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ビデオメモリ、多い方が幸せ。新GPU「Radeon RX 7700 XT/7800 XT」をGeForceと比較した
2023年9月6日 22:00
9月8日、先日発表されたAMDの新世代GPU「Radeon RX 7700 XT」と「Radeon RX 7800 XT」が発売される。日本での価格は執筆時点では未定だが、米国での価格はそれぞれ449ドルと499ドルとなっている。
これに先立って、両GPUを搭載したビデオカードをテストする機会が得られたので、WQHD/1440pゲーミング向けとされる最新鋭GPUの性能をベンチマークテストで確かめてみた。
チップレットアーキテクチャを採用するRDNA 3世代のミドルハイGPU
AMDのRadeon RX 7700 XTとRadeon RX 7800 XTは、いずれもRDNA 3アーキテクチャに基づいて設計されたGPUで、GPUの機能をGCD(Graphics Compute Die)とMCD(Memory Cache Die)に分割して実装するチップレットアーキテクチャを採用している。
上位モデルのRadeon RX 7800 XTは、60基のコンピュートユニットが有効化されており、3,840基のストリームプロセッサや60基のRay Accelerator、120基のAI Acceleratorなどが利用できる。256bitのメモリインターフェイスで接続された16GBのGDDR6メモリと、64MBのInfinity Cacheを搭載しており、2,708.4GB/sの実行メモリ帯域幅を実現。バスインターフェイスはPCIe 4.0 x16で、消費電力指標のTBPは263W。
下位モデルのRadeon RX 7700 XTは、54基のコンピュートユニットが有効化されており、3,456基のストリームプロセッサや54基のRay Accelerator、108基のAI Acceleratorなどが利用できる。192bitのメモリインターフェイスで接続された12GBのGDDR6メモリと、48MBのInfinity Cacheを搭載しており、1,995.3GB/sの実行メモリ帯域幅を実現。バスインターフェイスはPCIe 4.0 x16で、消費電力指標のTBPは245W。
【表1】Radeon RX 7700 XT/Radeon RX 7800 XTの主な仕様 | ||
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GPU | Radeon RX 7700 XT | Radeon RX 7800 XT |
アーキテクチャ | RDNA 3 | RDNA 3 |
製造プロセス | 5nm GCD + 6nm MCD | 5nm GCD + 6nm MCD |
コンピュートユニット | 54基 | 60基 |
ストリームプロセッサ | 3,456基 | 3,840基 |
Ray Accelerator | 54基 | 60基 |
AI Accelerator | 108基 | 120基 |
ROPユニット | 96基 | 96基 |
ゲームクロック | 2,171MHz | 2,124MHz |
ブーストクロック | 2,544MHz | 2,430MHz |
AMD Infinity Cache | 48MB | 64MB |
メモリ容量 | 12GB (GDDR6) | 16GB (GDDR6) |
メモリスピード | 18Gbps | 19.5Gbps |
メモリインターフェイス | 192bit | 256bit |
メモリ帯域幅 | 432GB/s | 624GB/s |
実効メモリ帯域幅 | 1,995.3GB/s | 2,708.4GB/s |
PCI Express | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 |
消費電力 (TBP) | 245W | 263W |
今回テストするビデオカードは、Radeon RX 7700 XT搭載ビデオカード「ASRock Redeon RX 7700 XT Challenger 12GB OC」と、Radeon RX 7800 XTのリファレンスボードだ。まずはそれぞれの外観と機能をチェックしてみよう。
ASRock Redeon RX 7700 XT Challenger 12GB OC
Radeon RX 7700 XTを搭載するASRockの「Redeon RX 7700 XT Challenger 12GB OC(RX7700XT CL 12GO)」は、GPUコアをオーバークロックして搭載したASRockオリジナル仕様のビデオカード。GPUのRadeon RX 7700 XTは、ゲームクロックが2,171MHzから2,226MHz、ブーストクロックは2,544MHzから2,584MHzに引き上げられている。
カード本体には2.5スロットを占有する大型GPUクーラーを搭載。補助電源はPCIe 8ピン×2系統で、画面出力端子はDisplayPort×3とHDMI×1。
比較用GPUとテスト環境
Radeon RX 7700 XTとRadeon RX 7800 XTの比較相手には、旧モデルとなるRDNA 2世代の「Radeon RX 6700 XT」「Radeon RX 6800」のほか、現行世代の競合製品となる「GeForce RTX 4060 Ti」と「GeForce RTX 4070」を用意した。
各ビデオカードのテスト時動作仕様は以下の通り。なお、Radeon系GPUの温度リミットについては、HWiNFO64で計測したGPU Hotspot温度とリミット値に対する現在値の割合から算出した数値となっている。
【表2】各ビデオカードの動作仕様 | ||||||
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GPU | Radeon RX 7700 XT | Radeon RX 7800 XT | Radeon RX 6700 XT | Radeon RX 6800 | GeForce RTX 4060 Ti | GeForce RTX 4070 |
ビデオカードベンダー | ASRock | AMD | AMD | AMD | ZOTAC | NVIDIA |
製品型番 | RX7700XT CL 12GO | リファレンスモデル | リファレンスモデル | リファレンスモデル | ZT-D40610E-10M | Founders Edition |
ベースクロック | 1,603MHz | MHz | 2,330MHz | 1,700MHz | 2,310MHz | 1,920MHz |
ゲームクロック | 2,226MHz | 2,124MHz | 2,433MHz | 1,815MHz | ─ | ─ |
ブーストクロック | 2,584MHz | 2,430MHz | 2,615MHz | 2,105MHz | 2,535MHz | 2,475MHz |
メモリ容量 | 12GB (GDDR6) | 16GB (GDDR6) | 12GB (GDDR6) | 16GB (GDDR6) | 8GB (GDDR6) | 12GB (GDDR6X) |
メモリスピード | 18Gbps | 19.5Gbps | 16Gbps | 16Gbps | 18Gbps | 21Gbps |
メモリインターフェイス | 192bit | 256bit | 192bit | 256bit | 128bit | 192bit |
メモリ帯域幅 | 432GB/s | 624GB/s | 384GB/s | 512GB/s | 288GB/s | 504GB/s |
PCI Express | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x8 | PCIe 4.0 x16 |
Power Limit | ─ | ─ | ─ | ─ | 160W | 200W |
GPU PPT(持続/短時間) | 210W/252W | 212W/254.4W | 186W | 203W | ─ | ─ |
温度リミット | 110℃(GPU Hotspot) | 110℃(GPU Hotspot) | 110℃(Hotspot) | 110℃(Hotspot) | 83℃ | 83℃ |
Resizable BAR | 有効 | 有効 | 有効 | 有効 | 有効 | 有効 |
GPUドライバ | Adrenaline 23.20.01.05 (31.0.22001.5007) | Adrenaline 23.20.01.05 (31.0.22001.5007) | Adrenaline 23.8.1 (31.0.21029.1006) | Adrenaline 23.8.1 (31.0.21029.1006) | GRD 537.13 (31.0.15.3713) | GRD 537.13 (31.0.15.3713) |
各ビデオカードを搭載するベース機材には、Ryzen 7 7800X3Dを搭載したAMD X670E環境を用意した。
そのほかの機材や条件については以下の通り。
【表3】テスト機材 | |
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CPU | Ryzen 7 7800X3D (8コア/16スレッド) |
CPUリミット設定 | PPT=162W、TDC=120A、EDC=180A、TjMax=89℃ |
CPUクーラー | ADATA XPG LEVANTE 360 ARGB (ファンスピード=100%) |
マザーボード | ASUS TUF GAMING X670E-PLUS [UEFI=1636] |
メモリ | DDR5-5200 16GB×2 (2ch、42-42-42-84、1.1V) |
システム用SSD | CORSAIR MP600 1TB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4) |
アプリケーション用SSD | CFD CSSD-M2B2TPG3VNF 2TB (NVMe SSD/USB 10Gbps) |
電源 | 玄人志向 KRPW-PA1200W/92+ (1200W/80PLUS Platinum) |
OS | Windows 11 Pro 22H2 (build 22621.2215、VBS有効) |
電源プラン | バランス |
計測 | HWiNFO64 Pro v7.60、ラトックシステム RS-BTWATTCH2 |
室温 | 約27℃ |
ベンチマーク結果
今回実施したベンチマークテストは、「3DMark」、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「BLUE PROTOCOL ベンチマーク」、「サイバーパンク2077」、「Microsoft Flight Simulator」、「フォートナイト」、「エーペックスレジェンズ」、「オーバーウォッチ 2」、「Forza Horizon 5」、「STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール」、「モンスターハンターライズ:サンブレイク」、「エルデンリング」、「Blender Benchmark」、「UL Procyon」。
3DMark「Speed Way」
3DMarkのDirectX 12高負荷テストであるSpeed Wayでは、Radeon RX 7800 XTがGeForce RTX 4070を約28%下回る一方、Radeon RX 7700 XTを約19%、Radeon RX 6700 XTを約64%、Radeon RX 6800を約23%、GeForce RTX 4060 Tiを約20%上回った。
3DMark「Port Royal」
3DMarkのDirectX Raytracing(DXR)テスト「Port Royal」では、Radeon RX 7800 XTがGeForce RTX 4070を約7%下回る一方、Radeon RX 7700 XTを約12%、Radeon RX 6700 XTを約60%、Radeon RX 6800を約23%、GeForce RTX 4060 Tiを約29%上回った。
3DMark「Solar Bay」
3DMarkのVulkan 1.1によるリアルタイムレイトレーシングテスト「Solar Bay」では、Radeon RX 7800 XTがGeForce RTX 4070を約7%下回る一方、Radeon RX 7700 XTを約16%、Radeon RX 6700 XTを約56%、Radeon RX 6800を約22%、GeForce RTX 4060 Tiを約24%上回った。
3DMark「Time Spy」
3DMarkのDirectX 12テストであるTime Spyでは、標準テストのTime Spyと、高負荷版のTime Spy Extremeを実行した。
ここで全体ベストのスコアを記録したのはRadeon RX 7800 XTで、Radeon RX 7700 XTを8~10%、Radeon RX 6700 XTを39~41%、Radeon RX 6800を約13%、GeForce RTX 4060 Tiを33~36%、GeForce RTX 4070を約5%上回った。
3DMark「Fire Strike」
3DMarkのDirectX 11テスト「Fire Strike」では、標準テストのFire Strikeのほか、高負荷版のFire Strike ExtremeとFire Strike Ultraを実行した。
ここでもRadeon RX 7800 XTのスコアが全体ベストを記録。Radeon RX 7700 XTを9~16%、Radeon RX 6700 XTを25~44%、Radeon RX 6800を6~13%、GeForce RTX 4060 Tiを30~66%、GeForce RTX 4070を8~22%上回った。
3DMark「Wild Life」
3DMarkのVulkanテストである「Wild Life」では、標準テストのWild Lifeと、高負荷版のWild Life Extremeを実行した。
Radeon RX 7800 XTのスコアは全体2番手で、GeForce RTX 4070を4~6%下回る一方、Radeon RX 7700 XTを6~16%、Radeon RX 6700 XTを34~45%、Radeon RX 6800を8~13%、GeForce RTX 4060 Tiを31~32%上回った。
3DMark「DirectX Raytracing feature test」
3DMarkの「DirectX Raytracing feature test」は、DXRによるリアルタイムレイトレーシング性能の計測に特化したテストだ。
Radeon RX 7800 XTのスコアは、Radeon RX 7700 XTを約4%、Radeon RX 6700 XTを約64%、Radeon RX 6800を約16%上回る一方で、GeForce RTX 4070を約37%、GeForce RTX 4060 Tiを約15%下回る全体3番手だった。
この結果からは、RDNA 3ベースのRadeon RX 7700 XTとRadeon RX 7800 XTが備えるハードウェアレイトレーシング性能がRDNA 2世代のRadeonを大きく上回る一方で、競合となるGeForce RTX 40シリーズには及ばないものであることが伺える。
3DMark「PCI Express feature test」
3DMark「PCI Express feature test」は、バスインターフェイスの帯域幅を計測するテスト。
GeForce RTX 4060 Ti以外のGPUは、いずれもバスインターフェイスにPCIe 4.0 x16を採用しており、帯域幅も27GB/s前後でおおむね横並びとなっている。
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークでは、描画品質を「最高品質」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度をテストした。
Radeon RX 7800 XTのスコアは全体2番手で、GeForce RTX 4070を0.1~4%下回る一方、Radeon RX 7700 XTを7~29%、Radeon RX 6700 XTを18~35%、Radeon RX 6800を3~8%、GeForce RTX 4060 Tiを12~38%上回った。
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークでは、画質プリセットを「高品質」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度をテストした。
Radeon RX 7800 XTはGeForce RTX 4070を5~10%下回る一方、Radeon RX 7700 XTを15~22%、Radeon RX 6700 XTを32~41%、Radeon RX 6800を6~9%、GeForce RTX 4060 Tiを23~35%上回った。
BLUE PROTOCOL ベンチマーク
BLUE PROTOCOL ベンチマークでは、画質プリセットを「最高画質」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度をテストした。
Radeon RX 7800 XTはGeForce RTX 4070を6~9%下回る一方、Radeon RX 7700 XTを13~18%、Radeon RX 6700 XTを48~53%、Radeon RX 6800を18~20%、GeForce RTX 4060 Tiを19~26%上回った。
サイバーパンク2077
サイバーパンク2077では、グラフィックプリセット「レイトレーシング:ウルトラ」をベースに、超解像技術の無効時と有効時のパフォーマンスをベンチマークモードで計測した。なお、GeForce RTX 40シリーズはDLSS利用時にフレーム生成を有効化している。
フルHDでは、Radeon RX 7800 XTはGeForce RTX 4070とGeForce RTX 4060 Tiを下回る全体3番手となっており、この順位はFSR 2.1の超解像を利用した場合でも変わらない。
WQHDでは、Radeon RX 7800 XTは超解像オフであればGeForce RTX 4060 Tiを上回るが、FSR 2.1有効時には逆転されている。これはVRAMの帯域幅や容量が影響しているもので、4Kの超解像オフになるとVRAM不足に陥ったGeForce RTX 4060 Tiは比較製品中最下位に沈んでいる。
VRAM容量の多いRadeon RX 7800 XTやRadeon RX 7700 XTの優位性が見える結果であるとも言えるが、いずれの条件でもベストだったのはGeForce RTX 4070で、ハードウェアレイトレーシングを積極的に活用するタイトルでは分が悪い様子もみてとれる。また、DLSS 3によるフレーム生成の効果をみると、Radeonにフレーム生成をもたらすFSR 3の登場に期待したい。
Microsoft Flight Simulator
Microsoft Flight Simulatorでは、画質プリセットを「ウルトラ」に設定して、超解像度技術の無効時と有効時のパフォーマンスを計測した。テスト時のグラフィックスAPIは「DirectX 12」で、GeForce RTX 40シリーズについてはDLSS有効時にフレーム生成を有効にしている。
フルHDでアンチエイリアス(AA)を「TAA」に設定した場合、Radeon RX 7800 XTは全体ベストの72.9fpsを記録し、Radeon RX 7700 XTは68.7fpsで4番手につけている。FSR 2による超解像を利用した場合、Radeon系GPUのフレームレートは73fps前後まで上昇しており、このあたりでCPU(Ryzen 7 7800X3D)がボトルネックになっているようだ。
WQHDでは「TAA」でGeForce RTX 4070に逆転されたRadeon RX 7800 XTだが、FSR 2有効時にはこれを逆転して全体ベストの72.4fpsを記録した。FSR 2の利用でGeForce RTX 4070をRadeon RX 7800 XTが逆転するのは4Kでも同様だ。
ただ、DLSS 3によるフレーム生成を含めた場合、フルHDから4KまでベストだったのはGeForce RTX 4070で、そのフレームレートはFSR 2を用いたRadeon RX 7800 XTを大きく上回っている。FSR 3の登場でこの差が埋まることを期待したい。
フォートナイト
フォートナイトでは、グラフィックプリセット「最高」をベースに、アンチエイリアスを「TSR最高」にした場合や、NaniteとLumen(およびハードウェアレイトレーシング)を有効にした設定でフレームレートを計測した。テスト時のグラフィックスAPIは「DirectX 12」。
アンチエイリアス「TAA」でNanite/Lumen無効時のRadeon RX 7800 XTは、GeForce RTX 4070を6~10%下回る一方、Radeon RX 7700 XTを19~23%、Radeon RX 6700 XTを38~63%、Radeon RX 6800を19~22%、GeForce RTX 4060 Tiを12~28%上回った。
Nanite/Lumenを無効にしたまま、アンチエイリアスを超解像の「TSR最高」に設定した場合、Radeon RX 7800 XTはGeForce RTX 4070を3~8%下回る一方、Radeon RX 7700 XTを13~15%、Radeon RX 6700 XTを31~37%、Radeon RX 6800を11~17%、GeForce RTX 4060 Tiを18~25%上回った。
アンチエイリアス「TSR最高」でNanite/Lumenを有効にすると、Radeon RX 7800 XTのフレームレートは全体ベストとなっており、Radeon RX 7700 XTを約13%、Radeon RX 6700 XTを35~44%、Radeon RX 6800を17~18%、GeForce RTX 4060 Tiを30~38%、GeForce RTX 4070を4~6%上回った。
エーペックスレジェンズ
エーペックスレジェンズでは、描画設定を可能な限り高く設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度でフレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは300fps。
Radeon RX 7800 XTの平均フレームレートは全体ベストで、Radeon RX 7700 XTを約7~17%、Radeon RX 6700 XTを21~45%、Radeon RX 6800を6~17%、GeForce RTX 4060 Tiを16~34%、GeForce RTX 4070を0.4~4%上回った。
オーバーウォッチ 2
オーバーウォッチ 2では、グラフィックプリセットを最高の「エピック」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは600fps。
Radeon RX 7800 XTはフルHDでGeForce RTX 4070を約3%下回ったものの、WQHD以上では逆に2~10%上回って全体ベストを獲得している。
GeForce RTX 4070以外のGPUとRadeon RX 7800 XTを比較すると、Radeon RX 7700 XTを約12~24%、Radeon RX 6700 XTを47~52%、Radeon RX 6800を14~16%、GeForce RTX 4060 Tiを29~47%上回っている。
Forza Horizon 5
Forza Horizon 5では、画質プリセットを「エクストリーム」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度でゲーム内ベンチマークモードを実行した。
全体ベストを獲得したのはRadeon RX 7800 XTで、Radeon RX 7700 XTを約20~22%、Radeon RX 6700 XTを35~52%、Radeon RX 6800を13~19%、GeForce RTX 4060 Tiを27~43%、GeForce RTX 4070を4~7%上回った。
モンスターハンターライズ:サンブレイク
モンスターハンターライズ:サンブレイクでは、画質プリセットを「高」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。
Radeon RX 7800 XTはフルHDでGeForce RTX 4070を約3%下回ったものの、WQHD以上では逆に3~7%上回って全体ベストを獲得している。
GeForce RTX 4070以外のGPUとRadeon RX 7800 XTを比較すると、Radeon RX 7700 XTを約10~21%、Radeon RX 6700 XTを21~44%、Radeon RX 6800を3~13%、GeForce RTX 4060 Tiを25~51%上回っている。
STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール
STREET FIGHTER 6の公式ベンチマークツールでは、画質プリセットを「HIGHEST」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度でテストを実行した。上限フレームレートはFIGHTING GROUNDが60fpsで、BATTLE HUBとWORLD TOURが120fps。
メインコンテンツとも言えるFIGHTING GROUNDでは、Radeon RX 7700 XT、Radeon RX 7800 XT、Radeon RX 6800、GeForce RTX 4070の4GPUがフルHDから4Kまで60fpsに張り付くような結果を記録する一方、Radeon RX 6700 XTとGeForce RTX 4060 Tiは4Kで僅かなフレームレート低下が見られた。
BATTLE HUBとWORLD TOURの結果については、フルHDでは全GPUが上限フレームレートに達しているが、WQHDではRadeon RX 6700 XTとGeForce RTX 4060 Tiにフレームレートの低下がみられ、4Kでは全てのGPUが上限フレームレートを下回っている。
GPU性能の差が現れたBATTLE HUBとWORLD TOURの4Kでの結果を比較すると、Radeon RX 7800 XTが全体ベストとなっており、Radeon RX 7700 XTを約22~23%、Radeon RX 6700 XTを52~55%、Radeon RX 6800を18~19%、GeForce RTX 4060 Tiを48~50%、GeForce RTX 4070を4~8%上回った。
エルデンリング
エルデンリングでは、画質プリセット「最高」かつレイトレーシング無効という設定で、フルHD~4Kまでの画面解像度でフレームレートを計測した。ゲームの上限フレームレートは60fpsで、自動描画調整は無効にしている。
WQHD以下の画面解像度では全てのGPUが上限フレームレートに達して横並びとなっている一方、4Kでは全てのGPUが上限フレームレートを割り込んでおり、フレームレートにGPU性能の差が反映されている。
その4Kでは、Radeon RX 7700 XTがRadeon RX 6700 XTを約16%下回り、Radeon RX 7800 XTもRadeon RX 6800を約8%下回るという、新旧GPUの逆転現象が発生している。他のテストでは見られない結果であることから、ドライバの成熟度の違いなどによるものと考えられる。
なお、GeForce RTX 40シリーズとの比較では、Radeon RX 7700 XTがGeForce RTX 4060 Tiを約16%上回り、Radeon RX 7800 XTはGeForce RTX 4070を約2%下回ってはいるものの、競合に近いパフォーマンスを発揮している。
Blender Benchmark
Blender Benchmarkでは、標準で用意されている3つのシーン(monster、Junkshop、classroom)をテストした。テストに用いたBlenderのバージョンは「3.5.0」。
Radeon RX 7800 XTは全体3番手のパフォーマンスを発揮しており、GeForce RTX 4070を59~63%、GeForce RTX 4060 Tiを41~49%下回る一方、Radeon RX 7700 XTを6~17%、Radeon RX 6700 XTを41~54%、Radeon RX 6800を13~26%上回った。
UL Procyon「AI Inference Benchmark for Windows」
AI性能を計測するUL Procyonの「AI Inference Benchmark for Windows」では、Windows MLでの「Float32」、「Float16」、「Integer」のスコアを計測した。なお、NVIDIAのGPUについてはTensorRTでの結果も計測している。
Windows MLでのRadeon RX 7800 XTはFloat 32でGeForce RTX 4060 Tiを上回って全体2番手となっているが、それ以外では7~28%下回って全体3番手となっている。その他のGPUとの比較では、GeForce RTX 4070を10~36%下回り、RRadeon RX 7700 XTを5~7%、Radeon RX 6700 XTを26~32%、Radeon RX 6800を5~8%上回った。
システムの消費電力とワットパフォーマンス
ワットチェッカーを使ってシステムの消費電力を測定し、アイドル時の最小消費電力と、ベンチマーク実行中の平均消費電力および最大消費電力をグラフ化した。
アイドル時の最小消費電力については、Radeon RX 7700 XTが72.7W、Radeon RX 7800 XTが72.3Wを記録しており、もっとも低かったGeForce RTX 4060 Tiの71.7Wと大差ない結果となっている。
ベンチマークテスト実行中の平均消費電力は、Radeon RX 7700 XTが320.4~355.9W、Radeon RX 7800 XTが348.4~362.5Wとなっている。Radeon RX 7800 XTの平均消費電力はSpeed Way以外では比較製品中最大で、そのSpeed WayではRadeon RX 7700 XTが最大となっているなど、両GPUとも消費電力自体は比較的高い値であり、特にGeForce RTX 40シリーズとは大きな差がついている。
ベンチマーク実行中のシステム平均消費電力で、ベンチマークスコアや平均フレームレートを割ることによって「ワットパフォーマンス」を算出した。また、Radeon RX 6700 XT搭載システムを基準に指数化したグラフも用意している。
消費電力自体は高めだったRadeon RX 7700 XTとRadeon RX 7800 XTだが、性能を発揮できなかったエルデンリングを除けば、Radeon RX 6700 XTのワットパフォーマンスを上回っている。もっとも、ワットパフォーマンスに関してはGeForce RTX 40シリーズの方がだいぶ優勢であり、新世代GPU同士の比較ではかなり分が悪いことが分かる。
ベンチマーク実行中のモニタリングデータ
モニタリングソフトのHWiNFO64 Pro v7.60を使って取得した、FINAL FANTASY XVベンチマーク(4K/高品質)実行中のモニタリングデータをまとめてみた。なお、GPUの温度と消費電力については、動作リミットの対象となるパラメーターをまとめているため、異なるメーカーのGPUで比較はできない点に注意してほしい。
Radeon RX 7700 XTのGPU Hotspot温度は最大83.0℃(平均78.2℃)、メモリ温度は最大72.0℃(平均70.5℃)で、温度リミットの110℃よりずいぶん低い温度で動作している。GPU消費電力は最大210.0W(平均201.4W)で、GPUクロックは平均2,763MHz(最大2,809MHz)、メモリクロックは2,238MHzで動作していた。
Radeon RX 7800 XTのGPU Hotspot温度は最大90.0℃(平均84.8℃)、メモリ温度は最大88.0℃(平均84.8℃)で、こちらも温度リミットの110℃には十分な余裕がある。GPU消費電力は最大212.1W(平均210.5W)と持続的電力リミットの212Wをほぼ使い切っており、GPUクロックは平均2,694MHz(最大2,794MHz)、メモリクロックは常に2,425MHzで動作していた。
FSR 3によるフレーム生成の実現にも期待
AMDは新世代GPUの競合製品として、Radeon RX 7700 XTにGeForce RTX 4060 Ti、Radeon RX 7800 XTにはGeForce RTX 4070を挙げている。
今回のテストでは、DXRによるレイトレーシングを多用したりDLSS 3に対応するテストではGeForce RTX 40シリーズが優勢なものの、これらに当てはまらないゲームでは競合製品と同等以上のパフォーマンスを発揮しているテストも多い。価格次第では十分に競合製品として通用する性能は備えている。
将来、フレーム生成を実現するFSR 3がリリースされ、それがDLSS 3のフレーム生成に迫るパフォーマンスとクオリティを実現できるのであれば、Radeon RX 7700 XTやRadeon RX 7800 XTはより魅力的な選択肢となる可能性もあるが、まずは競合に対して競争力のある価格で発売されることを期待したい。
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