西川和久の不定期コラム
2.5インチSSDサイズのZOTAC製超小型PCを試す
~ZBOX PI225 Windows 10 Home
2017年11月22日 11:00
アスクは11月6日、ZOTAC製の2.5インチSSDサイズのコンパクトPC「ZBOX PI225 Windows 10 Home」を発表。11月下旬より販売を開始する。編集部から実機が送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。
驚きの2.5インチSSDサイズ
本連載ではこれまでにもスティックタイプや、手のひらサイズの超小型PCを紹介したが、今回は2.5インチSSDとほぼ同じサイズのファンレスPCとなっている。
おもな仕様は以下のとおり。
ZBOX PI225 Windows 10 Home | |
---|---|
プロセッサ | Celeron N3350(2コア/2スレッド、クロック 1.1GHz~2.4GHz、キャッシュ2MB、TDP 6W//SDP 4W) |
メモリ | 4GB(LPDDR3) |
ストレージ | eMMC 32GB |
OS | Windows 10 Home |
グラフィックス | Intel HD Graphics 500、DisplayPort(USB Type-C兼用) |
ネットワーク | IEEE 802.11ac対応無線LAN、Bluetooth 4.2 |
インターフェイス | USB 3.0 Type-C×2、Micro USB(給電用)、microSDカードリーダ |
付属品 | マウンティングブラケット、USB Type-C to HDMI/USB Type-A×2変換アダプタ、電源アダプタ、Micro USBケーブル、ユーザーマニュアル、クイックインストールガイド、OSリカバリDVD |
その他 | ファンレス |
サイズ | 63×95.4×8mm(幅×奥行き×高さ) |
税別店頭予想価格 | 3万円前後 |
プロセッサはApollo LakeのCeleron N3350。2コア2スレッドでクロックは1.1GHzから最大2.4GHz。超小型PC関連ではおなじみのSKUで、本機はファンレス動作だ。メモリはLPDDR3の4GB。ストレージはeMMC 32GB。OSは64bit版のWindows 10 Homeとなる。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 500。外部出力はUSB Type-Cと併用のDisplayPort。付属のUSB Type-C to HDMI/USB Type-A×2変換アダプタでHDMIへも出力可能だ。
ネットワークは、IEEE 802.11ac対応無線LAN、Bluetooth 4.2。有線LANはない。そのほかのインターフェイスは、USB 3.0 Type-C×2、Micro USB、microSDカードリーダ。Micro USBは給電用。音声入出力はなく、出力に関しては、DisplayPortかHDMI、もしくはUSBやBluetoothで別途接続する。
付属品は、マウンティングブラケット、USB Type-C to HDMI/USB Type-A×2変換アダプタ、USB式ACアダプタ、Micro USBケーブル、ユーザーマニュアル、クイックインストールガイド、OSリカバリDVD。
本体だけだとType-Cを使ったDisplayPort接続となり、別途ケーブルが必要となるものの、 HDMIおよびUSB Type-A×2変換アダプタが付属しているのはありがたい。
そして最大の特徴は、本体サイズが63×95.4×8mm(幅×奥行き×高さ)と、ほぼ2.5インチのSSDと同じこと。USB接続の外部SSD/HDDとスタックして使っても面白そうだ。
税別店頭予想価格は3万円前後。プロセッサ、メモリ、そしてこのサイズ感だと、店頭で見かければ衝動買いしてしまいそうな価格帯となる。
なお、同時に発表されたスティックPC「ZBOX PI223 Windows 10 Home」は、Windows 10 Homeが32bit版、Atom x5-Z8350、メモリ2GB、eMMC 32GBで2万円台前半だ。
筐体はブラックでほぼ金属製。全体に放熱性を考え、おうとつが施されている。写真からもわかるように、とにかく小さくて薄い。2.5インチSSDと同サイズは伊達じゃない。重量は実測で77gだった。
右側面に給電用のMicro USB。下側面に電源ボタンとパワーLED。左側面にUSB Type-C×2。上側面にmicroSDカードリーダを配置。パワーLEDは通電で橙色、オンで緑色となる。裏の4本のネジで簡単にパネルを外すことが可能だ。ただ、メモリやSSDを増設できるわけでもなく、外したところで意味はない。ロゴのあるプラスチックの部分はWi-Fiアンテナが埋め込まれている。
USB式ACアダプタは約35×30×35mm、重量60gで出力は5V/3A。プラグを折りたたみ、各国対応のプラグを装着することができる。参考までに、USB Type-C to HDMI/USB Type-A×2変換アダプタの重量は44g。本体、ACアダプタ、変換アダプタすべて合わせても181gとかなり軽い。
ノイズや振動はファンレスなので皆無。発熱は季節柄もあるだろうが、そこそこ温かくなるものの、熱いというレベルではなかった。これなら長時間運用でも大丈夫だろう。
「MousePro-C100PV」のときにも書いたが、筆者のMastodonサーバーは、ほぼ同じスペック。Linuxが動くならかなり気になる存在だ。リカバリCDが付属するので失敗してもWindows 10へ戻せるため、気軽に試すことができる。実際、今回リカバリCDを使いリカバリも行なったが、何の問題も発生せずあっさり作業が完了した。
eMMCだがCeleron N3350とメモリ4GBで実用的な作動速度
OSは64bit版のWindows 10 Home。eMMCなのでSSDほどの速さはないものの、メモリが4GBあるのでそれなりに動作する。初回起動時のスタート画面(タブレットモード)およびデスクトップは、Windows 10標準のまま。何も手を入れていない素の状態だ。
ストレージのeMMCは32GBの「Samsung BJNB4R」。C:ドライブのみの1パーティションで約28.57GBが割り当てられ空き18.4GBとかなり少ない。データはmicroSDやクラウド、NAS、USB接続のストレージなど外部に逃がすほうが無難だろう。
Wi-Fi(Intel Dual Band Wireless-AC 3165)とBluetoothはIntel製。オーディオはIntelディスプレイオーディオとなっている。
プリインストールされているソフトウェアはとくになし。システムに必要なドライバ/ツール系のみとなっている。先に書いたように空き容量も少ないので、逆にこのほうが扱いやすい。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2/Home accelerated、CrystalDiskMark。またCrystalMarkの結果も掲載した(2コア2スレッドと条件的に問題ない)。
winsat formalの結果は、総合 4.4。プロセッサ 4.7、メモリ 5.9、グラフィックス 4.4、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 7.35。64bitでメモリ4GBなのでリミッターがかかっている。メモリのバンド幅は8,454.81025MB/s。PCMark 8 バージョ2/Home acceleratedは1,465。
CrystalDiskMarkは、Seq Q32T1 Read 282.7/Write 82.76、4K Q32T1 Read 34.83/Write 33.01、Seq Read 313.2/Write 81.57、4K Read 18.98/Write 24.13(MB/s)。CrystalMarkは、ALU 9612、FPU 8483、MEM 13551、HDD 27517、GDI 2948、D2D 1960、OGL 2484。
Celeron N3350のわりに少し遅い気もするが、PCMark 8 バージョ2/Home acceleratedの結果を見ればわかるように、クロックがほぼ定格の1.1GHzで作動している。この関係もあり、温度は48℃から64℃程度と低め。システムの作動点をこの温度で収まるように調整していると思われる。
以上のようにZOTAC「ZBOX PI225 Windows 10 Home」は、2.5インチSSDサイズに、Celeron、4GB、32GBを詰め込んだファンレス超小型PCだ。速度的にも普通の用途であれば大丈夫。本体、ACアダプタ、変換アダプタすべて合わせても181gとかなり軽く、持ち運びも容易だ。
仕様上とくに気になる部分もなく、このサイズにグッときた小型PC好きにぜひ使ったいただきたい逸品と言えよう。