIM管理

シンプルな構成で使いやすいEMUI

 初回起動時のホーム画面は3画面、ドックに電話、連絡先、メッセージ、Chrome、カメラを配置。1画面目にGoogle。2画面目にGoogleフォルダ、Playストア、メール、設定、ギャラリー。3画面目に端末管理、テーマ、音楽、ビデオ、ヘルスケア、時計、カレンダー、ファイル、メモ帳、ヒント、Translator、ツールフォルダ、Booking.comと並んでおり、金とシルバー(もしくは黒)を使っているアイコンが同社製アプリとなる。

 じつは個人的にこのアイコンの色付けが好みではなかったが、テーマを変更すれば別の色になる。上から下へのスワイプで通知エリア、壁紙を長押しで壁紙/ウィジェット/エフェクト/設定。AndroidおよびEMUIのバージョンは8.0.0。ストレージ128GB中空きが108GBだった。

 IMEは標準で、SwiftyKeyキーボードとiWnn IMEが入っているが、あとからGoogle日本語入力などもインストール可能だ。もちろんAndroid 7.xの画面分割も機能する。

Home(1/3)
Home(2/3)
Home(3/3)
Googleフォルダ1/2)
Googleフォルダ(2/2)
ツールフォルダ(1/2)
ツールフォルダ(2/2)
通知エリア/クイック設定
ストレージ
端末情報
テーマの変更
Android 7.xの画面分割
壁紙/ウィジェット/エフェクト/設定
入力方法の選択

 アプリは、「Playストア」、「メール」、「設定」、「ギャラリー」、「電話」、「連絡先」、「メッセージ」、「Chrome」、「カメラ」、「端末管理」、「テーマ」、「音楽」、「ビデオ」、「ヘルスケア」、「時計」、「カレンダー」、「ファイル」、「メモ帳」、「ヒント」、「Translator」、「Booking.com」。Googleフォルダに「Google」、「Gmail」、「マップ」、「YouTube」、「ドライブ」、「Play Music」、「Playムービー&TV」、「Duo」、「フォト」、「ドキュメント」、「スプレッドシート」、「スライド」。ツールフォルダに「天気」、「電卓」、「音声レコーダー」、「懐中電灯」、「ミラー」、「スマートリモコン」、「HiCare」、「コンパス」、「バックアップ」、「Phone Clone」、「ダウンロード」。

 独自アプリとしては、カスタム版のMicrosoft Translator、スマートリモコンなどがあげられる。前者はNPUを使ったカスタム版で確かに翻訳が速い。後者は以前「honor 9」のときにご紹介した、赤外線センサーを使った学習リモコンだ。

カスタム版のMicrosoft Translator
スマートリモコン
Phone Clone
ミラー

 ウィジェットは、「天気ウィジェット」、「オプティマイザ」、「カレンダー」、「ギャラリー」、「連絡先」、「スプレッドシートの新しいスプレッドシート」、「スライドの新しいプレゼンテーション」、「時計」、「ドキュメントの新しいドキュメント」、「ドライブ」×2、「Goolge」、「ヘルスケア」、「メール」、「メモ帳」、「マップ」、「音楽」、「画面ロック」、「設定のショートカット」、「電源管理」、「Booking.comホテル」、「Chromeのブックマーク」、「Gmail」、「Gmailのラベル」。

ウィジェット(1/9)
ウィジェット(2/9)
ウィジェット(3/9)
ウィジェット(4/9)
ウィジェット(5/9)
ウィジェット(6/9)
ウィジェット(7/9)
ウィジェット(8/9)
ウィジェット(9/9)

PCモード

 カメラに加えて本機の特徴として挙げられるのが、この「PCモード」だ。同種の機能としては、Galaxy S8/S8+とGalaxy Note8もDeX Stationを加えれば可能だ。大きな違いはGalaxyはDeX Station(もしくは該当品)が必要でかつIMEが固定になるのに対して、Mate 10 Proは、USB Type-C/DisplayPortケーブルがあれば動作し、IMEはなんでも使えることとなる。

 今回はテストで「ThinkPad Bluetooth ワイヤレス・トラックポイント・キーボード - 日本語」と「Microsoft Designer Bluetooth Mouse」、IMEは「Google日本語入力」を使用したが日本語配列も含め問題なく動作している。

 百聞は一見に如かず。以下の画面キャプチャをご覧いただきたい。

 左下にメニューボタン、下にタスクバー、右に通知エリアなど、以前ご紹介したRemix OSやAndoridアプリに対応したChromebookのデスクトップ、もちろんWindowsにもよく似た画面だ。加えてこのモードではスマートフォンの画面をタッチパッドにすることもできる。

PCモードを起動すると本体はタッチパッドへ
PCモードのデスクトップ
純正アプリメニュー
ユーザーが追加したアプリメニュー
通知センター
純正アプリ(メール、カレンダー、メモ帳、ファイル、ビデオ)
純正アプリ(ギャラリー)、Mobile Excel、Chrome、Google日本語入力
Twitter、Spotify、Facebook

 このとき、アプリ側の作りによって、ウィンドウサイズを変更可能なもの、固定で変更不可なもの、そしてデスクトップには表示できないものと、3種類に分かれる。少し驚いたのは同社のファイルやメールなどの標準アプリ。なんとウィンドウサイズが固定になる。標準アプリぐらいサイズ変更できるようにしてほしいところだ。

 テストで使った、Facebook、Twitter、Instagram、Mobile Office、Chrome、Spotifyはリサイズ可能だった。ただシステム側の描画系がまだチューニング中なのか、マウスをリサイズの状態にして、ウィンドウの端を引っ張っても、もたつく感じとなる。この点が修正されればさらに使いやすくなるだろう(できないのであれば枠だけ描画する方法でもOK)。いったんサイズを決めてしまえば、描画速度自体には問題なくサクサクと動作する。

 またFeedlyは、リサイズこそできるものの、キーボードもマウスも反応しない。じつは、Chromebookで使ったときも同じ症状でタッチでしか反応しないのだ。これは作りの問題なので、アプリを使わずChromeでFeedlyを開けば事足りる。

 気になるのはGoogleフォルダのアプリなど、スマートフォン画面では見えていたアプリのほとんどがメニューに出ていないこと。たとえばYouTubeのURLをクリックするとYouTubeアプリが起動するので(ウィンドウサイズ固定)、動くことは動くのだが、なぜメニューにアイコンがないのか不思議だ。

 このように、もともとAndroidはデスクトップ的な用途を想定していないため、システム側の環境やアプリが整っていないこともあるが、PCを持たない層には役に立つだろう。おそらく画面キャプチャしたアプリでコンテンツを消費する端末としては十分機能するはずだ。他社も含め、対応や更なる改善を望みたい。

 ベンチマークテストは簡易式だが、「Google Octane 2.0」と「AnTuTu Benchmark」を使用した。Google Octaneは9,894、AnTuTu Benchmarkは176,570。ハイエンドらしいスコアとなっている。

Google Octane 2.0
AnTuTu Benchmark
Wi-Fi接続、音量と明るさ50%でYouTubeを全画面連続再生、約9時間半経過後のバッテリ残量は25%

 バッテリ駆動時間は、Wi-Fi接続、音量と明るさ50%でYouTubeを全画面連続再生したところ、12時間ほどで電源が落ちた。ハイパワーのわりに少し長持ちだろうか。


 以上のようにファーウェイ「Mate 10 Pro」は、高性能で筐体とパネルの品質も抜群、AI処理専用のNPUや、それを利用したデュアルカメラ、そしてPCモードなど、iPhoneにはない機能が盛りだくさんのハイエンドスマートフォンだ。

 microSDカードが使えなかったり、3.5mmヘッドフォンジャックがないのは残念だが、それを差し引いても、なかなか魅力的な1台に仕上がっている。とくにカメラ好きのユーザーにぜひ使ってほしい逸品と言えよう。