レビュー

Google謹製スマホ「Pixel 3/3 XL」ファーストインプレッション

右がPixel 3、左がPixel 3 XL

 Googleは、自社ブランドスマートフォン「Pixel 3」と「Pixel 3 XL」を、11月1日より日本で販売する。それに先駈けて試用する機会を得たので、ファーストインプレッションとして本体の外観や基本的な機能などを紹介する。なお、試用機は搭載ファームウェアや一部アプリが製品版相当ではなく、製品版とは仕様が異なる可能性がある点はご了承願いたい。機能面の詳細なレビューは後日お届けする予定だ。

サイズや重量は結構な差が

 まず、外観からチェックしていこう。

 Pixel 3、Pixel 3 XLとも、基本的なデザインコンセプトは同じだ。筐体はアルミニウム製フレームで、ディスプレイ面、背面ともにCorning製強化ガラス「Gorilla Grass 5」を採用しており、イマドキのスマートフォンらしさを感じる。側面フレームとガラスは完全なシームレスというわけではなく、接合部分のラインが見えるとともに、手触りで段差も感じるが、仕上がりはまずまず良好だ。

 背面カラーは、Pixel 3、Pixel 3 XLともClearly White、Just Black、Not Pinkの3色を用意。そして、本体上部が光沢、それ以外はマット調と、従来のPixelシリーズから受け継がれる独特な仕上げとなっている。ただ、Pixel 3、Pixel 3 XLはハイエンド志向の製品ということもあり、全体を光沢仕上げにして高級感を高めたほうが良かったように感じる。

 また、ほかのガラス筐体採用スマートフォン同様に、かなり滑りやすい印象。テーブルなどに置いた場合でも、わずかな傾きで滑ってしまう。手に持っていても滑り落としそうに感じるので、不安ならケースを装着して利用したほうが良さそうだ。

Pixel 3
本体正面。上部に前面カメラ、上下にステレオスピーカーを搭載
背面。メインカメラと指紋認証センサーが見える
下部側面
左側面
上部側面
右側面
Pixel 3 XL
本体正面。Pixel 3同様に上部に前面カメラ、上下にステレオスピーカーを搭載
背面。こちらもメインカメラと指紋認証センサーを搭載
下部側面
左側面
上部側面
右側面
背面は、このように上部が光沢仕上げ、それ以外はマット調仕上げとなっており、全体的にあまり高級感は感じられない
Clearly Whiteでは、光沢とマットの領域にあまり違いはみられない

 接続端子は双方ともUSB Type-Cを採用しており、オーディオジャックは存在しないが、USB Type-C接続イヤフォンと変換ケーブルが同梱されている。SIMカードを装着するSIMトレイは本体下部側面に配置され、Nano SIMを1枚のみ装着可能。

 左側面、上部側面にはボタンや端子類はなく、右側面に電源ボタンとボリュームボタンを配置している。ボリュームボタンのカラーは本体背面カラーと同じ色を採用しているが、電源ボタンのカラーは本体カラーごとに異なっている。Just Blackでは電源ボタンもブラックだが、Clearly Whiteではグリーン、Not Pinkではオレンジとなっており、デザイン上のいいアクセントとなっている。

下部底面の接続端子はUSB Type-Cを採用。その左に見えるのはSIMトレイだ
SIMトレイはNano SIMを1枚装着可能。microSDカードなどのメモリーカードは利用できない
筐体色によって電源ボタン(右のボタン)のカラーが変えられている

 サイズは、Pixel 3が68.2×145.6×7.9mm(幅×奥行き×高さ)、Pixel 3 XLが76.7×158×7.9mm(同)となる。Pixel 3は、近年大型化が進んでいるスマートフォンのなかでも比較的コンパクトな部類で、手の小さな女性でも楽に扱えるだろう。それに対しPixel 3 XLは、まさにイマドキのスマートフォンらしい大きさだ。筆者は手が比較的大きいので、Pixel 3 XLを持ってもそれほど手に余るという印象はなかったが、片手での操作はやや厳しいと感じる。

Pixel 3を手にした状態。なかなかのコンパクトさで、手の小さな女性でも安心して利用できそうだ
こちらはPixel 3 XLを手にした状態。筆者は手が大きいためそれほど違和感はないが、片手での操作はやや厳しい印象

 重量は、Pixel 3が148g、Pixel 3 XLが184g。SIMカードを装着しない状態での実測重量は、Pixel 3が148.4g、Pixel 3 XLが183.3gだった。35gほどの差ではあるが、実際に手にするとPixel 3はかなり軽く感じる。サイズも比較的コンパクトなので、高性能な小型軽量スマートフォンの新たな選択肢となりそうだ。

Pixel 3の実測の重量は148.4g(SIMカードは装着せず)と、なかなかの軽さだ
Pixel 3 XLの実測の重量は183.3gと、サイズ相応の重さだ

 製品パッケージは、外装こそ異なるが、双方とも同じものを採用。本体以外の同梱物も同じで、各種インストラクションカード、USB PD準拠のACアダプタ、USB Type-Cケーブル、USB Type-C接続イヤフォン、USB Type-C Type-A変換コネクタ、USB Type-Cオーディオ変換ケーブルが同梱されている。このうち、USB Type-C Type-A変換コネクタは、ほかのスマートフォンを接続してデータなどを転送する場合に利用する。

右がPixel 3、左がPixel 3 XLのパッケージ。箱自体はまったく同じものだ
本体以外の同梱物はどちらも同じだ
ACアダプタはUSB PD準拠
USB Type-Cケーブル
USB Type-C接続のイヤフォン
USB Type-C Type-A変換アダプタ。ほかのスマートフォンを接続してデータなどを転送する場合に利用する
USB Type-Cオーディオ変換ケーブル。汎用のヘッドフォンはこの変換ケーブルを利用して接続する

 それぞれのおもなスペックは表1にまとめたとおり。サイズや重量、ディスプレイの仕様、内蔵バッテリ容量は異なっているものの、そのほかの搭載SoCやメモリ、内蔵ストレージ、カメラ、IP68準拠の防水対応などおもな仕様はまったく同じだ。

 Googleストアの直販モデルはSIMロックフリーとなっており、国内大手3キャリアでの利用が確認されている。対応バンドも豊富で、国内はもちろん海外でも問題なく利用できそうだ。実際にNTTドコモのSIMを装着してみたところ、問題なくLTEで接続し、VoLTE通話も可能だった。

 Googleストアでの直販価格は、Pixel 3の64GBモデルが95,000円、128GBモデルが107,000円。Pixel 3 XLの64GBモデルが119,000円、128GBモデルが131,000円。

【表1】Pixel 3、Pixel 3 XLのおもなスペック
SoCSnapdragon 845(8コア、2.5GHz+1.6GHz)
GPUAdreno 630
メモリ4GB
内蔵ストレージ64GB/128GB
OSAndroid 9 Pie
ディスプレイ5.5型有機EL フルHD+(1,080×2,160ドット)/コントラスト比10万:1/HDR表示対応6.3型有機EL QHD+(1,440×2,960ドット)/コントラスト比10万:1/HDR表示対応
対応SIMNano SIM×1
FDD LTE対応バンド1/2/3/4/5/7/8/12/13/17/18/19/20/21/25/26/28/29/30/66
TD LTE対応バンド38/40/41/42/48
3G対応バンドUMTA/HSPA+/HSDPA:1/2/4/5/8、WCDMA:W1/W2/W4/W5/W6/W8/W19
GSM/EDGE対応バンド850/900/1,800/1,900 MHz
通信速度下り最大1Gbps、上り最大75Mbps
無線LANIEEE 802.11ac
BluetoothBluetooth 5.0
リアカメラ1,220万画素/F1.8
インカメラ800万画素 F2.2広角レンス(97度)、800万画素 F1.8標準レンス(75度)
生体認証機能指紋認証センサー
防水IP68
おサイフケータイ対応
バッテリ容量2,915mAh3,430mAh
ワイヤレス充電対応(Qi準拠)
本体カラーClearly White、Just Black、Not Pink
サイズ(幅×奥行き×高さ)/重量68.2×145.6×7.9mm/148g76.7×158×7.9mm/184g

有機ELディスプレイ採用。Pixel 3 XLは切り欠きあり

 ディスプレイは、いずれも有機ELパネルを採用しているが、本体サイズの違いに合わせ、Pixel 3とPixel 3 XLで仕様が異なっている。

 Pixel 3は、表示解像度1,080×2,160ドット、アスペクト比18:9の5.5型有機ELパネルを採用。それに対しPixel 3 XLでは、表示解像度1,440×2,960ドット、アスペクト比18.5:9の6.3型有機ELパネルと、より大型かつ高精細なパネルを採用している。

 また、見た目での大きな違いとなるのが、ディスプレイ上部の切り欠き(ノッチ)の有無だ。Pixel 3に切り欠きは存在しないものの、Pixe 3 XLには上部スピーカーや前面カメラ部分を囲むように切り欠きが存在している。これによって、Pixel 3 XLでは上部も側面付近までディスプレイで占められている。

 最近では、切り欠き付きディスプレイを採用するスマートフォンが増えているが、Pixel 3 XLのノッチはかなり大きい。切り欠き部分の左右に時刻や各種通知アイコンなどを表示することで、切り欠きのないPixel 3よりもディスプレイの表示領域を有効活用できるという利点はあるが、正面の見た目は切り欠きのないPixel 3のほうがスマートという印象だ。

 いずれの有機ELパネルもHDR表示に対応しており、有機ELパネルらしい非常に鮮やかな表示と感じる。またスリープ時に時刻や通知などをつねに表示するAlways on Display機能など、有機ELパネルらしい機能も用意している。

ディスプレイは、双方とも有機ELパネルを採用するが、サイズや仕様にいつか違いがある
Pixel 3のディスプレイは、アスペクト比18:9、表示解像度1,080×2,160ドットの5.5型パネルを採用
Pixel 3 XLでは、アスペクト比18.5:9、表示解像度1,440×2,960ドットの6.3型パネルを採用する
Pixel 3 XLでは、ディスプレイ上部にスピーカーや前面カメラを囲む大きなノッチがあり、本体上部側面付近までディスプレイで占められている
スリープ時に時刻や通知などを表示するAlways on Display機能も用意されている

OSはAndroid 9 Pieを採用

 Pixel 3とPixel 3 XLは、OSにAndroid最新版のAndroid 9 Pieを採用している。Googleオリジナルモデルということもあって、基本的にOSは素の状態での提供となる。

 ホームアプリも、Android 9標準のものとなっている。メインのホーム画面には時刻や検索バーが表示されており、アプリアイコンやアイコンなどを置いていくとメインページから右にページが増えていく。ページの切り替えは画面の左右スワイプで行ない、メインページの左にはGoogleアシスタントのページが割り当てられる。

 Android 9では、ホームボタンの仕様が大きく変更されている。これまでのような△○□のボタンが廃止され、小さなホームボタンのみとなった。ホームボタンを上にスワイプするとドロワーが引き出され、右スワイプでアプリ履歴が呼び出され、アプリの切り替えが行なえる。また、ホームボタンの長押しでGoogleアシスタントが起動する。これまでのAndroidから大きく仕様が変わったことで、違和感なく使えるようになるまでには慣れが必要そうだ。

 このほか、ボリュームボタンや電源ボタン操作時のメニューも変更された。操作時にボタン横にメニューが表示されるようになったことで、操作性が高められている。

OSは、Pixel 3、Pixel 3 XLともにAndroid 9 ”Pie”を採用
Android 9のイースターエッグ
Android 9標準のホームアプリを採用
Android 9ではホームボタンの仕様が従来から大きく変更されている
ホーム画面やホームボタンを操作している様子
ボリュームボタンや電源ボタンを操作している様子。こちらも仕様変更が見られる

背面カメラはシングルレンズ、フロントカメラはダブルレンズ仕様

 カメラの仕様はPixel 3、Pixel 3 XLともまったく同じだ。

 背面のメインカメラは、1,220万画素デュアルピクセルセンサー/F1.8レンズのシングルレンズ仕様。対して、ディスプレイ上部の前面カメラは、800万画素/F2.2 97度広角レンズと800万画素/F1.8 75度標準レンズという組み合わせのダブルレンズ仕様となっている。

 カメラアプリでは、写真撮影時にシャッターを押した前後のシーンから最適な1枚をおすすめする「Top Shot」や、暗い場面でも鮮やかな写真が撮影できる「夜景モード」、背景を違和感なくぼかしたりカラーを変更できる機能、カメラで捉えた物体や文字を認識してそれらの情報や翻訳を表示する「Googleレンズ」といったさまざまなAI機能を備える。また、前面カメラは広角と標準のレンズを使い分けることで、撮影範囲を調節しながらセルフィー撮影が可能となっている。

Pixel 3背面に搭載されるメインカメラ。1,220万画素デュアルピクセルセンサーとF1.8レンズの組み合わせのシングルレンズ仕様。AI処理によって高品質な写真撮影が可能となっている
メインカメラはわずかに盛り上がっている
こちらはPixel 3 XLのメインカメラ。カメラの仕様はPixel 3とまったく同じだ
Pixel 3 XLのメインカメラもわずかに盛り上がっている
Pixel 3の前面カメラ。800万画素/F2.2 97度広角レンズと800万画素/F1.8 75度標準レンズの組み合わせのダブルレンズ仕様となっている
Pixel 3 XLの前面カメラもPixel 3と同じダブルレンズ仕様だが、ノッチ内にスピーカーをはさんで搭載している
カメラ機能「Pixel 3 カメラ」には、さまざまなAI撮影機能を用意
カメラで捉えた画像から類似品を検索したり自動的に翻訳できる「Google レンズ」は日本語に対応
カメラで捉えた画像を認識し、類似品やその物体の情報、文字の翻訳などを表示する

FeliCaを搭載しおサイフケータイに対応

 NFCに加えてFeliCaを搭載し、おサイフケータイをサポートしている点は、日本向けモデルのみの特徴だ。日本でGoogleが提供しているモバイル決済サービス「Google Pay」では、Suicaや楽天Edy、nanaco、WAON、QUICPayといったFeliCaベースの電子マネーに対応していることを考えると、日本向けモデルでのFeliCa搭載は必然だったと言える。もちろん、おサイフケータイ対応ということで、Google Payが対応していないiDをはじめとしたFeliCaベースの電子マネーや各種会員カードなども利用可能だ。

 FeliCa/NFCのアンテナは背面の指紋認証センサー部分に搭載しているので、背面をリーダにタッチして利用する。

日本モデルにはFeliCaを搭載しており、モバイル決済サービス「Google Pay」でサポートするFeliCaベースの電子マネーが利用可能
おサイフケータイにも対応しており、iDなどのGoogle Pay非対応の電子マネーなども利用可能だ
FeliCa/NFCのアンテナは背面の指紋認証センサー部分に搭載している

ワイヤレス充電スタンドや日本オリジナルケースなどのアクセサリも発売

 Pixel 3とPixel 3 XL発売に合わせて、ワイヤレス充電スタンドや専用ケースなどのアクセサリも販売される。

 まず、ワイヤレス充電対応スタンド「Pixel Stand」。Pixel 3とPixel 3 XLは、Qi準拠のワイヤレス充電に対応しており、このPixel Standを利用することでワイヤレスでの急速充電が可能。また、Pixel StandにPixel 3やPixel 3 XLを置くだけで、Googleアシスタントやフォトフレームを自動的に起動させることも可能となっており、充電スタンドとしてだけでなく、より高機能な使い方が可能となっている。

 標準の専用ケースは、ファブリック調の仕上げとなっているもので、Pixel 3、Pixel 3 XLそれぞれに4色ずつラインナップ。さらに、日本人アーティストがデザインした日本オリジナルケース「Japan Artist Edition」も9種類販売される。

ワイヤレス充電対応スタンド「Pixel Stand」
底面のUSB Type-Cコネクタに同梱のACアダプタを接続して利用する
Qi準拠で急速充電にも対応している
Pixel StandにPixel 3やPixel 3 XLを置くだけで、Googleアシスタントやフォトフレームを自動的に起動させることが可能
ファブリック調の専用ケース。カラーは4色用意される
ピンクムーン(Pixel 3 XL)
インディゴ(Pixel 3)
フォグ(Pixel 3 XL)
カーボン(Pixel 3)
日本人デザイナーがデザインした日本オリジナルケース