Hothotレビュー
「iPhone 12 mini」は旧モデルからの買い換えに最適。コンパクト高機能スマホの最有力候補だ
2020年11月26日 06:55
Appleから2020年モデルの最新iPhoneとして10月23日から順次発売になったiPhone 12シリーズ。
なかでもシリーズ初のコンパクトモデルとして11月13日に発売された「iPhone 12 mini」の注目度は高く、これを待っていたというユーザーは多いだろう。税別直販価格はストレージ64GBが7万4,800円、128GBが7万9,800円、256GBが9万800円となっている。
今回は「iPhone 12 mini」の製品版を借用し、気になる本機の大きさや基本性能についてレビューをお送りする。
iPhone 12 miniの各部をチェック
まずはiPhone 12 miniの各部をチェックしていく。iPhone 12 miniのデザインは先行して発売になったiPhone 12と共通だ。
ディスプレイ上部には前面カメラや顔認証やFace IDのセンサーが盛り込まれたノッチ部を備え、カラフルに彩色されたガラス製のバックパネルや広角・超広角のデュアルカメラ、フラットなアルミ製のサイドフレームなどiPhone 12シリーズの意匠はそのままに、本体サイズをぎゅっと小さくしている。
また、iPhone 12シリーズからは同梱品から「EarPods with Lightning Connector」と「18W USB-C 電源アダプタ」削られパッケージサイズがコンパクトに変わっている。
同じくiPhone 12シリーズの「iPhone 12 Pro」、そして「iPhone SE(第2世代)」のパッケージとも比較してみたが、コンパクトになったパッケージのなかでもiPhone 12 miniのものは本体サイズに合わせてより小さくなっているため、長年iPhoneシリーズを購入し続けているユーザーなら実物を見たさいに驚くだろう。
iPhone 12 miniの小ささをほかのiPhoneシリーズと比較
iPhone 12 miniでもっとも気になるのはその本体の小ささだ。そこで今回は筆者の手元にある「iPhone 12 Pro」、「iPhone SE(第2世代)」、「iPhone 5s」の3機種とサイズ感を比較した。
なお、それぞれのサイズは次のようになる。
端末 | 画面サイズ | 本体サイズ (幅×奥行き×高さ) | 重量 |
---|---|---|---|
iPhone 12 mini | 5.4型 | 64.5×131.5×7.4mm | 133g |
iPhone 12 Pro | 6.1型 | 71.5×146.7×7.4mm | 162g |
iPhone SE(第2世代) | 4.7型 | 67.3×138.4×7.3mm | 148g |
iPhone 5s | 4型 | 58.6×123.8×7.6mm | 112g |
並べてみるとiPhone 12 miniは数値以上にコンパクトに感じられる。何より驚くのは現行モデルとしてコンパクト機として扱われてきたiPhone SE(第2世代)よりも小さいことだろう。
昨年(2019年)までの最新・最小のモデルは「iPhone XS」や「iPhone 11 Pro」の5.8型で、デュアルカメラなど最新の機能を利用したくても、それまで利用していたiPhone 6sやiPhone 7からの買い替え先として、大きくて持ちづらいと嘆き見送ってきたユーザーにとっては魅力的な買い替え先と言えるサイズだ。
さすがにiPhone 5sと比較するとひとまわり大きくなるが、同一の筐体を採用するiPhone SE(第1世代)からの買い替え先に悩むユーザーの声もたびたび耳にするため、やっと最新モデルで納得のいくものに出会えるという人は多そうだ。
また、iPhone 12 miniは片手でしっかりと握ったまま、タッチパネルの端から端まで指が届く。iPhone 12 Proを手に持った状態と比較すると、手への収まりの良さが伝わるはずだ。
もちろん、本体サイズが小さくても性能面でiPhone 12 Proに劣ることもほとんどない。搭載メモリはiPhone 12 miniが4GB、iPhone 12 Proが6GBという違いこそあるが「GeekBench 5」の測定結果に大きな差は出なかった。
搭載メモリ量の差は大容量のデータを処理するさいや複数アプリを切り替えながら利用する場面くらいであり、iPhone 12 miniを選んだからと言って普段使いでiPhone 12 Proから大きく劣るといったことはないだろう。
スマートフォンのカメラとしてバランスの撮れたiPhone 12 miniの作例
iPhone 12 miniのカメラはサイズ違いのiPhone 12と同じ、1,200万画素/F1.6の広角カメラと同じく、1,200万画素/F2.4の超広角カメラのデュアルカメラを搭載している。
コンパクトサイズながらトレンドの超広角レンズでの撮影に対応するだけでなく、上位モデル同様にA14 BionicのNeural Engineを活かしマシンラーニングを用いたスマートHDR3や夜景モードでの撮影にも対応している。
以下にiPhone 12 miniで撮影を行なった作例をいくつか掲載する。撮影モードは原則オートで撮影を行なった。また夜景の撮影ではあえて夜景モードをオフにした作例も併せて掲載していく。
まずは日中、明るいうちに屋外で撮影を行なった。青空を見てもらえるとわかりやすいのだが、最近のスマートフォンのカメラにありがちなビビッドな発色にはなっておらず、全体的にナチュラルな色味となった。
また、日中逆光での撮影では手前側の暗くなる場所もスマートHDR 3の効果なのか、しっかりと砂浜の質感を残した写真になっている点は注目したい。
続いて暗所での作例。イルミネーションの撮影では夜景モードはオンにならず、煌びやかなツリーをそのまま写真に収めることができた。ただしイルミネーションの強い光に対してはゴーストが発生してしまっている。
被写体次第だが、撮影時に強い光を放つ照明などはゴーストが発生しやすいという弱点だけは覚えておくといいだろう。
遠景にビル群を除いた撮影では、夜景モードのオン・オフで撮影を行なった。夜景モードオフでも十分に明るく撮影できているが、夜景モードオンでは左側のビルがハッキリと映り、また白飛びした場所のディテールも確認できる。
また、より夜景モードの効果を確認するために夜の神社の鳥居を被写体に撮影を行なった。歩道の照明などもあるため真っ暗な場所ではないものの、肉眼では夜景モードオフの状態よりも暗く、夜間では鳥居を視認するのも難しいのだが、iPhone 12 miniのカメラでは夜景モードを利用することで、日が沈んで間もない時間帯のように明るく撮影することができた。
カメラテストの最後は屋内、それもスマートフォンで撮影する機会の多い食事でのテストをお送りする。
飲食店の店内は暗く、また照明も暖色のものが用いられることも多くスマートフォンのカメラが苦手とするシーンでもあるが、iPhone 12 miniではどれも暖色や寒色によることもなく、また明るくおいしそうに撮影することができた。
iPhone 8以前のユーザーの乗りかえ先として決定版モデル
iPhone 12 miniは小さいながらも、性能や機能において妥協なしの「最新モデル」だ。
iPhone SE(第1世代)やiPhone 6~8を利用しているユーザーであれば、手に取ったさいはかなりしっくりくるだろう。またiPhone XSの購入から2年が経過し、そろそろ買い替え時を迎えるユーザーで手に余ると感じていた人もiPhone 12 miniは一度手に取ってサイズ感を確認してほしい。
スマートフォンのトレンドとして大画面化の流れは止まらずメーカーによってはコンパクトモデルをラインナップから廃することもめずらしくない。そんななかで、Appleが既存モデルのユーザーの声を拾うかのごとくコンパクトモデルのiPhone 12 miniを投入してきたことは大いに歓迎したい。