山口真弘の電子書籍タッチアンドトライ

Googleスマホ「Pixel 3 XL」で電子書籍を試す。ほぼ同寸のiPhone XS Maxとの違いは?

Pixel 3 XL

 「Pixel 3 XL」は、Googleの6.3型スマートフォンだ。同時発売の「Pixel 3」とともに、最新のAndroid 9 Pieを搭載したGoogle自社ブランドの製品で、最新のAndroidをはじめ、ベータ機能もいち早く利用できることが、特徴の1つとなっている。

 本稿ではメーカーから借用したSIMロックフリーモデルを用い、競合製品となるiPhone XS Maxとの比較を中心に、電子書籍ユースでの使い勝手をチェックする。より網羅性の高いレビューについては、すでに平澤氏による詳細な記事が公開されているので、併せてお読みいただきたい(Google謹製スマホ「Pixel 3/3 XL」ファーストインプレッション)。

製品本体。左右はベゼルレスと言っていいスリムさだが、下はややベゼルに厚みがある
画面上部にはノッチがある。横幅がせまいこともあり、iPhone XS Maxでは不可能なバッテリ残量のパーセント表示も可能
電源ボタン、音量ボタンはともに右側面に配置される
コネクタはUSB Type-C。隣にSIMカードスロットを備える。イヤフォンジャックはない
背面に指紋認証センサーを備える
SIMトレイはNano SIMサイズ。メモリカードは使えない

iPhone XS Maxと同等サイズながらわずかに軽量

 まずはiPhone XS Maxとのスペック比較から。項目は電子書籍まわりで必要なものに絞り込んでおり、カメラ周りのスペックや対応周波数などの項目は省略している。

【表】Pixel 3 XLとiPhone XS Maxの比較
Pixel 3 XLiPhone XS Max
メーカーGoogleApple
発売年月2018年11月2018年9月
サイズ(幅×奥行き×高さ)76.7×158×7.9mm77.4x157.5x7.7mm
重量184g208g
CPUQualcomm Snapdragon 845
2.5GHz+1.6GHz、64bitオクタコア
A12 Bionicチップ
次世代のNeural Engine
RAM4GB4GB
ストレージ64/128GB64/256/512GB
画面サイズ6.3型6.5型
解像度2,960×1,440ドット(523ppi)2,688×1,242ドット(458ppi)
Wi-FiIEEE 802.11acIEEE 802.11ac 2x2 MIMO対応
コネクタUSB Type-CLightning
防水防塵IP68IP68
駆動時間/バッテリ容量3,430mAhインターネット利用 : 最大13時間
ビデオ再生(ワイヤレス) : 最大15時間
オーディオ再生(ワイヤレス) : 最大65時間

 この両製品、本体サイズは瓜二つと言っていいほどそっくりである。なにせ幅/奥行き/高さのうち、一番差がある横幅ですら、違いは1mm以下というから尋常ではない。

 ただし重量は本製品のほうが24g軽いので、両製品を交互に持ち比べると、どちらがどちらなのかすぐに区別がつく。体積が同等にもかかわらず重量が軽いせいで、本製品がよりコンパクトだと錯覚しがちなのがおもしろい。

 また、背面カメラは両製品ともに突出しているが、本製品のほうがより薄く、デスク上に置いた時もあまり段差を感じない。本稿ではカメラ機能のチェックは行なわないが、性能面が横並びだと仮定すれば、薄い本製品のほうがプラスだろう。

 解像度はiPhone XS Maxの458ppiに対し、本製品は523ppiと、現行のスマートフォンでは最高級クラスとなる。ここまで高精細だと少々の違いは肉眼でわかるものではなく、電子書籍の表示においては両製品ともなんら問題ない。

 両製品で大きく違っているのは容量で、最大512GBまでラインナップするiPhone XS Maxに対し、本製品は128GBモデルまでしか用意されない。本製品はメモリカードスロットもないので、容量の拡張もできない。2022年1月31日まではGoogle フォトに写真や動画を無料アップロードできる特典はあるものの、用途によってはハンデになるだろう。

左が本製品、右がiPhone XS Max。筐体はほぼ同一と言っていいサイズ
背面の比較。本製品は背面中央に指紋認証センサーを搭載している
厚みの差はわずか0.2mm。コネクタは本製品がUSB Type-C、iPhone XS MaxはLightning
カメラの厚みの比較。両製品ともに背面から突出しているが、iPhone XS Max(上)のほうがより厚みがある
ノッチの大きさの比較。向かって左半分が本製品、右半分がiPhone XS Max。本製品のほうが高さがあるが、横幅は逆せまい
下部ベゼルの比較。向かって左半分が本製品、右半分がiPhone XS Max。本製品はスピーカーを搭載するためベゼル部に厚みがある
Sling Shot Extremeによるベンチマークでは、スコアは「3,414」。以前紹介したHTCのハイエンドスマートフォン「U12+」(3,484)に匹敵するスコアだ。前回のAndroidスマートフォンのレビューも併せて参照されたい(イマドキの“縦長高解像度スマホ”で電子書籍を試す)

Android 9を採用。指紋認証ならではのメリットにも注目

 本製品は最新のAndroid 9を採用しており、Android 8.0以前とは、その操作性が大きく異なる。ドキュメントを見ずにいきなりさわると、その挙動が理解できないほどだ。筆者も今回、約1週間の試用期間の範囲では使いこなせた感覚がなく、購入してしばらくは手こずる人もいそうだ。

 もっともiPhoneについても、ホームボタンのあるiPhone 8以前からX以降のモデルに乗り換えると慣れるまでに時間がかかるので、とくにハンデにはならないだろう。具体的な挙動は平澤氏のレビューにわかりやすい動画があるので、詳しく知りたい方はそちらを参照してほしい(Google謹製スマホ「Pixel 3/3 XL」ファーストインプレッション)。

 プリインストールアプリは全体的に簡潔で好感が持てる。ちなみに電子書籍アプリはプリインストールされていないので、自前で特定のストアアプリを導入する必要がある。

ホーム画面。検索窓が最下部にあるのが特徴
画面を下から上へとスワイプすると起動中のアプリのプレビューが表示され、横スクロールで切り替えられる
さらに上へとスワイプするとアプリのドロワーが表示される。これはプリインストール状態のアプリで、全体的にすっきりしている
設定画面。大分類の下に小分類が表示されているのでわかりやすい

 iPhone XS Maxとの大きな相違点として、顔認証ではなく指紋認証を採用していることが挙げられる。指紋認証のセンサーは背面に搭載されており、スマートフォンを握ったときに人差し指がふれる位置にレイアウトされている。手に取って使う場合はなんら問題ないが、デスク上にスマートフォンを置いたままロック解除できないのは良し悪しだろう。

 その一方、iPhoneの顔認証(Face ID)は、顔にマスクをつけているとロック解除できないというクリティカルな問題があるので、これから冬場にかけては、指紋認証を採用した本製品のほうが外出先での使いやすさを感じるシーンが増えるだろう。こうした使い勝手の差は、毎日使う製品では無視できないものがある。

指紋認証センサーは背面中央にある

 ちなみに、別売オプションの充電スタンド「Pixel Stand」に立てかけた状態では、時計などが常時表示された状態になるので、時間を見たり通知を表示するためだけに手に取ってロックを解除する必要はない。本製品と一緒にそろえたいアイテムの1つだ。

ワイヤレス充電が可能なオプション「Pixel Stand」。余談だが、Qi対応であることからiPhone XS Maxも充電できる
本製品を立てかけると時刻やGoogleアシスタントを常時表示させておける。夜間、枕元に置いておくには便利だ

音量ボタンでのページめくりやストアでの直接購入が便利

 さて、電子書籍端末として使う場合の表示性能について見ていこう。なお本文中でとくに断りがないかぎり、電子書籍ストアはKindleを、コミックの表示サンプルにはうめ著「大東京トイボックス 1巻」を、テキストの表示サンプルには太宰治著「グッド・バイ」を用いている。

 本製品は6.3型という大型画面を搭載するが、アスペクト比は18.5:9と、昨今の縦長タイプのスマートフォンと同じく、2:1よりもさらに細長い比率となっている。

 それゆえ、コミックなど固定レイアウトのコンテンツは横幅に合わせてページが縮小され、画面サイズの数値から想像されるよりも実際のページサイズはずっと小さくなる。ただしこれは6.5型のiPhone XS Maxでも同様で、実際には本製品のほうがわずかに大きく表示されるようだ。

 解像度は前述のように523ppiと十分すぎる品質で、文句のつけようがない。画面を横向きにして見開き表示にすると、ページ自体は大幅に縮小されるものの、この高解像度ゆえ細かい文字まできちんと読み取れるので驚かされる。

左が本製品、右がiPhone XS Max。ページの横幅に合わせて縮小されてしまっており、どちらも画面の天地の高さを活かせていない
コマの横幅は本製品が56.9mm。iPhone XS Maxだと55.6mmなので本製品のほうがわずかに大きい。前回のiPhone XS Maxのレビュー(Apple「iPhone XS Max」で電子書籍を試す)や、Androidスマートフォンのレビュー(イマドキの“縦長高解像度スマホ”で電子書籍を試す)も参照されたい
テキスト表示での比較。本製品は上部ノッチ周りが塗りつぶされた状態で表示されるため、iPhone XS Maxのほうが天地の高さを有効活用できている
画面サイズこそ小さいものの、コミックの見開き表示でも解像度は十分に足りている
見開き状態における部分アップ。コマの高さ4cm弱ながら十分な品質だ

 iPhone XS Maxと比べた場合、本製品はAndroidゆえ、音量ボタンを使ってページめくりが行なえる利点がある。本製品はエッジ部分の反応がかなり敏感で、本体を背後からわしづかみに持つと、指や手の一部が画面にふれ、不用意にページがめくられたり、めくろうとしたときにきちんと動かない場合がある(後述)。音量ボタンによるページめくりは、その対策にもなりうる。

 また、電源ボタンと音量ボタンの配置が、昨今のトレンドとは逆向き、つまり電源=上、音量=下なのも、電子書籍の閲覧に有利だ。なぜなら音量ボタンによるページめくりを行なう時、電源ボタンが向かって上にあると、操作の邪魔になりにくいからだ。

 ただしボタンの押し心地はやや硬いため、音量ボタンでのページめくりだけで本1冊を読み終えると、指先がかなり痛くなる。ほかの方法と併用したり、左右の手を入れ替えながら読むとよいだろう。ちなみに本製品は左右どちらの手で持っても、音量ボタンを押しやすいレイアウトになっている。

側面の音量ボタンでページめくりが行なえる。電源ボタンよりも下にあるため誤って電源ボタンを押す心配も少ない
多くの電子書籍ストアアプリでは、音量ボタンでのページめくりの有効化/無効化を指定できる。これはKindleの設定画面
左手で持った状態。ちょうど人差し指で音量ボタンを押せる
右手で持った状態。音量ボタンは親指で押すかたちになる

 もう1つ、iPhone XS Maxと異なり、サンプルの読了後にすぐ販売ページにジャンプできることや、コミックなどのシリーズ作品で読み終えたあとにすぐ続刊の販売ページに移動できるシームレスさは、Androidならではの大きな利点だ。iOSとの比較では、どうしてもこの点にふれざるを得ない。

サンプルを読み終えた直後の画面。本製品(左)はすぐ購入できるのに対して、iPhone XS Maxは「詳細はこちら」経由でほしい物リストに追加できるだけで、購入するためにはブラウザで販売サイトを開き直さなくてはいけない

やや気になる? 上部ベゼルまわりの反応の敏感さ

 次に電子書籍を読む場合の挙動面にフォーカスして見ていこう。今回はKindleアプリで検証を行なっており、ほかのアプリおよび別のコンテンツでは挙動が異なる可能性があるのでご了承いただきたい。

 まずページめくりについては、通常の姿勢で使う分にはまったく問題ない。前述のようにタップやスワイプ以外に、音量ボタンを使ったページめくりにも対応する。「通常の姿勢で使うぶんには」とわざわざ但し書きをつけたのは、寝転がって読む場合に、意図しないページめくりが発生することが比較的多いからだ。

 本製品はスマートフォンとしては重量があるため、仰向けになっての長時間の読書では、まれにもう一方の手で端末を支える機会があるわけだが、本製品は画面とベゼルの境目がiPhone XS Maxに比べてかなり敏感で、とくに画面上部は軽く指をかけただけでタッチとみなされやすい。

 そのため、iPhone XS Maxと同じように画面の上端にふれているだけでホールドしていると見なされてしまい、ページめくりなどの操作が遮られたり、不意に通知領域が表示されることがある。急にページがめくれなくなり不思議に思っていたところ、画面上部にふれていたもう一方の手の指が邪魔をしていた、ということが何度かあった。

 読書中、つまり本のページを全画面表示している間は、上部のノッチまわりのエリアは黒く塗りつぶされ反応しなくなっているので、こうした問題は起こりにくいのだが、読書オプションの表示中やライブラリ、ストアを開いている間はこうした意図しない動きが起こりやすい。持ち方によってはけっこうな頻度で発生する。

タップやスワイプでページをめくる場合、片手だとこのような持ち方になる。親指の付け根が画面にふれてページが勝手にめくられることがあるので、握りの深さは注意する必要がある
仰向けの姿勢で本製品を使っていて、端末を保持するために上端に軽く指を添えると、ホールドしているとみなされ、タップやスワイプが反応しなくなる。どんな端末でも起こりうる症状だが、本製品はかなり端の位置でもこの症状が起こりやすい

 これを解消する方法をしばらく試行錯誤していたのだが、最終的にたどり着いたのが、画面上部のノッチそのものを非表示にする方法だ。開発者向けオプションのなかに「カットアウトがあるディスプレイのシミュレート」という項目があるので、そこから「非表示」を選べば、ノッチの周囲が黒く塗りつぶされ、画面の上端が水平になる。

開発者向けオプションのなかに「カットアウトがあるディスプレイのシミュレート」という項目がある。これを非表示にするとノッチ表示がオフになる

 この状態ではタッチに反応するエリア自体がせまくなるので、前述のような読書オプションやライブラリの表示中に画面上部にふれても、不意に通知領域が表示される現象が発生しにくくなる。電子書籍以外のコンテンツでも表示エリアがせまくなるので万能ではないが、対処方法がないよりははるかにマシだ。使ってみて同じ症状に遭遇したら、ぜひ試してみてほしい。

「カットアウトがあるディスプレイのシミュレート」がデフォルトの場合(上)と非表示の場合(下)。右側のiPhone XS Maxと比べるとよくわかるが、非表示にすると上部ノッチ周辺のエリアが使われなくなり、結果として意図しない反応が少なくなる
同じくコミックの場合。違いがわかりにくいが下(非表示設定)のほうが上(デフォルト設定)に比べて上部黒帯の幅が広い。コミックはテキストと違って画面上部にもともと余白があるので、このような表示設定でもなんら問題はない

よいものを長く使いたいユーザーには最良の選択肢

 以上、電子書籍ユースでの使い勝手をざっとチェックしたが、iPhone XS Maxと比べた場合、表示性能まわりでは引き分け、機能についてはAndroidならではのシームレスさで本製品が有利で、トータルでは本製品のほうが、iPhone XS Maxよりも電子書籍ユースでは使いやすいというのが筆者の評価だ。

 前述の、ベゼルの境目まわりの敏感さはややマイナスだが、筐体の軽さなどの優位性も加味すると、やはり本製品のほうが使い勝手は上という印象だ。iPhone XS Maxも大きなマイナスがあるわけではないので、その点は誤解のないようにお願いしたいが、必ずどちらかを選べと言われれば、筆者は本製品を選ぶだろう。

 もともとこのPixel 3 XLと姉妹製品のPixel 3は、Googleレンズや端末を握ればGoogleアシスタントが起動するActive Edge機能など、豊富な機能が目玉であり、電子書籍ユースでフォーカスされる機会はあまりない。本製品はキャリアからも販売されているが、SIMロックフリーモデルに限れば、NFC/おサイフケータイに対応し、かつ防水機能も備えた選択肢は数少ないので、その点でも魅力だ。

 価格もハイエンドゆえ、本製品を電子書籍ユースのためだけに購入する人はまずいないだろうが、今回使ってみたかぎり、電子書籍ユースでも快適に利用できることは間違いない。OSアップデートおよびセキュリティアップデートが最低3年間保証されている点も踏まえ、よいものを長く使いたいユーザーにとっては最良の選択肢の1つだろう。

画面全体を黄色くして目に優しくする「読書灯」機能も用意される
「読書灯」をオンにした状態。時間指定で自動的にオンにすることも可能だ
本体を握ることでGoogleアシスタントを起動できる機能も備える