Hothotレビュー

レノボ「ThinkStation P900」

~Thinkシリーズの「堅牢性」はワークステーションでも変わらず

「ThinkStation P900」シリーズ

 「ThinkStation P900」シリーズはレノボ・ジャパンのワークステーションモデルだ。特に最新モデルは、従来「D」、「C」、「S」、「E」シリーズとセグメント毎に分かれていたシリーズを見直し、「P」シリーズとして続く3桁の番号でセグメントを分けた。

 そして今回テストするP900は、Pシリーズの中でも、最上位となるハイエンドモデルとなる。ワークステーション向けのXeon(コードネーム:Haswell-EP)を2基搭載できるほか、ワークステーショングラフィックスにも対応し、CPUスレッド数を活かした4K映像の編集、GPGPUを用いた研究やリサーチ、ハイエンドCAD用途などが想定されている。

シンプルな中にも斬新なデザイン要素を取り込む外観

 ThinkStation P900は、Pシリーズの中でもハイエンドに位置付けられるだけあって、200×440mm(幅×高さ)と筐体サイズが大きい。単体で見るとミドルタワー型ケースのように見える。しかし、特に奥行きが通常のデスクトップPCと比較して長めの620mmあり、容積は55Lとなる。フレーム部分や側面板などは金属製で、その剛性は自作PC用ケースとはレベルが違う。特に筐体前後のフレームはかなり肉厚だ。

 当然、重量もかなりのものになる。最大構成時には31kgに達するとのことだ。こうした“重量物”を移動、設置するために、ケース前面の上下、背面の上部の計3カ所に取っ手を備えている。取っ手の部分には同社「Think」シリーズのアクセントカラーである赤いラインが引かれている。黒い筐体ではアクセントとなっているのと同時に、同社では「タッチポイント」という呼び名で、メンテナンスの際に手を触れることができる目印の役割も担っている。なお、Pシリーズの中でも、握ることができる取っ手構造となっているのは上位のP700/P900のみで、エントリーモデルは手を引っ掛けるだけの構造であるようだ。

 前面パネルはハニカム(蜂の巣)状のメッシュ構造が取り入れられている。ハニカム状の吸気口は、円形の吸気口よりも高効率とのこと。もっとも、前面パネルにメッシュ構造を取り入れたデザインは、ThinkStationの源流となる「IntelliStation」などIBM時代から続く伝統的なデザインであり、古くからPCに触れてきた方にとっては懐かしさを覚えるだろう。逆に新たなThinkStationの特徴と言えるのが、メッシュ部分を奥まったところに配置し、5インチベイを浮き上がらせたデザインだ。このデザインのために先述の取っ手が十分に機能するわけだが、デザイン的にもかなり洗練されたものを感じる。

 背面も、拡張カードブラケット部分に至るまでメッシュ構造が多用されている。ケースの前部から後部に、スムーズに気流が抜けるデザインと言える。背面ファンは1基。I/Oパネル横にある。それよりも特徴的なのは、I/Oパネルを中心に、上下に配置された拡張カードブラケットだろう。上部は3基、下部は5基分のブラケットが確認できる。また、電源は従来的なデスクトップPCと同様、上部にレイアウトされている。

前面は、メッシュ構造を多用した通気性のよいデザイン
後部も同様にメッシュ構造を多用している。拡張カードスロットのレイアウトが独特なほか、右下には側面板をロックするためのネジを収納していた
前面には上下に取っ手が用意されている
背面の取っ手は上部のみ。上部の前後の取っ手を持てば、重量のあるThinkStation P900でも移動させやすい
側面板はLenovoロゴのほかは平面的なデザイン
左側面板の前寄りにはロックと開閉用のレバーが設けられている
レバーを引き起こせば、スライド式に側面板を開けることができる

保守性を追求したワークステーションならではの徹底したツールフリー構造

 ワークステーションとなると、一般的なデスクトップPCよりも高いレベルでの保守性が求められる。決してThinkStation P900特有というわけではなく、メジャーなメーカーのワークステーションではよく見られる構造だが、内部パーツの大半がツールレスで着脱・交換、追加搭載できる構造であり、その徹底ぶりには感心する。

 左側面板を開けると、その側面板の裏には内部のレイアウトやI/Oパネルのレイアウトを記したシートが貼られていた。これは一部のメーカー製デスクトップPCでも見られるもので、保守の際の目安になる。

 側面板を開き内部を確認すると、一般的なデスクトップPCと異なるところで、CPUカバー(エアーバッフル)が最初に目に留まる。ちょうどThinkStationというロゴが記された部分だ。また、各部に赤いマーキングが確認できるが、これは先述のタッチポイントで、保守の際にここが目印となる。レバーを引き起こす部分や、手前に引けば引き出せる部分にこれが付いている。それでは各所を分解していこう。

 CPUカバーのほかにタッチポイントの記されているのは、電源、上下の前部ファン、後部中央のファン、拡張カードのブラケット側の固定部、拡張カードのストレージベイ側の固定部、そして真正面からは確認できないが、ストレージベイにもマーキングされている。これらがメンテナンスの際に、ツールレスで着脱可能な箇所だ。

 ファンやストレージベイ、拡張カードのブラケットといった部分は、ハイエンド向けのATXケースにも見られるため、そこまで珍しいものではないが、電源がレバー操作で着脱できるのは、ワークステーションならではのデザインと言える。当然、ATX電源とはフォームファクタが異なり、専用設計と見られる。電源の内側には、メス型コネクタがあり、差し込むだけでマザーボード側のオス型コネクタと噛み合う格好だ。

左側面板の内側にはマザーボードやI/Oパネルのブロック図が貼られている
左側面板を外した際の筐体内部。さすがに内部は整然としており、見るからにメンテナンス性が良さそうだ。ThinkStationと書かれたCPUカバーも特徴的
CPUカバーを外した内部。2基のXeonが前後に並んでいる
CPUカバーは、2基のCPUを単純にカバーするだけではない。2基のCPUそれぞれにフレッシュなエアを導くよう複雑なデザインで作られている。前面のCPUには前部のダクトから、後部のCPUには、側面側のダクトから空気が導かれる
CPUカバーを内側から見たところ。写真左側が後部のCPU用のダクトとなる。この仕切りによって、前部のCPUを通過した温かい空気が後部のCPUに導かれない仕組みとなっている
電源もユニットごと着脱可能。万が一の故障時でも、迅速に交換できるのがワークステーションとしての特徴だ。よく見ると80PLUS Platinumのロゴも確認でき、効率面も十分に考慮されたものであることが分かる。最大出力は1,300Wと記されていた
前部、後部のファンもタッチポイント部分を目印に引き出すだけで着脱できる
前部の上下に2基ずつ、計4基あるストレージベイにもタッチポイントを確認。ツールフリーで着脱できる

各所にワークステーション仕様が見られるパーツレイアウト

 それでは、着脱可能な各部を外した状態で、評価機の内部パーツレイアウトを詳しく見ていこう。

 マザーボードは、先述の通り、拡張スロットをCPUソケットを挟んで上下にレイアウトした特殊なデザインだ。GPGPUを用いたハイエンド用途では、マルチGPUへの対応も重要なポイントとなるが、そのように多数のGPUを搭載した際、カードを上下のスペースに分散させることで、ホットスポットの分散や冷却効率でメリットのあると想像できる。なお、搭載可能なグラフィックスカードの最大枚数は3枚とされる。上部に1基、下部に2基を搭載することになると見られるが、PCI Express x16スロット自体は4基配置されている。

 CPUの配置は前後に2つという、マルチプロセッサ対応マザーボードとしては一般的なレイアウト。CPU自体はXeon E5-2600 v3シリーズが選択でき、最大で18コアCPUを2基搭載できる。

 メモリスロットはCPUソケットを挟んで上下に4基ずつ、1CPUに対し8スロット備えており、当然、クアッドチャネル動作をサポートする。特徴的なのはメモリスロットの最外装に設けられた保護板だ。これが何のメリットがあるのかは不明だが、かなり肉厚であり、メモリ回路における放熱効果目的で装着されたものではないだろうか。評価機では、ちょうど保護板の凹み部分にケーブルが通されており、ケーブルマネジメント用途でも活用されているようだ。

 グラフィックスカードは、標準では下部の拡張スロットスペースの最上段に搭載していた。特徴的なのは後部を延長するサポートプレートの存在だろう。ワークステーション用グラフィックスカードや、ストレージ拡張カードなどでは、古くからこのようなプレートが標準、あるいはワークステーションメーカーにより追加搭載されていた。これは確実な固定、自重によるたわみや、本体の移動によって外れてしまうことを防ぐ役割がある。前部をブラケットで、後部のプレートは、ストレージベイの後ろに設けられた固定具で、それぞれ固定することで確実な装着が可能だ。そしてこの固定部にもタッチポイントがあり、レバー操作によって固定・リリースが可能になっている。

 ストレージは、今回の評価機ではHDDと光学ドライブが搭載されていた。HDDは、先述の通りストレージベイに搭載されており、ツールレスで着脱が可能。SATAコネクタはストレージベイの奥に用意されており、ベイカートリッジを差し込むだけで接続できる。一方、光学ドライブに関しては、タッチポイントがあるように着脱こそツールレスで可能だが、SATAケーブルやSATA電源ケーブルに関しては、一般的なPCと同様、手でコネクタに挿す構造だ。とはいえ、スムーズに手が差し伸べられる部分なので、コネクタの着脱に苦労はしない。

 ストレージに関しては、このほかに「FLEXコネクタ」と呼ばれる特殊な端子も用意されている。ここは内部的にPCI Express x4で接続されており、見た目もPCI Express x4スロット風なのだが、拡張スロットとは独立した場所にある。レノボによると、ここに「FLEXカード」を装着できるとのこと。FLEXカードの中にはM.2 SSDをサポートするものも用意される。あるいは、SAS RAIDのようなストレージポートを追加するFLEXカードを搭載することも可能とされる。デスクトップマザーボードにおけるM.2スロットが、ストレージ専用ではなくPCI Express接続の無線LANカードなども広くサポートするように、FLEXコネクタもベースのインターフェイスがPCI Expressであるため、汎用的に使用できるようだ。

着脱可能部分を取り外した状態でマザーボードの全景を見てみた。特殊なレイアウトだが、メンテナンス性やエアフローを考慮した機能的なデザインだ
CPU部分。CPUクーラーは比較的シンプルで、ヒートパイプを組み合わせた自作PC向けの製品にもよく見られる構造だ。なお、隙間から見えるコンデンサやチョークなどもかなり高いグレードのものが使用されているようだ
メモリスロットの最上段、最下段には保護板が装着されていた
グラフィックスカードは、前部のブラケットだけでなく、後部でも固定される。ここも固定部のタッチポイント部分を引き上げればリリース、倒せばロックされる
光学ドライブもツールレスで着脱可能。ケーブルに関しては本製品内で唯一、直接取り外す必要がある構造で、ある意味ほっとする
写真上部(マザーボード上では右下にあたる)に見えるのがFLEXコネクタ。ここにドーターカードのFLEXカードを装着することで、ストレージポートやインターフェイスの追加、M.2 SSDの搭載が可能となる。なお、この写真の中では、PCI Express補助電源コネクタにも注目。ストレージベイ後ろの部分に装着できる仕組みで、余ったケーブルコネクタが宙ぶらりんになることがない
そのほか、製品にはキーボードとマウスも付属する。キーボードは「Lenovo プリファード・プロUSBキーボード」相当品、マウスは「Lenovo USBレーザー・マウス」相当品と見られる

最小構成に近いデュアル構成の6コアXeon+ミドルレンジQuadroの評価機

 今回の評価機の内部パーツ構成を紹介しよう。まずCPUは6コア/12スレッド構成のXeon E5-2620 v3を2基搭載している。定格クロックは2.4GHz、Turbo Boost時の最大クロックは3.2GHzとされている。コアの世代的にはHaswellに相当し、製造プロセスは22nm、L3キャッシュは15MB。TDPは85Wと、Xeon E5 v3シリーズとしては、低めに抑えられているのが特徴だ。

CPU-Zから見たXeon E5-2620 v3。Selectionのプルダウンでは、#1、#2といった具合に2つのプロセッサが確認できる
タスクマネージャから見ると、24スレッドの様子が確認できる。Xeon E5 v3シリーズでは1基あたり18コア/36スレッドのプロセッサもあるためそこまで派手ではないが、十分に壮観だ

 GPUは、NVIDIAのQuadro K4200を搭載していた。ビデオカードとしては1スロット厚のスリムなデザインで、GPUアーキテクチャとしてはKepler(GK104コア)になる。より上位のQuadro K5200やK6000も選択可能であり、ハイエンドとまでは言えないがマルチディスプレイ技術の「Quadro Sync」に対応するなど、設計・開発分野においてより多くの情報を同時に表示するといった用途に向いている。なお、MaxwellアーキテクチャのGPUも選択可能とされているが、それはQuadro K2200やK620など、Quadroシリーズでの位置付けとしては下位のモデルとなる。

 メモリはDDR4に対応し、各CPUそれぞれ4枚ずつ計8枚を使用し、32GB搭載していた。通常のデスクトップPCで用いるアンバッファドタイプとは異なり、レジスタードタイプの、ECCに対応したメモリが採用されている。

GPU-Zから見たQuadro K4200。GK104コアのKepler世代のGPUだ。CUDAコア数は1,344基で、1,152基のGeForce GTX 760よりも多く、一方でGPUクロックはBoost時を含めて低めの設定。メモリも5.4Gbps相当となる
メモリは計32GB。8枚構成なので1枚あたり4GB。最小構成といったあたりだろうか。全て16GBモジュールを利用した場合は256GBまで拡張可能だ
CrystalDiskMarkから見たHDD。Seagate製の「ST200DM001」が採用されていた
そのほかデバイスマネージャから見た主なハードウェア仕様

突き抜けたマルチスレッド性能とOpenGL性能

 ではベンチマークを見ていこう。利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark 8 v2.3.293」、「PCMark 7 v1.4.0」、「PCMark Vantage Build 1.2.0」、「PCMark05 Build 1.2.0 1901」、「3DMark Professional Edition v1.1.0」、「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」、「CrystalDiskMark 3.0.3b」に加え、ワークステーション向けのテストとして「CINEBENCH R15」、「SPEC Viewperf 12.0」を加えた。

【表】ベンチマーク結果
PCMark 8 v2.3.293
Home accelerated 3.0 score3295
Creative accelerated 3.0 score2911
Work 2.0 score3574
PCMark 7 v1.4.0
PCMark score2738
Lightweight score1995
Productivity score1556
Entertainment score3370
Creativity score3474
Computation score4301
System storage score1270
Raw system storage score186
PCMark Vantage Build 1.2.0
PCMark Suite7214
Memories Suite7164
TV and Movies Suite5591
Gaming Suite6794
Music Suite6134
Communication Suite6483
Productivity Suite7198
HDD Test Suite3678
PCMark05 Build 1.2.0
PCMark Score12731
CPU Score11828
Memory Score10179
Graphics Score21016
HDD Score6330
3DMark Professional Edition v1.3.708
Ice Storm75196
Cloud Gate21853
Sky Diver16506
Fire Strike5013
FINAL FANTASY XIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編
1920×1080ドット 最高品質8272
1920×1080ドット 高品質(デスクトップPC)8898
1920×1080ドット 標準品質(デスクトップPC)14291
CrystalDiskMark 3.0.3b
シーケンシャルリード191.924MB/sec
シーケンシャルライト180.633MB/sec
512Kランダムリード34.329MB/sec
512Kランダムライト65.149MB/sec
4Kランダムリード0.322MB/sec
4Kランダムライト0.804MB/sec
4K QD32ランダムリード0.821MB/sec
4K QD32ランダムライト0.763MB/sec
CINEBENCH R15
OpenGL134.25fps
CPU1557cb
CPU(Single Core)126cb
SPEC Viewperf 12.0
catia-0461.43
creo-0146.60
energy-012.74
maya-0445.56
medical-0117.85
showcase-0136.37
snx-0260.00
sw-0378.07

 比較対象を用意していないが、PCMark系の各テストスコアを見ると、CPUの比率の多いテストで高いスコアを出している傾向が見て取れる。ただし、PCMark 05のようにマルチスレッドへの最適化が進んでおらず、シングルスレッド性能の比重が高いテストに関しては、そこそこのスコアに留まっている。これは、定格クロックが2.4GHz、Turbo Boostクロックが3.2GHzと、やや低めに設定されていることが影響している。とはいえ、ワークステーション向けのアプリケーションでは、一般的にマルチスレッドへの最適化が進んでいることから、業務に大きな影響を及ぼすことはないだろう。CPU性能を確認できる最もストレートなスコアはCINEBENCH R15だ。Single Coreの値は126cbとたいしたことはないが、マルチスレッドに対応するCPUの値は1557cbと、1000cbを余裕で超える高スコアを叩き出している。

 3DMarkでは、Quadro K4200がQuadroの中でもミドルレンジクラスということもあり、そこまで高いスコアは出ていない。Quadro自体、3DMarkのようなDirectXアプリケーションよりも、OpenGLアプリケーションに最適化されていることも影響していると考えられる。とは言え、ゲーム性能として計測したFINAL FANTASY XIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編は、フルHDの最高画質でテストしても8272ポイントの「非常に快適」という評価を得ている。Quadro K4200で採用されているGK104コアは、GeForce GTX 760に相当するだけあって、一般的なゲームを動作させる分には十分な性能を持つ。OpenGL系のアプリケーションで開発し、DirectXでテスト表示を行なうといったシチュエーションを考えても、まずまずの性能が得られるだろう。OpenGLベンチマークであるSPEC Vewperfでは、これも特出するほどではないものの、堅実なスコアを残している。ベンチマーク中の挙動に関しても、安定そのものだ。

 ストレージに関しては、評価機がHDDを搭載していたため、アプリケーションの起動、ウインドウを開く操作などで若干の遅延を感じた。CrystalDiskMarkで計測しても、HDDなりの性能といったところだ。Serial ATA 3.0接続の7,200rpmモデルということもあり、シーケンシャルリード/ライトに関して見れば高速だが、業務用として見ると、頻繁に起こる遅延が気になるところ。豊富なベイを有していることから、SSDの追加搭載を検討するのがよいのではないだろうか。

FINAL FANTASY XIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編
CrystalDiskMark 3.0.3b
CINEBENCH R15
SPEC Viewperf 12.0

ミッションクリティカルな用途における堅牢ワークステーション

 ThinkStation P900は、ワークステーションという視点で見ても、レノボ独自のアクセントが追加され、洗練された印象を受ける。PC視点で見る必要はないわけだが、それでも保守性の高さはかなり“うらやましく”感じるところだ。やはり長期、安定を目指した筐体設計は、一般的なPCのレベルとは世界が違う。

 長期間のレビューではないため、ワークステーションの真髄である耐久性や故障率といった面は検証できていないが、部品単位で見ると十分に期待ができるだろう。コンデンサも、重要な部分には高品質なものをふんだんに用いていた。また、寿命に大きく影響するエアフローという点でもこだわりが感じられ、その上で高い保守性も備えており、安心感がある。拡張性の面でも、CPUやメモリはもちろん、55L筐体を活かし、ストレージや拡張カードも十分な柔軟性があるので、幅広い用途で活用できるだろう。

(石川 ひさよし)