Hothotレビュー

eGPU接続時の性能も検証! 2018年版13インチMacBook Pro

Apple「13インチMacBook Pro」、Blackmagic Design「Blackmagic eGPU」

 Appleは7月12日、「MacBook Pro」の2018年モデルを発表した。Touch BarとTouch IDを搭載し、新筐体を採用したMacBook Proは今回で3世代目。第8世代CPUを搭載するなど基本性能を着実に強化しつつ、外付けグラフィックアクセラレーター(以下eGPU)と組み合わせ、デスクトップPCクラスの描画性能や、エンコード性能を実現したと謳われている。

 今回は13型MacBook ProとBlackmagic Designの「Blackmagic eGPU」を借用したので、2018年モデルのおもな進化点から、単体での性能、eGPUを接続した際の処理性能向上などを検証していこう。なお15インチMacBook Proについても別途記事を掲載する予定だ。

第8世代4コアCPU「Core i7-8559U」を搭載可能

 新たに発売されたTouch Bar搭載13インチMacBook Proの標準構成モデルは、Core i5-8259U/8GBメモリ(LPDDR3-2133)/256GB PCIe SSD搭載モデル(198,800円)とCore i5-8259U/8GBメモリ(LPDDR3-2133)/512GB PCIe SSD搭載モデル(220,800円)の2モデル。Touch Bar非搭載モデルも引き続き併売されるが、新モデルは用意されていない。

 Apple Storeなどで購入する際には、CPUは第8世代Core i5-8259U/Core i7-8559U、メモリは8GB/16GB、ストレージは256GB/512GB/1TB/2TB、キーボードは日本語(JIS)/英語(米国)/英語(英国)/中国語-拼音/中国語-注音/韓国語/スペイン語から選択可能。ちなみにCore i7(+33,000円)、16GBメモリ(+22,000円)、2TBストレージ(+132,000~154,000円)を選択した場合の価格は407,800円となる。

【表1】13インチMacBook Pro標準構成モデルのスペック
Touch BarとTouch ID
2.3GHzプロセッサ
256GBストレージ
Touch BarとTouch ID
2.3GHzプロセッサ
512GBストレージ
OSmacOS High Sierra バージョン10.13.6
CPU第8世代Core i5-8259U(2.30/3.80GHz)※Core i7-8559U(2.70/4.50GHz)に変更可能
iGPUIris Plus Graphics 655(Core i5-8259U:300MHz~1.05GHz、Core i7-8559U:300MHz~1.20GHz)
dGPU
メモリLPDDR3-2133 SDRAM 8GB ※16GBに変更可能
ストレージ256GB PCIe SSD
※512GB、1TB、2TBに変更可能
512GB PCIe SSD
1TB、2TBに変更可能
ディスプレイサイズ13.3型IPS液晶(2,560×1,600ドット、227ppi、500cd/平方m、Display P3、True Toneテクノロジー)
ワイヤレスIEEE802.11ac、Bluetooth 5.0
インターフェイスThunderbolt 3(USB Type-C)×4(充電、Display Port、Thunderbolt(最大40Gbps)、USB 3.1 Gen2(最大10Gbps))、ヘッドフォン端子×1
Touch Bar、Touch ID搭載
カメラ720p FaceTime HDカメラ
バッテリ58.0Whリチウムポリマー
連続動作時間最大10時間のワイヤレスインターネット閲覧、最大10時間のiTunesムービー再生、最大30日のスタンバイ時間
サイズ304.1×212.4×14.9mm(幅×奥行き×高さ)
重量1.37kg
価格198,800円~220,800円~
製品公式サイトより。キーボードはどれを選んでも価格は変わらない

2018年モデルのおもな進化点について

 13インチMacBook Proの2018年モデルのおもな進化点は下記のとおり。

・第8世代クアッドコアプロセッサ搭載
・大容量バッテリ搭載
・True Toneテクノロジー搭載
・Apple T2チップ搭載
・2TB SSDを選択可能に
・第3世代バタフライ構造キーボード採用
・Blackmagic eGPUが登場

 まずCPUを第7世代デュアルコアから第8世代クアッドコアに変更することで性能が大幅に向上。製品公式サイトでは音楽制作アプリ「Logic Pro X」、写真編集アプリ「Adobe Lightroom Classic CC」で最大2倍の性能向上を実現したと謳われている。

 消費電力向上に伴いバッテリは49.2Whから58.0Whへ大容量化。しかし本体重量は1.37kgと変わっていない。Appleによれば「バッテリアーキテクチャの最適化」によるものとのことだが、具体的な内容は開示されなかった。筐体サイズは変更されていないので、本体重量を維持するために内部的に軽量化が図られているわけだ。

 ディスプレイ解像度、輝度、色域は変わらないが、MacBookとしては初めて「True Toneテクノロジー」が採用された。環境光センサー(アンビエントライトセンサー)が色温度を検出するタイプに変更されており、ディスプレイの明るさだけでなくホワイトバランスも自動調整される。

「システム環境設定→ディスプレイ」に「True Tone」の設定が追加されている

 「iMac Pro」に先行搭載されていた「Apple T2チップ」が採用された点も大きなトピック。セキュアブート機能、暗号化ストレージ機能を担う「Secure Enclaveコプロセッサ」が組み込まれているほか、システム管理、オーディオ、SSDなどのコントローラも統合化されている。

 セキュリティ性が強固になり、「Hey Siri」の聞き取りも可能になった。ちなみに、Apple T2チップの暗号化鍵が記録されている部分が破損した場合はバックアップから復元する必要がある。「Time Machine」やオンラインストレージへのバックアップは必須だ。

Siriの設定に「“Hey Siri”を聞き取る」、「ロック中にSiriを許可」が追加されている。両方にチェックを入れれば、スリープ中でも「Hey Siri」に応答する
システム情報の「ハードウェア→コントローラ」の項目で「Apple T2チップ」の搭載を確認できる。従来モデルには「Apple T1チップ」が採用されている

 第3世代のバタフライ構造キーボードが採用されている点も大きな変化だ。薄型化とキーの安定性向上を目的に採用されたバタフライ構造キーボードだが、打鍵感について不満の声が多く、また精密な構造が理由でゴミが混入すると感触が悪化したり、入力ミスが頻発するという問題が発生しており、従来モデルを対象に「MacBook および MacBook Pro キーボード修理プログラム」が実施されている(最初の小売り販売日から4年間適用)。

 第2世代のキーボードには打鍵感への改良が加えられているが、第3世代ではキースイッチ周辺にシリコン膜が追加されている。Appleは「より静かにタイピングができるキーボードを採用しました」と製品公式サイトに記載しているが、副次的な効果としてゴミの混入によるキーの不具合減少も見込める。

「iFixit」のYouTube動画でシリコン膜の存在は確認できる

 携帯性と性能を両立するための周辺機器として、eGPUを公式サイトでアピールしている点はターニングポイントと言える。ただしAppleが推奨して、現在独占販売している「Blackmagic eGPU」(89,800円)はMacBook Proの2018年モデル専用ではない。Thunderbolt 3インターフェイスを搭載し、「macOS High Sierra 10.13.6」以降が動作する従来のMac、またWindows搭載PCでも利用可能だ(記事執筆時点では互換性の問題が確認されているため、非推奨)。とは言え外部グラフィックス(以下dGPU)を内蔵していない13インチMacBook Proにとって、eGPUが重要な周辺機器であることは間違いない。

外観は基本的に変更なし、見分けがつくのはoptionキー

 基本的に2018年モデルの外観に変更はない。カラーはスペースグレイとシルバーの2色が用意されており、筐体材質はアルミニウムだ。本体サイズは304.1×212.4×14.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量は1.37kgと変更なし。インターフェイスもThunderbolt 3(USB Type-C)×4、ヘッドフォン端子×1と同じ構成だ。

 明確に見分けがつくのがoptionキーの記号の「⌥」。2017年モデルの第2世代バタフライ構造キーボードよりも高さが広くなっている。

 外観に大きな変更はないが、内部的に改善されたのがキーボード。シリコン膜が追加された第3世代のバタフライ構造キーボードは打鍵音が明らかに低くなっている。静かな環境で利用する機会が多い方にはうれしい進化だ。

 蛇足だが、筆者は2016年モデルのMacBook Proのキーボードを「MacBook および MacBook Pro キーボード修理プログラム」で交換しているが、2018年モデルのMacBook Proのほうが打鍵音は明確に低かった。打鍵音から判断すると、キーボード修理プログラムによって新たに搭載されているキーボードは第3世代と同じ構造ではないようだ。

本体天面
本体底面
本体前面
本体背面
本体右側面。Thunderbolt 3(USB Type-C)×2とヘッドフォン端子を用意
本体左側面。Thunderbolt 3(USB Type-C)×2を用意
ディスプレイは13.3インチIPS液晶(2,560×1,600ドット、227ppi、500cd/平方m、Display P3、True Toneテクノロジー)。上部に720P FaceTime HDカメラ、カメラインジケーター、環境光センサーが内蔵されている
ディスプレイ左右のベゼル幅は約9mm。最新WindowsノートPCの狭額縁ディスプレイと比べると野暮ったく感じられる
JIS配列準拠キーボード
左が2016年、中央が2017年、右が2018年のMacBook Proのキーボード(左右は13インチ、中央は15インチモデル)。2017年の第2世代キーボードでtab、shift、caps、optionキーの刻印が変わり、2018年の第3世代ではoptionキーの記号「⌥」の高さが変更されている
キーピッチは実測19mm前後
キーボードバックライトは16段階で調整できる
Touch Barはアプリケーションごとに異なるユーザーインターフェイスを表示可能。カスタマイズにも対応する
電源ボタンには指紋認証センサー「Touch ID」が内蔵されている
MacBook Proは13インチと15インチモデルでキーボードのサイズは変わらない
筐体サイズは13インチモデルが304.1×212.4×14.9mm(幅×奥行き×高さ)、15インチモデルが349.3×240.7×15.5mm(同)
13インチモデルのほうが0.6mm薄いが、重ねて横から見ただけではわからない
13インチモデルの実測重量は1,360.5g。ちなみに15インチモデルの実測重量は1,812gだった
61W USB-C電源アダプタと「USB-C充電ケーブル(2 m)」の合計重量は実測262g
61W USB-C電源アダプタの仕様は、入力100-240V~1.5A、出力20.3V/3A、15V/3A、9V/3A、5.2V/3A、容量は61W
パッケージ。2016年、2017年、2018年モデルでデザインに変更はない
同梱物一覧。左上からMacBook Pro本体、61W USB-C電源アダプタ、USB-C充電ケーブル(2 m)、クイックスタートガイド、安全性に関する注意事項、PCリサイクル、ロゴシール

ディスプレイ画質に変更はないがTrue Toneテクノロジーは有用

 13インチMacBook Proの13.3インチIPS液晶ディスプレイは、解像度が2,560×1,600ドット(227ppi)、輝度が500cd/平方m、色域がDisplay P3と従来モデルから変更はない。しかし環境光の色温度に応じてディスプレイのホワイトバランスを調整する「True Toneテクノロジー」を搭載することで、どんな場所でも同じ色味で画像、映像を見られる。

 ただしディスプレイは経時変化によって色温度、輝度が変わっていく。プロクオリティーのカラーチェックに利用するのであれば、定期的にディスプレイのキャリブレーションを実施し、「輝度を自動調節」と「True Tone」はオフで利用するべきだ。

左がTrue Toneを有効にした13インチMacBook Pro、右がTrue Toneを無効にした15インチMacBook Pro。True Toneを有効にしたほうが暖かみの強い発色で表示されている

 今回、実際の色域をディスプレイキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で計測してみたが、sRGBカバー率が100.0%、sRGB比が136.3%、Adobe RGBカバー率が89.5%、Adobe RGB比が101.9%、DCI-P3カバー率が99.4%、DCI-P3比が101.4%、Display P3カバー率が99.4%、Display P3比が101.4%と非常に広い色域を備えていることを確認できた。

 しかしデジタルシネマ規格のDCI-P3、それをベースにしたAppleのDisplay P3を99.4%カバーしているのに対して、出版や印刷分野でスタンダードとされているAdobe RGBカバー率は89.5&とやや低い。出版や印刷分野の業務用途に使うのなら、Adobe RGBの広色域を謳うディスプレイを別途用意したほうがいい。

sRGBカバー率は100.0%、sRGB比は136.3%
Adobe RGBカバー率は89.5%、Adobe RGB比は101.9%
DCI-P3カバー率は99.4%、DCI-P3比は101.4%
Display P3カバー率は99.4%、Display P3比は101.4%

 サウンド面についても触れておこう。13インチMacBook Proにはキーボード面左右と底面左右にスピーカー用の開口部が設けられている。ノートPCとしては余裕のある設計が施されており、伸びやかで、かつ迫力のある重低音を聞かせてくれる。今回試聴した際も、最大ボリュームで音割れやビビリ音などが気になることはなかった。少なくとも筆者がレビューしたノートPCのなかでは、最高レベルのサウンドだ。

MacBook Proにはキーボード面左右と、底面左右にスピーカー用の開口部が設けられている
YouTubeで公開されている「前前前世 (movie ver.) RADWIMPS MV」を最大ボリュームで再生したさいの音圧レベルは最大85.2dBA(50cmの距離で測定)

eGPU「Blackmagic eGPU」はつなぐだけでオーケー

 eGPU「Blackmagic eGPU」は「Radeon Pro 580」を内蔵した外付けグラフィックアクセラレータ。現在品薄のようで、記事執筆時点(7月27日)にApple Storeからオンライン購入した場合のお届け予定日は8月25日~9月7日となっている。

 Blackmagic eGPUに同梱されているのは電源ケーブル、「Thunderbolt 3ケーブル(0.5m)」、マニュアルのみ。Blackmagic eGPUに電源ケーブルを接続したのちに、MacとThunderbolt 3ケーブルでつなぐだけ。Blackmagic eGPUには電源ボタンはないので電源を入れる必要はなく、ソフトウェアのインストールも要求されない。画面上部のメニューバーにeGPUのアイコンが表示されたらセットアップ完了だ。

 ただしBlackmagic eGPUが使われるかどうかはアプリケーション次第。今回いくつかのベンチマークソフト、アプリケーションを試してみたが、eGPUが機能しなかったものが多かった。また現時点では「Boot Camp」上のWindowsは、eGPUをサポートしていない点にも留意しておこう。

Blackmagic eGPUのパッケージ
パッケージには、Blackmagic eGPU本体、電源ケーブル、「Thunderbolt 3ケーブル(0.5 m)」、マニュアルが同梱されている
Blackmagic eGPUの前面
Blackmagic eGPUの背面
背面には、Thunderbolt 3×2、USB 3.1 Type-A×4、HDMI 2.0×1、電源端子を用意
Blackmagic eGPUに電源ケーブルを接続したのちに、「Thunderbolt 3ケーブル(0.5m)」でMacと接続する。MacBook Pro付属のUSB-C充電ケーブル(2m)はThunderbolt 3に対応しておらず、利用できないので注意
Blackmagic eGPUとMacを接続すれば画面上部メニューバーにeGPUのアイコンが表示される
メニューバーのeGPUのシンボルから「“AMD Radeon Pro 580”を接続解除」を選ぶとBlackmagic eGPUをはずせる状態になる。eGPUが利用されている場合はアプリケーション名が表示される
メニューバーからの接続解除を選ばずに、いきなりThunderbolt 3ケーブルを抜くと、「GPUが正しく接続解除されませんでした」というエラーメッセージが表示される
eGPUが使われているかどうかは、「アクティビティモニタ」の「ウインドウ→GPUの履歴」から確認できる。「CINEBENCH R15」ではeGPUが使われないので、ベンチマーク実行後の「AMD Radeon Pro 580」のスペースにグラフが表示されていない

気になるベンチマーク結果

 最後にベンチマークを実施してみよう。今回はCore i7-8559U、16GBメモリ、2TBストレージを搭載したフルスペック仕様(407,800円)のモデルを借用している。ベンチマークに使用したアプリケーションは下記の通り。

・CPU、OpenGLのベンチマーク「CINEBENCH R15」
・CPU、OpenCLのベンチマーク「Geekbench 4.2.3」
・ストレージベンチマーク「Blackmagic Disk Speed Test」
・「Adobe Lightroom Classic CC」RAW画像の現像時間を計測
・「Adobe Premiere Pro CC」4K動画の書き出し時間を計測
・「DaVinci Resolve 15 Beta」4K動画の書き出し時間を計測
・「iMovie」4K動画の書き出し時間を計測
・バッテリ駆動時間を計測するためブラウザー「Safari」でYouTube動画を連続再生

 なお今回はeGPU「Blackmagic eGPU」装着後の性能も計測しているが、「Blackmagic Disk Speed Test」とバッテリベンチマークは省略している。

 またeGPU装着後のベンチマークは、外付けディスプレイなし、外付けディスプレイあり(内蔵ディスプレイオフ)、外付けディスプレイあり(内蔵ディスプレイオン、アプリは内蔵ディスプレイに表示)、外付けディスプレイあり(内蔵ディスプレイオン、アプリは外付けディスプレイに表示)の4パターンで計測している。外付けディスプレイは4KディスプレイをHDMI端子経由で接続した。

 下記が検証機の仕様と、その結果だ。

【表2】検証機の仕様
13インチMacBook Pro(2018)13インチMacBook Pro(2018)+eGPU13インチMacBook Pro(2018)+eGPU+外付けディスプレイ※内蔵ディスプレイオフ13インチMacBook Pro(2018)+eGPU+外付けディスプレイ※内蔵ディスプレイオン、アプリは内蔵ディスプレイに表示13インチMacBook Pro(2018)+eGPU+外付けディスプレイ※内蔵ディスプレイオン、アプリは外付けディスプレイに表示
CPUCore i7-8559U
GPUIntel Iris Plus Graphics 655Intel Iris Plus Graphics 655+AMD Radeon Pro 580
メモリLPDDR3-2133 SDRAM 16GB(8GB×2)
ストレージ2TB PCIe SSD
TDP28W
OSmacOS High Sierra バージョン10.13.6
【表3】ベンチマーク結果
13インチMacBook Pro(2018)13インチMacBook Pro(2018)+eGPU13インチMacBook Pro(2018)+eGPU+外付けディスプレイ※内蔵ディスプレイオフ13インチMacBook Pro(2018)+eGPU+外付けディスプレイ※内蔵ディスプレイオン、アプリは内蔵ディスプレイに表示13インチMacBook Pro(2018)+eGPU+外付けディスプレイ※内蔵ディスプレイオン、アプリは外付けディスプレイに表示
CINEBENCH R15
OpenGL40.26 fps40.44 fps76.45 fps42.71 fps22.68 fps
CPU683 cb672 cb663 cb662 cb696 cb
CPU(Single Core)179 cb180 cb167 cb180 cb179 cb
Geekbench 4.2.3
32-bit Single-Core Score44364484446044384441
32-bit Multi-Core Score1610815710157581562615736
64-bit Single-Core Score53055419531553245318
64-bit Multi-Core Score1858918231181911793317894
OpenCL(iGPU)3544836152354883552935278
OpenCL(dGPU)
OpenCL(eGPU)110674111942111380112270
Metal(iGPU)3728537000362103668736735
Metal(dGPU)
Metal(eGPU)117104115624116766117739118155
Blackmagic Disk Speed Test(単位:MB/s)
WRITE 1回目2576
WRITE 2回目2669.9
WRITE 3回目2649.7
WRITE 4回目2620.3
WRITE 5回目2631.4
WRITE 平均2629.46
READ 1回目2478.4
READ 2回目2504.7
READ 3回目2477.8
READ 4回目2488.6
READ 5回目2468.5
READ 平均2483.6
「Adobe Lightroom Classic CC」で100枚のRAW画像を現像
7,952☓5,304ドット、自動設定5分16秒775分22秒205分23秒365分25秒135分27秒78
Adobe Premiere Pro CCで実時間5分の4K動画を書き出し
3,840×2,160ドット、30fps(OpenCL)4分29秒405分10秒973分54秒145分7秒035分19秒94
3,840×2,160ドット、30fps(Metal)4分58秒424分33秒634分17秒964分28秒144分29秒45
DaVinci Resolve 15 Betaで実時間5分の4K動画を書き出し
3,840×2,160ドット、YouTube(2160p)13分11秒453分35秒243分45秒363分11秒943分23秒86
iMovieで実時間5分の4K動画を書き出し
3,840×2,160ドット、29.97fps(品質:高、圧縮:高速)3分33秒643分25秒383分19秒973分24秒223分23秒73
YouTube動画を連続再生した動作時間
ディスプレイの明るさ6/167時間31分8秒

 まず13インチMacBook Pro単体の性能を見てみよう。CINEBENCH R15のCPUスコアは683 cb、Geekbench 4.2.3のMulti-Core Scoreは18589。過去のMacBook Proのレビュー記事(CPU/dGPUが性能アップ、タイピング音もマイルド化したMacBook Pro 15インチ)から引用すると、CINEBENCH R15のCPUスコアは15インチMacBook Pro(2016)にわずか31cb差に迫るスコアを記録しており、Geekbench 4.2.3のMulti-Core Scoreで15インチMacBook Pro(2017)を2724も上回るスコアを叩き出している。

【表4】13インチMacBook Proを2016年、2017年の15インチモデルと比較
13インチMacBook Pro15インチMacBook Pro(2017)15インチMacBook Pro(2016)
CPUCore i7-8559U(2.70~4.50GHz)Core i7-7820HQ(2.9/3.9GHz)Core i7-6920HQ(2.9/3.80GHz)
GPUIntel Iris Plus Graphics 655Radeon Pro 560(4GB)Radeon Pro 460(4GB)
CINEBENCH R15
OpenGL40.26 fps92.35 fps85.35 fps
CPU683 cb763 cb714 cb
CPU(Single Core)179 cb159 cb152 cb
Geekbench
64-bit Multi-Core Score185891586515402
OpenCL(iGPU)354482105819614
OpenCL(dGPU)4992049779
Metal(iGPU)372851937418057
Metal(dGPU)2928032286

 4K動画の書き出しはAdobe Premiere Pro CCとiMovieで実時間より短時間で終了している。13インチMacBook Proは4コア8スレッドのプロセッサを搭載することで、単体でもクリエイティブ系アプリケーションを動作させるのに十分な処理能力を手に入れたと言える。

 一方、eGPU装着後の効果はソフトウェアが対応しているかどうかと、ハードウェアの構成による。たとえば今回ベンチマークを実施したソフトウェアのなかではAdobe Lightroom Classic CC、iMovieでeGPUが使われなかった。

 またeGPUが動作すれば必ず速くなるわけではない。CINEBENCH R15のOpenGLは、eGPUに外付けディスプレイを接続して、内蔵ディスプレイをオンにした状態で外付けディスプレイ上で動作させるとeGPUがわずかだが機能した。しかしスコアは13インチMacBook Pro単体の40.26fpsより17.58fps低い22.68fpsまで落ち込んでしまった。CINEBENCH R15ではeGPUが誤動作している可能性がある。

【表5】ソフトウェアが使用するGPUの組み合わせ(GPUが使われた場合は○、使われなかった場合は×、わずかでも使われた場合は△をつけている)
13インチMacBook Pro(2018)+eGPU13インチMacBook Pro(2018)+eGPU+外付けディスプレイ※内蔵ディスプレイオフ13インチMacBook Pro(2018)+eGPU+外付けディスプレイ※内蔵ディスプレイオン、アプリは内蔵ディスプレイに表示13インチMacBook Pro(2018)+eGPU+外付けディスプレイ※内蔵ディスプレイオン、アプリは外付けディスプレイに表示
iGPUeGPUiGPUeGPUiGPUeGPUiGPUeGPU
CINEBENCH R15×××
Geekbench 4.2.3
Adobe Lightroom Classic CC××××××××
Adobe Premiere Pro CC OpenCL×××
Adobe Premiere Pro CC Metal
DaVinci Resolve 15 Beta
iMovie××××
GPUが動作しているかどうかは「アクティビティモニタ」の「GPUの履歴」で確認している

 とは言えBlackmagic Design自身の動画編集アプリ「DaVinci Resolve 15 Beta」では、eGPU装着前に13分11秒45だったところ、装着後に3分11秒94へと76%もの短縮率が記録されている。

 MacBook Proの製品公式サイトには、13インチMacBook ProにBlackmagic eGPUを組み合わせることで、クリエイティブハブ「Unity Editor」で8倍、「Blackmagic DaVinci Resolve Studio」で5倍、アクションアドベンチャーゲーム「Rise of the Tomb Raider」で4.8倍、アクションビルディングゲーム「Fortnite」で3.6倍の性能を発揮すると掲載されている。より多くのアプリケーションが積極的にeGPUに対応することを期待したい。

MacBook Proの製品公式サイトから転載

【8月15日補足】eGPUに外付けディスプレイを接続して再検証した結果、CINEBENCH R15でeGPUが機能することがわかりました。上記ベンチマーク結果はそれを反映したものです。お詫びして訂正いたします。

 なお室温27℃の部屋で、DaVinci Resolve 15 Betaで4K動画を書き出しているさいの発熱をサーモグラフィカメラ「FLIR ONE」で計測してみたが、キーボード面の最大温度は50.7℃、底面の最大温度は49.4℃に達していた。性能から考えると極端に発熱が高いわけではないが、膝上で使うのは少々厳しく感じた。

キーボード面の最大温度は50.7℃
底面の最大温度は49.4℃
CINEBENCH R15のCPUベンチマーク実行時、クロック周波数は4.5GHzに一瞬達したあとに3.1~3.3GHzにまで下がったが、そこからはベンチマーク終了まで大きな変動はなかった(1つ目のグラフの山はアプリ起動時のもの)

普段は携帯性を重視、でも自宅ではハイパワーを享受したい方に

 dGPUを内蔵するゲーミングノートPCが増えているが、それが高性能であるほど消費電力が増えるし、また小型化も難しくなる。もちろん高性能をつねに携帯したいならdGPU内蔵ノートPC以外に選択肢はないが、ハイパワーを要求する作業を外出先でしないならデメリットのほうが大きい。

 外出先では携帯性を重視し、重たい作業は自宅でじっくり、快適に取り組むと割り切れば、軽量ノートPC+eGPUというコンビは理にかなっている。eGPUにキーボード、マウス、ディスプレイ、ストレージなどを接続しておけば、ケーブル1本ですぐに使えるというのも大きなメリットだ。

 eGPUの性能を最大限に引き出すアプリは現状まだ少ないが、MacだけでなくWindowsノートPCでもeGPUの注目度は高まっているので、対応アプリはじょじょに増えていくことは間違いない。ハイパワーを享受するための新たな選択肢として、13インチMacBook ProとBlackmagic eGPUの組み合わせは魅力的だ。