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不要になったPCのモニター、どう処分する?方法と注意点をまとめてみた

モニターの処分はなかなか一筋縄ではいかない。今回はその手順を紹介する

 いざPCを処分するとなった場合、どのような手順を踏めばピンと来ず、迷うことはしばしばだ。中でもモニターについては、PC本体と比べてサイズが大きく梱包が面倒という問題に加えて、外見は家庭用TVとは似ていながら処分方法はまったく異なるなど、処分にあたって迷う要素が少なくない。

 今回はそんなモニターの処分方法について、現在考えられる方法と注意点をまとめてみた。実際に申し込むに当たって参考になれば幸いだ。

PCリサイクルマークがあれば伝票入手→発送で完了

 まず一般的な手順から見ていこう。2003年10月1日以降に販売された個人/家庭向けのPCは「資源有効利用促進法」に基づき、購入代金の中に回収/再資源化の費用が含まれている。これを証明するのが機器に貼り付けられたPCリサイクルマークで、モニターについてもこれに準じた扱いとなる。

 そのため、送付用のエコゆうパック伝票を入手し、それを用いてメーカーへと発送すれば、ユーザー側の手続きは完了となる。各メーカーが参加しているパソコン3R推進協会で「家庭系PC業界共通回収スキーム」として統一されているため、手順についてはどのメーカーも原則共通だ。

 メーカーごとの窓口を探すにあたっては、パソコン3R推進協会のホームページを参照するとよい。メーカー名が五十音順でずらりと並んでいるので、そこから該当のメーカーを探してクリック。表示されるフォームに必要事項を記入し、回収のためのエコゆうパック伝票を取り寄せる。まずこれが第1段階だ。

 その後数日待ってエコゆうパック伝票が届けば、あとは梱包した製品にエコゆうパック伝票を貼り付け、集荷もしくは持ち込みで発送すれば完了だ。その後きちんとメーカーに到着したかどうかは、ゆうパックのページからお問い合わせ番号を使って追跡できる。

 なお、30kgを超える場合や、梱包の縦+横+高さの合計が170cmを超える場合は郵便局での取り扱いができず、専門業者による集荷となる。この場合も申込ページで案内されているので迷うことはないが、モニターは昨今の大型化により、このケースに当てはまる可能性が高まりつつあるので注意したい。

メーカーをクリックすると申込みフォームが表示される。メーカーサイトへとジャンプする場合もある。また回収するメーカーがない場合はパソコン3R推進協会が窓口となる
今回筆者が試したレノボの場合、同社が用意している「家庭系PCリサイクル・サービス オンライン申込み」というフォームを案内される。必要事項を記入する
対象製品に印字されている機種名やシリアル番号、さらにPCリサイクルマーク登録番号といった情報を記入し、申込みを完了させる
数日待つと発送用の伝票が封書で届くので、これを使ってあらためて集荷を申し込む。届け先や依頼主の欄はすべて記入済みなので自身で記入する必要はない。なお有効期限は2カ月とあまり長くないので注意
指示に従って製品を梱包し、伝票を貼り付けたのち、集荷を待って引き渡せば完了。ちなみに段ボールではなくビニールのみで梱包するよう案内しているメーカーもある
発送後の追跡はゆうパックのページから行なえる。メーカーから到着や再資源化完了を知らせるメールが来ることは(筆者が過去数回試した限りでは)ないようだ

PCリサイクルマークがない場合はどうする?

 ただし上記のスキームは、モニター本体に「PCリサイクルマーク」が添付されていることが前提だ。PCリサイクルマークがない場合は、大きく分けて2つの原因が考えられる。以下、順を追って見ていこう。

 1つはPCリサイクル料金を支払っていないケースだ。PCリサイクルの仕組みが導入される2003年より前に購入した製品は確実にこれに該当するので、回収前にPCリサイクル料金を支払う必要がある。また海外からネット経由で並行購入した製品も、PCリサイクル料金を支払っていないケースがあるはずで、この場合も同様の扱いとなる。

 これらについては前述のエコゆうパック伝票の前に郵便局の払込取扱票を取り寄せ、それを用いて料金の支払いを完了させる必要がある。やりとりする回数が増えるので一手間増えるが、窓口がパソコン3R推進協会であることは変わらないので、迷うことはないはずだ。

製品のどこにもPCリサイクルマークが貼られていない場合は複数の原因が考えられる
回収の手順(パソコン3R推進協会ホームページより)。リサイクル料金を支払っていない場合は、前述の発送フローよりも先に料金支払いを行なう必要がある(この図の2、3がそれに該当)
料金は3,300円(2025年1月21日現在。以下同じ)。なおCRTモニターは4,400円と料金が異なるほか、PCとの一体型も料金が異なる

 PCリサイクルマークがないもう1つの原因として考えられるのは、すでにPCリサイクル料金は支払済みであるにも関わらず、シールの貼り付けが省略されているケースだ。

 こうした場合は、回収の段階になって初めてメーカーに問い合わせ、PCリサイクルマークのシールを郵送してもらう格好になる。新規の支払いは発生しないもののが、過去に支払ったか否か判断がつかず迷うことになる。このあたりは少々ややこしい。

 今回筆者が試したレノボがまさにこのパターンで、製品にPCリサイクルマークは添付されておらず、製品のシリアルナンバーなどを添えて申し込むことによって、PCリサイクルマークのシールが送られてくる。これを貼り付けた上で、改めて申し込むという流れだ。

 こうしたことから、モニターの外装を見てPCリサイクルマークが見当たらない場合も、イコール有償になると早合点するのではなく、必ず該当のメーカーのホームページでシリアルナンバーなどを入力し、確認することをお勧めする。購入時期が明らかに2003年10月1日以降であれば、こちらに当てはまる場合が多いはずだ。

今回のレノボ製品の場合、事前にリサイクルマークを申し込む必要がある。専用フォームにモデル番号とシリアル番号を記入して申し込みを行なう。特殊な製品だったためか申込後にメーカーから確認の連絡があり、本体背面ラベルの写真を送付してようやく申込み完了となった
数日待つとPCリサイクルマークが届く。ここに印字されたナンバーは今回申し込んだ製品専用なので、別製品の回収に転用することはできない
シールは製品背面のよく見える位置に貼付する

リネットジャパンによる回収という方法も

 以上が正しいフローなのだが、もう1つ、小型家電リサイクル法に基づいた回収方法も存在している。

 過去記事でも何度か紹介しているリネットジャパンは、小型リサイクル法に基づいてモニターの回収を請け負っている。こちらは前述の資源有効利用促進法に基づいた回収スキームと違い、PCリサイクルマークを必要としないことから、PCリサイクルマークがない場合の選択肢の1つとなる。

 料金はモニター1台あたり1,760円(CRTモニターの場合は3,300円。いずれも2025年1月21日現在)となるが、同時発送する梱包の中にPCが含まれていれば無料となるキャンペーンを定期的に行っているので、まとめて回収が可能なPCが手元にある場合は、それらをうまく活用するとよいだろう。

 気をつけたいのが梱包サイズだ。前述のパソコン3R推進協会経由の回収では縦+横+高さの合計が170cm以内が目安で、それを超える場合も専門業者による回収が可能だったが、リネットジャパンは上限が140cmなので、製品によっては回収してもらえないケースもあると考えられる。

リネットジャパンのホームページ。同社は環境省・経済産業省から認定を受けた「小型家電リサイクル法」の認定事業者であり、モニターの回収を受け付けている
集荷を申し込む過程で回収用段ボールを購入することもできるが、縦42×横31×高さ35cmとのことで、モニターの梱包には向かないことに注意
回収対象品目の中にモニターが含まれているのが分かる。ただしPCとの同時回収でない場合は料金が発生する。またTVは回収対象外となる

まずはPCリサイクルマークの確認を

 以上のようにモニターを処分する場合、まず確認すべきなのはPCリサイクルマークの有無で、あればメーカーに連絡してエコゆうパック伝票を入手、なければ改めてPCリサイクル料金を払ってマークを入手するか、もしくはリネットジャパンに申し込むか、ケースバイケースで選択するのがベターということになるだろう。

 1点言えるのは、ここ十数年以内に量販店で購入したモニターであれば、PCリサイクルの料金はほぼ確実に支払いを終えているということだ。今回の筆者のケースのように、シールだけあとから入手する方式であることも大いに考えられるので、まずはメーカーのホームページで確認することをお勧めする。

 なお、モニターの中でもチューナを搭載した製品はTV扱いとなり、家電リサイクル法に基づいた回収/再資源化の対象となる。こちらの場合は上記とはスキームがまったく異なり、家電リサイクル券を用いての回収となるので気をつけたい。こちらについては別の機会にあらためて紹介したい。

モニターの中でもチューナを搭載した製品はTV扱いとなり、今回紹介したフローではなく家電リサイクル法に基づいた回収・再資源化が行なわれる。写真は郵便局振込方式の家電リサイクル券