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50万円強のWindows 11マシンを試す!マウスの最強ゲーミングPC「G-Tune XP-Z」

~Core i9-11900KとGeForce RTX 3090でゲームも快適かつ問題なく動作

最強ゲーミングマシンが早速Windows 11に

G-Tune XP-Z [Windows 11]

 株式会社マウスコンピューターのゲーミングPCブランド「G-Tune」より、Windows 11を搭載したフルタワー型ゲーミングPC「G-Tune XP-Z [Windows 11]」が発売された。直販価格は54万9,780円から。

 Windows 11に限らない話だが、最新OSの出始めの時期は、ゲームやドライバの検証や対応が済んでおらず、動作に問題が出ることもある。いずれも個別の問題なので、対応の発表を待つか、実際に試してみるほかない。最新OSにアップグレードして試してから元に戻せる既存環境ならまだしも、新製品を買うとなると勇気が要る。

 その点の助けになることも考慮しつつ、Windows 11を搭載したこの製品を使って、各種ベンチマークテストやゲームプレイを交えつつレビューをしていきたい。

約50万円。CPU水冷の最上位ゲーミングPC

 「G-Tune XP-Z [Windows 11]」のスペックは下記の通り。

【表1】G-Tune XP-Z [Windows 11]
CPUCore i9-11900K(8コア/16スレッド、3.5~5.3GHz)
チップセットIntel Z590
GPUGeForce RTX 3090(GDDR6X 24GB)
メモリ32GB DDR4-3200(16GB×2)
SSD2TB(M.2 NVMe)
HDD4TB
光学ドライブDVDスーパーマルチ(スロットイン式)
電源1,200W(80PLUS Gold)
OSWindows 11 Home
汎用ポートUSB 3.2(Type-C)、USB 3.0×7、USB 2.0×4
映像出力HDMI、DisplayPort×3
有線LAN2.5Gigabit Ethernet
無線機能なし
その他音声入出力、S/PDIF端子など
本体サイズ(幅×奥行き×高さ)約215×490×481mm
重量約18.6kg
直販価格54万9,780円

 CPUはCore i9-11900K、GPUはGeForce RTX 3090と、文句なしのハイエンド機。メインメモリは32GB、ストレージもM.2 NVMeの2TB SSDと4TB HDDを搭載し、ゲーミング用途としてはパーフェクト。

 そのほかの構成も豪華だ。2.5Gigabit Ethernetを搭載し、1Gbps超の高速インターネット回線にも対応できる。電源は80PLUS Goldの1,200W。CPUクーラーは240mmのラジエータを備えた水冷式を採用している。

 カスタマイズでは、ラジエータを360mmのものに変更可能。またCPUグリスを熱伝導率や耐久性が高いものに変更し、より冷却性能を高められる。メインメモリは最大64GB、M.2 SSDはPCIe 4.0 x4に対応したものに変更できる。ネットワーク周りも10GBASE-TやWi-Fi 6の追加が可能だ。

 ユニークなところでは、左サイドパネルをスモーク強化ガラスに変更できる。さらに内部のファンをLED搭載品に交換もでき、見栄えの面でも凝ったものにできる。

 価格は標準構成でも税別で約50万円。ちなみにGeForce RTX 3090搭載のビデオカードが、本稿を執筆する10月14日時点で30万円以上となっている。つまり本機の価格の6~7割はビデオカード代と考えていい。ハイエンド機ではよくあることだが、半導体不足のあおりを極端に受けているのも間違いない。

Windows 11でも全テストで問題なく性能を発揮

 では実機のベンチマークテストに移ろう。利用したのは、「PCMark 10 v2.1.2523」、「3DMark v2.20.7274」、「VRMark v1.3.2020」、「PHANTASY STAR ONLINE 2 NEW GENESIS Character Creator」、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「Cinebench R23」、「CrystalDiskMark 8.0.4」。

 なお今回の試用機に使われているパーツのうち、ビデオカードやストレージなどのようにスペックシートで明確に製品の指定がないものについては、実際の製品では異なるパーツが使用される場合もある。またOSは試用機に限り、Windows 11 Proとなっていた。あらかじめご理解の上、ご覧いただきたい。

 Windows 11でゲームのパフォーマンスに影響すると言われている仮想化ベースのセキュリティ(VBS)については、本機の設定を確認したところ無効になっていたため、そのまま設定を変えずにテストしている。こちらも実際の製品では有効化されている可能性がある。

【表2】ベンチマークスコア
「PCMark 10 v2.1.2523」
PCMark 108,206
Essentials10,969
Apps Start-up score16,526
Video Conferencing Score7,801
Web Browsing Score10,240
Productivity10,124
Spreadsheets Score12,383
Writing Score8,278
Digital Content Creation13,503
Photo Editing Score19,431
Rendering and Visualization Score18,708
Video Editing Score6,774
「3DMark v2.20.7274 - Time Spy」
Score17,491
Graphics score19,064
CPU score11,919
「3DMark v2.20.7274 - Port Royal」
Score12,902
「3DMark v2.20.7274 - Fire Strike」
Score32,252
Graphics score45,396
Physics score27,269
Combined score11,132
「3DMark v2.20.7274 - Wild Life」
Score106,656
「3DMark v2.20.7274 - Night Raid」
Score71,458
Graphics score143,273
CPU score18,607
「3DMark v2.20.7274 - CPU Profile」
Max threads8,517
16 threads8,502
8 threads7,233
4 threads3,990
2 threads2,056
1-thread1,042
「VRMark v1.3.2020 - Orange Room」
Score15,102
Average frame rate329.22FPS
「VRMark v1.3.2020 - Cyan Room」
Score18,188
Average frame rate396.51FPS
「VRMark v1.3.2020 - Blue Room」
Score6,227
Average frame rate135.75FPS
「PHANTASY STAR ONLINE 2 NEW GENESIS Character Creator」(簡易設定6)
2,560×1,600ドット13,971
1,920×1,080ドット37,566
「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」(最高品質)
3,840×2,160ドット15,770
1,920×1,080ドット26,971
「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」(高品質)
3,840×2,160ドット7,965
1,920×1,080ドット15,514
「Cinebench R23」
CPU(Multi Core)13,429pts
CPU(Single Core)1,624pts

 まずお伝えしておきたいことは、上記のテストにおいて動作に問題は一切なかった。テスト内容はWindows 10のPCと同じで、インストールから実施方法まで何ら変えていない。特に頻繁な更新がないゲーム系ベンチマークテストでも、Windows 11環境で動作の不具合がなかった点は安心できる。

 結果の方もWindows 10の時のデータから大きな変化は見られない。「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」の4K(3,840×2,160ドット)で「快適」となったのを除けば全て最高評価となっており、ハイエンド機の性能をきちんと引き出せている。

 「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」では、4Kでの平均フレームレートが約106fpsとなっている。4Kのハイリフレッシュレートディスプレイでのプレイも十分に現実的だ。「PHANTASY STAR ONLINE 2 NEW GENESIS Character Creator」でも4Kで最高画質に設定しても、まだ余裕があるという最高評価が出ている。

 CPUは「Cinebench R23」でMP Ratioが8.27と、何とか実コア数を超える程度に留まっている。しかしこれはシングルスレッドが優秀なことを褒めるべきで、11世代Coreプロセッサはスレッド数を問わず高性能を発揮している。

 ストレージは、SSDはMicron製「2210 MTFDHBA2T0QFD」が使われていた。MicronのQLC NANDを採用したエントリークラスの製品となるが、それでもシーケンシャルリード・ライトとも2GB/sを超えており、ランダムアクセスも十分に高速だ。HDDはSeagate製「ST4000DM004」が使われていた。

Micron製SSD「2210 MTFDHBA2T0QFD」
Seagate製HDD「ST4000DM004」

 また実際のゲームプレイのテストとして、「Fortnite」のバトルロイヤル1戦と、「Apex Legends」のチュートリアル1周を試した。計測にはNVIDIA FrameViewを使用し、フレームレートをチェックする。画質はいずれも最高設定。

【表3】ゲームのフレームレート
「Fortnite」
解像度3,840×2,1601,920×1,080
平均90.04fps212.613fps
下位90%79.585fps174.554fps
下位95%76.67fps162.888fps
下位99%70.116fps140.578fps
「Apex Legends」
解像度3,840×2,1601,920×1,080
平均143.542fps143.808fps
下位90%123.73fps123.591fps
下位95%119.503fps119.393fps
下位99%113.403fps113.381fps

 「Fortnite」では、4Kで平均90fps、下位99%でも70fps以上となっており、リフレッシュレートが60Hzの一般的なディスプレイではパーフェクトな性能と言える。またフルHDであれば平均で200fps、下位99%でも140fpsを超えており、ハイリフレッシュレートディスプレイを存分に活用できる。

 「Apex Legends」では、4Kでも平均フレームレートが140fpsを超えている。ゲーム側で144fpsのリミットがあるためで、GPU使用率は約86%と余裕がある。4Kのハイリフレッシュレートディスプレイを使うか、フルHDでゲーム側でリミッターを解除した上でリフレッシュレート300Hzクラスのゲーミングディスプレイを使うか考えられる。

エアフロー最優先のフルタワーケース

フロントパネルは光沢のあるブラックにレッドのプレート

 続いて外観を見ていく。G-Tuneではお馴染みのフルタワーケースで、前面右側の端子部にレッドのプレートを配したほかは、全面がブラックで統一されている。正面は光沢のあるブラックパネルで、中央に控え目なシルバーG-Tuneロゴがある。フルタワーだけあってサイズは大きく存在感はあるものの、全体としてはかなり落ち着いた高級感のあるデザインだ。

 前面の端子部は上から電源ボタン、電源ランプ、アクセスランプ、USB 3.0×2、マイク端子、ヘッドフォン端子、USB 2.0×2という並び。その下にスロットイン式のDVDスーパーマルチドライブも搭載されている。USB Type-C端子は前面にはなく、背面に1基ある。

レッドのプレート部分に、電源ボタンや端子、DVDスーパーマルチが並ぶ
天面はフラットで、端子類や穴は一切ない
左側面は上部に空気穴が空けられている
右側面も上部に穴

 側面は左右の上部にハニカム形状の空気穴が空けられている。前面と天面には空気穴はなくフラット。底面はハニカム形状で大きく穴が空けられており、ホコリ避けのメッシュカバーがかぶせられている。このメッシュカバーは筐体を直立させたまま、左下から引き出すように取り外せる。底面の掃除は手間がかかるが、これなら短時間で簡単にできる。

背面もほぼ一面ブラック。大型のケースファンが見える
底面は大きく空いており、取り外せるメッシュカバーが装着済み

 左サイドパネルを開いて内部を見ると、上部に貼りつくようにCPU冷却用のラジエータが見える。ラジエータは240mmなので12cmファンが2基搭載されている。

左サイドパネルを開けたところ
上部にはCPU冷却用の240mmラジエータと2基のファンがあり、さらに並んでもう1基ファンが取り付けられている

 これに続いて奥の方にもう1基、12cmファンが取り付けられている。電源もあり、12cmファンが半分かかるような状態。3基の12cmファンはいずれも左から右へのエアフローになっている。奥のファンは半分を電源の吸気ファンに流しつつ、もう半分はケース内の空気を右側面から逃がす形だ。

電源もブラック。メーカー名やスペックは見えない

 ファンはほかに、背面に12cmケースファンが1基あり、ほかにケースファンはない。エアフローは底面から広く自然吸気して背面ファンから排気するものと、左側面から吸気して右側面に排気するものの2系統あるような形。前者はビデオカード、後者はCPUの冷却を担うイメージ。フルタワーケースだけあって内部には余裕があり、冷却に心配はなさそうだ。

ビデオカードはZOTAC製でトリプルファン搭載。電源を入れると文字部分が光る

 ストレージは、左側面からアクセスできるのはマザーボード上にあるヒートシンク付きのM.2 SSDのみ。ほかには前方下部に2.5インチドライブベイが2基あるが、本機では使用されていない状態だ。

マザーボードの右側のスペースに2.5インチベイが2基ある
右サイドパネルを開けたところ。3.5インチHDDを搭載できるのはこの1カ所のみ

 ほかのドライブ類は右サイドパネルを開くとアクセスでき、バックパネル裏にHDDとDVDスーパーマルチが装着されている。どちらもマザーボードの裏にならない位置で、熱の影響がないよう考慮されている。空いているドライブベイは2.5インチが2基だけで、フルタワーケースにしてはかなり少ないが、ケース内部に大きく余裕を持たせてエアフローを最優先にしているのだろう。

DVDスーパーマルチは日立LGデータストレージ製「GS40N」

 配線も左側面にはほとんど見せず、可能な限り裏面に回してある。右側面から見てもケーブルがドライブ部分にかからないよう隙間を上手く通してあり美しい。電源ケーブルの余った分がラジエータの背後にまとめてあるのが少々ごちゃごちゃして見えるが、エアフローを邪魔するほどでもない。

 騒音は、アイドル時にはCPUファンがゆるく回っている音がする程度。無音とまでは言わないが、一般的なPCとほとんど変わらない程度だ。ケースを開けてファンの回転を見ると、CPUの水冷ラジエータやケースファンは回っているが、ビデオカードのファンは止まっていた。

 CPUに高負荷をかけると、ラジエータのファンの回転数が上がるのが分かる。上がり方は緩やかで、しばらく高負荷の状態を続けても、それほど騒音は大きくならない。仕事などで一時的にCPU負荷が上がったとしても、騒音として気になることはほぼないだろう。

 これに対してGPUに高負荷をかけると、止まっていたビデオカードのファンがしっかりと回り出す。音量はそこそこ大きいが、音質は少し高めの風切り音という感じで、耳障りな感じはない。ゲームの音を邪魔するほどではないし、神経質な人でもヘッドフォンをすれば気にならないだろう。

 ファンを全力で回してこの程度なら、性能から考えれば相当優秀だ。ビデオカードの冷却システムが良好なのに加え、エアフロー最優先のフルタワーケースも貢献している。冷却性能と静粛性の両面で満足のいく性能だ。

最新ハイエンド構成でWindows 11も安心して使える

安定のフルタワーケースでハイエンドのスペックを支える

 G-Tuneのフルタワーハイエンド機ということで、性能や冷却に関しては長年の実績があり、何の心配もない。高性能なデスクトップPCをきっちり組み上げた状態で手に入れたい、特にCPUを水冷にしたいと考えているなら、ハードウェアの面では本機を選べば間違いない。

 気になるWindows 11に関しても、筆者が試した範囲ではベンチマークやゲームで何の支障もなかった。ビデオカードのドライバに関しても、NVIDIAは既にWindows 11向けのものを用意しており、今まで通りに更新できる。

 Windows 11そのものの使用感に習熟する必要はあるが、先述のVBSの設定さえ確認すれば、パフォーマンスの面でも心配はない。もっともゲームによっては動作に問題が出る可能性もあるので、プレイ中のゲームがある場合には、あらかじめ各タイトルのWindows 11対応状況を確認していただきたい。

 この辺りの話は、新しいOSが出れば必ず通る道ではあり、時間が経てば解決していくものだ。とりあえず遊んでいるゲームでWindows 11の動作確認が取れているなら、素直にWindows 11搭載機を購入しておいて間違いない。最新ハードとの組み合わせなら先々の問題も出にくいはずだし、インストール済みのPCでサポートを受けられる安心感もある。

 最後に余談を1つ。いつからかは定かではないのだが、今回の試用機からG-Tuneの壁紙が変わっていた。以前は濃紺に白の波形のラインだったが、今回は黒ベースに赤いブロックを配したもので、本機のカラーリングにもマッチしている。また解像度も4Kに上がっている。この壁紙は公式サイトから誰でもダウンロードできるので、気軽にチェックしていただきたい。