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レノボ、モジュール構造で冷却性能と保守性を高めたワークステーション
~こだわりの筐体内設計を解説
(2014/11/6 17:47)
レノボ・ジャパン株式会社は6日、法人向けデスクトップワークステーション「ThinkStation P900」および「ThinkStation P700」を発表。これに併せて都内で記者説明会を開催した。
冒頭で挨拶に立ったレノボ・ジャパン Think製品事業部 部長の仲西和彦氏は、コアビジネスであるPCについては市場リーダーの地位を堅持していく方針を持っており、「中でもワークステーションのThinkStationを力強く伸ばしていくのが今年の戦略」であると説明。
技術の塊であるThinkStationのようなワークステーションには、新技術を積極的に採用するという。ユーザーもPCに詳しく、具体的なフィードバックをもらうことで、PC製品への適用という展開も含め、市場で成功する技術かどうかの検討材料にもしている。
また、収益性の高い領域でもあり、ここへの技術投資に成功することで、ほかの製品への技術投資にも繋がっていく。「さまざまなギアを回す上でPCワークステーションは理想的」な存在であることなどを理由に、この分野へ注力する姿勢を示した。
この市場へは、2008年に2モデルで市場に参入し、のちにエントリーモデルと小型筐体を追加し4モデルで展開。現在まで右肩上がりで成長し、全世界で10.8%のシェアを占めるに至っているという。日本市場については具体的な数字は明かせないとしながらも、世界市場に似た成長になっているとした。
続いて、Think製品事業部 エンタープライズ製品担当プロダクトマネージャーの高木孝之氏により、新製品の解説が行なわれた。
同社では既存のThinkStationを「P」シリーズとして移行を進めている段階にあるが、シングルプロセッサ構成の下位2モデルについては6月と9月に発表済み。今回の「ThinkStation P900」および「ThinkStation P700」は、上位セグメントに位置付けられる2モデルで、デュアルプロセッサ構成となる。
また、従来にはない拡張性/柔軟性を持つことから、これまでカバーできなかった「ウルトラ・ハイパフォーマンス」という新領域をもカバーする製品としている。
CPUにはXeon E5-2600 v3シリーズを2基搭載。GPUはMaxwellコアのQuadroを採用。QuadroはP900が最大3枚、P700が最大2枚を搭載できる。DDR4メモリの採用も同シリーズでは初めてとなる。
説明会には、NVIDIAプラットフォームビジネス本部 部長の林憲一氏も臨席し、「長年協業関係にあるが、特に国内のThinkStationのGPUはオプション含めて全てNVIDIAのGPUのみ」と、両者の緊密な関係をアピール。ちなみに、P900/P700にはQuadro K4200/K2200/K620が採用されている。
このほか、高木氏が「業界に類を見ない拡張性」と表現するのがストレージで、「ブラインドコネクトHDD」と呼ばれるカセット式のベイを採用し、3.5インチベイに2.5インチドライブを2基を搭載するなどの仕組みにより、P900が最大14台、P700が最大12台を搭載できる。
税別価格はP900が416,000円から、P700が327,000円から。それぞれの本体サイズ/重量は、P900が200×620×440mm(幅×奥行き×高さ)/31kg、P700が175×470×440mm(同)/24kg(最大構成時)。
さらに高木氏は、同社が考えるワークステーションの設計思想と、それを新製品にどう反映したかを説明。ワークステーションには、2つの重要なポイントがあると考えているという。
1つは、ダウンタイムを最小化して事業の継続性を確保することで、そのために堅牢性や冷却性能、保守容易性を高めることで迅速にトラブルから復旧できる設計が求められる。
もう1つは、長時間に渡って快適な作業を行なえることで、実際のアプリケーション利用における総合的な性能や、長時間の緻密な作業でもストレスにならないような静音性が求められる。
ThinkStationはさまざまな拷問テストを行なうことで、第三者機関の調査においても修理発生率が低いことを紹介。
冷却性能については、ハニカム状にすることでベンチュリー効果によって奥まで高速に空気を到達させられるフロントグリルや、基板面を向かい合わせたHDD設置などの工夫を従来から盛り込んできた。
また、2010年のモデルからは内部を仮想的に分離して、3つの空気の流れを作る「Tri-Channelクーリング」を採用。今回はこのTri-Channelクーリングをさらに進化させた「エアーバッフル方式」が大きな特徴となっている。
上部にはHDDやGPU、下部にもGPUのほか電源が設置され、Tri-Channel同様に3つの空気の流れが作られるが、CPU上部にエアーバッフルと呼ばれる“筒”を設置したのが特徴となる。これは中央に直線的に並ぶ2つのCPU(およびCPUクーラー)に対し、1つ目と2つ目のCPUそれぞれに別の空気の流れを作り出すことを目的としている。つまり、1つ目のCPUを通過したことで生まれた熱気が2つ目のCPUを通らず、2つ目のCPUにも前方から取り込んだ冷気を使って冷却することで効率を高める。もちろん、ある流れの空気が生んだ熱気が、ほかの流れに干渉することも防いでいる。
(CPUクーラーにもそれぞれファンを搭載するが)、ケースファンは3個のみとなり、静音性も維持できる。静音性についてはこれまでのモデルでも、中心部と円周部で異なる硬さのゴムを用いることで異なる周波数の騒音を防げるゴム足や、防振のためにシリコンゴムを用いたファン固定、低速の大口径ファンの採用といった取り組みをしてきたが、これらも継承している。
事業の継続性に関わる保守容易性や、性能に関わる拡張性については、ツールレスでのメンテナンスを追求していることをポイントに挙げた。HDDはもちろん、ファン、電源ユニット、ビデオカードもツールレスで交換が可能。ユーザーが取り替えることがないので謳ってはいないが、マザーボードもツールレスで交換できるという。
さらに、パーツ交換時に、どこに手を掛けて取り外せばいいかを赤いマーキング(同社はタッチポイントと呼んでいる)によって示しているのも特徴となっている。
このほか、モジュール化されたインターフェイスを必要に応じて増設できる5インチベイユニット「FLEXベイ/モジュール」、PCI Express x4接続のM.2 SSDや内部インターフェイスを増設できるメザニンカード「FLEXコネクター/カード」なども、拡張の柔軟性を高めている。