Hothotレビュー

7型コンパクトになったゲーミングUMPC「ONEXPLAYER mini」を屋外で試してみた

ONE-NETBOOK Technology「ONEXPLAYER mini」

 深センのOne-Netbook Technologyが発売した「ONEXPLAYER mini」はフルHD解像度の7型ディスプレイを備えるスレート型ゲーミングUMPCだ。

 同社が2021年5月から販売している2,560×1,600ドット表示の8.4型液晶搭載「ONEXPLAYER」をそのまま小型にしたような形状が特徴のモデルである。本体重量も実測582gとONEXPLAYERよりも軽量な作りで、可搬性は格段に向上しており、同社Webサイトでも謳う「ポータブルゲーム機のようにいつでもどこでもゲームを遊ぶことができます」という表現がピッタリくるサイズ感となっている。

 今回はONEXPLAYER miniの評価機を長期間お借りすることができたので、実際に電車や車などで外に持ち運び、外出先や移動中に使用した時の使用感なども含めて紹介していきたい。

本体重量は実測で582g
歩きONEXPLAYER miniはとても危険なので、カフェなど落ち着いて座れる場所でプレイしよう!

小型のハイエンドノートとしても魅力

 ONEXPLAYER miniは第11世代のCore i7-1195G7を搭載する。これは同社が2021年9月に発売した強化版「ONEXPLAYER」と同じCPUだ。熱処理が気になるところだが、同社によるとハネウェル製のPCM(フェーズチェンジマテリアル)放熱シートの採用や、デュアルヒートパイプのヒートシンク搭載、4.4CFMのファンの採用により放熱性を高めているという。実際の試用中も、本体上部の排気口からはぬるめの温風が吹き出ていたが、本体自体が熱くなることはなかった。

 メモリ容量は16GBで、GPUはCPU内蔵のIntel Iris Xeとスペック上は最上位のノートPCと比べても遜色ない性能を有する。今回は内蔵ストレージの違いで3モデルを用意。価格は512GBモデルが15万5,100円、1TBモデルが16万6,100円、2TBモデルが18万8,100円となっている。今回は1TBモデルを試用した。

 本体はかなりガッチリした化粧箱に入っており、同梱物は本体以外にはUSB PD対応のACアダプタとUSBケーブルのみとシンプル。PCとして見た場合、タブレット端末のような感覚でタッチ操作のみでコントロールする。物理キーボードは標準では付属しない。

本体天面部にはかなり大きな排気口を備える。その他にもUSB 3.0端子、電源入力可能なUSB Type-C、イヤフォン端子、ボリュームボタン、電源LED、電源ボタンを備える
本体底面部にも電源入力対応のUSB Type-C端子を備える
化粧箱は黒とオレンジのツートンカラーで厚みもあって高級感がある
付属のACアダプタはUSB PD対応の物で重量は実測175g

 手に持った感触はサイズがコンパクトになった分、ONEXPLAYERと比べて取り回しやすさは格段に向上し、可搬性も増している印象だ。一方でその厚みもまた印象的で、同じく7型ディスプレイを採用するポータブルゲーム機の任天堂「Switch」と比べてみると、正面から見た時のビジュアルにはあまり差異は感じないが、斜めから見ると、ONEXPLAYER miniの厚みはとにかく圧倒的だ。ただ、コントローラ部が非常に手に馴染む持ちやすい作りとなっているため、持ち運びについては厚みがあってもあまり気にならずに利用できる。

 シリーズ共通の嬉しいポイントとしては、天面と底面の両方に給電可能なUSB Type-C端子を備える点だ。充電したままゲームをプレイしたい場合、充電端子が本体天面にあるとケーブルが邪魔をしてプレイしにくい場合がある。そのような場合に底面の端子を使うことで、快適に遊べるなど、ユーザーの用途に応じて使い分けられるのでこの作りはありがたい。

 一方で個人的にちょっと気になったのは内蔵ストレージのパーティションが分割されていたことだ。システムドライブとデータドライブを分けることで、不測の事態でもデータを守れるようにストレージを分割することはよくある話だし、ビジネス用途のPCならそのパーティション分けもアリだと思う。一方ゲーミングPCの場合、デフォルトでシステムドライブ内に比較的大容量のゲームプログラムをインストールすることが多いので、少しでも空き容量が多い方が利便性が良い。とはいえ別パーティションにインストールしておけばリカバリ時にゲームを再ダウンロードする必要がなくなるので、この辺りは一長一短だ。

 もう1点、ONEXPLAYERシリーズは価格がそれなりに高く、ハイエンドノートとしても十分に使える作りのため、個人的にはキーボードカバーが欲しかった。ゲームプレイ環境構築の際にちょっと触れる程度ならソフトウェアキーボードでも問題ないが、それ以上の作業を行なおうとすると、キーボードがほしくなるので、この辺りは頑張ってほしいところだ。

筆者所有の任天堂Switchと並べてみたところ。正面から見るとちょっとONEXPLAYER miniが大きい? くらいのサイズ感なのだが……
厚みを比較するとONEXPLAYER miniの厚みが圧倒的だ
評価機のパーティションはCドライブ500GB、Dドライブ500GBで区切られていた。せっかくの1TBモデルなので、1ドライブで扱いたいところ
7型フルHD解像度のディスプレイの100%スケーリングの状態で、OS標準のスクリーンキーボードを起動するとかなり小さくなる

屋外でも快適ゲーミング! 乾燥肌と車窓の景色には要注意

 今回は比較的長期でお借りしたため、数日間は持ち出して使用してみた。具体的には筆者の愛用する、多機能ジャケット「BauBax 2.0」のタブレットを入れられる大型ポケットにONEXPLAYER miniを入れて、電車移動中に使用してみたのだ。本来タブレットを収納する目的のポケットのため、厚みのあるONEXPLAYER miniを入れると若干ゴテゴテするが、サイズが小さいこともあり、安定して収納できた。

筆者所有の「BauBax 2.0」にあるタブレット用大型ポケットに入れて見たところ、厚みがあるため、若干窮屈ではあるものの、ご覧の通りすっぽり収納できた

 ただし、本体をそのままの状態で運んだり鞄に入れるのは考え直した方がいい。両サイドのコントローラ部分、特に出っ張ったスティック部を痛めてしまう危険があるからだ。持ち運びの際には少なくとも本体全体を収納できるケースなどを用意するのが無難だ。

 今回は電車内で椅子に着席して使用した。立ったままでプレイするのは手すりを掴めなくて危険なので止めよう。ゲームの操作感としては非常に快適だ。周囲のことを考えた時に真っ先に気になるのは冷却ファンの音だが、電車内では車両の走行する環境音に紛れるため、ほぼ気にならなかった。

 一方で意外にも気になったのは光沢液晶の映り込みだ。電車の場合、角度によっては映り込んだ車窓の風景が画面上を流れるため、かなり落ち着かない。非光沢液晶にしてほしい一方で、自宅などでの利用の場合、輝度を高くできる光沢の方がありがたい面もあるので悩ましいところ。なお、電車内では端末を少し立てるような持ち方をすることで映り込みはかなり軽減された。

 もう1つ気になったのはグリップ部だ。自宅で使っていた時は快適だったグリップ部だが、電車内など外に出て乾燥した指で操作しているとちょっとツルツルと滑る感触を感じる場面があり、落とさないように神経を使ってしまった。この辺りは自宅ではほとんど問題を感じなかった点でもあるので、屋外での利用や肌が乾燥気味の人は注意が必要なポイントといえるだろう。

屋外でも快適に遊べて楽しい! ただし光沢液晶の映り込みが気になる場合もあった

ゲームの“本質”を堪能するのに最適な1台

 今回の電車内では、Steamで2021年12月よりリリースされてヒットした2Dローグライクアクション「Vampire Survivors」をずっと遊んでいた。グラフィックスは簡素ながら、画面を覆いつくすような大量のモンスターが出現し、それを強化した武器でバッタバッタとなぎ倒す気分爽快のアクションはONEXPLAYER miniでも処理落ちすることはあまりなく、問題なく快適にプレイできた。

 最近のSteamでは本作のように昔ながらの2Dを活かしたタイトルも多くリリースされている。PCでしか遊べないタイトルも多くあるので、GPUパワーをあまり使わないこうした2Dタイプのタイトルを気軽にどこでも遊ぶのにONEXPLAYER miniは最適な1台だといえる。

 家庭用ゲーム機などにもリリースされるメジャーな3Dゲームの場合はどうかと問われると、ONEXPLAYER miniのGPUはIris Xeであり、性能は決して高くない。そのため、こうした最新3Dゲームをプレイする際には、こと前に解像度の調整や画質調整といった設定変更が必要だ。

 ただし画質を犠牲にすることで、比較的新しいタイトルであってもギリギリ30fps前後のパフォーマンスが得られるようになるので、Steamなどで購入していながらも未プレイの“積みゲー”を崩すことができるようになるのはありがたい。ビジュアルの高精細さなどが楽しめないのは残念な点ではあるが、ゲーム本来の楽しみ方、いわばアクションの魅力や爽快感などゲームの“本質”のみを楽しむスタンスならこうしたタイトルでも気にすることなく楽しめる。

「Vampire Survivors」も快適に動作する

ベンチマークスコアは良好

 それでは最後にベンチマークを行なっていこう。ベンチマークは恒例通りの「PCMark 10」、「3DMark」、「ファイナルファンタジーXIV 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」、「CINEBENCH R23」、「ドラゴンクエストX ベンチマーク」を実施した。

機種名ONEXPLAYER miniONEXPLAYER miniONEXPLAYER miniONEXPLAYERONEXPLAYER
設定PL1=15W/PL2=25WPL1=20W/PL2=35WPL1=28W/PL2=40Wノーマル(PL1=20W/PL2=35W)Turbo(PL1=28W/PL2=40W)
PCMark 10
PCMark 10 Score4,8544,9785,0394,7524,838
Essentials10,00910,08110,0989,7769,772
App Start-up Score13,70913,84012,86412,84312,586
Video Conferencing Score7,9167,9218,2317,8817,906
Web Browsing Score9,2409,3469,7269,2319,378
Productivity6,9136,9777,0006,5506,611
Spreadsheets Score6,3416,4046,3525,9205,987
Writing Score7,5387,6027,7167,2487,301
Digital Content Creation4,4864,7594,9114,5484,758
Photo Editing Score7,3467,7017,6607,4427,485
Rendering and Visualization Score2,5482,7552,9472,5302,812
Video Editing Score4,8255,0825,2494,9975,118
3DMark
Fire Strike4,3894,9275,3014,6775,047
Graphics score4,9975,5475,8435,3795,541
Physics score9,53210,91412,94210,58812,747
Combined score1,6131,8522,0551,6611,961
Night Raid13,34615,72617,72614,61816,443
Graphics score17,06319,62821,55318,65620,386
CPU score5,9737,3968,8366,5667,846
Time Spy1,5851,7361,8571,6061,737
Graphics score1,4471,5791,6801,4561,569
CPU score3,4513,9904,6483,8594,457
Wild Life10,25211,94212,52911,56611,599
ドラゴンクエストX ベンチマーク
1,280×720最高品質5,6875,7105,76015,38516,163
1,280×720標準品質5,6945,7355,76015,73316,402
1,920×1,080最高品質計測不可計測不可計測不可11,03413,238
1,920×1,080標準品質計測不可計測不可計測不可12,09912,509
ファイナルファンタジーXIV 漆黒のヴィランズ ベンチマーク
1,280×720ノートPC標準品質10,08210,9611176210,10411,237
1,280×720最高品質6,0567,1477,6976,5207,590
1,920×1,080ノートPC標準品質6,5107,56277346,9427,619
1,920×1,080最高品質3,5044,2334,5363,8934,442
Cinebench R23
CPU(Multi core)34654,5105,1564,1314,979
CPU(Single core)1,3891,5241,5331,4311,388

 今回お借りした評価機では、BIOS設定で「Power Limit(以下、PL)」の調整が行なえたのだが、デフォルト値はPL1が15W、PL2が25Wであった。ちょっと気になったので、以前掲載したONEXPLAYERのPLも調べてみたところ、こちらは標準状態でPL1が20W、PL2が35W、TurboモードではPL1が28W、PL2が40Wといずれも高めに設定されていたので、今回のベンチマークではお借りした時点での標準状態、ONEXPLAYERのノーマルモード、TurboモードのPL1/2を設定して計測してみた。

 結果はどれも想定通りで、当時のONEXPLAYERに搭載していたCore i7-1185G7と比較して同じ電力設定であれば、より高性能なCore i7-1195G7を備えるONEXPLAYER miniの方がスコアが伸びているのが分かる。動作中の冷却性能についても問題はなさそうで、Turboモード相当のPL1/2設定の場合でも、排気の熱が若干高くなる程度と非常に優秀だ。

動画やブラウジングなどホビーPCとして使うにもおススメしたい1台

 他社のゲーミングUMPCの場合、例えば「GPD WIN」シリーズ、「AYANEO」シリーズなど、いずれもディスプレイ解像度は1,280×720ドット、または1,280×800ドットと低解像度な物を採用する。理由はシンプルで、ONEXPLAYERシリーズ含めて、現状ではいずれのゲーミングUMPCも内蔵GPUを使っているからだ。

 ゲーム起動時に接続するディスプレイ解像度が低い場合、ゲームはその解像度に合わせて起動することになる。GPUの性能をフルに使うゲームタイトルの場合、解像度が高いほどGPUパワーが必要になるため、あえて低解像度のディスプレイに繋ぐことで、内蔵GPUにとってバランスのよい解像度や画質設定で自動的起動するため、手動調整の手間が減る。また、ディスプレイ自体が小さいので、表示されたゲーム内容が低解像度でも気になりにくい側面もあるだろう。

 その点、ONEXPLAYERシリーズの場合、ディスプレイが高解像度のため、ゲームの初回起動後にはデフォルト解像度の設定変更や、画質の調整などが必要になるほか、高解像度液晶上であえて低解像度設定に変更した場合、どうしても画質のボヤっとした感じが気になる場合もある。どちらがいいかと問われると一長一短だ。

 その一方で、Webブラウジングや動画再生なども一緒に楽しみたいような場合は、むしろ高解像度液晶も備えるONEXPLAYERシリーズの方がうれしい。ゲーム以外の楽しみにも使うホビーPCとしての側面を求めたいといった用途なら、ディスプレイが高精細なONEXPLAYERシリーズが他社と比べて圧倒的優位になるのは間違いない。