山口真弘の電子書籍タッチアンドトライ

Google Playストアに標準対応した10.3型E Ink搭載Androidタブレット「BOOX Note Air2 Plus」

「BOOX Note Air2 Plus」。実売価格は7万2,800円

 Onyx Internationalの「BOOX Note Air2 Plus」は、10.3型のE Ink電子ペーパーを搭載したAndroidタブレットだ。Google Playストアにも対応しており、電子書籍に限らず、好みのAndroidアプリを自由にインストールして利用できる。

 BOOXシリーズの「Note」は、10型クラスの画面を持つシリーズであり、その中で「Note Air」は、金属製のスタイリッシュな薄型ボディを採用することが特徴だ。2021年初頭に「Note Air」が登場、次いで「Note Air2」がリリースされており、今回の「Note Air2 Plus」は言うなれば3代目ということになる。

 今回は、国内代理店であるSKTから借用した製品について、電子書籍ユースを中心とした使い勝手をチェックする。

従来モデルと外見は同一、性能が向上

 まずは従来モデルとの比較から。

BOOX Note Air2 PlusBOOX Note Air2BOOX Note Air
OSAndroid 11Android 11Android 10
CPUSnapdragon 665(8コア)Snapdragon 665(8コア)Qualcomm 8コア(Cortex-A72+Cortex-A55)
メモリ4GB LPDDR4X4GB LPDDR4X3GB LPDDR3
ストレージ64GB UFS2.164GB UFS2.132GB eMMC
ディスプレイ10.3型HD Carta E Inkスクリーン10.3型HD Carta E Inkスクリーンフラット10.3型E Inkフレキシブルスクリーン
解像度1,404×1,872ドットCarta(227dpi)1,404×1,872ドットCarta(227dpi)1,404×1,872ドットCarta(227dpi)
ネットワークWi-Fi 5Wi-Fi 5Wi-Fi(2.4GHz+5GHz)
BluetoothBluetooth 5.0Bluetooth 5.0Bluetooth 5.0
バッテリ3,700mAh3,000mAh3,000mAh
端子USB Type-C(OTGサポート)USB Type-C(OTGサポート)USB Type-C(OTGサポート)
ライトフロントライト(暖色および寒色)フロントライト(暖色および寒色)フロントライト(寒色および暖色)
スタイラスBOOX Pen PlusBOOX Pen PlusBOOX Pen
サイズ(幅×奥行き×高さ)195.4×229.4×5.8mm195.4×229.4×5.8mm195.4×229.4×5.8mm
重量440g420g420g
実売価格(発売時)7万2,800円7万2,800円5万9,800円

 BOOX Note Air系列の製品は、初代から現在までボディデザインが大きく変更されておらず、画面サイズはもちろん解像度やWi-Fiなど通信回りの仕様、さらには寒色と暖色の両方に対応したフロントライトなど、基本仕様はほぼ同一だ。見た目で見分けるとすれば、ボディカラーがダークグリーンに変更されていることくらいだ。

 では初代からの変更点はどこかというと、SoCがSnapdragon 636→Snapdragon 665、メモリは3GB→4GB、ストレージは32GB→64GBへと、それぞれスペックアップしていること。またバッテリについては、BOOX Note Air2までは3,000mAhだったのが、3,700mAhへと増量されている。その影響か、重量は420gから440gへとわずかに増えている。

 つまり、BOOX Note Airのスペックを向上させたのがBOOX Note Air2であり、そのバッテリ容量を強化したのが今回のBOOX Note Air2 Plusということになる。内情は不明だが、ロットが変わるたびにスペックを強化し、それを識別するために型番を付け替えているのかもしれない。初代でも完成度は高かったので、それらがブラッシュアップされていっているのは、ユーザーにとっては望ましい変化だ。

 ただしその一方で価格については、従来の5万9,800円から7万2,800円と2割近く値上げされている。円安という事情はあるにせよ、画面サイズが近いiPad Airなどと比べた場合の価格メリットが、本製品では目立たなくなってしまっている。

 なお本製品の目玉機能のひとつである手書き入力に使うスタイラスは、ひとつ前の世代からキャップ付きのタイプへと変更されている。その分精度は上がっているとはいえ、外出先でキャップの脱落を気にしなくてはいけなくなったのはマイナスだ。

画面サイズは10.3型。片方のベゼルだけが幅のあるデザインで、左右を反転させることも可能
重力センサーによる画面回転機能を搭載。横向きにした状態でも利用できる
背面。金属製の筐体を採用する。ボディカラーは濃い緑
側面にはUSB Type-Cポートと電源ボタンがある。また向かって左にはスピーカーも搭載する
ベゼルは幅およそ10mmと標準的。画面との間に段差はない
幅のある側のベゼルは28.5mmあり、手に持つ時に握りやすい
10.9型のiPad Air(右)との比較。筐体の質感など、手に持った時の印象はよく似ている
厚みは本製品(左)のほうがわずかに薄い
重量は実測452g。E Inkデバイスとしてはやや重い
スタイラス(BOOX Pen Plus)が付属する。持ち歩き時にキャップが必要なのはややマイナスだ
フロントライトは画面上部のメニューで調整する。これは寒色100%の状態
こちらは暖色100%の状態。実際には寒色と両方点灯させて使うことになる

特別な設定なしにGoogle Playストアが利用可能に。動きもサクサク

 BOOXは2022年春のアップデートで、これまでGoogle Playストアを利用するために必要だった登録作業が不要となり、すぐにGoogle Playストアからアプリのインストールが可能になった。BOOXを利用するにあたって初心者には最もハードルが高かったフローがなくなったのはなによりも朗報だ。

 その点を除けば、セットアップの手順は従来と違いはない。まず先にホーム画面を表示させたのち、Wi-Fiの設定を行なう。この時点ですでにGoogle Playストアが利用可能になっているので、Googleアカウントでログインし、電子書籍をはじめ好みのアプリをダウンロードすればよい。

セットアップ開始。まずは言語を選択する
タイムゾーンのみ手動で選択しておけば、Wi-Fiが接続された段階で時刻は同期される
スリープおよび電源オフまでの時間を設定する。電源オフからの起動はかなり時間がかかるので「なし」が望ましい
画面上から下にスワイプした時の挙動を選択する
ジェスチャー機能の挙動を設定する
ペンの利き手を設定し、キャリブレーションを行なう
以上でセットアップは完了。設定画面を見るとAndroid 11ベースであることが記載されている(ここ以降、スクリーンショットはカラーが含まれる場合があるが、画面上ではモノクロで表示される)
アプリ画面。セットアップを完了した時点ですでに「Playストア」のアイコンがあり、Googleアカウントでログインするだけで利用できる
アプリ画面の設定画面。従来あったGoogle Playストアを有効にする項目がなくなっている

 実機を使ってまず感じるのは、従来のBOOXシリーズと比べても、動きがサクサクだということだ。中でも顕著なのがスクロールで、E Ink電子ペーパー採用とは思えないスピードで軽快に動く。外見自体は従来モデルと同じこともあり、これらの差は余計に目立つ。

PC Watchのトップページを表示して上下にスクロールし、さらにタップして個別の記事を上下スクロールする様子。画像の読み込みでワンテンポ遅れる場合はあるものの、スクロール自体はスムーズでいい意味でE Inkらしくない

 またジャイロセンサーを内蔵し、画面の自動回転に対応しているのも、BOOXの他製品と比べた場合の利点だ。自動回転の切り替わりはスムーズなので使っていてストレスもない。本製品を寝転がって使う場合など、姿勢を変えるたびに画面が回転するのを避けたければ、手動に設定することもできる。

画面を上から下にスワイプすると表示されるクイック設定パネルからはフロントライトの調整や回転の制御などが行なえる。「E-Ink設定」の誤訳は修正された
画面回転のオプション。手動回転はもちろんジャイロによる自動回転にも対応する
アプリ画面。後述するブックライブPlusのほか、DMMブックス、Kindleの各アプリをインストールしているほかはデフォルトのまま。画面右下のナビボールは扇状に展開させている
ホーム画面に表示する機能タブは自由に指定できる。電子書籍ストアの利用が多ければ「アプリ」を指定しておくとスムーズだ
システム表示の設定画面。書店機能はここで無効化しておくとよい

表示性能は十分、見開き表示にも問題なく対応

 では電子書籍ユースについて見ていこう。サンプルには、コミックはうめ著「東京トイボクシーズ 1巻」、テキストは夏目漱石著「坊っちゃん」、雑誌は「DOS/V POWER REPORT」の最新号を使用している。電子書籍アプリはKindleを使用している。

 解像度は227ppiということで、表示性能は十分。E Inkならではのザラつきはもちろんあるが、画面が非光沢で外光が映り込まないこともあり、画面サイズがほぼ同じiPad Airと比べても落ち着いて見られる。そうした意味では紛れもなく電子書籍向けのデバイスだ。

 また10.3型と大きいことから、コミックの見開き表示にも問題なく耐えうる。モノクロゆえ、色分けされた技術書や実用書、さらにグラビアの多い雑誌などは向かないが、大判の雑誌やムック類の小さなフォントを除けば、文字そのものが読み取れないことはまずない。

コミックを単ページ表示した状態。紙の本よりも大きく表示できる
iPad Air(右)との比較。ひとまわり小さい程度で表示サイズはほぼ同等だ
コミックの見開き表示にも問題なく対応できる
iPad Air(下)との比較。単ページでの比較よりもこちらのほうが相対的に小さく感じる
画質の比較。左が本製品(ノーマルモード)、右がiPad Air。多少シャープさには欠けるが表現力自体は問題ない
本製品は表示のクオリティ優先か、それとも速度優先か、E Inkのリフレッシュモードを変更することで画質が変わる。上段左がノーマルモード、右がスピードモード。下段左がA2モード、右がXモード
雑誌コンテンツの単ページ表示。カラーではなくモノクロ表示になるが、サイズ的には十分に読める
細かな注釈も文字が潰れることなく表示できる。ただし単ページ限定で、見開き表示ともなるとやや厳しい
E Inkのリフレッシュモードは、画面を上から下にスワイプすると表示されるクイック設定パネルから呼び出せる
アプリ単位での最適化も行なえる。アプリアイコンを長押しして「最適化」をタップ
最適化のための項目は多彩。あまり手を入れすぎて分からなくなった時は下段の「すべてリセット」でやり直すとよい
アプリの画面分割にも対応している。水平はもちろん垂直分割も可能だ

 このほか、画面を横向きにした上で、画面左に電子書籍やPDFコンテンツを、画面右にノートを表示して、読みながらメモを取ることもできる。こうした幅広い使い勝手に対応するのは、10.3型と画面サイズが大きい本製品ならではの強みだ。7型クラス以下のBOOXデバイスではこうはいかない。

アプリ上でコンテンツが買えない問題をどう解決するか

 ところで、Google Playストアは2022年春のポリシー変更によって、アプリ上でのコンテンツ購入が不可能になり、Webブラウザを開いて改めてストアへとアクセスしなくてはいけないという、iOS系列と同じ仕組みに変わった。本製品においてもこの変更はもれなく適用されており、アプリ上からコンテンツを買うことは不可能だ。

 一般的なAndroidデバイスであれば、この抜け道はいくつかある。たとえばKindleアプリの場合、Google PlayストアからではなくAmazonアプリストアからKindleアプリをインストールするという裏技が存在するのだが、本製品で試した限り、Amazonアプリストアのアプリ自体のインストールまでは行なえても、Kindleアプリは検索しても表示されなかった。どうやらブロックされているようだ。

Google Playストア経由でダウンロードしたアプリでは、アプリ上でのコンテンツ購入が不可能になった。これはKindleアプリの画面
AmazonアプリストアからKindleアプリのダウンロードを試みたが、Kindleで検索してもアプリ自体が表示されない

 唯一、公式にこうしたストア機能付きのアプリを配布しているのがBookLive!で、Google Playストア版とは異なる独自ストアアプリをホームページ上からダウンロード、インストールすることで、ストア機能がアプリ内で利用できる。

 そのためだけにほかのストアからBookLive!に乗り替えるものではないだろうが、現時点でBookLive!を利用しているユーザーは要チェックだろう。また本製品を利用し始めるにあたって新しくどこかの電子書籍ストアを利用するのであれば、以上のような理由でBookLive!がおすすめだ。

BookLive!がWebサイト上で用意しているストア機能付きの専用アプリ「ブックライブPLUS」であれば、Google Playストアを経由しないことから、ストア機能が利用できる
Google Playストアを経由せずに同社サイトからapkファイルをダウンロード、インストールを実行する。「ブックライブPLUS」という名称であれば正解
「ブックライブPLUS」を試しているところ。購入ボタンもきちんと表示される

死角のない製品。唯一のネックは価格か

 以上のように、BOOX Note Air2 Plusは初代モデルの性能面を改善し、かつ従来モデルの弱点だったバッテリ寿命の短さにもメスが入っている。一般的に、後継機でありながら外観が同じということは、従来モデルの目に見えない内部にも改善が施されていることが多いが、本製品はまさにその典型で、死角のない製品に仕上がっている。

 ネックがあるとすれば価格だろうか。ここのところの円安基調を反映してか、従来の5万9,800円から、今回は7万2,800円へと価格が上昇している。現時点で競合にあたるのはファーウェイの「MatePad Paper」になるが、同じ64GBで6万4,800円ということで、価格だけ見ると本製品はやや不利だ。

 とはいえ本製品の場合、アプリストアのラインナップが貧弱な「MatePad Paper」と違って、Google Playストアがそのまま使える強みがある。これは電子書籍ユースでも同様で、ストア、コンテンツともにかなりの制限がある「MatePad Paper」と比べると、本製品は大きなアドバンテージがある。

 さらに性能が大きく向上したことによって、競合デバイスに比べて一歩も二歩も先んじたというのが、トータルでの評価ということになりそうだ。日本では利用できないホーム画面の「ストア」の非表示化など、よりカスタマイズが可能になれば、より使いやすくなるだろう。

専用カバー。スタイラスもまとめて持ち歩ける