Hothotレビュー
100万円ゲーミングノート「ASUS ROG Mothership」のガチっぷりを徹底検証してみた
2019年11月7日 11:00
8コアCPUにRTX 2080で“世界で一番速い”をうたう「ROG Mothership GZ700GX」の実力ははたして本物か?
ハイエンドのCPUやGPUを集めた究極のPCは、PC好きなら誰もが夢想するものだ。しかしそれを実際に組み上げるにはノウハウや技術がいる。とくに省スペースやノート型にするには熱意と技術が必要だ。
ASUSはその点において予想だにしなかったスタイルや設計のPCを数多く送り出してきた。最近の例だと、着脱可能な水冷ユニットを備えた「ROG GX700VO」が記憶に新しい。
今回紹介する「ROG Mothership GZ700GX(以降ROG Mothershipと略)」は、超高性能なPCをいかにコンパクトに収めるか、というASUSの熱意と執念の塊というべき製品である。ただ今回は水冷式ではなく空冷式で、着脱式キーボードを備えた“ゲーミングノート”だ。
気になるスペックは下表のとおり、「Core i9-9980HK」に「GeForce RTX 2080」という、モバイル向けでは最高のプロセッサを組み合わせ、さらに4K液晶や1.5TBものSSDによるストレージが目をひく。ASUSが「世界でもっとも高性能」であると誇るのも決して誇張ではなさそうだ。さらに実売価格は破格の税込999,860円。世界最速がたった100万円とはなんと安上がりなことか!
この約100万円という価格を見て「それならRyzenの最上位にRTX 2080 Tiと〜〜で1台組めばいいのでは」と思ったあなたの金銭感覚は至極正常だ。だがその常識は脇へ置いておいて、今回は純粋にROG Mothershipの凄さをレビューしてみたいと思う。
【表】ROG Mothership GZ700GXのスペック | |
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型番 | GZ700GX-I9KR2080 |
ディスプレイ | 17.3型 3,840×2,160ドット(255ppi) |
CPU | Core i9-9980HK(8コア/16スレッド、2.4〜5GHz) |
メモリ | DDR4-2666 64GB |
グラフィック | GeForce RTX 2080 |
ストレージ | SSD 1.5TB(NVMe RAID 0) |
インターフェイス | Thunderbolt 3、USB 3.1 Type-C、USB 3.1×3、USB 3.0、HDMI出力、オーディオ入出力など |
ネットワーク | 2.5Gigabit Ethernet、IEEE 802.11ax無線LAN、Bluetooth 4.1 |
バッテリ動作時間 | 約2.5時間 |
本体サイズ(幅×奥行き×高さ) | 410×32×33.mm |
重量 | 本体約3.65kg、キーボードドック約1.15kg) |
OS | Windows 10 Pro |
実売価格 | 999,860円 |
実体は着脱式キーボードを備えた省スペースデスクトップ
ROG Mothershipは“ゲーミングノート”という触れ込みだが、その実体は着脱式キーボードを備えた17.3型液晶一体型省スペースPCだ。ただ本体は可能なかぎりフラットに設計されており、キーボードを収納すると巨大なノートPC風になる。
バッテリも内蔵されており、短時間(公称4.5時間)ならACアダプタなしで稼働させられる、というASUSのこだわりのようだ。さすがに17.3型液晶にもろもろ詰め込んだROG Mothershipの重量は約4.5kg(キーボード部含む)、さらにACアダプタも280W出力のものが2基付属するため、気楽に持ち運べるレベルではない。だがセットアップはきわめて楽だ。
通常のノートPCではキーボード側にCPUやバッテリを組み込むため、ハイエンドを目指すほど本体の厚みは増える。手を載せる部分が高くなるし、動作時の発熱が手に伝わりやすくなるなど、デメリットも生まれる。
しかしROG Mothershipでは17.3型液晶の裏側に本体機構を集中させ、着脱可能なキーボード(ASUS的にはキーボードドックと呼んでいる)側を薄く作り込んでいる。
キーボードドックはROG Mothership前面にあるピンとドッキングするか、外してワイヤレス接続でも運用できるよう設計されている。パームレストのないデザインに最初は戸惑うだろうが、キーボードドック自体が薄く作り込んであるため、とくに違和感なくタイピングできる。
キーボードを着脱可能にしたことで一般的なゲーミングノートの抱える、好みのゲーミングキーボードを使いにくくなる弱点が解消されている。ROG Mothershipのキーボードは触感も良く質も良いものだが、キーが全体に低くフラットに並んでいるため“小指で左Ctrlを押しながらWASDで移動”のような操作がやりにくい。
普通のノートPCだと本体の前にさらにキーボードを置き、画面から遠い位置でプレイせざるを得なくなるが、ROG Mothershipならキーボードドックを外してしまえば場所的な制約はなくなる。デスクトップPCユーザーからすれば当たり前だが、このメリットを採り入れた点はROG Mothershipの使い勝手を大幅に向上させている。
搭載インターフェイスはThunderbolt 3にUSB 3.1 Type-A/C)、オーディオ入出力などを備える。もちろんネットワークゲームにはぜひともほしい有線LANも標準装備だが、ROG MothershipではRealtek製の2.5Gbpsのものが採用されている点に注目したい。
今持てる最強のカードを惜しげもなく詰め込む
では内部をチェックしてみよう。
まずCPUは8コア/16スレッドの「Core i9-9980HK」を選択。このCPUは薄型ノート、たとえば「MacBook Pro 15インチモデル」などにも搭載されているCPUだが、本来はROG Mothershipのような超重量級、いわゆる“マッスルブック”向けのCPUだ。
また、メモリはDDR4-2666の16GBモジュールを4枚搭載。これだけあれば滅多なことではメモリ不足にはならないだろう。
続いてGPUはDXR(DirectX Raytracing)を利用したリアルタイムレイトレーシングに対応する「GeForce RTX 2080」を搭載。薄型ノート向けにやや性能を絞り発熱を抑えた“Max-Q Desigin”ではなく、通常のモバイル版を組み込んできた。モバイル版のRTX 2080 Tiは今のところ存在しないので、本機は現状利用できる最高のGPUを採用したことになる。
ただRTX 2080はバッテリ駆動時は無効化され、そのときはCPU内蔵のHD Graphics 630が使われる。バッテリ駆動はつなぎの装備として捉えたほうがよいだろう。
ストレージについてはSSD+HDDというよくある構成ではなく、すべてSSDで1.5TBもの超大容量を確保している。このストレージは512GBのNVMe SSDを3枚、RAID 0として結合することで実現している。そのためスピード面でも抜群に速いことが期待できる。
ただ「HWiNFO」で組み込まれているSSDをチェックしたところ、Samsung製+Intel製2枚というやや変則的な構成だった。評価機ゆえの制限なのか、製品仕様と同一なのかまでは確認できなかったが、とくにファイルコピー時に引っかかるなどの不具合は認められなかった。
CPUやGPUが高性能でも、それを表示するディスプレイがダメなら、一体型のゲーミングPCとしての完成度は下がる。その点本機ではG-SYNC&Adobe RGB対応の4K液晶が組み込まれているので十分合格点が出せる。
ただリフレッシュレート上限は60Hzであるため、eスポーツ系のゲームをハードにこなすというよりは、ゲームの映像美を楽しむほうが向いている。もしくは、写真や動画編集用と割り切るのもよいだろう。ROG Mothershipのスペックなら、どちらの用途においても快適にこなせるはずだ。
そのほかネットワーク系装備としてはRealtek製の2.5Gigabit Ethernetと、Intel製のWi-Fi 6対応無線LANモジュール(AX200)を標準搭載。どちらもフルに性能を発揮するには対応機器が必要になるが、有線/無線どちらを使ってもスループットの「理論値」は同じだ。
独自要素としては最近のROGブランドのPCやマザーでおなじみの「ARMORY CRATE」が本機にも組み込まれている。CPUやGPUの温度やクロックの確認や、ROG Mothership本体およびキーボードドックのRGB LEDの発光制御機能などを備える。
Adobe RGB対応液晶の発色は良好だが、解像度にクセあり
ROG Mothershipの性能はあとで検証するとして、実際に使ってみると液晶の発色の良さと精細さ、そしてサウンドの迫力にハッとさせられるだろう。ディスプレイの色域や味付けをx-Rite製のキャリブレータ「i1 Display Pro」で120cd、色温度D65に補正したicc色域はAdobe RGBとほぼ同等であることを示した。
ただ1点注意したいのは、本機に搭載されている液晶で選択可能な解像度設定は、通常の4K液晶のものと若干異なる。具体的には縦横比16:9を維持する場合、フルHD(1,920×1,080ドット)の上は2K(2,048×1,152ドット)、その次はいきなり4K(3,840×2,160ドット)に飛ぶ。16:10なら2,560×1,600ドットという選択肢があるが、縦横比に若干問題が出る。
そのため、ゲームでの解像度選択はフルHDか4Kかのいずれかになるのだが、RTX 20シリーズに組み込まれているDLSSを使うには縦が1,440ドット以上であることを要求するゲーム(Monster Hunter: Worldがその一例)があるため、WQHD(2,560×1,440ドット)が選べないのは微妙につらい。モバイル版RTX 2080の性能から言っても、4KよりはWQHDのほうが向いているだけに、やや残念な仕様だ。ただこの仕様はASUS以外のメーカーでもそうなっている製品があるので、液晶パネルの選択と内部の設計の問題と言えるだろう。
サウンドに関してはまさにゲームや映画鑑賞向けといった感じだ。本体下部の1Wスピーカー4基から出る音は、ノートPCのスピーカーにありがちな感じのやや薄い音だが、足音や遠方で聞こえる銃声、人のセリフなどがハッキリとしたコントラストをもって聞こえてくる。フラットな感じで音楽を楽しみたい……という人はUSB DACと好みのヘッドフォンを組み合わせるといいだろう。
基本性能を確認する
では基本的な性能から確認していこう。
まずは「CINEBENCH R20」だ。ACアダプタで動かした場合と、バッテリ駆動の場合でどう変化するかチェックしたい。
ROG Mothershipの検証機のOSはWindows 10のビルド1809で届けられたが、もう次のバージョンが出ようというときに1809ではやや古い。そこで1903にアップデートし、GPUドライバも最新のGame Readyドライバ(441.08)で検証している。
ACアダプタは1基でも2基でも性能が変わることはないが、バッテリ駆動にすると動作モードが“サイレント”モードに切り替わるため、処理性能は大幅に低下する。もっともモバイルにはまったく適さない設計であるため、バッテリは停電を回避できる装備だ、くらいにとらえておくべきだろう。
次にPCの総合性能を「PCMark 10」でチェックしよう。ゲーミング性能も含めたすべてのテストグープすべてを実行する“Extended”テストを実行した。ここでもACアダプタ駆動時とバッテリ駆動時の値を見てみよう。
バッテリ駆動に切り替えるとCPUの性能も下がるばかりでなく、GPUもCPU内蔵のものに切り替わるため、すべてのテストグループでスコアが低下した。
続いては「3DMark」のスコアを計測しよう。もうバッテリ駆動時の性能は把握できたので、フルパワーの出せるACアダプタ装着時のみで検証している。
デスクトップの同等構成に比べ若干スコアが低い印象だが、Fire Strikeで20,000ポイント以上ならモバイル向けRTX 2080の性能が良く出ている。ただスコア的に超重量級のタイトルを4K&最高画質で60fps維持するのは厳しいだろう。
続いては「CrystalDiskMark」で内蔵ストレージの読み書き性能をチェックする。最新版のv7.0.0を利用して計測した。
3基のNVMe SSDによるRAID 0アレイだけあってシーケンシャルリード・ライトともに強烈に速い。この性能はとくに4Kや8K動画の編集をする人にはすばらしい武器になるだろう。
実ゲームでの性能をチェックする
では実ゲームベースの性能を、軽めのゲームから順番に試してみよう。まずは「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ」の公式ベンチマークからだ。画質は“最高品質”とし、フルHDおよび4Kでテストする。
FF14ベンチ程度の重さだとフルHDではややGPUパワーが過多気味だが、4Kだと平均60fpsにやや届かない。だがG-SYNCを効かせることで、テアリングを抑え込むことができるので、平均56fpsでも画面描画は十分なめらかに感じられる。
続いては「Apex Legends」で検証する。画質はすべてもっとも重くなるように設定し、トレーニング用ステージにおける一定のコースを移動したときのフレームレートを「CapFrameX」で測定した。
フルHDだとApex Legendsの限界までフレームレートが出るが、液晶のパネルが60fpsまでしか追従してくれないため、どうせ遊ぶなら4Kで遊ぶことをオススメしたい。これなら最低フレームレートも60fps以上をキープできているし、瞬間的に下がることがあってもG-SYNCを効かせることによって滑らかさの破綻を最小限に抑えることができるだろう。
続いてはやや重めの「Monster Hunter: World」でも試してみたい。画質はプリセットの“最高”とし、集会エリア内の一定のコースを動いたときのフレームレートを「CapFrameX」で計測した。
このゲームの場合、RTX 20シリーズのみが対応するDLSSを利用することができるが、解像度は縦1,440ドット以上となっている。そのため4K設定時はDLSSを有効にしたときのフレームレートもチェックするとしよう。
フルHDなら60fpsキープで快適に遊べるのは当然だが、4Kともなるとフレームレートは一気に30fps前後まで落ち込む。しかし4KでもDLSSを効かせることによってフレームレートを大幅に向上させることができる。4K+DLSS時は平均60fpsをやや下回ってしまったが、画質を1〜2段下げれば4Kでのプレイは十分可能だ。
続いては超重量級のゲームの代表として「Borderlands 3」でテストしてみよう。APIはDirectX 12とし、画質は一番重い“バッドアス”に設定。ゲーム内ベンチマーク機能を利用して計測した。
ROG Mothershipのパワーをもってしても一番重い“バッドアス”設定で4Kで平均60fpsを達成するのは難しい(実際4KはデスクトップPCでも難しい)。フルHDで遊ぶか、画質を少し落として4Kの2択になるだろう。
DXRを利用したゲームにおける性能も見ておきたい。まずは「Control」での性能を検証したい。基本の画質設定は“High”、レイトレーシング(を使う場合)も“High”設定とした。さらにDLSSにも対応するが、レンダリングの解像度が1ランク落ちる、つまりフルHDだと1,280×720ドット相当になるので、4K時のみDLSSを適用した。4Kの場合はレンダリング解像度はWQHD相当となる。マップ内の一定のコースを移動する際のフレームレートを「CapFrameX」で計測した。
まず鉄板で安定なのがレイトレーシングなしのフルHD設定。これなら60fpsは余裕でキープできる。だが4Kになるとゲーム内で動くことは可能だが、戦闘シーンではカクついてかなりつらい。DXRを使うとさらに4割程度フレームレートが下がるが、ROG Mothershipの場合はレイトレーシングの設定を少し下げたほうがよいだろう。
ゲーム編の最後として「Call of Duty: Modern Warfare」でもチェックしてみた。画質は全設定を一番重くし、シングルプレイ用ステージ「ピカデリー」の最初から中盤までプレイしたときのフレームレートを「CapFrameX」で計測した。
CoD: MWは割と描画負荷が軽めであるため、フルHDならレイトレーシングを効かせていても無理なく60fps張り付きでプレイできるし、レイトレーシングなしであれば4Kでも平均60fps近くで遊べる。
RAW現像や動画エンコードの性能は?
ゲーミング性能は十分高いことは判明したが、少しクリエイティブ系の処理での性能をチェックしてみよう。
まずは「Lightroom Classic CC」で6,000×4,000ドットのDNG画像100枚に対し、基本的な修正(色補正や簡単なスポット修正など)を施したデータを用意し、それを最高画質のJPEG形式に書き出す時間を比較する。書き出し時にシャープネス(スクリーン用)を付与したときの時間も計測した。
100枚の書き出しに約5分だから、1枚あたり平均3〜4秒で処理できている計算になる。本機のGUIスケーリング値はデフォルトで250%と高いため、17.3型の液晶で編集をするのはやや狭苦しい感もある。本気で編集するなら作業用の大型ディスプレイを1台用意するといいかもしれない。
次に「Premiere Pro CC」で編集した約3分半の4K動画を「Media Encoder CC」のキューに入れMP4形式で書き出す時間を比較した。コーデックはH.264とH.265の2種類を使用し、前者はビットレート80Mbps〜95Mbps、後者は25Mbpsでエンコードする。どちらもソフトウェアの1パスエンコードで処理する。
8コア/16スレッドのCore i9-9900Kだと、同じテストでおおよそ5分40秒/7分50秒程度で終了するので、やはりノート用のCore i9-9980HKはTDPが低いなりにマルチスレッド性能は抑え気味になっている。ただROG Mothershipのコンパクトさを考えると、Core i9-9900Kにやや劣る程度に抑えているのは秀逸と言えるだろう。
ゲーム中でもサーマルスロットリングなし
では最後にゲーム中の温度やクロックなどの変化を「HWiNFO」で追跡してみよう。室温26℃環境でMonster Hunter: Worldを起動→集会エリアに出た状態で30分程度放置→その後ゲームを終了→アイドル時間で15分程度放置という負荷をかけた。このときのCPUパッケージ温度とGPU温度、さらにSSD(3枚あったうち最高温度が一番高かったもの)の温度を追跡したのが下のグラフだ。Monster Hunter: Worldの解像度はフルHDである。
まずゲーム中にもっとも温度が高くなったのがCPU。薄型の本体に合わせた冷却システムの限界なのか、ゲーム中は約80℃で安定。次に高いのがGPUで、こちらは75〜76℃で安定。SSDはゲーム中に特別アクセスは発生しないが、CPUやGPUの発熱にあおられてているのか、ピーク温度は73℃、安定値は63℃とやや高めで安定している。デスクトップPCに慣れているとやたら高い温度のように見えるが、筐体自体が薄いことを考えるとかなり冷えていると言える。
こういう形態のPCで気になるのは、CPU温度が高すぎてサーマルスロットリングがかかってしまうのではないか……という懸念だ。そこで同時にゲーム中のクロックの推移もチェックしてみよう。CPUは8コアもあるので、見やすくするためにコア#0のクロック推移のみを観察する。
ゲーム中はCPUクロックは4.2GHzあたりで安定し、時折2GHz台に下がることはあるものの、この間サーマルスロットリングを示すフラグは立たない。このクロックの推移は純粋に手が空いたか、TDPの枠内に収めるためのクロック調整なのだ。
さらにゲームを終了させると逆にクロックが上がるが、これはACアダプタ駆動時の電源プラン(高パフォーマンス)の作用によるもの。ゲーム中のほうがクロックが低いのは、全コアに負荷がかかるためTDPでリミットがかかったと推測される。
一方GPUは1,710MHzあたりで小刻みに上下するものの、CPU以上にきわめて安定したクロックを出せている。どちらも冷却がうまく機能していることの証左と言える。
最後にこの温度測定中における筐体の表面温度をサーモグラフィカメラ「FLIR ONE」でチェックしてみた。アイドル時はゲーム起動前、高負荷時はゲーム開始から約30分後のものだ。
まとめ
ハイエンド級のCPUやGPUを載せても、薄さを追求するあまり冷却力が不足してごく短時間しか力を出せないノートPCが存在する。しかしこのROG Mothershipは、どういった形状にすればパワーを絞り出せるか、そしてその大きさにどう機能を凝縮させるかを考えて設計されたかのようだ。
単にパワーのある液晶一体にしたければ、24〜27型の液晶にしたほうが冷却性能は上げやすい。だがあえてROG Mothershipは17.3型液晶一体型というスタイルにこだわったのだ。
今回しばらく試用してみて、液晶の発色の良さ、17.3型4Kがもたらす圧倒的解像感は感銘を受けたが、4Kでは重すぎるがフルHDでは解像感がやや粗いというジレンマも味わった。CPUやGPUの選択は問題ないし、SSDやメモリの搭載量についても問題ない。だがディスプレイの解像度の選択肢がもう少しゲーマーフレンドリーであれば……と思うことしきりだった。
コストパフォーマンス面から言えばこのROG Mothershipはあまり良好ではないが、本機でコストパフォーマンスなんて口に出すのは野暮の極み。本機であれば真面目なゲームプレイでもクリエイティブ系作業でも快適に作業できる。セットアップがきわめて簡単な極上のPC環境を手に入れるためには、いかなる出費も惜しまない、というツワモノのためのPCなのである。