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VALORANTが100fps以上で動く低価格ゲーミングノート「G-Tune P5-144」。入門機にも最適でコスパ良し

G-Tune P5-144。直販価格は16万4,780円

 マウスコンピューターの「G-Tune P5-144」は、CPUに6コア/12スレッドモデル「Core i7-10750H」、GPUに「GeForce GTX 1650 Ti」を採用したエントリーユーザー向けのゲーミングノートPC。主に軽~中負荷程度のFPSタイトルやMOBA、オンラインゲームなどでの利用を想定しており、直販価格は16万4,780円。エントリーモデルながら144Hzディスプレイを採用することも特徴の1つで、予算を抑えてゲーミングPCを導入したいユーザーにとっては魅力的な選択肢になるだろう。

 この記事では「G-Tune P5-144」の製品サンプルをもとに、特徴や使い勝手などのインプレッション、およびベンチマークによる性能チェックを実施していく。

シンプルなスペックで手頃な価格を実現

【表】G-Tune P5-144の主なスペック
CPUCore i7-10750H(6コア/12スレッド、2.6~5GHz)
チップセットIntel HM470 チップセット
GPUGeForce GTX 1650 Ti、Intel UHD グラフィックス
メモリ16GB(DDR4-2666、8GB×2)
ストレージ512GB (M.2 NVMe SSD)
ディスプレイ15.6型フルHD(1,920×1,080ドット)、144Hz 非光沢 LEDバックライト
OSWindows 10 Home
ネットワークGigabit Ethernet、Intel Wi-Fi 6 AX201 (最大2.4Gbps/ IEEE 802.11ax) + Bluetooth 5モジュール内蔵
その他インターフェイスUSB 3.1 Type-C、USB 3.0×2、USB 2.0、HDMI、Mini DisplayPort、SDカードスロット、100万画素Webカメラ、デュアルアレイマイク、ステレオスピーカー、音声入出力端子
バッテリ駆動時間約8.5時間
本体サイズ359.5×238×22.8mm
重量約2.01kg
直販価格16万4,780円

 まずは「G-Tune P5-144」の基本的なハードウェア性能を確認していこう。先に述べた通り、本製品はCPUに6コア/12スレッド動作が可能な「Core i7-10750H」、GPUにエントリー向けの「GeForce GTX 1650 Ti」を搭載する。

 CPUに関しては流行りの8コア構成でこそないものの、シングルスレッド動作時の最大ブーストクロックが5GHzと高いのが特徴。本製品が想定しているようなゲームタイトルであれば、コア数よりもブーストクロックの高さがフレームレートに影響しやすい場合も多く、性能的には十分と言っていい。

CPUは「Core i7-10750H」。6コア/12スレッド構成でシングルコアの最大ブーストクロックは5GHzに達するため、エントリーのゲーミングノートPCで採用例が多い
GPUは「GeForce GTX 1650 Ti」。フルHD解像度のゲーム描画をターゲットにしたエントリー向けモデルだ

 GPUは純然たるエントリー向けではあるものの、近年のノートPC向けディスクリートGPU全体の性能向上が著しい影響もあって、負荷がそれほど高くないFPSやMOBAなどの競技系タイトル、MMORPGなどを平均60fps前後でプレイするぶんには全く問題はない。

 反面、「サイバーパンク2077」に代表される処理が重い最新タイトルを画面のカクつきなく快適に遊ぶには若干パワー不足な印象だ。とは言え、グラフィックスオプションの調整次第ではフルHD解像度で30fps前後を出すことはそれほど難しくないため、全くプレイが不可能というわけでもない。

 基本的にはFPSタイトルやMMOをメインでプレイするユーザー層、あるいは幅広いタイトルをプレイするけれども、高負荷タイトルなら画質にも妥協できる、というユーザーであれば、本製品のパフォーマンスに満足できるはずだ。

 予算が限られる学生ユーザー、あるいはメインのデスクトップPCと別にサブのゲーミングノートPCを用意したいというような需要には、特にマッチするだろう。

ディスプレイは非光沢のフルHDパネルを採用。リフレッシュレートは144Hzと、このクラスの製品としては高性能だ

 ディスプレイの最大解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)。このクラスの製品はGPU性能との兼ね合いやシンプルな実装で価格を抑える目的で60Hzディスプレイを採用する場合も多いが、本製品はリフレッシュレート最大144Hzのディスプレイを採用するのが大きなポイントだ。

 競技色の強いタイトルは比較的処理が軽い設計のタイトルも多く、GTX 1650 Tiでも144Hzを超えるフレームレートを発揮できる場合があるため、この手のタイトルでは大きなメリットになる。

 反面、一般的な中負荷程度のタイトルをプレイする場合、能力的にフレームレートがそこまで上げられないため、144Hzディスプレイが活かしにくいケースもあることは覚えておく必要がありそうだ。

 メインメモリの容量は16GB(DDR4-2666、8GBデュアルチャネル)で、ストレージは高速な512GB NVMe SSD。このあたりは今時のノートPCとしては一般的な構成で、特に不自由せず扱える。

 データ保存容量に関しては、本製品が想定するようなタイトルであればストレージを圧迫しすぎることもないはず。SteamやEpic Games Storeなどのクラウドセーブを上手く活用すれば、多くのゲームタイトルをプレイしていくのも容易だ。

 ネットワーク機能は、本体右側面の有線LANコネクタによる有線接続のほか、Intelの「AX201」モジュールによるWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)無線通信のどちらにも対応できる。ゲームのオンラインマルチプレイの際は高速で通信しやすい有線接続、自宅の外に持ち出した際やゲーム以外の用途では無線通信を利用するなど、シーンごとに使い分けられるのがメリットだ。

G-Tuneお馴染みのシンプルデザイン、重量は約2kg

天板には「G-Tune」ロゴがプリントされているが、それ以外は極めてシンプルにまとめられている
ディスプレイ上部の100万画素webカメラ

 続いて、本体の外観やインターフェイス類をチェックしよう。外観は極めてシンプルで、天面にG-Tuneのロゴがプリントされている以外に目立った装飾はなし。本体カラーはやや光沢感のあるガンメタリックを基調にしたもので、単純ながら“ゲーミングPCらしい”印象を受ける。

 本体サイズはおよそ359.5×238×22.8mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約2.01kg。最近のゲーミングノートPCは一昔前に比べればずいぶん軽くなっており、現在の15.6型クラスとしては一般的なサイズ・重量の製品と言っていいだろう。

 ディスプレイサイズがそれなりにあるぶん、どうしても筐体は大きくなりがちだが、持ち運びはそれほど難しくない。ACアダプタの重量は実測でケーブル混み510gだったので、頻繁に持ち出さないのであれば負担は軽めだろう。

 インターフェイスは、HDMI、Mini DisplayPort、USB 3.1 Type-C、USB 3.0×2、USB 2.0、SDカードリーダ、Gigabit Ethernet、ヘッドフォン出力端子、マイク入力端子。

 USBポートは計4つで、うち1つがType-C形状となっているが、ゲーミングマウスやゲームコントローラを接続するなら十分な数だろう。外部ディスプレイの接続時は最大4K(3,840×2,160ドット)にも対応できるものの、ゲームに関してはGPUのパワーが不足するため、あまり現実的ではない。

右側面にはUSB 3.1 USB Type-Cポート、USB 3.0ポート、フルサイズのSDカードリーダを備える
左側面にはUSB 3.0ポート、USB 2.0ポート、ヘッドフォンジャック、マイクジャック、セキュリティスロットを配置
背面には映像出力端子のHDMIとMini DisplayPortに加え、電源コネクタを配置している。

 キーボードは104キー、テンキーありの日本語配列を採用。ファンクションキーがハーフサイズに縮小されているのはノートPCとしてはありがちだが、そのほかのキー配置にクセのある部分はなく、ゲーム以外の部分でも使いやすいだろう。

104キーの日本語フルサイズキーボード。15.6インチモデルということで、打鍵に窮屈さは感じないつくりだ

 キーピッチは約19mm、キーストロークは1.8mmとしっかり確保されていて、打鍵感は標準的だ。また、ゲームではあまり用事がないと思うが、タッチパッドは119.2×71.9mm(幅×奥行き)と広めに取られており、操作時に窮屈さがない。

 なお、キーボードバックライトはプリインストールアプリの「Control Center 3.0」から発光カラーを調整できる。キーごとのカラー調整やパターン変更機能はなく、カラーは14色から選択可能だ。

バックライトは発光カラーのみ制御可能
カラーは全14種類。消灯までのタイマーも設定可能
キーボード下部のタッチパッド。ゲーム用途ならコントローラやマウスを用意することになると思うが、サイズが大きく比較的使いやすい

「G-Tune P5-144」の性能をベンチマークでチェック

 では、「G-Tune P5-144」の性能をいくつかのベンチマークで計測してみよう。今回は「3DMark」および「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」「FINAL FANTSY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK」といったベンチマークアプリに加え、「VALORANT」「Horizon Zero Dawn」といった実ゲームタイトルでもフレームレートを計測した。

【表2】3DMark v2.20.7250のベンチマーク結果
Time Spy Extreme score1,740
Time Spy Extreme Graphics score1,621
Time Spy Extreme CPU score2,980
Time Spy score3,838
Time Spy Graphics score3,551
Time Spy CPU score7,089
Fire Strike Ultra score2,027
Fire Strike Ultra Graphics score1,897
Fire Strike Ultra Physics score18,560
Fire Strike Ultra Combined score1,115
Fire Strike Extreme score4,331
Fire Strike Extreme Graphics score4,326
Fire Strike Extreme Physics score18,508
Fire Strike Extreme Combined score2,025
Fire Strike score9,011
Fire Strike Graphics score9,758
Fire Strike Physics score18,496
Fire Strike Combined score3,846

 「3DMark」のスコアから見てみると、さすがに「Time Spy」や「Time Spy Extreme」、「Fire Strike Ultra」といった高負荷なテストではスコアが厳しい。とは言え、これらのテストはそもそも内部的にWQHD(2,560×1,440ドット)~4K(3,840×2,160ドット)で描画されるため、本製品の想定するゲームとはやや解離がある。

 ある程度しっかりとしたスコアが出てくるのは、上記テストに比べ描画負荷がやや下がる「Fire Strike Extreme」や「Fire Strike」だ。フルHD解像度のテストである「Fire Strike」においては総合スコアも9,011と悪くない水準で、数年前のAAA級タイトル、あるいは現行の軽~中負荷タイトルにおいては、しっかりとパフォーマンスを発揮できることが分かる。

 続いては、比較的軽量な実ゲームベースのベンチマークである「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」の結果だ。

【表3】ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマークのベンチマーク結果
1,920×1,080ドット 最高品質10,246

フルHD・最高品質の条件でスコアは10,246、評価は上から3番目に高い判定である「快適」の基準を上回った。テストレポートから出力できる平均フレームレートは60fpsに若干届いておらず、144Hzディスプレイを活かせるわけではないが、カクつき感のほぼない快適なプレイが可能だろう。

 高負荷タイトルである「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK」は、フルHD・高品質設定でスコアが4,006、判定が「普通」。シーンによっては描画に重さを感じる場面はあるものの、紙芝居のようなフレームレートになる場面はなく、ゲームの進行に支障はない。画質調整次第ではあるが、重めのタイトルもプレイ自体は難しくないわけだ。

【表4】FINAL FANTSY XV WINDOWS EDITION BENCHMARKのベンチマーク結果
1,920×1,080ドット 高品質4,006

 実ゲームにおいても、フレームレート計測結果を見てみよう。

 競技性の高いeスポーツ系FPSタイトルとして人気を増しつつある「VALORANT」では、画質設定を最も重くなるよう調整し、NVIDIAの計測ソフト「Frame View」を使用して、ゲーム内のトレーニングコースを移動した際の1分間のフレームレートを計測した。

【表5】VALORANTのフレームレート
平均最小
1,920×1,080ドット 最高画質186.0fps135.7fps

 結果はフルHDで平均フレームレートが186fps、最小135.7fpsと、いずれもディスプレイの最大リフレッシュレートを存分に活かせる極めて快適な値が出た。

 本作のトレーニングコースはほかのコースよりも処理が重くなるロケーションが多めなので、実際のプレイではより高いフレームレートが出ることもあるだろう。本作のような軽量オンラインFPSをプレイしてみたいというユーザーにとっては、「G-Tune P5-144」はぴったりの製品と言えそうだ。

【表5】Horizon Zero Dawnのフレームレート
平均最小
1,920×1,080ドット 最高画質42.0fps14.0fps

 一方の「Horizon Zero Dawn」は、ゲーム内ベンチマークモードでフレームレートを計測した。本作は比較的負荷の高いタイトルではあるが、フルHD解像度の計測では最高画質設定で平均42fpsと、決して悪くない結果が出ている。

 FFXVのベンチマークでもそれなりの結果が出せていたように、画質や安定して高いフレームレートにこだわらないのであれば、「G-Tune P5-144」でも対応できるゲームタイトルは多いと言っていいだろう。

 最後に、ストレージ系のベンチマークも確認してみよう。

「CrystalDiskMark 8.0.4」のスコア

 データサイズ1GiB、テスト5回の条件で計測を実施した。シーケンシャルリードでは速度が毎秒3,547MB、シーケンシャルライトでも毎秒3121MBと、NVMe接続のSSDらしい、インターフェイスの限界に迫る速度が出ていることが分かる。

 より高速なPCIe 4.0 SSDの登場からしばらく経ち、直近のゲーミングノートPCでは安価なモデルでもNVMe SSDの速度が向上している印象があるが、本製品もその例に漏れず、データコピーやゲームの読み込みがより高速化できるだろう。

エントリー向けだが性能は侮れない144HzノートPC

 ここまで見てきたように、「G-Tune P5-144」は人気ジャンルであるFPSやMOBA、オンラインゲームなどの軽~中負荷タイトルをプレイするのに適した性能を備え、エントリー向けの安価な価格を実現したノートPCだ。

 より高性能なゲーミングPCであれば、WQHDや4Kといった高解像度でのリッチなゲーム体験、あらゆるゲームでの144fpsオーバーの滑らかな画面描画なども可能になってくるものの、エントリーゲーミングPCでもPCゲームを楽しめることには変わりない。

 とりあえずPCゲームをやってみたい、というPCゲーミングの入門者にしてみれば、特にありがたいクラスの製品だろう。

 先に述べた近年のゲーミングノートPC全体の性能向上もあり、予算が限られる中でエントリーモデルを選んだとしても、PC自体のポテンシャルには侮れないものがある。

 基本的には144Hzのディスプレイを活かせるタイトルをメインに遊べるゲーマー向けだが、学生ゲーマーはもちろん、ゲームも遊べる高性能PCが欲しいといった社会人ゲーマーにも、本製品のような安価なゲーミングノートPCは1つの有力な選択肢になるはずだ。