Hothotレビュー
「GeForce RTX 5080」を即検証!4080 SUPERとの性能差はどれだけ開くのか?
2025年1月29日 23:00
NVIDIAの新世代GPU「GeForce RTX 5080」は、先日ベンチマークレビューをお届けしたGeForce RTX 5090とともに1月30日の発売が予定されているBlackwell世代のハイエンドGPUだ。
今回、発売に先立ってNVIDIA純正ビデオカードの「GeForce RTX 5080 Founders Edition」を借用することができた。従来のハイエンドGPUであるGeForce RTX 4080 SUPERとの比較を通して、GeForce RTX 5080のパフォーマンスを確認する。
GeForce RTX 5080をライブ配信でも解説します。特徴、仕様の解説から、気になるベンチマーク結果、実動デモまで一気にお届け。解説は"KTU"加藤勝明さん、聞き手は"改造バカ"高橋敏也さん。
Blackwell世代のハイエンドGPU「GeForce RTX 5080」
GeForce RTX 5080は、Blackwellアーキテクチャに基づいてTSMC 4Nプロセスで製造されたGPUコア「GB203」を採用するハイエンドGPU。GeForce RTX 5080のGB203コアでは84基のStreaming Multiprocessor(SM)が有効化されており、10,752基のCUDAコアや336基の第5世代Tensorコア、84基の第4世代RTコアなどが利用できる。
VRAMには30Gbps動作のGDDR7メモリを16GB搭載しており、GPUと256bitのメモリインターフェイスで接続することにより960GB/sのメモリ帯域幅を実現した。電力指標のTotal Graphics Power(TGP)は360Wで、バスインターフェイスはPCIe 5.0 x16。
GPU | GeForce RTX 5080 | GeForce RTX 4080 SUPER |
---|---|---|
アーキテクチャ | Blackwell(GB203) | Ada Lovelace(AD103) |
製造プロセス | TSMC 4N | TSMC 4N |
SM | 84基 | 80基 |
CUDAコア | 10,752基 | 10,240基 |
RTコア | 84基(第4世代) | 80基(第3世代) |
Tensorコア | 336基(第5世代) | 320基(第4世代) |
テクスチャユニット | 336基 | 320基 |
ROPユニット | 112基 | 112基 |
ブーストクロック | 2,617MHz | 2,550MHz |
メモリ容量 | 16GB GDDR7 | 16GB GDDR6X |
メモリスピード | 30Gbps | 23Gbps |
メモリインターフェイス | 256bit | 256bit |
メモリ帯域幅 | 960GB/s | 736GB/s |
NVENC | 第9世代NVENC 2基 | 第8世代NVENC 2基 |
NVDEC | 第6世代NVDEC 2基 | 第5世代NVDEC 1基 |
PCI Express | PCIe 5.0 x16 | PCIe 4.0 x16 |
消費電力(TGP) | 360W | 320W |
従来モデルであるGeForce RTX 4080 SUPERと比較すると、GDDR7メモリの採用でメモリ帯域幅が大きく向上した一方、アーキテクチャが刷新されてはいるもののCUDAコアなど演算器の数はあまり増加していない。これでどこまで性能向上を実現したのかに注目だ。
GeForce RTX 5080 Founders Edition
今回、NVIDIAから借用したのはGeForce RTX 5080の純正ビデオカードであるGeForce RTX 5080 Founders Editionだ。
見た目はGeForce RTX 5090 Founders Editionとほぼ同じで、2.1スロットを占有するデュアルファンGPUクーラーを搭載。360Wの電力供給を賄う補助電源コネクタには16ピン(450W対応)を採用しており、PCIe 8ピン3系統から16ピンに変換するケーブルが同梱されていた。映像出力端子はDisplayPort 2.1b 3基とHDMI 2.1b。
超大型GPUクーラーを搭載するZOTAC GAMING GeForce RTX 5080 SOLID OC
今回のテストは先に紹介したGeForce RTX 5080 Founders Editionで行なうのだが、ZOTACからもオリジナル設計のビデオカード「ZOTAC GAMING GeForce RTX 5080 SOLID OC(ZT-B50800J-10P)」が届いたので、その外観を写真で紹介する。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 5080 SOLID OCは、3.5スロットを占有する超大型のトリプルファンGPUクーラー「IceStorm 3.0」を搭載するビデオカード。ブーストクロックが2,617MHzから2,640MHzにオーバークロックされている。
スペック上の消費電力は360Wと設定されており、補助電源コネクタは16ピン1系統。PCIe 8ピン3系統を16ピン(450W)に変換するケーブルのほか、GPUサポートスタンドとLEDイルミネーションをマザーボードとリンクするためのSPECTRA LINKケーブルが同梱されている。映像出力端子はDisplayPort 2.1b 3基とHDMI 2.1b。
比較用GPUとテスト環境
冒頭でも述べた通り、GeForce RTX 5080の比較用にはGeForce RTX 40シリーズのハイエンドGPU「GeForce RTX 4080 SUPER」のFounders Editionを用意した。
GPU | GeForce RTX 5080 | GeForce RTX 4080 SUPER |
---|---|---|
ビデオカードベンダー | NVIDIA | NVIDIA |
製品型番 | Founders Edition | Founders Edition |
ベースクロック | 2,295MHz | 2,295MHz |
ブーストクロック | 2,617MHz | 2,550MHz |
メモリ容量 | 16GB GDDR7 | 16GB GDDR6X |
メモリスピード | 30Gbps | 23Gbps |
メモリインターフェイス | 256bit | 256bit |
メモリ帯域幅 | 960GB/s | 736GB/s |
PCI Express | PCIe 5.0 x16 | PCIe 4.0 x16 |
Power Limit | 360W(推測値) | 320W |
温度リミット | 不明 | 83℃ |
Resizable BAR | 有効 | 有効 |
GPUドライバ | GRD 572.02(32.0.15.7202) | GRD 566.36(32.0.15.6636) |
両ビデオカードを搭載するテスト環境には、最高峰のゲーミングCPUである「Ryzen 7 9800X3D」と、AMD X870チップセットを搭載するASUSの「ROG STRIX X870-F GAMING WIFI」を用意。そのほかの機材や条件については以下の通り。
CPU | Ryzen 7 9800X3D(8コア/16スレッド) |
---|---|
CPUリミット設定 | PPT=162W、TDC=120A、EDC=180A、TjMax=95℃ |
CPUアンコア設定 | MCLK=UCLK=2,800MHz、FCLK=2,000MHz |
マザーボード | ASUS ROG STRIX X870-F GAMING WIFI[BIOS=1001] |
メモリ | DDR5-5600 16GB×2(2ch、46-45-45-90、1.1V) |
システム用SSD | Samsung 970 EVO Plus(NVMe SSD/PCIe 3.0 x4) |
ゲーム用SSD | CFD CSSD-M2B2TPG3VNF 2TB(NVMe SSD/USB 10Gbps) |
CPUクーラー | ASUS TUF GAMING LC 240 ARGB(ファンスピード=100%) |
電源 | 玄人志向 KRPW-PA1200W/92+(1,200W/80PLUS Platinum) |
ディスプレイ | 3,840×2,160ドット、60Hz |
OS | Windows 11 Pro 24H2(Build 26100.2894、VBS有効) |
電源プラン | バランス |
計測 | HWiNFO64 Pro v8.20、ラトックシステム RS-BTWATTCH2 |
室温 | 約24℃ |
ベンチマーク結果
ここからは、ベンチマークテストの結果を確認していく。今回実施したベンチマークテストは以下の通り。
- 3DMark
- ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシーベンチマーク
- STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール
- サイバーパンク2077
- ホグワーツ・レガシー
- フォートナイト
- オーバーウォッチ 2
- ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON
- エルデンリング
- Forza Horizon 5
- F1 24
- Microsoft Flight Simulator 2024
- UL Procyon
- Blender Benchmark
- Adobe Camera Raw
3DMark「Speed Way」
3DMarkのDirectX 12 Ultimateテスト「Speed Way」でGeForce RTX 5080が記録したスコアは「8,955」で、GeForce RTX 4080 SUPERの「7,488」を約20%上回った。
3DMark「Steel Nomad」
3DMarkのDirectX 12テスト「Steel Nomad」では、GPU負荷の高い通常版Steel Nomadと、より軽量なSteel Nomad Lightを実行した。
高負荷テストのSteel NomadでGeForce RTX 5080が記録したスコアは「8,075」で、GeForce RTX 4080 SUPERの「6,590」を約23%上回った。また、負荷の軽いSteel Nomad LightでGeForce RTX 5080が記録したスコアは「35,078」で、GeForce RTX 4080 SUPERの「30,687」を約14%上回った。
3DMark「Port Royal」
3DMarkのDXR(DirectX Raytracing)テスト「Port Royal」でGeForce RTX 5080が記録したスコアは「22,259」で、GeForce RTX 4080 SUPERの「18,310」を約22%上回った。
3DMark「Solar Bay」
3DMarkの比較的軽量なレイトレーシングテスト「Solar Bay」でGeForce RTX 5080が記録したスコアは「149,853」で、GeForce RTX 4080 SUPERの「138,629」を約8%上回った。
3DMark「Wild Life」
3DMarkのVulkanテスト「Wild Life」では、通常のWild Lifeと、より高負荷なWild Life Extremeを実行した。
GPU負荷の軽い通常版は「148,767」を記録したGeForce RTX 5080が、「150,406」を記録したGeForce RTX 4080 SUPERを約1%下回っている。その一方で、高負荷版では「64,621」を記録したGeForce RTX 5080が、GeForce RTX 4080 SUPERの「60,617」を約7%上回った。
3DMark「NVIDIA DLSS feature test」
NVIDIAから提供されたDLSS 4対応版3DMarkで、DLSS性能を計測する「NVIDIA DLSS feature test」を実行した結果が以下の通り。なお、テストの画面解像度は4K/2160p(3,840×2,160ドット)で、DLSS超解像の設定は「Performance」となっている。
GeForce RTX 5080の「DLSSオフ」時のフレームレートは49fps前後。これがDLSS 3の超解像とフレーム生成を利用すると約3.4倍の166.46fpsに増加し、DLSS 4ではフレーム生成「2X」で約3.6倍の175.65fps、「3X」なら約4.9倍の239.21fps、「4X」では約6倍の291.95fpsにフレームレートが増加している。
従来のGeForce RTX 4080 SUPERでも「2X」までのフレーム生成に対応しており、DLSS 3とDLSS 4のいずれでもフレームレートの増加率はGeForce RTX 5080と大差ないが、実際の平均フレームレートはGeForce RTX 5080が21~23%上回っている。
ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシーベンチマーク
ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシーベンチマークでは、描画設定を「最高品質」に設定して、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度をテストした。
GeForce RTX 5080のスコアは、フルHD/1080pで約1%、WQHD/1440pで約10%、4K/2160pでは約15%、いずれもGeForce RTX 4080 SUPERを上回った。
STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール
STREET FIGHTER 6 ベンチマークツールでは、グラフィックプリセットを最高の「HIGHEST」に設定して、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度をテストした。
結果として、GeForce RTX 5080とGeForce RTX 4080 SUPERはすべての条件で上限フレームレートに達しており、両GPUのパフォーマンス差は生じなかった。
サイバーパンク2077
サイバーパンク2077では、DLSS 4に先行対応したバージョンv2.2-Devを使用して、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度でDLSSフレーム生成の設定を変更しながらベンチマークモードを実行した。なお、DLSS超解像についてはDLSS 4で導入されたTransformerモデルを使用している。
GeForce RTX 5080は、同条件でテストを実行したGeForce RTX 4080 SUPERをフルHD/1080pで5~11%、WQHD/1440pで10~11%、4K/2160pでは約12%上回った。
GeForce RTX 5080におけるDLSS 4のマルチフレーム生成による効果に注目すると、従来のフレーム生成である「2X」の効果がフレーム生成無効時比で171~174%であったのに対し、「3X」は242~249%、「4X」では304~312%となっている。
ホグワーツ・レガシー
ホグワーツ・レガシーでは、DLSS 4に先行対応したテストバージョンを使用して、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度でDLSSフレーム生成の設定を変更しながら平均フレームレートを計測した。なお、フレームレートの計測はCPUボトルネックが生じにくい飼育場で実施している。
GeForce RTX 5080は、同条件でテストを実行したGeForce RTX 4080 SUPERをフルHD/1080pで9~15%、WQHD/1440pで9~13%、4K/2160pでは10~15%上回った。
GeForce RTX 5080におけるDLSS 4のマルチフレーム生成による効果に注目すると、「2X」がフレーム生成無効時比で168~174%であったのに対し、「3X」は233~249%、「4X」では290~306%となっている。
フォートナイト
フォートナイトでは、グラフィックプリセット「最高」をベースに、超解像とNaniteおよびLumenを無効化したアンチエイリアス「TAA」設定と、NaniteとLumen(ハードウェアレイトレーシング)を有効化してDLSS超解像を行なう設定でフレームレートを計測した。
Nanite/Lumen無効時のGeForce RTX 5080は、GeForce RTX 4080 SUPERを9~16%上回った。一方、Naniteを有効化してLumenを最高品質に設定した条件下でもGeForce RTX 4080 SUPERを2~14%上回っている。
オーバーウォッチ 2
オーバーウォッチ 2では、グラフィックプリセットを最高の「エピック」に設定し、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは600fps。
GeForce RTX 5080は、GeForce RTX 4080 SUPERをフルHD/1080pで約11%、WQHD/1440pで約21%、4K/2160pで約23%上回った。
ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON
ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICONでは、グラフィックプリセットを「最高」に設定し、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは120fps。
GeForce RTX 5080とGeForce RTX 4080 SUPERは、すべての画面解像度で上限フレームレートの120fpsに達していると言える結果が得られており、GPU性能の差は計測できなかった。
エルデンリング
エルデンリングでは、グラフィックプリセットを「最高」に設定し、レイトレーシングを「無効」または「最高」に設定した場合の平均フレームレートを、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度で計測した。テスト時の上限フレームレートは60fps。
レイトレーシングを「最高」で有効にした条件において、フルHD/1080pは両GPUとも上限フレームレートに達しており差がついていないが、WQHD/1440pで約1%、4K/2160pでも約7%、それぞれGeForce RTX 5080がGeForce RTX 4080 SUPERを上回った。一方、レイトレーシング無効時は両GPUとも上限フレームレートに達しているため、パフォーマンスの差は計測されていない。
Forza Horizon 5
Forza Horizon 5では、グラフィックプリセットを最高の「エクストリーム」に設定し、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度でベンチマークモードを実行した。
GeForce RTX 5080はGeForce RTX 4080 SUPERをフルHD/1080pで約18%、WQHD/1440pで約19%、4K/2160pで約20%上回った。
F1 24
F1 24では、グラフィックプリセットを最高の「超高」、DLSS超解像とフレーム生成を有効に設定し、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度でベンチマークモードを実行した。
GeForce RTX 5080はGeForce RTX 4080 SUPERをフルHD/1080pで約10%、WQHD/1440pで約10%、4K/2160pで約12%上回った。
Microsoft Flight Simulator 2024
Microsoft Flight Simulator 2024では、グラフィックプリセットを「ウルトラ」、アンチエイリアスを「DLSS(DLAA)」、フレーム生成を有効に設定し、フルHD/1080p~4K/2160pまでの画面解像度で計測した。
GeForce RTX 5080はGeForce RTX 4080 SUPERをフルHD/1080pで約21%、WQHD/1440pで約26%、4K/2160pで約22%上回った。
UL Procyon「AI Computer Vision Benchmark」
UL Procyonの「AI Computer Vision Benchmark」では、Windows MLとTensorRTでテストを実行した。ただし、UL Procyonが本テストで利用するTensorRTがGeForce RTX 50シリーズ未対応バージョンであるため、GeForce RTX 5080はWindows MLしかスコアを計測できていない。
Windows ML利用時のGeForce RTX 5080は「2,597」を記録し、「2,297」のGeForce RTX 4080 SUPERを約13%上回っている。
UL Procyon「AI Image Generation Benchmark(Stable Diffusion)」
UL Procyon「AI Image Generation Benchmark」は、画像生成AIでのパフォーマンスを計測するテスト。ここでは「Stable Diffusion 1.5(FP16)」と「Stable Diffusion XL(FP16)」をONNX RuntimeとTensorRTで実行した。なお、GeForce RTX 5080は先のテストと同じ理由でTensorRTでテストを実行できていない。
512×512サイズの画像を生成する「Stable Diffusion 1.5(FP16)」では、GeForce RTX 5080がONNX Runtime利用時のGeForce RTX 4080 SUPERを約8%上回った。なお、GeForce RTX 4080 SUPERはTensorRTの利用によってONNX Runtime利用時より約32%高いスコアを記録している。
1,024×1,024サイズの画像を生成する「Stable Diffusion XL(FP16)」では、GeForce RTX 5080がONNX Runtime利用時のGeForce RTX 4080 SUPERを約8%上回った。一方で、GeForce RTX 4080 SUPERはTensorRTの利用によってONNX Runtime利用時より約37%高いスコアを記録している。
UL Procyon「AI Image Generation Benchmark(FLUX.1)」
NVIDIA提供のUL ProcyonのAI Image Generation Benchmark(FLUX.1)では、GeForce RTX 50シリーズ対応のTensorRTを利用して画像生成AI「FLUX.1」を実行し、FP8またはFP4での画像生成パフォーマンスを計測できる。
FP8でテストを実行した場合、GeForce RTX 5080が1枚の画像を生成するのに要した時間は13.967秒で、15.491秒を要したGeForce RTX 4080 SUPERの生成速度を約11%上回った。
一方、FP4でのテストではGeForce RTX 5080が1枚の画像を生成するのに要した時間は6.931秒で、28.565秒を要したGeForce RTX 4080 SUPER比で約4.1倍という圧倒的な生成速度記録した。FP4精度でのAI演算に対応したGeForce RTX 5080の優位性が発揮された結果だ。
UL Procyon「AI Text Generation Benchmark」
UL Procyonの「AI Text Generation Benchmark」は、LLMを用いたテキスト生成のパフォーマンスを計測するテスト。現時点ではTensorRT非対応であるため、ONNX Runtimeでテストを実行した。
GeForce RTX 5080は、GeForce RTX 4080 SUPERのスコアをPHI 3.5で約8%、MISTRAL 7Bで約22%、LLAMA 3.1で約22%、LLAMA 2で約22%上回った。
UL Procyon「Photo Editing Benchmark」
UL Procyonの「Photo Editing Benchmark」は、Adobeの画像編集ソフト「Photoshop」と「Lightroom Classic」でのパフォーマンスを計測するテスト。
GeForce RTX 5080は、総合スコアで約3%、レタッチで約2%、バッチ処理で約4%、いずれもGeForce RTX 4080 SUPERを上回るパフォーマンスを発揮した。
Blender Benchmark
3DCGソフト「Blender」の公式ベンチマークソフトであるBlender Benchmarkでは、3つのシーンのレンダリング速度を計測した。テストに使用したBlenderのバージョンはv4.3.0。
GeForce RTX 5080は、GeForce RTX 4080 SUPERのレンダリング速度をmonsterで約5%、junkshopで約13%、classroomで約6%上回った。
システム消費電力と電力効率
ワットチェッカーを使ってシステムの消費電力を測定し、アイドル時の最小消費電力と、ベンチマーク実行中の平均消費電力および最大消費電力をグラフ化した。
アイドル時の最小消費電力はGeForce RTX 5080が77.8Wで、79.5WのGeForce RTX 4080 SUPERより0.7Wほど低い数値となってはいるが、同等であると言える結果だ。
ベンチマークテスト実行中にGeForce RTX 5080が記録した平均消費電力は311.0~460.0Wで、298.1~419.3WだったGeForce RTX 4080 SUPERより7.2~41.5W高い平均消費電力となっている。
システムの平均消費電力でベンチマークスコアを割ることによって求めたワットパフォーマンスを、GeForce RTX 4080 SUPERを基準に指数化したものが以下のグラフ。
GeForce RTX 5080は、フルHD/1080pで実行したファイナルファンタジーXIVでGeForce RTX 4080 SUPERをわずかに下回ったことを除けば、3~11%高いワットパフォーマンスを発揮している。実消費電力自体は増加しているが、Blackwellアーキテクチャの導入によって電力効率は多少良くなっているようだ。
負荷テスト実行中のモニタリングデータ
モニタリングソフトのHWiNFO64 Proを使用して、3DMarkのSteel Nomad Stress Test実行中のモニタリングデータを取得した結果が以下のグラフ。
テスト中のGeForce RTX 5080は、平均328.3W(最大343.2W)の電力を消費しながら動作しており、この時のGPU温度は平均71.0℃(最大73.8℃)、VRAM温度は平均76.2℃(最大78.0℃)、GPUクロックは平均2,713MHz(最大2,775MHz)、VRAMクロックは平均2,500MHz(最大2,500MHz)だった。
上位モデルと同じ見た目をしているGeForce RTX 5080 Founders EditionのGPUクーラーは、その冷却性能も上位モデル譲りなようで、平均1,569rpm(最大1,609rpm)というファンスピードでGPUとVRAMをしっかり冷やしきれている。
DLSS 4やFP4精度のAI演算が強みのハイエンドGPU
GeForce RTX 5080はほぼすべてのテストでGeForce RTX 4080 SUPERを上回るパフォーマンスを発揮しており、DLSS 4のマルチフレーム生成やFP4精度のAI演算といった新機軸で強みをみせている。
DLSS 4対応ゲームをプレイする予定のゲーマーや、FP4精度で演算を行なう生成AIを利用するユーザーにとっては注目に値するハイエンドGPUではあるが、同日発売のGeForce RTX 5090に比べると小粒感は否めない。GeForce RTX 5080の国内想定価格は19万8,800円からであり、GeForce RTX 5090(39万3,800円から)の約半額なのだから大きな差があることは当然と言えば当然ではある。
NVIDIAは下位モデルとなるGeForce RTX 5070 TiとGeForce RTX 5070の発売を2月に予定しており、GeForce RTX 50シリーズのラインナップは今後拡充されていく。コスト度外視ならベストな性能が得られるGeForce RTX 5090が存在する以上、GeForce RTX 5080は従来モデルや今後登場する下位モデルとコストや費用対効果を比較検討して選択すべきGPUであると言えるだろう。