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M2 MacBook AirはM1版からどう進化したのか? M2とM1で徹底比較
2022年8月4日 06:15
Appleは「M2」を搭載し、筐体も一新した「MacBook Air (M2, 2022)」を6月6日に発表、7月8日に予約を開始し、7月15日に販売をスタートした。価格は16万4,800円から。
M2はM1よりも消費電力あたりのパフォーマンスをさらに高めていると謳われており、今回のMacBook Airも従来モデルと同様にファンレスのノートPCとして開発されている。前機種と比べてどのくらいパフォーマンスが向上しているのか気になるところだ。ちょうど筆者はM1搭載MacBook Airを利用しているので、前モデルのユーザー目線も交えて、実機レビューをお届けしよう。
なお、動画版もYouTubeに公開しているので、こちらもご覧いただきたい。
M2搭載だけでなく、アップグレードは多岐に渡る
「MacBook Air (M2, 2022)」(以下M2 MBA)は、OSに「macOS Monterey バ-ジョン12.4」、SoCに「M2」を採用。メモリは8GB/16GB/24GB、ストレージは256GB/512GB/1TB/2TBのSSDを搭載している。
ディスプレイは13.6型IPS液晶(2,560×1,664ドット)を採用。オーディオ機能はDolby Atmos対応の4スピーカー、3アレイマイクを搭載している。
インターフェイスはMagSafe 3充電ポート×1、Thunderbolt 3×2、3.5mmヘッドフォンジャックを装備。ワイヤレス通信はWi-Fi 6、Bluetooth 5.0をサポートしている。
本体サイズは304.1×215×11.3mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.24kg。52.6Whのバッテリを内蔵しており、バッテリ駆動時間は最大15時間のワイヤレスインターネット、最大18時間のApple TVアプリのムービー再生と謳われている。
下記に前モデル「MacBook Air (M1, 2020)」(以下M1 MBA)とのスペック比較を掲載したが、主な差分はプロセッサの処理能力向上、最大メモリ容量の増量、ディスプレイ輝度の向上、4スピーカー化に合わせてDolby Atmos&空間オーディオへの対応、MagSafe 3充電ポートの追加、Webカメラの高解像度化(1080p)、バッテリ増量、薄型化&軽量化、カラバリの増加……と多岐に渡る。
MacBook Air (M2, 2022) | MacBook Air (M1, 2020) | |
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OS※発売時 | macOS Monterey バ-ジョン12.4 | macOS Big Sur バ-ジョン11.0 |
SoC | M2 8コアCPU(高性能コア×4、高効率コア×4) 8コアまたは10コアGPU 16コアNeural Engine M1より50%高い100GB/sのメモリ帯域幅 | M1 8コアCPU(高性能コア×4、高効率コア×4) 7コアまたは8コアGPU 16コアNeural Engine |
メモリ | 8GB/16GB/24GBユニファイドメモリ(LPDDR5) | 8GB/16GBユニファイドメモリ(LPDDR4) |
ストレージ | 256GB/512GB/1TB/2TB SSD | |
ディスプレイ | 13.6型IPS液晶(2,560×1,664ドット、224ppi、光沢、500cd/平方m、色域P3、タッチ非対応、スタイラス非対応) | 13.3型IPS液晶(2,560×1,600ドット、227ppi、16:10、光沢、400cd/平方m、色域P3、タッチ非対応、スタイラス非対応) |
オーディオ | 4スピーカー(Dolby Atmos、空間オーディオ対応)、3アレイマイク | ステレオスピーカー、3アレイマイク |
通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.0 | |
WWAN | - | |
インターフェイス | MagSafe 3充電ポート×1、Thunderbolt 3×2(充電、DisplayPort)、3.5mmヘッドフォンジャック(ハイインピーダンスヘッドフォン対応) | Thunderbolt 3×2(充電、DisplayPort、Thunderbolt接続時最大40Gb/s、USB 4接続時最大40Gb/s、USB 3.1 Gen 2接続時最大10Gb/s)、3.5mmヘッドフォンジャック |
カメラ | Webカメラ(1080p) | Webカメラ(720p) |
バッテリ容量 | 52.6Wh | 49.9Wh |
バッテリ駆動時間 | 最大15時間のワイヤレスインターネット、最大18時間のApple TVアプリのムービー再生 | |
バッテリ充電時間 | - | |
本体サイズ (幅×奥行き×高さ) | 304.1×215×11.3mm | 304.1×212.4×4.1~16.1mm |
重量 | 約1.24kg | 約1.29kg |
セキュリティ | Touch ID(指紋認証センサー一体型電源ボタン) | |
同梱品 | 30W USB-C電源アダプタ、USB-C充電ケーブル(2m) | |
カラー | シルバー、スターライト、スペースグレイ、ミッドナイト | シルバー、スペースグレイ、ゴールド |
シリーズ最薄筐体は自分のモノにしたくなる魅力を備えている
サイズ/重量は、M2 MBAが304.1×215×11.3mm(幅×奥行き×高さ)/約1.24kg、M1 MBAが304.1×212.4×4.1~16.1mm(同)/約1.29kg。
重量については両方を持ち比べてみてもどちらが重いか体感しづらいが、トータルでの薄さという点ではM2 MBAに軍配が上がる。真横から見るとM2 MBAのほうが圧倒的にスマート。薄いバッグなどに収納する際にもかさばらない。M2 MBAのシリーズ最薄筐体は、一度手に取ってみると自分のモノにしたくなる魅力を備えている。
画面サイズはM2 MBAが13.6型(実測290×188.5mm)、M1 MBAが13.3型(同288.5×178.5mm)。数値的にはあまり違いを感じないかもしれないが、横に並べてみると一回り大きく感じる。筐体の横幅はそのままだが、奥行きを2.6mm伸ばし、狭額縁仕様とすることで、わずかではあるが画面を拡大している。
大きなノッチ(切り欠き)はいかがなものかと思わないでもないが、大画面化は目の疲れの低減に直結する。うれしい進化だ。
M2 MBAのキーピッチは実測19.2mm前後、キーストロークは実測1.1mm前後で、キーストロークはM1 MBAよりほんのわずかに浅くなっている印象を受ける。
キーボードにどんな改良が加えられているのかAppleは公表していないが、新旧モデルを打ち比べてみると、M2 MBAのほうが打鍵音は低めで、また底打ちしたときのショックもやわらかくなっているように感じた。シザー構造のキーという点では変更はないが、材質の見直しなどによりフィーリングが改善されている可能性がある。
M2 MBAの13.6型IPS液晶は輝度が500cd/平方m、色域がP3と謳われている。カラーキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で実測したところ、sRGBカバー率は99.9%、Adobe RGBカバー率は87.3%、DCI-P3カバー率は97.1%という値が出た。DCI-P3カバー率は100%に届かなかったものの、ノートPCのディスプレイとして十分広色域だ。色調整に活用できるクオリティーを備えていると言える。
スピーカーは、M1 MBAはキーボード左右に内蔵されていたが、M2 MBAはキーボード奥のヒンジ部に移動された。筆者が聞き比べたところM2 MBAのほうがメリハリはあるように感じられたが、M1 MBAのほうが臨場感は勝っているという印象を受けた。
M2 MBAはDolby Atmos、空間オーディオ対応の4スピーカーシステムということでスペック上は有利なはずだが、何度聞いても印象は変わらなかった。
ただし、両者の音の違いは好みの範疇だ。M2 MBAのサウンドは13型ノートPCのなかで上位に入ることは間違いない。
1080pのWebカメラはAppleがチューニングしているだけに、室内灯下で撮影しても明るく、自然な発色で撮影できる。今秋リリース予定の「macOS Ventura」ではiPhoneをWebカメラとして使う「連携カメラ」機能が提供されるが、ライブ配信するならともかく、Web会議用途であれば標準のWebカメラで十二分だ。
CPU性能は順当な結果、バッテリ駆動時間は驚異の19時間超え
M2については以下の関連記事で詳しく解説されているが、第2世代の5ナノメートルプロセスで製造され、M1より25%多い200億個のトランジスタで構成。CPU性能は18%、GPU性能は35%、Neural Engineは40%高速化され、メモリ帯域幅は50%高い100GB/sを実現していると謳われている。
今回は、M2 MBAとM1 MBAでベンチマークを実施し、どのぐらいのパフォーマンスアップを果たしているのかチェックする。
ただし、M2 MBAは10コアGPU搭載M2、8GBメモリ、512GBストレージ、M1 MBAは8コアGPU搭載M1、16GBメモリ、1TBストレージと、メモリおよびストレージ容量を揃えることができなかった。その点を加味してベンチマーク結果をご覧いただきたい。
まずCPU性能については、「Cinebench R23.200」のCPU(Multi Core)においてM2 MBAが8,595、M1 MBAが7,541、「Geekbench 5.4.2」のMulti-Core Score(Apple Sillicon)においてM2 MBAが8,924、M1 MBAが7,615となった。つまりM2 MBAはCinebench R23で約1.14倍、Geekbench 5.4.2で約1.17倍のスコアを記録したわけだ。Geekbench 5.4.2ではスペック通りのパフォーマンスを発揮したことになる。
GPU性能については、Geekbench 5.4.2のCompute(Metal)においてM2 MBAが30150、M1 MBAが20,829となった。つまりM2 MBAは約1.45倍のスコアを記録したことになる。また「GFXBench Metal」ではテスト項目によってその差は異なるが、平均で約1.16倍、最大で約1.61倍のスコアを記録している。M2のGPU性能は35%の高速化とされているが、テスト項目によってはそれ以上のパフォーマンスを発揮したわけだ。
一方、不可解な結果に終わったのがストレージベンチマーク。M2 MBAはM1 MBAに対して、リード性能はほぼ同等だが、ライト性能は「Blackmagic Disk Speed Test」で約71%、「AmorphousDiskMark 4.0」で約76%のスコアに留まった。容量、もしくは出荷時期によって性能の異なるストレージが使われている可能性がある。
実際のアプリでは「Adobe Lightroom Classic」、「Adobe Premiere Pro」、「iMovie」で高負荷な処理にかかる時間を計測したが、LightroomではM2 MBAが1.45倍の時間がかかり、Premiereではほぼ同等、そしてiMovieではM2 MBAが約半分の時間で処理を終えた。
また3Dアクションゲーム「Rise of the Tomb Raider」ではM2 MBAが約1.63倍の総合スコアを記録している。Lightroom、Premiereではメモリ容量の差が処理時間に影響を与えた可能性がある。
驚かされたのがバッテリ駆動時間。ディスプレイの明るさ6/16、音量6/16でYouTube動画を連続再生したところ、M2 MBAは19時間39分(1,179分)、M1 MBAは16時間41分(1,001分)と大きな開きがあったのだ。
ちなみにM1 MBAはバッテリ情報の状態表示で最大容量が100%となっており、まったくと言っていいほどへたっていない。両機種のスペック上のバッテリ駆動時間は同じだが、M2のほうが省電力性能は高い可能性がある。
非常に物欲がそそられるM2 MBAだが、悩ましいのが価格
フルモデルチェンジしたM2 MBAはハードウェアデザインが魅力的。楔形から一新し、天面、底面ともにフラットで、なおかつ薄い筐体は機能美を体現しているかのようだ。
ベンチマークはアプリによってパフォーマンス向上の度合いが大きく異なっていたが、Apple謹製のiMovieでは2分の1の所要時間で処理を終えていた。今回奮わなかったベンチマーク、実アプリもM2への最適化が進めば、結果が大きく変わるかもしれない。
さて、非常に物欲がそそられるM2 MBAだが、悩ましいのが価格。円安が主な要因なのでAppleに責はないが、M1 MBAが最安10万4,800円で購入できていたところ、M2 MBAは最安16万4,800円だ。
また10コアGPU、24GBメモリ、2TB SSDという最上位構成だと34万8,800円とかなり高価だ。いまの時代の最新Airはエントリー向けというよりも、薄型軽量のモビリティーを追求したProと並びうる位置づけのマシンと捉えるべきなのだろう。
なお、M1 MBAも継続販売されている。価格は改定されてしまっているが、できるだけ安価にMacBookをほしい方はこちらを検討してほしい。
発売時価格 | 発売時価格 | 改定価格 | ||
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MacBook Air (M2, 2022)※8コアGPU | MacBook Air (M2, 2022)※10コアGPU | MacBook Air (M1, 2020)※7コアGPU | ||
メモリ 8GB SSD 256GB | 16万4,800円 | 20万8,800円 | 10万4,800円 | 13万4,800円 |
メモリ16GB SSD 2TB | 30万4,800円 | 32万800円 | 20万4,800円 | 27万4,800円 |
メモリ24GB SSD 2TB | 33万2,800円 | 34万8,800円 | - |