レビュー
Google謹製スマホ「Pixel 3/3 XL」ファーストインプレッション
2018年10月16日 01:00
Googleは、自社ブランドスマートフォン「Pixel 3」と「Pixel 3 XL」を、11月1日より日本で販売する。それに先駈けて試用する機会を得たので、ファーストインプレッションとして本体の外観や基本的な機能などを紹介する。なお、試用機は搭載ファームウェアや一部アプリが製品版相当ではなく、製品版とは仕様が異なる可能性がある点はご了承願いたい。機能面の詳細なレビューは後日お届けする予定だ。
サイズや重量は結構な差が
まず、外観からチェックしていこう。
Pixel 3、Pixel 3 XLとも、基本的なデザインコンセプトは同じだ。筐体はアルミニウム製フレームで、ディスプレイ面、背面ともにCorning製強化ガラス「Gorilla Grass 5」を採用しており、イマドキのスマートフォンらしさを感じる。側面フレームとガラスは完全なシームレスというわけではなく、接合部分のラインが見えるとともに、手触りで段差も感じるが、仕上がりはまずまず良好だ。
背面カラーは、Pixel 3、Pixel 3 XLともClearly White、Just Black、Not Pinkの3色を用意。そして、本体上部が光沢、それ以外はマット調と、従来のPixelシリーズから受け継がれる独特な仕上げとなっている。ただ、Pixel 3、Pixel 3 XLはハイエンド志向の製品ということもあり、全体を光沢仕上げにして高級感を高めたほうが良かったように感じる。
また、ほかのガラス筐体採用スマートフォン同様に、かなり滑りやすい印象。テーブルなどに置いた場合でも、わずかな傾きで滑ってしまう。手に持っていても滑り落としそうに感じるので、不安ならケースを装着して利用したほうが良さそうだ。
接続端子は双方ともUSB Type-Cを採用しており、オーディオジャックは存在しないが、USB Type-C接続イヤフォンと変換ケーブルが同梱されている。SIMカードを装着するSIMトレイは本体下部側面に配置され、Nano SIMを1枚のみ装着可能。
左側面、上部側面にはボタンや端子類はなく、右側面に電源ボタンとボリュームボタンを配置している。ボリュームボタンのカラーは本体背面カラーと同じ色を採用しているが、電源ボタンのカラーは本体カラーごとに異なっている。Just Blackでは電源ボタンもブラックだが、Clearly Whiteではグリーン、Not Pinkではオレンジとなっており、デザイン上のいいアクセントとなっている。
サイズは、Pixel 3が68.2×145.6×7.9mm(幅×奥行き×高さ)、Pixel 3 XLが76.7×158×7.9mm(同)となる。Pixel 3は、近年大型化が進んでいるスマートフォンのなかでも比較的コンパクトな部類で、手の小さな女性でも楽に扱えるだろう。それに対しPixel 3 XLは、まさにイマドキのスマートフォンらしい大きさだ。筆者は手が比較的大きいので、Pixel 3 XLを持ってもそれほど手に余るという印象はなかったが、片手での操作はやや厳しいと感じる。
重量は、Pixel 3が148g、Pixel 3 XLが184g。SIMカードを装着しない状態での実測重量は、Pixel 3が148.4g、Pixel 3 XLが183.3gだった。35gほどの差ではあるが、実際に手にするとPixel 3はかなり軽く感じる。サイズも比較的コンパクトなので、高性能な小型軽量スマートフォンの新たな選択肢となりそうだ。
製品パッケージは、外装こそ異なるが、双方とも同じものを採用。本体以外の同梱物も同じで、各種インストラクションカード、USB PD準拠のACアダプタ、USB Type-Cケーブル、USB Type-C接続イヤフォン、USB Type-C Type-A変換コネクタ、USB Type-Cオーディオ変換ケーブルが同梱されている。このうち、USB Type-C Type-A変換コネクタは、ほかのスマートフォンを接続してデータなどを転送する場合に利用する。
それぞれのおもなスペックは表1にまとめたとおり。サイズや重量、ディスプレイの仕様、内蔵バッテリ容量は異なっているものの、そのほかの搭載SoCやメモリ、内蔵ストレージ、カメラ、IP68準拠の防水対応などおもな仕様はまったく同じだ。
Googleストアの直販モデルはSIMロックフリーとなっており、国内大手3キャリアでの利用が確認されている。対応バンドも豊富で、国内はもちろん海外でも問題なく利用できそうだ。実際にNTTドコモのSIMを装着してみたところ、問題なくLTEで接続し、VoLTE通話も可能だった。
Googleストアでの直販価格は、Pixel 3の64GBモデルが95,000円、128GBモデルが107,000円。Pixel 3 XLの64GBモデルが119,000円、128GBモデルが131,000円。
【表1】Pixel 3、Pixel 3 XLのおもなスペック | ||
---|---|---|
SoC | Snapdragon 845(8コア、2.5GHz+1.6GHz) | |
GPU | Adreno 630 | |
メモリ | 4GB | |
内蔵ストレージ | 64GB/128GB | |
OS | Android 9 Pie | |
ディスプレイ | 5.5型有機EL フルHD+(1,080×2,160ドット)/コントラスト比10万:1/HDR表示対応 | 6.3型有機EL QHD+(1,440×2,960ドット)/コントラスト比10万:1/HDR表示対応 |
対応SIM | Nano SIM×1 | |
FDD LTE対応バンド | 1/2/3/4/5/7/8/12/13/17/18/19/20/21/25/26/28/29/30/66 | |
TD LTE対応バンド | 38/40/41/42/48 | |
3G対応バンド | UMTA/HSPA+/HSDPA:1/2/4/5/8、WCDMA:W1/W2/W4/W5/W6/W8/W19 | |
GSM/EDGE対応バンド | 850/900/1,800/1,900 MHz | |
通信速度 | 下り最大1Gbps、上り最大75Mbps | |
無線LAN | IEEE 802.11ac | |
Bluetooth | Bluetooth 5.0 | |
リアカメラ | 1,220万画素/F1.8 | |
インカメラ | 800万画素 F2.2広角レンス(97度)、800万画素 F1.8標準レンス(75度) | |
生体認証機能 | 指紋認証センサー | |
防水 | IP68 | |
おサイフケータイ | 対応 | |
バッテリ容量 | 2,915mAh | 3,430mAh |
ワイヤレス充電 | 対応(Qi準拠) | |
本体カラー | Clearly White、Just Black、Not Pink | |
サイズ(幅×奥行き×高さ)/重量 | 68.2×145.6×7.9mm/148g | 76.7×158×7.9mm/184g |
有機ELディスプレイ採用。Pixel 3 XLは切り欠きあり
ディスプレイは、いずれも有機ELパネルを採用しているが、本体サイズの違いに合わせ、Pixel 3とPixel 3 XLで仕様が異なっている。
Pixel 3は、表示解像度1,080×2,160ドット、アスペクト比18:9の5.5型有機ELパネルを採用。それに対しPixel 3 XLでは、表示解像度1,440×2,960ドット、アスペクト比18.5:9の6.3型有機ELパネルと、より大型かつ高精細なパネルを採用している。
また、見た目での大きな違いとなるのが、ディスプレイ上部の切り欠き(ノッチ)の有無だ。Pixel 3に切り欠きは存在しないものの、Pixe 3 XLには上部スピーカーや前面カメラ部分を囲むように切り欠きが存在している。これによって、Pixel 3 XLでは上部も側面付近までディスプレイで占められている。
最近では、切り欠き付きディスプレイを採用するスマートフォンが増えているが、Pixel 3 XLのノッチはかなり大きい。切り欠き部分の左右に時刻や各種通知アイコンなどを表示することで、切り欠きのないPixel 3よりもディスプレイの表示領域を有効活用できるという利点はあるが、正面の見た目は切り欠きのないPixel 3のほうがスマートという印象だ。
いずれの有機ELパネルもHDR表示に対応しており、有機ELパネルらしい非常に鮮やかな表示と感じる。またスリープ時に時刻や通知などをつねに表示するAlways on Display機能など、有機ELパネルらしい機能も用意している。
OSはAndroid 9 Pieを採用
Pixel 3とPixel 3 XLは、OSにAndroid最新版のAndroid 9 Pieを採用している。Googleオリジナルモデルということもあって、基本的にOSは素の状態での提供となる。
ホームアプリも、Android 9標準のものとなっている。メインのホーム画面には時刻や検索バーが表示されており、アプリアイコンやアイコンなどを置いていくとメインページから右にページが増えていく。ページの切り替えは画面の左右スワイプで行ない、メインページの左にはGoogleアシスタントのページが割り当てられる。
Android 9では、ホームボタンの仕様が大きく変更されている。これまでのような△○□のボタンが廃止され、小さなホームボタンのみとなった。ホームボタンを上にスワイプするとドロワーが引き出され、右スワイプでアプリ履歴が呼び出され、アプリの切り替えが行なえる。また、ホームボタンの長押しでGoogleアシスタントが起動する。これまでのAndroidから大きく仕様が変わったことで、違和感なく使えるようになるまでには慣れが必要そうだ。
このほか、ボリュームボタンや電源ボタン操作時のメニューも変更された。操作時にボタン横にメニューが表示されるようになったことで、操作性が高められている。
背面カメラはシングルレンズ、フロントカメラはダブルレンズ仕様
カメラの仕様はPixel 3、Pixel 3 XLともまったく同じだ。
背面のメインカメラは、1,220万画素デュアルピクセルセンサー/F1.8レンズのシングルレンズ仕様。対して、ディスプレイ上部の前面カメラは、800万画素/F2.2 97度広角レンズと800万画素/F1.8 75度標準レンズという組み合わせのダブルレンズ仕様となっている。
カメラアプリでは、写真撮影時にシャッターを押した前後のシーンから最適な1枚をおすすめする「Top Shot」や、暗い場面でも鮮やかな写真が撮影できる「夜景モード」、背景を違和感なくぼかしたりカラーを変更できる機能、カメラで捉えた物体や文字を認識してそれらの情報や翻訳を表示する「Googleレンズ」といったさまざまなAI機能を備える。また、前面カメラは広角と標準のレンズを使い分けることで、撮影範囲を調節しながらセルフィー撮影が可能となっている。
FeliCaを搭載しおサイフケータイに対応
NFCに加えてFeliCaを搭載し、おサイフケータイをサポートしている点は、日本向けモデルのみの特徴だ。日本でGoogleが提供しているモバイル決済サービス「Google Pay」では、Suicaや楽天Edy、nanaco、WAON、QUICPayといったFeliCaベースの電子マネーに対応していることを考えると、日本向けモデルでのFeliCa搭載は必然だったと言える。もちろん、おサイフケータイ対応ということで、Google Payが対応していないiDをはじめとしたFeliCaベースの電子マネーや各種会員カードなども利用可能だ。
FeliCa/NFCのアンテナは背面の指紋認証センサー部分に搭載しているので、背面をリーダにタッチして利用する。
ワイヤレス充電スタンドや日本オリジナルケースなどのアクセサリも発売
Pixel 3とPixel 3 XL発売に合わせて、ワイヤレス充電スタンドや専用ケースなどのアクセサリも販売される。
まず、ワイヤレス充電対応スタンド「Pixel Stand」。Pixel 3とPixel 3 XLは、Qi準拠のワイヤレス充電に対応しており、このPixel Standを利用することでワイヤレスでの急速充電が可能。また、Pixel StandにPixel 3やPixel 3 XLを置くだけで、Googleアシスタントやフォトフレームを自動的に起動させることも可能となっており、充電スタンドとしてだけでなく、より高機能な使い方が可能となっている。
標準の専用ケースは、ファブリック調の仕上げとなっているもので、Pixel 3、Pixel 3 XLそれぞれに4色ずつラインナップ。さらに、日本人アーティストがデザインした日本オリジナルケース「Japan Artist Edition」も9種類販売される。