西川和久の不定期コラム
ユニットコム「LEVEL-R0X3-R8X-VNR」
~Ryzen 7 1800XとGeForce GTX 1080搭載の爆速ゲーミングPC
2017年3月27日 14:00
iiyama PCブランドを展開するユニットコムは、Ryzen 7 1800XとGeForce GTX 1080を搭載したLEVEL∞シリーズのデスクトップPC「LEVEL-R0X3-R8X-VNR」を発売した。税別直販価格は219,980円だ。
これに先立ち、試作機を試用する機会を得たのでレビューをお届けしたい。特にAMD Ryzen 7は、出荷が始まったばかりの最新鋭ハイエンドプロセッサ。その性能が気になるところ。
Ryzen 7 1800XとGeForce GTX 1080で爆速デスクトップPC
今年(2017年)の初め、PC業界最大の話題は「AMD Ryzen 7」の出荷開始だろう。久々にIntelのハイエンドCPUを凌駕する可能性があるプロセッサの登場だ。
SKUとしては現時点では、Ryzen 7 1800X、1700X、1700と3種類がある。14nmプロセスで製造され、すべて8コア16スレッド、倍率フリー、キャッシュ16MB。クロックとTDPは順に3.6~4GHz/95W、3.4~3.8GHz/95W、3~3.7GHz/65Wとなる。末尾のXはExtended Frequency Range(XFR)の有無。価格は、64,590円前後、50,550円前後、41,900円前後(AKIBA PC Hotline!/2017年3月6日調べ)。3月3日(金曜日)0時が発売解禁で、秋葉原は多くの人で賑わったようだ。
性能の詳細は、すでに各種のベンチマークテストが掲載されているので別記事の『AMD「Ryzen 7 1800X」はIntelの牙城を崩せるか?l』を参照してほしいが、総じて8コア16スレッドが活かせる環境であれば期待できそうな雰囲気。個人的には仮想マシンを多く立ち上げ開発用に使ってみたいところ。
そして今回ご紹介するのは、この「Ryzen 7 1800X」を採用したデスクトップPCとなる。加えて、GeForce GTX 1080(GDDR5X/8GB/CUDAコア2,560基)も搭載。その上位には同1080 Ti(CUDAコア3,584基)があるため、タイトルに最速CPU×最速GPUとは書けなかったが、それでも至高の組み合わせであることには違いない。
主な仕様は以下のとおり。
プロセッサ | Ryzen 7 1800X(8コア/16スレッド、クロック 3.6~4GHz、キャッシュ16MB、TDP 95W) |
---|---|
チップセット | AMD X370 |
メモリ | 4GB×2/DDR4-2400(4スロット/最大64GB) |
ストレージ | SSD 240GB+HDD 1TB |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
OS | Windows 10 Home |
グラフィックス | GeForce GTX 1080(GDDR5X/8GB)、DisplayPort×3、HDMI、DVI |
前面インターフェイス | USB 3.0、USB 2.0×2、音声入出力 |
背面インターフェイス | PS/2、USB 3.1×2、USB 3.0×6(1基はType-C)、Gigabit Ethernet、音声入出力 |
拡張スロット | PCIe 3.0 x16×2、PCIe 2.0 x16×1、PCIe 2.0 x1×3、M.2×1 |
電源 | 500W(80PLUS Silver認証) |
サイズ | 190×477×432mm(幅×奥行き×高さ) |
税別直販価格 | 219,980円 |
プロセッサは先に書いたとおり、AMD Ryzen 7 1800X。最上位SKUで8コア16スレッドでクロックは3.6GHzから最大4GHz。倍率ロックフリーだ。キャッシュは16MBでTDPは95Wとなる。チップセットはAMD X370で、Socket AM4。
メモリは4スロットあり、DDR4-2400の4GB×2の計8GB、最大64GB。ストレージはSSD 240GBとHDD 1TB。光学ドライブにDVDスーパーマルチドライブ。OSは64bit版のWindows 10 Homeを搭載している。
マザーボード側の背面パネルにDisplayPort 1.2、HDMIを備えているが、これはAPU用であり、Ryzen 7では使用できない。このためビデオカードとしてGeForce GTX 1080(GDDR5X/8GB)を搭載しており、出力はDisplayPort×3、HDMI、DVIと豊富だ。
インターフェイスは、前面がUSB 3.0、USB 2.0×2、音声入出力で、背面はPS/2、USB 3.1×2、USB 3.0×6(1基はType-C)、Gigabit Ethernet、音声入出力。拡張スロットは、PCIe 3.0 x16×2、PCIe 2.0 x16、PCIe 2.0 x1×3、M.2。また、SATA 6Gbpsが8基ある。
電源は80PLUS Silver認証の500W。サイズは190×477×432mm(幅×奥行き×高さ)、BTOによるカスタマイズにも対応し、今回の構成で税別219,980円からとなる。
筐体はタワー型。ヘアライン仕上げの黒にアクセントの赤が美しい。前面上部にHDD LED、USB 3.0、USB 2.0、音声入出力、USB 2.0、右端に電源ボタン。下にDVDスーパーマルチドライブ。マザーボードの背面パネルにPS/2、USB 3.0×2、DisplayPort、HDMI、USB 3.0とType-C、USB 3.1×2、Gigabit Ethernet、USB 3.0×2、音声入出力。ただしこちら側のDisplayPortとHDMIは未使用。横にファンが1基。
内部は、5インチベイは3基で、1基がDVDスーパーマルチドライブ。3.5インチベイが4基でSSDとHDDで2基使用している。マザーボードはASUS「PRIME X370-PRO」。プロセッサの右側にメモリスロットが4つ。また下にM.2がある。
拡張スロットは、PCIe 3.0 x16×2、PCIe 2.0 x16×1、PCIe 2.0 x1×3。写真の右の2つはGeForce GTX 1080で塞がる。GeForce GTX 1080は2レーンを占有し、出力DisplayPort×3、HDMI、DVI。
電源ユニットは本体下部に500Wが1つ。考えてみればこれだけの装備で500Wで収まるのだから昔から考えれば省エネマシンとも言える。
写真からもわかるように、内部は意外とスッキリしており、M.2やSATA 6Gbpsコネクタなどが余っている状態。電源が許す限り拡張は容易だろう。またマザーボードのイルミネーション機能「Aura」と、CPUクーラーからの発光が見る見る変わり非常に綺麗だ(MSIのロゴは白単色)。
ベンチマークテストなどで試用したところ、振動と発熱は気にならないが、ファンの音は結構ある。また排気孔の風量が強く、たまたま足元に実機を置いていたのだが、冷たい風でスースーするほどだった(笑)。
これまで扱った中では最高ランクのスコアをマーク!
OSは64bit版Windows 10 Home。初回起動時のスタート画面(タブレットモード)はWindows 10標準、デスクトップは壁紙の変更と、GeForce Experienceへのショートカットのみとシンプル。今回はリソースモニターのCPUをデスクトップと一緒に画面キャプチャしたが、ご覧のようにCPU0からCPU15まで並んでいるのが壮観だ。これだけのスペックなので、普通の操作は余裕。余っているリソースの方が多い。
ストレージは、SSD 240GBが「Crucial CT275MX300SSD1」。HDDは1TB 7,200rpmの「Seagate ST1000DM010」を搭載。SSDはC:ドライブのみの1パーティション。約255.62GBが割り当てられ空き237GB、HDDはE:ドライブ。1パーティションで約931.51GBだった。
DVDスーパーマルチドライブは「HL-DT-ST DVDRAM GH24NSD1」。Gigabit EthernetはIntel製。Wi-FiとBluetoothは非搭載だ。
プリインストールされているソフトウェアは、Windowsストアアプリ、デスクトップアプリともになし。IntelやNVIDIA、Realtekのシステムツール系のみとなる。
搭載マザーボードが一般販売されているASUSの「PRIME X370-PRO」であり、通常はマザーボードを買えば付属ユーティリティが利用できるものの、LEVEL-R0X3-R8X-VNRはそれらがインストールされずに出荷されている。編集部経由でメーカーに確認したところ、ユーティリティは利用できるがサポート対象外なので、使用する場合はあくまでも自己責任でインストールしてほしいとのことだった。
以降、ASUSのサイトからPRIME X370-PROのユーティリティをダウンロードして画面キャプチャを撮影したものとなる。
「Ai Suite 3」は、OCなどを含めいろいろマザーボードをコントロールできる総合ユーティリティ。自動OCを試したところ12%のアップ。この状態でしばらく使ったがプロセッサの温度は40℃後半から60℃程度だった。自動OC調整時の記録で最大89℃。プロセッサ性能を考えると結構低めだろうか。「Aura」は、写真に掲載したイルミネーションのコントロール用だ。
「Turbo LAN」はネットワークのステータス表示など。右上にあるようにウィジェット的な表示も可能。「EZ Update」はシステム/ユーティリティのアップデートに使用する。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2/Home accelerated、3DMarkとCrystalDiskMark。いつものCrystalMarkは、測定はしたもののさすがに8コア16スレッドでは条件的に無理があるので省略。またCPU-Z(自動OC時)とGPU-Zの画面キャプチャも合わせて掲載する。
winsat formalの結果は、総合 8.2。プロセッサ 9.2、メモリ 9.2、グラフィックス 8.9、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 8.2。メモリのバンド幅は26759.83758MB/s。PCMark 8 バージョ2/Home acceleratedは4894。3DMarkは、Ice Storm 179991、Cloud Gate 46193、Sky Diver 40940、Fire Strike 17739。CrystalDiskMarkは、Seq Q32T1 Read 534.6/Write 508.9、4K Q32T1 Read 246.3/Write 308.5、Seq Read 502.7/Write 505.6、4K Read 27.21/Write 101.7(MB/s)。
プロセッサ、メモリ、グラフィックスはかなりの高スコアだ。逆にSSDが普通なので全体の足を引っ張っている珍しいケースとも言える。
3DMarkはテスト中、ずっと見ていたが、総じてスムーズ。またFire Strikeの最後のシーンが30fps前後で動いていたのには驚いた。
以上のように、LEVEL-R0X3-R8X-VNRは、Ryzen 7 1800XとGeForce GTX 1080を搭載したデスクトップPCだ。ハイエンドパーツで構成されているため、ベンチマークにおいて本連載史上過去最高ランクのスコアとなった。
このクラスになると自作しても面白いが、仕様上、特に気になる部分もなく、サポートも含め、このコンビネーションのメーカー製を希望するユーザーにお勧めしたい1台だ。