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240Hz駆動のIGZO液晶を備えた「G-Tune NEXTGEAR-NOTE i5750GA1」の実力

リフレッシュレート240Hzの高速液晶にCore i7&RTX 2070を組み合わせた「NEXTGEAR-NOTE i5750GA1」。G-Tuneの直販サイトにて税別229,800円で販売中

 ここ数年“ゲーミングノート”のように、頭に“ゲーミング”を冠した製品がこの世にあふれている。なにをもってゲーミングとするかは“言ったもの勝ち”な部分はあるが、少なくともPCにおいては、PCゲームがある程度快適に動くものである必要があろう。

 ではその快適さはどこから来るか……だが、GPUやCPUの性能はあって当然。だがGPUやCPUが強力でも、表示するディスプレイがダメならばなにを搭載しても魅力は半減だ。ノート向けのRTX 20シリーズを搭載していても、リフレッシュレート60Hzの液晶ではGPUの性能の良さが活かしきれない。4K@60Hzな液晶を搭載しているゲーミングノートもあるが、eスポーツ性の高いゲーム中心で遊びたいなら、高リフレッシュレート液晶の存在は必須だ。

 つまり激しいeスポーツシーンにも耐えるゲーミングノートが欲しいなら、搭載ディスプレイを軽んじてはいけない、ということだ。そこで今回はマウスコンピュータが展開するG-Tune製ゲーミングノート「NEXTGEAR-NOTE i5750GA1(以降i5750GA1)」をレビューしてみたい。

 6コア12スレッドの「Core i7-9750H」とTuring世代の「GeForce RTX 2070」、さらにネイティブ240Hz駆動の15.6型フルHD IGZO液晶を組み合わせ、直販税別価格は229,800円。同クラスのCPUやGPUを搭載しているなかではトップクラスのコストパフォーマンスを誇る1台となる。このi5750GA1をさまざまなベンチマークで検証し、コアなゲーマーの要求に応えられるかチェックしていく。

拡張性も十分に高い15.6インチノート

 まずはi5750GA1の外見をひととおり眺めてみよう。搭載液晶は15.6型フルHDだが、今流行の超狭額縁デザイン(ベゼルレスというべきだろうが、まだベゼルはあるため筆者としては抵抗がある)を採用しているため、筐体のフットプリントは幅約359mm×奥行き約258mmとややコンパクトにまとまっている(同社の標準的ベゼルを採用した旧モデルは横385mm×奥行き270mm前後)。

 搭載インターフェイスはUSB 3.0やHDMI出力、Gigabit Ethernetを筆頭に、DisplayPort Alt Mode対応のUSB 3.1 Type-Cなど、必要なものはひととおりそろっている。このサイズのノートの場合、持ち運びよりデスクでの据え置き運用がメインになるが、本機はHDMI出力や有線LANといった邪魔になりやすいインターフェイスを背面側に集中的に配置することで、マウスなどの操作をなるべく邪魔しないよう配慮している。

 また、ちょっと注目したい装備としては、本体前面下に隠れるように配置されているSDカードスロットで、より高速なUHS-II対応になっていることだ。これをフルに活かすにはSDカード側もUHS-II対応である必要があるが、デジカメから写真や動画を多量にコピーしたい人には非常にうれしい機能と言える。

天板は妙な切り返しのないシンプルなデザイン。一見単なる平板のようだが、上部に向けて絶妙なアールが付いている
本体側面は後ろ半分が内部を冷却するための通気口になっているため、インターフェイスはやや手前寄りに配置されている。左側面にはUSB 3.0のほかオーディオ系入出力端子を配置。右側のヘッドフォン端子はCTIA準拠の4極プラグ対応なので、スマートフォン用やゲーム機用のヘッドセットがそのまま接続できる
右側面にはUSB 3.1のType-CとUSB 3.0。左右はUSBとオーディオ系という抜き差し頻度の高いデバイスしか配置していない点にユーザビリティへのこだわりを感じる
背面はGigabit Ethernetのほか、HDMIやMini DisplayPort出力などの画面出力系をまとめて配置。こちらのType-CもUSB 3.1対応だが、DisplayPort Alt Modeをサポートしているゆえに画面出力が可能
筐体正面にはアクセスランプなどのインジケータLEDのほか、中央にUHS-II対応のSDカードリーダを配置
底面。バッテリは手前側に配置されているが、筐体にネジで固定されている。容量は62Wh(=約5,500mAh)と小さいため、バッテリ駆動時間も公称5.6時間と短めだ
メインストリーム級のGPUが搭載されているため、ACアダプタも230W出力の大型のものが使われている
同梱されている付属品一式

 本機の売りである搭載液晶はシャープ製のIGZO液晶「LQ156M1JW03」が組み込まれていた。このパネルのリフレッシュレートは240Hzのみとなっているため、ゲーム側の描画負荷や画質設定次第では最高240fpsを出せる能力を持っている。ただG-SYNCのようなVRR(Variable Refresh Rate)には対応しないので、V-Syncを有効にしないとテアリングが出やすい点は残念だ。

 また、パネルの方式についてはスペック表にも詳細な記載はないが、画面の視野角も十分広く、発色も良いためおそらくIPSタイプだと思われる。TNタイプの高速液晶だと発色が……と思っている人には朗報と言えるが、IPSゆえに応答速度はやや遅めの傾向になっている(Panelook.comの情報だと8ms)。

 実際にBlur Bustersの「UFO Motion Tests」で動きをチェックすると、240fps表示でも微妙に像の滲みが見られた。ただ60fps表示よりはずっと視認性が高いため、シビアなゲーミングシーンに十分実用的な液晶と言えるだろう。

ディスプレイはフルHDのIGZO液晶。発色や視野角はIPS液晶相当といったところ
液晶左右のベゼルの太さは実測約6.6mm、上側は約9.7mmだった
搭載液晶パネルの型番は「LQ156M1JW03」。ディスプレイのプロパティ上で選択できるリフレッシュレートは240Hz固定であるため、うっかり設定を忘れて60Hzで運用してしまうリスクはない
UFO Motion TestをChrome上で実行した様子をオリンパス「TG-5」のハイスピード撮影(480fps)で撮影。240fpsでも微妙にUFOの輪郭が滲んでいるが、ゲームにおいての実用性は十分に高い

 キーボードについては一般的なアイソレーションタイプのものが使われている。キーバックライトはプリインストールされているツールで指定できる。キーボード全体を同じ色で発光させることができる。

キーボード全体。レイアウト自体はオーソドックスなものだが、右Shiftキー等が理不尽にほかのキーと合体しておらず、全部独立している点は◎。ゲーミングノートでありがちなファンの強制回転ボタン等は搭載されていないが、自動回転制御で十分機能している
キーバックライトはキーキャップの側面から光が漏れ出るタイプ
キーの発光周りを制御するツール。キーボード全体の発光色を指定可能
別のツールを使うとキーごとのマクロ設定が可能。この手のツールでは日本語が使えないものも多いが、ちゃんと日本語の文字列を送り込むこともできるのは◎。ただし使い所が難しい

ストレージ構成は注意が必要

 外観からのチェックが終わったところで次は内部チェックといこう。

 CPUは6コア12スレッドの「Core i7-9750H」。CPU世代としては14nm++プロセス第9世代Coreプロセッサになる。すでに第10世代のCoreプロセッサ(Ice Lake)を搭載しているPCは各社から出ているが、まだ第10世代で物理6コア以上のCPUの選択肢は少なく、しかも電力制限の厳しいUプロセッサしか存在しない。かと言って第9世代でももっと物理コア数の多いCPU(Core i9-9980HK等)では、値段も冷却機構も大掛かりになる。本機に搭載されたCore i7-9750Hは、15型級ゲーミングノートのCPUとしてはベストな選択と言えるだろう。

 また、搭載メモリは16GBである点も多いに評価したい。価格を下げるために8GBに絞った製品も見られるが、16GBもあれば容量不足にこまることはないだろう。メモリクロックはDDR4-2400なのでやや遅めと言えるが、内蔵GPUを使っているわけでもないので、費用対効果のスイートスポットを狙った選択と言える。

搭載CPUの情報を「CPU-Z」で拾ってみた。6コア12スレッド、ターボブースト時最大4.5GHz動作となる。メモリはDDR4-2400のモジュールが使われている

 ゲーミング性能の鍵を握るGPUは、DXR(リアルタイムレイトレーシング)用の専用コアを備える「GeForce RTX 2070」を選択している。薄型ノート向けの“Max-Q Design”ではないのは、少しでも性能を引き出したいための選択と言える。DXR対応ゲームの数はまだかぎられているが、今冬期待のビッグタイトル「Call of Duty: Modern Warfare」を最高の画質で楽しみたいという人にはうってつけの装備と言える。

「GPU-Z」でGPUの情報を拾ってみた。VRAMは8GB、Samusung製のGDDR6を組み合わせたRTX 2070が搭載されていた

 CPUやGPUは一線級のゲーミングノートとしてまったく問題のない選択だが、ストレージについては若干の注意が必要だ。i5750GA1の標準構成ではCドライブに256GBのSSD、Dドライブに1TBのHDDがそれぞれ使われている。SSDはM.2 NVMeなので速さと容量のバランスをとっている……と言えるが、今どきの大作ゲームは1本100GBオーバーのものはめずらしくないため、かなり窮屈に感じる。だがCTOオプションでSSDの増量が可能(価格は容量次第)なので、積極的にこれを使うことをおすすめする。

 細かいことを言えばSSDのインターフェイスはPCI Express 3.0 x4ではなくx2接続のものが使われているが、これはベンチマークや巨大ファイルのコピーでもないかぎりとくに体感できるようなスペック差は発生しない。x2接続でも読み込み時間にはほぼ影響がないレベルの性能は確保できている。

「CrystalDiskInfo」によるCドライブ(SSD)の情報。PCI Express 3.0 x2接続である理由は設計によるものではなく、組み合わせているWD製M.2 NVMe SSD「SN520」の仕様によるものだ。ただし256GBはゲーミングPCとしてあまりにも物足りない
こちらはDドライブとして搭載されているHDDの情報。5400回転のごくスタンダードなSATA HDDとなっている

 ネットワーク系装備はWi-Fi 5(802.11ac)+Bluetooth 5に加え背面のギガビットLANという定番構成だが、Wi-Fiについては「Intel Wireless-AC 9462」であるため、1x1接続で最大433Mbpsが通信速度の限界となる。ちょっとネットに接続して調べ物をする程度なら433Mbpsで十分であるとはいえ、ゲーミングノートを名乗るのであれば、2x2程度は欲しかったところだ。

Wi-Fiのモジュールは802.11ac対応だが、アンテナ1本で通信するタイプであるため、最大通信速度は433MHzが上限となる

 最後にサウンドや搭載ツールにもふれておこう。サウンド機能自体はRealtekのHDオーディオコーデックが担当しているが、ミドルウェアとしてCreative製の「Sounb Blaster X 360°」が組み込まれ、ゲームサウンドの疑似立体化やボイスチェンジ機能を提供している。CPUやGPUの冷却に関しては自動のファン回転数制御でまったく問題はないが、一応ユーザーがファン回転数のプロファイルを若干操作することも可能だ。

「Sound Blaster X 360°」のインターフェイス。疑似サラウンドやイコライザー系の設定はゲームジャンルごと、有名どころのタイトルに関しては専用のプロファイルが用意されている
ヘッドセットで捉えた音をSounb Blaster X 360°がリアルタイムで女性やロボット(風の)ボイスに変換する機能
i5750GA1独自要素と言えばこの「Control Center 3.0」。前述のキーボードのLEDやマクロ設定アプリもここから呼び出せる
CPUやGPUの温度のチェックのほか、ファン回転数の調整機能も備えた「Fan Speed Setting」。画面各所にnullと表示されてしまっているが、「Fn hot keys and OSD」を起動してからFan Speed Settingを実行すれば、正しい値が表示される

基本的な性能をチェック

 まず基本的な性能をチェックしてから、肝心のゲーミング性能のチェックといこう。

 最初にCPUの性能を見るために「CINEBENCH R20」を利用する。ゲームで重要なシングルスレッドテストのスコアがどの程度になるかチェックしたいところ。

「CINEBENCN R20」のスコア

 6コア12スレッドのモバイルCPUとしてはごく普通の値が出た。デスクトップ用のCPUよりはやや遅いが、ノートPCサイズでこれだけの性能が出せれば十分だろう。これなら動画編集等の用途にも使っていける。

 続いてはPCの総合的な性能を見る「PCMark 10」を使用する。今回はWebブラウズやビデオチャット/オフィス系スイートの処理/写真や動画編集といった性能を見る「Standard」テストを実施した。

「PCMark 10」のスコア

 こちらはスコアの大小というよりは、結果画面下部に出ているCPUクロックの推移グラフに注目したい。CPU負荷が非常に低い前半(左端から右へ時間が流れる)は高クロックを維持しているが、終盤(右端付近)動画編集等のコンテンツクリエイティブ系の作業に入るとCPUがほぼフル稼働になり、その結果としてCPUクロックが低くなる。このあたりはモバイルむけCPUによく見られる挙動と言える。

 続いてはストレージ系ベンチ「CrystalDiskMark」で内蔵SSDとHDDの読み書き性能をテストする。テスト条件はデフォルトの1GiBを5回行なうものとした。

「CystalDiskMark」による読み書き性能。上がSSD、下がHDD

 まずHDDの読み書き性能は5,400rpmタイプとしてはごく一般的なものだ。写真や動画、重要ファイルのバックアップといった用途には十分な性能を発揮するだろう。

 一方SSDはPCI Express 3.0 x2接続であるため、現在主力のx4接続のものに比べるとシーケンシャル性能(4段ある数字の一番上のもの)は劣る。ただし前述したとおり、巨大な数百GBオーダーのファイルを日常的に読み書きするのでないかぎり、体感的に遅いと感じることはないだろう。

 ゲーム検証に移る前に「3DMark」でグラフィック描画性能もチェックしよう。テストは“Fire Stike”より上のテスト5つを実施した。

「3DMark」のスコア

 本機はRTX 2070を搭載しているが、モバイル用であるためデスクトップ向けのRTX 2070より性能は抑え気味になっている。とはいえFire Strikeで17,000ポイント以上出せているのだから、フルHDゲーミングには十分なパワーを備えていると言える。

最新ゲームでどこまで回る?

 では実ゲームベースの検証をはじめよう。手はじめに軽めのところから「ファイナルファンタジーXIV : 漆黒のヴィランズ」の公式ベンチマークを使用する。画面解像度がフルHDまでであるため、今回は画質を一番重いものと中間程度、即ち“最高品質”と“高品質(ノートPC用)”で検証した。

画質“最高品質”設定のスコア。レポートによれば最低37fps、平均98.67fpsだった
画質“高品質(ノートPC用)”設定のスコア。最低47fps、平均129.02fpsだった

 もっと画質や解像度を落とせばリフレッシュレート240Hzに迫れる可能性はあるが、ここまでハイスペックなPCを使っていて画質を完全に捨てるのは忍びない。最高設定と中程度の設定でどれだけ回るかに注目した。

 上の結果から見ると中程度の設定でも平均120fpsというところ。液晶のリフレッシュレートは使い切れていないが、十分高いフレームレートが得られると言えるだろう。ちなみに最低fpsがやたら低いのはプログラム上の仕様のようだ。

 続いては軽めのFPS「Apex Legends」で試してみよう。画質設定はすべて最高設定にしたものと、中庸な設定(その設定が奇数段階なら中間、偶数段階なら中央より1段高いものに統一)した条件で検証する。トレーニング用ステージ内における一定のコースを移動したときのフレームレートを「CapFrameX」で計測した。

「Apex Legends」のフレームレート

 最高画質でも平均132fpsかつほぼ100fps以上をキープできており、さらに画質を中庸な設定にすることで120fps以上をほぼキープできた。リフレッシュレート240Hzを使い切るにはCPU・GPUがそれぞれ4ms以内で処理を終えなくてはならないため、現行ハードではかなり厳しいようだ。とはいえeスポーツ性の高いタイトルでも平均130〜150fpsで遊べるというのはゲーマーにとって頼もしい存在で有ることは間違いない。

 Apex Legendsを試したのだからPUBGこと「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」も試してみた。画質“ウルトラ”と“中”におけるフレームレートを「CapFrameX」で計測した。テストはトレーニング用島の東半分を車で一周するさいに実施している。

「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」のフレームレート

 Apex Legendsより描画が重いゲームだが、画質を“ウルトラ”から“中”に下げても平均fpsはたいして変化しない。PUBGはマップや周辺状況がフレームレートに与える影響が大きいため、実際のゲームシーンではもっと差がつく可能性はあるが、少なくとも非戦闘時であれば平均120fps程度は出せるだろうということは容易に想像がつく。

 次はやや重めのタイトルとして「Monster Hunter: World」で検証した。画質は“最高”および“中”とし、集会エリア内の一定のコースを移動するさいのフレームレートを「CapFrameX」で計測した。

「Monster Hunter: World」のフレームレート

 このクラスになると画質“中”まで下げても平均100fpsをやや下回る程度だが、“最高”設定で最低fps(1パーセンタイル点)が60.1fps……つまりほぼ60fps以上で張り付ける点にも注目したい。ただ残念なのは、本機の液晶の解像度が1,920×1,080ドットであるため、AIを利用したアンチエイリアス処理(DLSS)が使えないという点だろう。

 続いては直近の重量級として「Borderlands 3」を試してみたい。APIはDirectX 12、画質は一番重い“バッドアス”と“中”の2通りとした。平均fpsはゲーム内のベンチマーク機能が報告した値を採用しているが、最低fpsは1パーセンタイル点を手動で算出している。

「Borderlands 3」のフレームレート

 Borderlands 3はMonster Hunter: Worldのさらに上を行く重さだが、実際のゲームにおけるシーンでは、ここまで重くなるところは(筆者の遊んでいるかぎりでは)あまりない。バッドアス設定でもおおよそ60〜70fpsで安定したプレイが堪能できた。

 最後にDXR(レイトレーシング)対応タイトルとして「Control」の性能もチェックしよう。画質は“High”もしくは“Mid”とし、レイトレーシング(グラフではRTと表記)も“High”か“Mid”の設定を組み合わせている。マップ内の一定のコースを移動したさいのフレームレートを「CapFrameX」で計測した。

「Control」のフレームレート

 レイトレーシングがなくてもHigh設定で平均60fpsをやや上回る程度なので、重さとしてはBorderlands 3に匹敵する重量級ゲームだが、i5750GA1ならそれでも十分画面の美しさを堪能しながらゲームを快適に進めることができた。レイトレーシングを加えるとフレームレートは通常時の6割程度に落ち込むので、画質とレイトレーシングの設定は中程度に落とす必要があることもこのグラフから読み取れる。

 ControlのレイトレーシングはRTXでできるレイトレーシングの表現を全部盛った欲張りな実装であるため仕方のない部分ではあるが、設定をMid程度に落とせばレイトレーシングもしっかり堪能できる。

GPUはノートのわりにガッツリ冷える

 ゲームの検証はこの程度にして、気になる発熱系の検証に入ろう。i5750GA1でBorderlands 3をプレイ状態のまま放置したときのCPUパッケージ温度&GPU温度、さらにCPUのクロック(ただしコア#0のみ)とGPUクロックの推移を追跡した。室温は26℃設定、「HWiNFO64」を利用して測定している。

「Borderlands 3」を約30分プレイし、その後ゲームを終了させアイドル状態で放置したときの温度推移
同様にCPUコア#0のクロックとGPUクロックの推移

 まず温度推移を見て気がつくのはGPU温度が81℃をずっと維持しているのに対し、CPUのパッケージ温度はそれよりやや高め、85〜87℃あたりをウロウロしている点だ。ゲーム性能の鍵となるGPUの冷却を手厚くし、クロックを安定させることで長時間ゲームしても熱でダレないよう設計されていることが読み取れる。

 一方CPUは、サーマルスロットリングがかかる(HWiNFOでコア毎のサーマルスロットリングフラグが“Yes”になる)こと観測されたが、頻度としてはきわめて低く、持続時間も1秒程度ときわめて短い。CPUは温度限界ギリギリまで性能を引き出すようなチューニングになっていると考えられる。

まとめ : 基本的な性能は文句なし。購入時はSSD増量を!

 以上でi5750GA1のレビューは終了だ。税込20万円代前半で購入できるゲーミングノートとしては、CPU/GPUパワーも申し分なく、リフレッシュレート240HzのIGZO液晶の使用感も良好だ。Apex Legendsのように描画負荷が軽めなeスポーツ性の高いFPS/TPS系タイトルを中心に遊んでいるなら、i5750GA1はおすすめできる製品と言えるだろう。Borderlands 3やControlといった重量級では画質を絞る必要があるものの、それでも平均60fps程度の快適なプレイ環境は約束される。PCゲームを本格的に楽しみたい人にはうってつけの1台だ。

 しかし今どきCドライブが標準で256GBしかないゲーミングPCからはそろそろ卒業すべきだと強く感じた。今どきの大作系ゲームを格納するのにCドライブ256GBはあまりに頼りない。そういうときのために1TBのHDDも搭載しているとも言えるが、読み込み時間にハンデのあるHDDを使わざるを得ない、というのはなにか違う気がする。

 おかげで今回の検証は全ゲームが一度に導入できなかったので、ストレージ残量をつねに意識することを強いられた。CPUやGPUの選択、本体そのものの設計は良いだけに、Cドライブの窮屈さが妙にマイナスイメージになってしまう。ゲーミングPCとして本機の購入を検討されるなら、絶対にCTOで500GB以上のSSDを選択すべきだ。