買い物山脈
「MacBook Pro 2016」からM2「MacBook Air」に乗り換えた
2022年9月29日 06:21
- 製品名:MacBook Air (M2, 2022)
- 購入金額:29万2,800円
- 購入時期:2022年8月20日
- 使用期間:1カ月
あらかじめ言っておくと、筆者は特定のメーカーに信仰を捧げるような趣味嗜好はもっていない。なので、Apple製品がめちゃくちゃ好きということはないし、むしろ今度ノートPCを新しくするならWindowsがいいな、なんて思っていた。しかし、結果的に選んだのはM2チップの「MacBook Air」。12年前に購入したのはMacBook Airだったし、6年前に購入したのは「MacBook Pro」で、今回はまたMacBook Airだから、これで3連続Macである。
WindowsノートPC探しに疲れる
そもそもノートPCを新しくしようと思ったのは、MacBook Proのバッテリがもたなくってしまったから。コロナ禍でしばらく停滞気味だったイベントも近頃は正常化しつつあり、外取材も増えてきた。そうなるとモバイル用に使っているMacBook Proの出番となるわけだが、購入からおよそ6年が経ち、バッテリ稼働時間が心もとない感じに。普通に使っていても3時間もたない。これだとほとんど常に給電が必要になるので、モバイル用途には適さないことになる。
ちなみに3年保証のAppleCare+ for Mac(購入から3年以内ならバッテリ容量が80%未満の時に無償交換してくれたりする)に加入していたので、若干バッテリのへたりが見えた3年経過直前にAppleストアで確認してもらったのだが、店員の「あ、問題ないっすね」の一言で交換はならず(歯ぎしり)。そういう苦い経験があるにも関わらずまた懲りずにMacにしてしまったのだが、そこにはいろいろと事情があるわけで。
MacBook Proは6年使い、最初のMacBook Airもだいたい6年くらい使っていた。振り返ると6年ごとにノートPCを新しくしているということで、買い替えてから限界を感じるまでの期間がほぼ一定している。なので、今回もいわば定期買い替えみたいな話になるわけだが、冒頭にも書いた通り、最初のうちはWindowsノートPCにしようと思っていた。
自宅環境は数年前からWindowsデスクトップだし、操作性の統一や業務効率を考えると、異なるOS環境にしている意味はあまりない。仕事柄、日常的にいろいろな環境を試せる状況にするのは利点にもなるけれど、macOS環境がなければないで、少し困ることはあっても致命的ではない(以前は仕事でiOSアプリなんかを作っていたのでmacOSが必須だったが、最近はそれもない)。それよりWindowsノートPCにした方が、生産性向上的な意味でのメリットが大きいだろうと。
そんなこんなで2カ月間くらい、ネットをさまよってはWindowsノートPCをあれこれ探していたのだが、正直に言うと、疲れてしまった。おかげさまでこのPC WatchなどでさまざまなWindowsノートPCを試させていただく機会も多く、そこで「これはいいな」とか「これはちょっと自分の用途に合わないな」とか、少なくともモノを見極めようとする力(見極める力ではない)くらいは鍛えられていると思う。が、そのせいか、自腹で購入する物として考えたときにはハードルが激上がりしてしまう気がする。たとえば以下の条件は外せなかった。
ノートPCに求めたい筆者的要件
- WQHD(2,560×1,440ドット)以上の解像度
- 14型クラスのディスプレイサイズ
- 第12世代インテルCore i7クラスの処理能力
- Windowsならメモリは32GB以上
- できればディスクリートGPU(並みの性能)
- でも大きくて持ち運びしにくいのはイヤ
- 予算は経費に一括算入できる30万円未満
性能面だけで言うと、もちろんWindowsノートPCで該当するものはいくつかある。が、この条件をそのまま当てはめるとほとんどが30万円を超過する。40~50万円になることも珍しくない。さほど重視していないディスクリートGPUを外すと予算内になるが、今度はメモリ容量まで下に引っ張られて上限16GBまで、というモデルばかりになる。ごく一部に32GBにカスタムできるものもあったが、納期が3カ月以上先とかいう絶望的なサプライチェーンっぷりを見せつけられてブラウザをそっ閉じする。
M1 MacBook Proか、M2 MacBook Airか
かくしてノートPC選びは振り出しに戻る。そこで改めてApple製品を含めて検討し直してみると、円安絡みで値上がりはあったとはいえ意外とMacBookシリーズがリーズナブルで、納期も短いことに気付く。というか、最初のMacBook Airの時代からそうだった。しかも最新モデルは先ほどの条件にもだいたいマッチする。
星の数ほどあるWindowsノートPCだとどうしても機種ごとのわずかな性能差を気にしてしまうものだが、M1チップやM2チップだと直接的な比較対象が少ないだけに絶対性能が(この場合はいい意味で)不透明で、むしろ迷わずに済む。筐体デザインは基本どれも同じなので悩みようがない。なので、純粋に処理性能やデザイン以外の装備やサイズ/重量で選べばいい、という単純明快な話になる。
そんなわけでMacBookシリーズのなかで買い替え候補を探ってみると、自分の使い方から考えて14型M1 MacBook Proがベストだが、メモリを増設した瞬間に予算オーバーする。最小構成であれば予算内だとしても、14型M1 MacBook Proは今所有している6年前の13型MacBook Proから厚み、重量がアップするのが問題だ。これ以上持ち運びに苦労するのは勘弁つかまつりたい、と思っている筆者としては自動的に候補から外れる。
一方、M2 MacBook Airならメモリを最大限まで増設しても予算内だし、新しいM2チップ搭載機からディスプレイが13.6型になり、14型には満たなくともほぼ誤差の範ちゅう(だよね? )。サイズ、重量は13.3型MacBook Proとほとんど変わらないので許容範囲内。実用性能も2016年モデルのMacBook Pro(Intel Core i5搭載、メモリ8GB)を下回ることはさすがにありえないだろう。
気になるところがあるとすれば、Thunderboltポートが4つから2つに減り、14型M1 MacBook Proと比べてSDカードスロットがない、という点。ただ、MagSafeが復活したことにより給電でポートが塞がれないことを鑑みれば、ポートが2つしかなくても、だいたい間に合うのではないか。取材で写真撮影もする筆者としては、SDカードスロットの有無はかなり大きいが、2016年のMacBook Proにもなかったので、これまでと同じように外部リーダーでしのげばいい。
といったような諸々を考慮した結果、M2 MacBook Airを選択した上で、メモリは最大容量の24GBまで積み、ストレージを1TBにカスタムして注文した。これでギリギリ30万円以内である。手元に届いたのはわずか1週間後だった。発売日直後とかでもない限り、わりとすぐに届くApple製品はありがたい。
M2 MacBook Airのいいところ、よくないところ
事前の想像通り、サイズ感からくる使い勝手や取り回しはそれまでのMacBook Proとほとんど変わることがなかった。縦横サイズと重量はほとんど一緒だし、2枚貝のように手前側が薄くなっていた以前のMacBook Airのデザインから、厚み一定のフォルムになったことで、見た目もMacBook Proによく似ている。天板の剛性感がわずかにM2 MacBook Airの方が低いかな、というのがちょっぴりだけ不安ではあるけれども(上から押すとM2 MacBook Airはたわむが、MacBook Proはびくともしない)。
キーボードのタイプフィーリングは抜群に良くなった。これまでのMacBook Proは、不評だった極端に浅いストロークの第2世代バタフライキーボードを採用したモデル。クリック感も押し込んでいる感もなく、そのせいでタイプミスは多かったし、右手前の上下左右キーなんて最後の最後までその配置に違和感があってミスしまくっていた。しかも、そっと打鍵してもカチャカチャうるさく、とにかくストレスが溜まるキーボードだったのである。
対してM2 MacBook Airは、ごくごくフツーのノートPCっぽいキーボード(Magic Keyboard)になった。ストロークは深くなり、タイプ音も抑えられている。上下左右キーが4つとも均等の大きさになったおかげか、タイプミスは明らかに減った。Touch Barがなくなって普通のファンクションキー(マルチメディアキー)が並び、ここもフツーの使い勝手に。
それでもTouch IDによる指紋認証機能は残っているので、ログイン操作などの容易さは今まで通り。ほんと、こういうのでいいんだよ、こういうので、という感じ(Touch Barが嫌い、というわけではない)。
Thunderbolt 4ポートが2つしかない点は、MagSafe 3による充電も可能になったことで、数としては不足を感じることは今のところほとんどなし。ただ、ポートが左側に集中しているので、右側に周辺機器を置きたい時(右側にケーブルを取り回したいとき)に不便を感じることは時々ある。
そして実用性能は、これまでCore i5(デュアルコア)、メモリ8GBのMacBook Proで仕事をこなしていた筆者にとって、M2チップのパフォーマンスは十分過ぎる。特にGPUを使うRAW画像の現像処理は劇的に高速化され、それまで途中で居眠りしてしまうほど遅かったのが、ひと息ついている暇すらなくなった。つらい。
最後にベンチマークテストで2016年のMacBook Proと比較した結果も置いておこうと思う。方やIntel Core、方やAppleシリコンで、CPUのアーキテクチャから製造年から、何から何まで違うので比較する意味はもはやないような気もするが、当然のように圧倒的にM2チップの勝利である。
1カ月余り使ってきて、明確に「ここが不満! 」というところはない。強いて挙げるとするなら、MagSafe 3の充電ケーブルが探した限りでは今のところ純正(2m)しかなく、予備を買うにも値段が高いなあとか(6,580円)、2mは長いから短いバージョンも欲しいなあとか、黒いキートップのせいで皮脂が目立つのが嫌だなあとか、その程度だろうか。
実はmacOSには知られざる(?)コストメリットもある
あと、これはあまりほかでメリットとして紹介されているのを見た記憶がないことなのだけれど、Macならではの何気に重要なアドバンテージがある。それは、macOS標準の機能でPDF編集が可能なことだ。
PDFのページ入れ替えや追加・削除、回転といった操作は、Windowsでは基本的に有償ソフトを使わなければできないが、macOSは「プレビュー」アプリで可能だったりする。もちろん、もっと凝った編集や操作が必要な用途だと力不足だが、筆者としては請求書や領収書のPDFを整理するくらいにしか使わないので十分。これだけで月数千円のAdobe Acrobat代が浮く。
でもって日本語辞書のスーパー大辞林とウィズダム英和・和英辞典などもアプリとしてプリインストールされている。原稿執筆中に言葉の誤用をしないように確認する時なんかには大活躍である。もちろんオフライン利用可だ。こうしたことも考えれば、WindowsノートPCに比べて価格的なアドバンテージはより大きくなろうというもの。そんなこんなで、これからの6年間(たぶん)もMacBookにお世話になります。