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カメラが強化され、eSIMにも対応したGoogle製スマホ「Pixel 4/XL」レビュー
2019年10月21日 22:00
既報のとおり、Googleは10月16日に最新スマートフォン「Pixel 4」および「Pixel 4 XL」を日本でも発売すると発表した。
今回、いち早くPixel 4とPixel 4 XLを試用する機会を得たので、ハード面を中心に紹介する。なお、今回は短時間の試用だったこともあり、機能面をじっくり試すまでには至っていないため、今後さらなるレビューをお届けする予定だ。
背面デザインは大幅に変更され、重量は重くなった
Pixel 4およびPixel 4 XLは、昨年(2018年)10月に発表されたPixel 3およびPixel 3 XLの後継モデルとして位置付けられているスマートフォンだ。
Pixel 4/XLをひと目見ると、外観デザインが従来モデルから大きく変わったという印象を強く受ける。とくにその印象が強いのが背面で、従来モデルでは上部が光沢、そのほかがマット調のツートンカラーとなっていたのに対し、Pixel 4/XLでは単色となった。従来モデルの背面デザインは、それはそれでPixelの特徴となってはいたが、個人的にあまり好みではなかったこともあって、Pixel 4/XLの単色デザインのほうが好印象だ。ただ、個性がなくなったのは間違いない。
そして、背面左上の四角いカメラユニットがデザイン上の大きなアクセントとなっている。同様のカメラデザインを採用するiPhone 11シリーズが先に登場したこともあって、目新しい印象はないかもしれないが、ユニット部はレンズなどが極力目立たぬようブラックで統一されており、本体色がブラックのモデル以外ではかなり目立つ存在となっている。
筐体の素材は、側面フレームがアルミニウム、背面がガラスという点は従来モデルと同じ。カラーは、いずれもブラック(Just Black)、ホワイト(Clearly White)、オレンジ(Oh So Orange)の3色。今回試用した機材は、Pixel 4がオレンジ、Pixel 4 XLがブラックだったが、背面はオレンジがややマット調、ブラックは光沢仕上げとなる。そして、非常に滑らかな手触りも大きな特徴となっている。
側面は全カラーともにブラックで統一するとともに、細かな凹凸の加工が施されている。これによって、しっとりとした手触りとともに、握りやすくなっている。また、従来モデル同様に電源ボタンを色づけして目立つデザインも引き続き採用。オレンジのモデルは背面よりやや薄めのオレンジ、ブラックのモデルはホワイトのボタンとなっており、こちらもなかなかいいアクセントとなっている。
本体サイズは、Pixel 4が68.8×147.1×8.2mm(幅×奥行き×高さ)、Pixel 4 XLが75.1×160.4×8.2mm(同)となる。従来モデルと比べると、双方ともわずかに大きくなっているが、手にして認識できるほどの差ではなく、サイズは従来とほとんど変わらないと考えていい。
それに対し重量は、Pixel 4が162g、Pixel 4 XLが193gと、従来モデルから増えている。Pixel 4が14g、Pixel 4 XLは9gの重量増で、とくにPixel 4に関しては従来モデルと持ち比べて十分認識できるほどの違いを感じる。搭載する機能が増えたことなどが重量増の要因となっていると思われるが、できれば従来モデルに近い軽さを実現してもらいたかったように思う。
なお、実測の重量はPixel 4が162.7g、Pixel 4 XLが190.8g(いずれもSIMカード未装着)だった。
製品のパッケージはいずれも同じ。同梱物は、各種インストラクションカード、USB PD準拠のACアダプタ、USB Type-Cケーブル、USB Type-C Type-A変換コネクタとなる。従来モデルではUSB Type-C接続イヤフォンやUSB Type-Cオーディオ変換ケーブルも同梱となっていたが、Pixel 4/XLでは省かれている。
nano SIM+eSIMのデュアルSIMに対応
Pixel 3/XLでは、海外モデルではnano SIM+eSIMのデュアルSIM構成となっていたが、日本向けモデルではFeliCa搭載などの影響からnano SIMのみのシングルSIM仕様となっていた。しかしPixel 4/XLでは海外モデル同様にnano SIM+eSIMのデュアルSIM構成となった。
今回、実際にIIJmioが提供している「IIJmio モバイルサービス eSIMプラン (ベータ版) 」を用意して試してみたところ、問題なく登録とデータ通信が可能だった。
今回利用したIIJmioのeSIMプランでは、Webから簡単に契約し、即座に利用できるサービスもある。IIJmioのeSIMプランでは、サービスの申し込みから、実際にデータ通信が利用可能になるまでに10分もかからなかった。物理SIMの到着を待ったりSIMを装着する必要がなく、QRコードを読み取るだけですぐに使えるようになる点も非常に便利だ。
また近年では、海外の通信キャリアなどが、旅行者向けにeSIMベースのデータ通信サービスを提供する例が増えつつある。SIM交換の手間をかけることなく、海外旅行時に現地のデータ通信サービスを利用できるため、海外に渡航する機会の多い人にとっても便利に活用できるはずだ。
もちろん、メインの電話回線は大手通信事業者のSIMを利用し、データ通信のみ安価なMVNOのeSIMを使う、といったことも簡単に行なえる。こういった利便性の向上を考えると、国内版でのeSIM対応は大きな進化と言える。
ディスプレイは従来同様有機ELパネルを採用し、XLでは上部切り欠きがなくなった
ディスプレイは、従来モデル同様にいずれも有機ELパネルを採用する。サイズおよび表示解像度は、Pixel 4が5.7型/1,080×2,280ドット、Pixel 4 XLが6.3型/1,440×3,040ドットとなる。
Pixel 4では、従来モデルと比べて縦の解像度が増えるとともに、サイズもわずかに大きくなっている。ディスプレイ上部のベゼル幅は従来からほぼ変更はないが、下部のベゼル幅が狭められたことで、画面占有率が高められている。
またPixel 4 XLでは、従来モデルにあったディスプレイ上部の大きな切り欠きがなくなっている。従来モデルの大きな切り欠きは、かなり不格好な印象もあったので、この点が解消されたのは好印象だ。また、こちらも下部ベゼル幅が狭められているが、切り欠きがなくなったことで画面占有率に大きな変化はない。
加えて、いずれのディスプレイも90Hzの高リフレッシュレートに対応。ゲームなどのアプリを滑らかに表示できるはずだ。
表示品質については、従来モデルに比べるとやや暖色に寄った色合いという印象だが、有機ELらしく鮮やかかつ高コントラストの表示が可能。スリープ時に時刻や通知などを常に表示するAlways on Display機能も引き続き搭載している。
背面カメラは広角+望遠のデュアルレンズ仕様
Pixel 4/XLの背面カメラは、近年のスマートフォンのトレンドを取り入れ、広角+望遠のデュアルレンズ構成となった。
カメラの構成は、広角レンズ側が画角77度、F値1.7、1,220万画素センサー、望遠レンズ側が画角52度、F値2.4、1,600万画素センサーとなる。また、望遠レンズ側には光学手ブレ補正機能も搭載する。
Pixel 4/XLの背面カメラでは、デュアルレンズ仕様となったことで、撮影機能も向上している。
まず、望遠レンズを搭載したことによって、望遠撮影時の画質が向上。従来モデルでは、AIによってピクセルを補完する「超解像ズーム」で望遠撮影時の画質を高めていたが、Pixel 4/XLでは超解像ズームと望遠レンズを活用することで望遠撮影時の画質を大幅に高めている。実際にPixel 4とPixel 3 XLで撮影した望遠写真を掲載するが、Pixel 4のほうが細かなディテールまでしっかり表現されていることがわかる。
従来モデルで好評だった夜景モードも進化し、より鮮やかな夜景撮影が可能となっている。こちらも、Pixel 4とPixel 3 XLで撮影した夜景モードの写真を掲載するが、Pixel 3 XLでも鮮やかな夜景写真となっているものの、Pixel 4ではよりノイズが少ない写真に仕上がっていることがわかる。さらに、Pixel 4では三脚などでボディを固定して天体写真も撮影できるという。
このほか、HDR撮影時にライブビューでHDRの効果を確認しながら撮影したり、撮影シーンの明るい場所と暗い場所それぞれの露出を補正できる「デュアル露出補正」機能も搭載。逆光のシーンなどでHDRの効果を実際に確認できるのは便利だし、同様に明暗の激しい場面での撮影で、明暗双方の露出を自由に調節することで、思い通りの写真が撮影できる。
こういった進化によって、従来モデル同様にカメラの魅力はかなり大きい端末と感じる。ただ、ここ1年ほどは望遠に加えて超広角レンズを採用する製品が増え、ユーザーも広角での写真撮影の重要性を認識しつつあることを考えると、望遠ではなく超広角レンズの搭載も考慮してもらいたかったように思う。
前面カメラはシングルレンズ仕様となり、顔認証カメラを新たに追加
ディスプレイ上部の前面カメラは、従来モデルはデュアルレンズ構成だったが、Pixel 4/XLでは画角90度、F値2.0の広角レンズ+800万画素センサーのシングルレンズ仕様となった。
従来モデルでは、画角97度と画角75度のレンズだったため、Pixel 4/XLでは広角側の範囲が狭まっているのは少々残念だ。ただ、それでも十分な範囲を撮影できるため、セルフィーでの使い勝手に大きな不満はないだろう。
そして、カメラ周囲には顔認証用カメラなど、センサー類を多数搭載している。この顔認証センサーは、顔を3次元に捉えて認証を行なうため、高精度な認証が可能という。ただし、一部報道にあるように、現時点では目を閉じた状態でも認証が通ってロックが解除されるようで、実際に今回の試用機でもその点が確認できた。セキュリティの観点では、この仕様は弱点となる可能性が高く、おそらく比較的早い段階でアップデートによる修正が加わるものと考えられる。
なお、Pixel 4/XLでは顔認証カメラの搭載によって、指紋認証センサーが省かれている。それでも、顔認証は端末を持ち上げるだけで瞬時に認証が行われるため、利便性という点では顔認証のほうが優位と感じる。
従来同様FeliCaを搭載し、ワイヤレス充電も引き続き搭載
先に紹介しているように、Pixel 4/XLでも従来モデル同様にFeliCaを搭載し、おサイフケータイに対応。FeliCaベースの電子マネーを利用できる。国内ユーザーにとって、この点は魅力になると思うが、現時点でもまだFeliCa搭載は日本向けモデルのみとなっている。
2020年は東京オリンピック・パラリンピックが開催され、インバウンド観光客が大きく伸びると考えられる。そう考えると、海外モデルでもFeliCaがサポートされていると大いに便利なはず。iPhoneではすでに海外モデルも含めてFeliCa対応が整っていることを考えると、この点は少々残念だ。
また、Qiベースのワイヤレス充電機能も引き続き搭載。従来モデルで用意されたワイヤレス充電スタンド「Pixel Stand」ももちろん利用可能で、Pixelスタンドに置くだけで充電が行なえるだけでなく、Googleアシスタントの利用やフォトフレームとして利用する機能も引き続き搭載している。
このほかにも、ファブリック素材を採用したオリジナルケースも販売される。今回は実際に利用できなかったが、全4色で展開される。Pixel 4/XLにジャストフィットし、側面電源ボタンのアクセントも採用。背面が非常に滑らかなので、滑り落とす心配は拭えないため、不安ならケース装着での利用をお勧めしたい。従来モデルでもオリジナルケースは好評だったが、Pixel 4/XLでも人気となりそうだ。