Hothotレビュー
GDDR6の搭載でお買い得感が高まった「GeForce GTX 1660 SUPER」を試す
2019年10月29日 22:00
10月29日、NVIDIAは新GPU「GeForce GTX 1660 SUPER」を発表。今回、発表に先立って同GPUを搭載したビデオカードを試用する機会が得られたので、ベンチマークテストで新GPUの実力をチェックしてみた。
14Gbps動作のGDDR6メモリを採用したミドルレンジGPU
GeForce GTX 1660 SUPERは、Turingアーキテクチャに基づいて12nm FFNプロセスで製造されたGPUコア「TU116」を採用するGPU。TU116コアは、発売済みのGPUであるGeForce GTX 1660とGeForce GTX 1660 Tiにも採用されている。
GeForce GTX 1660 SUPERのTU116コアでは、22基のStreaming Multiprocessors(SMs)が有効化されており、1,408基のCUDAコアや88基のテクスチャユニットが利用できる。GPUコアのベースクロックは1,530MHzで、ブーストクロックは1,785MHz。これらのスペックはGeForce GTX 1660とまったく同じだ。
VRAMには、14Gbps動作のGDDR6メモリを6GB搭載。VRAMとGPU間は192bitのメモリインターフェイスで接続しており、メモリ帯域幅は336GB/sに達している。これはGDDR5メモリを採用していたGeForce GTX 1660の192GB/sを75%上回り、上位モデルであるGeForce GTX 1660 Tiの288GB/sをも上回る。
GeForce GTX 1660 SUPERのスペックについてまとめると、GeForce GTX 1660と同等のGPUコアに、より高速なGDDR6メモリを組み合わせたものであると言える。この変更に伴い、消費電力の指標(Total Graphics Power)は、既存2モデルの120Wから125Wに引き上げられている。
モデルナンバー | GeForce GTX 1660 SUPER | GeForce GTX 1660 | GeForce GTX 1660 Ti | GeForce RTX 2060 |
---|---|---|---|---|
アーキテクチャ | Turing | Turing | Turing | Turing |
製造プロセス | 12nm FFN | 12nm FFN | 12nm FFN | 12nm FFN |
GPUコア | TU116 | TU116 | TU116 | TU106 |
SMs | 22基 | 22基 | 24基 | 30基 |
CUDAコア | 1,408基 | 1,408基 | 1,536基 | 1,920基 |
Tensorコア | - | - | - | 240基 |
RTコア | - | - | - | 30基 |
テクスチャユニット | 88基 | 88基 | 96基 | 120基 |
ROPユニット | 48基 | 48基 | 48基 | 48基 |
ベースクロック | 1,530MHz | 1,530MHz | 1,500MHz | 1,365MHz |
ブーストクロック | 1,785MHz | 1,785MHz | 1,770MHz | 1,680MHz |
メモリ容量 | 6GB (GDDR6) | 6GB (GDDR5) | 6GB (GDDR6) | 6GB (GDDR6) |
メモリスピード | 14Gtps | 8Gtps | 12Gtps | 14Gtps |
メモリインターフェース | 192bit | 192bit | 192bit | 192bit |
メモリ帯域 | 336GB/s | 192GB/s | 288GB/s | 336GB/s |
消費電力 | 125W | 120W | 120W | 160W |
コンパクト設計のGeForce GTX 1660 SUPER搭載ビデオカード「ASUS PH-GTX1660S-O6G」
今回のテストで用いるのは、ASUS製のGeForce GTX 1660 SUPER搭載ビデオカード「PH-GTX1660S-O6G」。ASUSのビデオカード製品群において、コンパクトさや頑丈さがウリのエントリーモデル「Phoenix シリーズ」の製品だ。税別店頭予想価格は28,500円前後。
PH-GTX1660S-O6Gは、オーバークロック仕様のビデオカードであり、GPUコアのブーストクロックは1,785MHzから1,800MHzに引き上げられていた。ただし、これは発売前の試用品であるため、動作クロックについては製品版と仕様が異なる可能性がある。
GPUクーラーは2スロット仕様で、100mm径の冷却ファンを1基搭載。冷却ファンの軸受けには、耐久性の高いボールベアリングを採用している。また、基板はASUSの自動製造プロセス「AUTO-EXTREME Technology」で製造されており、一貫性の高い製造品質を実現している。
本体サイズは174×121×39mm(幅×奥行き×高さ)。動作に必要な補助電源はPCI-E 8ピン×1系統。ディスプレイ出力端子には、DisplayPort 1.4、HDMI 2.0b、DVI-Dを各1系統ずつ備えている。
テスト機材
GeForce GTX 1660 SUPERの比較用GPUには、同クラスの製品であるGeForce GTX 1660とGeForce GTX 1660 Tiのほか、上位GPUであるGeForce RTX 2060も用意した。
各GPUを搭載するビデオカードはASUSのオリジナルモデルであり、いずれもGPUのブーストクロックが標準仕様より多少高く設定されている。各ビデオカードのテスト時動作仕様については「表2」にまとめているので、そちらを確認してもらいたい。
ビデオカードを搭載するテスト用PCには、Core i9-9900Kを搭載したIntel Z390環境を用意した。グラフィックスドライバは、GeForce GTX 1660 SUPERにはレビュアー向けの「GeForce Game Ready Driver 441.07」を使用し、残る比較用GPUにはテスト時点の最新版「GeForce Game Ready Driver 440.97」を使用した。
GPU | GeForce GTX 1660 SUPER | GeForce GTX 1660 | GeForce GTX 1660 Ti | GeForce RTX 2060 |
---|---|---|---|---|
ビデオカードベンダー | ASUS | ASUS | ASUS | ASUS |
製品名 | PH-GTX1660S-O6G | PH-GTX1660-O6G | ROG-STRIX-GTX1660TI-O6G-GAMING | ROG-STRIX-RTX2060-O6G-GAMING |
ベースクロック | 1,530MHz | 1,530MHz | 1,500MHz | 1,365MHz |
ブーストクロック | 1,800MHz | 1,800MHz | 1,860MHz | 1,830MHz |
メモリ容量 | 6GB (GDDR6) | 6GB (GDDR5) | 6GB (GDDR6) | 6GB (GDDR6) |
メモリスピード | 14Gtps | 8Gtps | 12Gtps | 14Gtps |
メモリインターフェース | 192bit | 192bit | 192bit | 192bit |
メモリ帯域 | 336GB/s | 192GB/s | 288GB/s | 336GB/s |
パワーターゲット | 125W | 120W | 130W | 190W |
GPU | GeForce GTX 1660 SUPER | GeForce GTX 1660 | GeForce GTX 1660 Ti | GeForce RTX 2060 |
---|---|---|---|---|
CPU | Core i9-9900K | |||
CPUクーラー | ASUS ROG RYUJIN 240 | |||
マザーボード | ASUS TUF Z390-PLUS GAMING (UEFI: 2603) | |||
メモリ | DDR4-2666 8GB×2 (2ch、16-18-18-36、1.35V) | |||
システム用ストレージ | Intel SSD 760p (256GB SSD/M.2-PCIe 3.0 x4) | |||
アプリケーション用ストレージ | Corsair MP600 (1TB SSD/M.2-PCIe 3.0 x4) | |||
電源 | 玄人志向 KRPW-GK750W/90+ (750W/80PLUS GOLD) | |||
グラフィックスドライバ | GeForce Game Ready Driver 441.07 (26.21.14.4107) | GeForce Game Ready Driver 440.97 (26.21.14.4097) | ||
OS | Windows 10 Pro 64bit (Ver 1903 / build 18362.418) | |||
電源設定 | 高パフォーマンス | |||
室温 | 約25℃ |
ベンチマーク結果
今回実行したベンチマークテストは、「3DMark(グラフ1~8)」、「VRMark(グラフ9~10)」、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク(グラフ11)」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク(グラフ12)」、「Forza Horizon 4(グラフ13)」、「F1 2019(グラフ14)」、「バトルフィールド V(グラフ15~16)」、「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー(グラフ17~18)」、「フォートナイト(グラフ19)」、「レインボーシックス シージ(グラフ20)」、「オーバーウォッチ(グラフ21)」、「アサシン クリード オデッセイ(グラフ22)」、「モンスターハンター:ワールド(グラフ23)」、「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE(グラフ24)」、「ゴーストリコン ブレイクポイント(グラフ25)」。
3DMarkの高負荷テストでは、高負荷テストの「Time Spy」「FireStrike」と、中負荷テストの「Night Raid」「Sky Diver」、DirectX Raytracing (DXR)を用いるリアルタイムレイトレーシングテスト「Port Royal」を実行した。
GeForce GTX 1660 SUPERは、GPU負荷の高いTime SpyとFire Strikeにおいて、GeForce GTX 1660に約10~18%の差をつけて上回り、上位モデルとなるGeForce GTX 1660 Tiには約5~7%の差をつけられた。中負荷テストのNight RaidとSky Diverでは各GPUとの差は縮まり、GeForce GTX 1660に対するリードは約8%、GeForce GTX 1660 Tiとの差は約2~3%となっている。
GPUコアそのものはGeForce GTX 1660と同等なGeForce GTX 1660 SUPERだが、このクラスで最速の14GbpsのGDDR6メモリを採用した結果、そのパフォーマンスは上位モデルのGeForce GTX 1660 Tiに近いものとなったようだ。
DXRによるリアルタイムレイトレーシングテストを行なうPort Royalでは、GeForce GTX 1660との差が約7%である一方、GeForce GTX 1660 Tiとの差は約11%となっており、GPUコア性能がより強くスコアに反映されている。
なお、Port Royalでは、レイトレーシングアクセラレータであるRTコアを備えるGeForce RTX 2060が、GeForce GTX 1660 Tiの約2.6倍というスコアを記録している。ドライバの更新でDXRが利用可能となったとは言え、GeForce GTX 16 シリーズとGeForce RTX 20 シリーズでは、レイトレーシング性能に歴然たる差が存在しているようだ。
VR性能を確認するベンチマークテストであるVRMarkでは、「Orange Room」「Cyan Room」「Blue Room」を実行した。
GeForce GTX 1660 SUPERは比較製品中3番手のスコアを記録しており、GeForce GTX 1660に約13~14%の差をつけて上回った。全体2番手のGeForce GTX 1660 Tiとの差は約6~8%で、トップのGeForce RTX 2060との差は約19~34%。
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマークでは、描画設定「最高品質」に設定して、フルHDから4Kまでの画面解像度でテストを実行した。
GeForce GTX 1660 SUPERはここでも全体3番手の結果を記録しており、GeForce GTX 1660に約14~19%の差をつけて上回った。GeForce GTX 1660 Tiとの差は約3~6%で、GeForce RTX 2060との差は約11~30%。フルHD解像度ではCPUがボトルネック気味であり、WQHD以上ではGPUの性能差がよりスコアに反映されている。
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク v1.2では、描画設定を「高品質」に設定して、フルHDから4Kまでの画面解像度でテストを実行した。
GeForce GTX 1660 SUPERのスコアは全体3番手。GeForce GTX 1660に約14~17%の差をつけており、2番手のGeForce GTX 1660 Tiとの差は約4~9%で、トップのGeForce RTX 2060との差は約26~29%。
オープンワールドレースゲーム「Forza Horizon 4」では、描画設定を「ウルトラ」に設定して、フルHDから4Kまでの画面解像度でベンチマークモードを実行した。
GeForce GTX 1660 SUPERは全体3番手のフレームレートを記録し、GeForce GTX 1660に約11~15%の差をつけて上回った。GeForce GTX 1660 Tiとの差は約6~7%で、GeForce RTX 2060との差は約18~22%。
GeForce GTX 1660 SUPERは、フルHD解像度では100fpsを余裕で上回り、WQHD解像度でも60fpsを超えている。WQHD以下の解像度であれば、画質面で妥協することなく快適なプレイが実現可能だろう。4K解像度に関しても60fpsを下回ってはいるが、多少の画質設定で60fps動作は狙えそうだ。
「F1 2019」では、DirectX 12モードで描画設定を最高の「超高」に設定。フルHDから4Kまでの画面解像度でベンチマークモードを実行した。
GeForce GTX 1660 SUPERが記録したフレームレートは全体3番手の結果で、GeForce GTX 1660に約6~7%の差をつけて上回った。GeForce GTX 1660 Tiとの差は約9~11%で、GeForce RTX 2060との差は約30~37%。
WQHD解像度で66fpsを記録したGeForce GTX 1660 SUPERなら、フルHD解像度はもちろん、WQHD解像度でもF1 2019を高画質設定で楽しむことができるだろう。
バトルフィールド Vでは、フルHDから4Kまでの画面解像度で描画設定を「最高」にした場合と、フルHD解像度でDXRによるレイトレーシングを有効にした場合の2パターンでフレームレートを測定した。
DXRによるレイトレーシングを無効にした場合、GeForce GTX 1660 SUPERが記録したフレームレートは全体3番手の結果で、GeForce GTX 1660に約13~17%の差をつけて上回った。GeForce GTX 1660 Tiとの差は約4~6%で、GeForce RTX 2060との差は約14~36%。
この条件でGeForce GTX 1660 SUPERが安定して60fps超えが狙えるのはフルHD解像度までで、平均値で62.6fpsを記録しているWQHD解像度において常時60fpsを実現するには多少の画質調整が必要だ。
DXRによるレイトレーシングを有効にしたバトルフィールド Vにおいて、GeForce GTX 1660 SUPERは3番手のフレームレートを記録。4番手のGeForce GTX 1660を約6~9%上回り、2番手のGeForce GTX 1660 Tiとの差は約9~12%、GeForce RTX 2060との差は約41~78%。
RTコアを備えるGeForce RTX 2060との差は3DMarkのPort Royalほど大きくはないものの、GeForce GTX 1660 SUPERでは、レイトレーシング品質を「低」にしても60fpsを下回っている。描画設定を妥協すればプレイできないこともないが、そこまでしてレイトレーシングを有効にする価値のあるタイトルではないだろう。
シャドウ オブ ザ トゥームレイダーでは、フルHDから4Kまでの画面解像度で描画設定を「最高」にした場合と、フルHD解像度でDXRによるレイトレーシングを有効にした場合の2パターンでベンチマークテストを実行した。
レイトレーシング無効時のベンチマーク結果において、GeForce GTX 1660 SUPERは全体3番手の結果を記録し、GeForce GTX 1660に約16~17%の差をつけて上回った。GeForce GTX 1660 Tiとの差は約4%で、GeForce RTX 2060との差は約19~22%。
GeForce GTX 1660 SUPERは、フルHD解像度で81fps、WQHD解像度で54fpsを記録しており、WQHD解像度までであれば、高画質設定でも60fps前後の滑らかな描画でプレイできる可能性を示している。
DXRによるレイトレーシングを有効にした場合、GeForce RTX 1660 SUPERはGeForce GTX 1660に約10~16%の差をつけて上回った。GeForce GTX 1660 Tiとの差は約5~9%で、GeForce RTX 2060との差は約27~67%。
レイトレーシングの品質を「中」まで落とすとGeForce GTX 1660 SUPERでも60fpsを超えているが、その分レイトレーシングの恩恵は薄い。とは言え、レイトレーシングの品質を「高」にすると、ジャングルなどではフレームレートが20fps程度に低下することもあり、レイトレーシングによるリアルな光の表現をGeForce RTX 1660 SUPERで楽しむのは厳しいのが現実だ。
バトルロイヤルTPSの「フォートナイト」では、フルHDから4Kまでの画面解像度で描画設定「エピック」時のフレームレート測定と、フルHD解像度で描画設定を「高」と「中」にした場合のフレームレートを測定した。なお、レンダリング解像度はすべて画面解像度と一致させている。
GeForce GTX 1660 SUPERが記録したフレームレートは、最軽量設定であるフルHD解像度かつ描画設定「中」でGeForce GTX 1660 Tiをわずかに上回ったことを除けば、全体3番手の結果となっている。GeForce GTX 1660に約4~21%の差をつけており、2番手のGeForce GTX 1660 Tiとの差は例外を除いて約7~6%、トップのGeForce RTX 2060との差は約5~64%。
GeForce GTX 1660 SUPERは、WQHD解像度までは平均で60fpsを上回っており、フルHD解像度では100fps超えの動作が狙える。画質を妥協していけば100fps台後半を狙うことも可能で、144Hz駆動以上のゲーミングディスプレイとの組み合わせれば、快適なフォートナイト環境を構築できるだろう。
オンラインFPS「レインボーシックス シージ」では、フルHDから4Kまでの画面解像度で描画設定「最高」時のフレームレート測定と、フルHD解像度で描画設定を「超高」と「高」にした場合で、それぞれベンチマークモードを実行した。ここでも、レンダリング解像度は全て画面解像度と一致させている。
ベンチマークの結果、GeForce GTX 1660 SUPERは全体3番手の平均フレームレートを記録しており、eForce GTX 1660に約10~13%の差をつけて上回った。GeForce GTX 1660 Tiとの差は約5~9%で、GeForce RTX 2060との差は約22~36%。
GeForce GTX 1660 SUPERはフルHD解像度で100fps台中盤が狙える性能を発揮しており、144Hzクラスのゲーミングディスプレイの恩恵を高画質設定で得ることができる。また、GeForce GTX 1660との約1割という差もそれなりに大きなものであり、この差によって画質設定を1段高くしても同等以上のフレームレートが実現できている。
オンラインFPS「オーバーウォッチ」では、描画設定を最高の「エピック」に設定し、フルHDから4Kまでの画面解像度でフレームレートを測定した。
GeForce GTX 1660 SUPERは、GeForce GTX 1660を約10~11%上回るフレームレートを記録。上位との差は、GeForce GTX 1660 Tiと約9~11%、GeForce RTX 2060とは約26~31%。
フォートナイトやレインボーシックス シージ同様、フルHD解像度では最高画質設定でも100fpsを超えるフレームレートを実現している。GeForce GTX 1660 SUPERは、昨今人気のバトルロイヤル系ゲームや競技性の高いFPSゲームをフルHD解像度で快適に遊べる実力を備えたGPUであることは間違いなさそうだ。
アサシン クリード オデッセイでは、描画設定を「最高」に設定し、フルHDから4Kまでの画面解像度でベンチマークを実行した。
GeForce GTX 1660 SUPERは、GeForce GTX 1660を約9~19%上回る全体3番手の結果を記録。GeForce GTX 1660 Tiとの差は約4~8%、GeForce RTX 2060との差は約14~19%だった。
GeForce GTX 1660 SUPERは平均フレームレートで60fps超えを達成することはできなかったが、本作は30fpsから遊べるタイトルであり、その基準であればWQHD解像度でもクリアできている。
モンスターハンター:ワールドでは、描画設定を「最高」に設定し、フルHDから4Kまでの画面解像度でフレームレートを測定した。
GeForce GTX 1660 SUPERは全体3番手の結果を記録し、GeForce GTX 1660に約12~16%の差をつけて上回った。GeForce GTX 1660 Tiとの差は約5~10%で、GeForce RTX 2060との差は約27~36%。
今回のテスト条件では、GeForce GTX 1660 SUPERは60fpsを超えることはできなかったが、フルHD解像度なら多少描画設定を調整すれば60fpsは達成可能だ。また、本作は30fpsから遊べるタイトルなので、グラフィック品質重視でWQHD解像度でプレイしても良いだろう。どちらを選ぶかはプレイヤー次第であり、それを選択できる性能がGeForce GTX 1660 SUPERには備わっている。
フロムソフトウェアのアクションアドベンチャー「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE」では、描画設定を「最高」に設定し、フルHDから4Kまでの画面解像度でフレームレートを測定した。
このタイトルは上限フレームレートが60fpsであるため、フルHD解像度では全GPUが60fpsに到達して差がついていない。一方、WQHD解像度ではGeForce GTX 1660のみが55.1fpsで60fpsを割り込んでおり、結果としてGeForce GTX 1660 SUPERは、これを約9%上回っている。
4K解像度になると全GPUが60fpsを割り込んでおり、GeForce GTX 1660 SUPERは、28.2fpsのGeForce GTX 1660を23%上回る34.7fpsを記録。36.6fpsのGeForce GTX 1660 Tiとの差は約5%で、42.7fpsのGeForce RTX 2060との差は約23%だった。
オープンワールドシューター「ゴーストリコン ブレイクポイント」では、描画設定を「ウルトラ」に設定し、フルHDから4Kまでの画面解像度でベンチマークを実行した。
ベンチマーク結果において、4K解像度の結果がGPUのスペックからすると不可解なものとなっているが、これは同条件でのVRAM使用量の目安が6,759MBと、各GPUが備えるVRAM容量を超過したために発生したイレギュラーであり、各GPUの性能差を測る上で意味のある結果ではない。
4K解像度の結果を除外すると、GeForce GTX 1660 SUPERはGeForce GTX 1660を約9~10%上回る全体3番手の結果で、2番手のGeForce GTX 1660 Tiとの差は約6%、トップのGeForce RTX 2060との差は約15~23%だった。
消費電力とGPUモニタリングデータ
電源ユニットとコンセントの間に設置した電力計を用いて、アイドル時の消費電力とベンチマーク実行中のピーク消費電力を測定した。
GeForce GTX 1660 SUPERのアイドル時消費電力は、GeForce RTX 2060と並んで比較製品中もっとも高い37Wだった。ただし、もっとも低かったGeForce GTX 1660が記録した34Wとの差は3Wでしかなく、この程度はビデオカードの仕様や個体差によっても生じ得るものでもある。
各ベンチマーク実行中のピーク消費電力に関しては、GeForce GTX 1660 SUPERは179~261Wを記録。これは、GeForce GTX 1660 Tiをわずかに上回る比較製品中2番目に高い数値であり、GeForce GTX 1660より10~28W高い。
GeForce GTX 1660 SUPERとGeForce GTX 1660の消費電力差は約6~13%であり、両GPUの性能差を考慮すれば妥当と言えるレベルだ。より高い性能を発揮したGeForce GTX 1660 TiはGeForce GTX 1660 SUPERの消費電力を下回っているが、このあたりはビデオカードの製品グレードと使用部品の違いによる電源回路の効率などが影響しているものと考えられる。
GPU-Zのモニタリング機能を利用して、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークを4K解像度かつ高品質設定で実行したさいのGPUデータを取得し、その結果をグラフにまとめた。
ベンチマーク中のピークGPU温度は82℃、ファンスピードは2,000rpmに達した。今回テストしたPH-GTX1660S-O6Gの温度ターゲットは83℃に設定されており、ほぼ上限温度に到達しているものの、テストでは最後までブーストクロックの1,800MHzを超えるGPUクロックを維持していた。
シングルファン仕様でコンパクトな設計を採用したPH-GTX1660S-O6Gの冷却能力は必要十分なものではあるものの、特別強力というわけではないようだ。
ASUSはPH-GTX1660S-O6Gとは別のGeForce GTX 1660 SUPER搭載ビデオカードとして、3基の冷却ファンを備えた高冷却モデル「TUF 3-GTX1660S-O6G-GAMING」(店頭予想価格 税抜き33,500円前後)の投入も予定している。より冷却能力と静粛性に優れたビデオカードを望むなら、そちらを検討すべきだろう。
本格的にゲーミング環境を整えたいユーザーのためのミドルレンジGPU
GeForce GTX 1660 SUPERは、14GbpsのGDDR6メモリを採用したことで、同じGPUコアを持つGeForce GTX 1660よりも、上位モデルのGeForce GTX 1660 Tiに近い性能を発揮してみせた。
その性能はバトルロイヤルゲームや競技性の高いFPSゲームにおいて、高画質設定でも100fps以上での動作を狙えるものであり、144Hzクラスのゲーミングディスプレイを軸として、本格的なゲーミング環境を整えたいと望むユーザーに好適なGPUとなるだろう。
GeForce GTX 1660 SUPER登場後も、既存のGeForce GTX 1660系GPUは併売される。どのGPUを選択するのかは財布と相談することになるが、GeForce GTX 1660 Tiと1割以上の価格差が生じるようなら、価格と性能のバランスに優れたミドルレンジGPUとして、GeForce GTX 1660 SUPERは魅力的な存在となりそうだ。